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台風 隣の家 片付け 越境した枝は2023年4月から自分で切れます ところが飛んできた瓦には、その条文がありません

🗨️「台風のあと、隣から飛んできた瓦がうちの庭に散らばったまま。片付けるのはどっち?」

法律は、片付けさせる手段を用意していません。越境してきた木の枝なら2023年4月から自分で切れるようになりましたが、飛んできた瓦は動産なのでその条文の外側です。話し合いがつかないときは、自分で片付けて自分の火災保険にまわすのが現実的な出口になります。

[空き家] この記事の要点

発表日・更新日

2026年9月6日 発表

影響を受ける人
  • 台風のあと、隣家から飛んできた瓦や屋根材が自分の敷地に残っている人
  • 隣が空き家で、持ち主に連絡がつかない人
  • 自分の家の屋根材を飛ばしてしまい、片付けを求められている人
目次

隣は、自分の敷地に落ちた瓦だけを掃いて帰った

弁護士ドットコムの法律相談に、2018年9月9日付けでこういう相談が残っています。台風で隣家の瓦が飛んできて壁に当たり、庭に散らばったという内容です。

翌日ふとみると隣人は境界線より自分の所に落ちた瓦だけを綺麗に掃除してました。(中略)散乱している瓦もそのままにしています。壁も修理せずそのままにしています。

この相談者が求めているのは、修理代ではありません。散らばった瓦を片付けてもらうことと、謝ってもらうことです。ところが、この検索で出てくる記事はどれも「賠償できるか」の話をしています。片付けを正面から扱ったものが見あたりません。

読者

自分の家から飛んでいったものなんだから、拾いに来るのが常識では。

おかあさん

常識としてはそうです。ただ常識と、片付けさせる手段があるかどうかは別なんです。ここから先は、法律に何が書いてあって、何が書かれていないかの話になります。

越境した枝は、2023年4月から自分で切れるようになった

隣から伸びてきた木の枝については、条文が変わりました。民法233条3項です。次の3つのどれかに当たれば、越境された側が自分で切れます。

  • 所有者に切るよう催告したのに、相当の期間内に切らないとき
  • 所有者を知ることができず、または所在を知ることができないとき
  • 急迫の事情があるとき

施行は令和5年(2023年)4月1日です。船橋市もよくある質問のページで、この改正を明記しています。それまでは「越境した枝は勝手に切れない、根なら切れる」という取り扱いだったので、実務としては大きな変更でした。

i 2番目の「所有者を知ることができないとき」が入ったことで、持ち主が分からない空き家の木にも手が出せるようになりました。

ところが、飛んできた瓦には同じ条文がない

ここが今回の芯です。233条が対象にしているのは、隣地から伸びてきた竹木の枝。地面につながったまま越えてくるものです。台風で飛んできた瓦や屋根材は、切り離されて動いてきた動産なので、この条文の射程に入りません。

結果として、こういう非対称が起きます。

自分の敷地に入ってきたもの自分で処分できるか根拠
越境してきた木の催告などの条件つきで切れる民法233条3項(2023年4月1日施行)
越境してきた木の切れる民法233条4項
台風で飛んできた瓦・屋根材そう書いた条文がない

他人の物である以上、勝手に捨てると別の話になりかねません。かといって、置いておけば自分の庭が使えません。私は、ここは法律の穴というより、災害のたびに現場で泣き寝入りが積み上がっている場所だと見ています。話し合いで引き取ってもらえるならそれがいちばん早い、というのが実際のところです。

読者

賠償してもらえるなら、片付け代も一緒に請求できませんか。

おかあさん

賠償責任が認められるなら、片付けにかかった費用も損害の一部として主張できます。問題はその責任が認められにくいことです。台風で飛んだこと自体は不可抗力とされることが多いんです。

神戸市の公的な相談窓口「すまいるネット」は、この点をはっきり書いています。危険を予見できていれば対策を講じる義務があるので賠償の対象になり、予見できなければ不可抗力なので賠償責任は生じない、という整理です。兵庫県弁護士会も、定期点検などの対策をしていたのに予想を超える台風で飛んだのなら支払う義務はないだろう、と説明しています。

隣が空き家でも、市が勝手に片付けることはできない

「隣は空き家なんだから、市役所が処理してくれるだろう」と考える人がいます。船橋市のよくある質問のページの答えは、そうではありません。

空家であっても所有者(又は管理者等)の許可なく勝手に措置を行うことはできず、また、周囲に悪影響が出ないよう適切に管理する責任は所有者にあります。

市区町村が動けるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく段階を踏んだときです。管理が適切でない空き家には第13条で指導・勧告ができ、さらに状態が悪い特定空家等には第22条で助言・指導から勧告・命令・行政代執行まで進みます。ただし、この道のりは長い。令和6年度に勧告まで進んだのは全国で978件で、1件も出なかった道府県が24あります。台風のあと数日で庭を片付けたい、という時間感覚とはまるで合いません。

持ち主が分からないときに使える手

連絡先が分からない空き家が相手なら、順番はこうなります。

  • 法務局で登記事項証明書を取り、所有者の住所と氏名を確認する
  • 市区町村の空き家窓口に連絡する。市は現地と所有者を調査して所有者へ情報提供する(申し出た側に個人情報は伝えられない)
  • 権利利益が侵害されている場合、裁判所へ管理不全建物管理命令を申し立てる。所有者が調べても不明なら所有者不明土地管理命令という制度もある
  • 所有者が亡くなっている場合は相続人が管理責任を負う。相続人がいないときは相続財産管理人、行方が分からないときは不在者財産管理人の制度がある

いずれも時間がかかります。急いで庭を空けたいときの手ではなく、同じことが毎年くり返される見込みのときに使う手です。

この住所は浸水しやすい場所ですか?

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結局、自分の保険で直すのがいちばん早い

壊れた建物や車を直す話に限れば、答えははっきりしています。自分の火災保険の風災補償、車なら車両保険です。日本損害保険協会はこう書いています。

台風や暴風などの風災による損害や、大雪などの雪災による損害について、一定額以上に達するものであれば補償の対象としています。

この「一定額」がいくらで、どういう引き方をするのかは契約によって違います。損害額が決められた額を超えたら全額出る方式と、損害額から決められた額を引いて残りが出る方式では、手元に入る金額がまったく変わります。金額と方式は保険証券に書いてあるので、そこを見るしかありません。協会の公式ページも「一定額以上」までしか書いていません。

請求で経年劣化を理由に断られたときの進め方は火災保険で経年劣化と言われたらどうするの?にまとめてあります。隣に請求できるかどうかの線引きは隣の空き家から屋根が飛んできた場合の記事のほうです。

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! 個別の事情によって結論は変わります。金額の大きい被害や、話し合いがこじれた場合は、自治体の無料法律相談や弁護士会の相談窓口を使ってください。

生活・仕事にどう効くか

  • 片付けの費用:撤去も処分も、原則は片付ける人の負担になる。相手に賠償責任が認められない限り、費用の請求先が無い。
  • 保険の請求:壊れた自分の建物や車は、自分の火災保険の風災補償や車両保険で直すのが早い。日本損害保険協会は「一定額以上に達するもの」と書いており、額と方式は契約ごとに違う。
  • 隣が空き家のとき:市に連絡すれば現地と所有者を調査して所有者へ情報提供してくれるが、所有者の個人情報は教えてもらえない。自分で調べるなら法務局の登記事項証明書。

結局どうすればよいか

  • 片付ける前に、散らばった状態を日付の分かる写真で撮っておく。保険の請求にも、話し合いにも使う
  • 隣に連絡がつくなら、まず引き取りを頼む。応じないときは自分の火災保険の窓口に先に相談する
  • 隣が空き家で連絡先が分からないときは、市区町村の空き家の窓口に連絡する。並行して法務局で登記事項証明書を取る

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公式出典

更新履歴

  • 2026年9月6日 初版を公開

※本記事は2026年9月6日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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