新宿区は、区道が冠水した場所を地図にして公開しています。令和元年から令和7年度までの地図に付いている印は6つ。そのうち5つが、上落合二丁目の同じ1か所でした。
2019年の台風19号、2020年4月、2021年2月、2024年の台風10号、2025年7月10日。7年のあいだに5回、同じ場所の道が水に浸かっています。妙正寺川沿いの、中落合一丁目との境目です。この場所は、国の「道路冠水注意箇所」には入っていません。
新宿区の「どこが危ないか」は、国の一覧と区の地図、そして東京都の浸水の記録を重ねると見えてきます。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」に新宿区は2か所。新宿御苑トンネルと第一大久保ガードです
- ✓ 令和の区道の冠水6件のうち5件が上落合二丁目の同じ場所。都の記録で浸水の回数が最多なのは早稲田鶴巻町の20回です
- ✓ 浸水した建物は1980年代の約6,469棟から2010年代の約76棟に。それでも2024年には川から遠い内藤町などで床上浸水が出ました
箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都の一覧と説明表、冠水の場所は新宿区「道路の冠水履歴」(令和元〜7年度・平成21〜30年度の地図)、浸水の回数と棟数は東京都「浸水実績箇所の住所検索」の元データ(1974〜2024年・新宿区359行)を自分で数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
国の一覧に、新宿区は2か所あります
国土交通省の関東地方整備局は、大雨のときに水がたまるおそれがある道を「道路冠水注意箇所」として挙げています。東京都の一覧は153か所で、新宿区は2か所です。
A は国道20号(甲州街道)が新宿御苑の下を通る新宿御苑トンネル(内藤町)。管理は国の東京国道事務所です。B は都道302号の第一大久保ガード(百人町1丁目)で、東京都建設局が管理しています。住所の代表点の標高は、Aが34.4メートル、Bが32.4メートルでした。

地図の番号と同じ順です
B 第一大久保ガード
都道 302号
東京都新宿区百人町1丁目 / 標高32.4メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 新宿警察署 / 消防: 新宿消防署
Googleマップのリンクは、説明表の住所と構造物の名前から道路地図(OpenStreetMap)で位置を合わせた緯度経度で開きます。合わせられなかった箇所は町丁目の代表点なので、数百メートルずれることがあります。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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区道の冠水は、上落合二丁目に集中しています
新宿区の道路課は「道路の冠水履歴」として、区道が冠水した場所を年度ごとの地図にしています。区は「道路課で確認した概略の位置」で「区内のすべての履歴ではありません」と断っています。建物の浸水ではなく、道路の冠水だけの記録です。
令和元年から令和7年度の地図にある6つの印のうち、上落合二丁目の北端が5つ。残る1つは、2025年7月10日の西新宿四丁目の西端でした。令和3〜5年度は冠水の記録がありません。
平成21〜30年度の地図には印が19あり、いちばん多いのは平成23年8月26日の7つです。この日は1時間に96ミリの雨が降り、中井一丁目から上落合三丁目にかけて、妙正寺川沿いの区道に3本の印が付いています。
読者
上落合二丁目の道は、何が理由で冠水するんですか?
区の地図は場所を示すだけで、理由までは書いていません。分かるのは、妙正寺川沿いの同じ場所で、7年に5回起きているということです。
浸水した建物は、30年で85分の1になりました
東京都は「浸水実績箇所の住所検索」で、昭和49年からの浸水の記録を町丁目ごとに公開しています。元のデータを新宿区だけ取り出すと359行、158の町丁名、日付で数えて75回の浸水がありました。

いちばん多かったのは1980年代の約6,469棟。1981年10月22日だけで約1,812棟が浸かっています。それが2010年代には約76棟まで減りました。
町丁目ごとに浸水した回数を数えると、最多は早稲田鶴巻町の20回、次が高田馬場三丁目の16回です。早稲田鶴巻町の代表点の標高は7.3メートルです。区の最も低いところは飯田橋付近の4.2メートルだと、区は書いています。
| No. | 町丁目 | 記録 | 標高 | 地図 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 上落合二丁目 | 区道の冠水 令和に5回(妙正寺川沿い) | 22m | 地図で開く |
| 2 | 西新宿四丁目 | 区道の冠水 令和7年7月10日 | 34.4m | 地図で開く |
| 3 | 早稲田鶴巻町 | 都の記録で浸水20回(区内最多) | 7.3m | 地図で開く |
| 4 | 高田馬場三丁目 | 都の記録で浸水16回 | 19.3m | 地図で開く |
| 5 | 下落合一丁目 | 都の記録で浸水10回 | 14.4m | 地図で開く |
| 6 | 新宿四丁目 | 都の記録で浸水10回(最新は2024年) | 34.4m | 地図で開く |
| 7 | 中落合一丁目 | 都の記録で浸水8回 | 24.7m | 地図で開く |
| 8 | 戸塚町一丁目 | 都の記録で浸水8回 | 7.7m | 地図で開く |
| 9 | 西落合二丁目 | 2005年9月4日 妙正寺川の溢水 | 29.2m | 地図で開く |
| 10 | 中井一丁目 | 区道の冠水 平成23年8月26日 | 20.7m | 地図で開く |
| 11 | 内藤町 | 2024年8月21日 窪地の内水で床上浸水 | 34.3m | 地図で開く |
| 12 | 四谷坂町 | 2024年8月21日 窪地の内水で床上浸水 | 17.3m | 地図で開く |
| 13 | 北新宿二丁目 | 都の記録で浸水7回 | 24.5m | 地図で開く |
都の記録は、古い年ほど複数の町丁目をまとめた数字が各町丁目に同じ値で入っているため、町丁目ごとの棟数は載せず、回数で比べています。棟数の合計は重複を除いた概数です。標高は町丁目の代表点1点の値です。
2024年の浸水は、川から遠い窪地で起きました
都の記録で新宿区のいちばん新しい浸水は、2024年8月21日です。原因は「窪地内水」。内藤町4棟、大京町2棟、四谷坂町・市谷本村町・新宿4丁目が1棟ずつで、9棟すべてが床上浸水でした。
どれも神田川や妙正寺川から離れた、四谷や新宿御苑のまわりです。内藤町は国の冠水注意箇所 A の新宿御苑トンネルがある町でもあります。代表点の標高は34.3メートルで、区の台地は平均ほぼ30メートル。高い場所でも、周りより少し低い窪地に雨が集まれば、家の床の上まで水が来ます。
区のハザードマップも、雨水ますが清掃されていない場合などに「局所的に内水氾濫を起こす可能性があります」と書いています。地図で色が付いていない白い部分でも、0.1メートル未満の浸水はありうる、という説明です。
1時間33ミリで、地下室の人が亡くなっています
新宿区の地域防災計画には、平成以降の水害の被害が59行の表で載っています。その中の平成11年7月21日の集中豪雨は、時間最大33ミリ、総雨量57ミリでした。
この日、中落合・西落合・天神町などで浸水が起き、表の「その他」の欄には「死亡者:1人(地下室浸水による溺死)」とあります。10分間の最大雨量は11ミリでした。
1時間100ミリの雨ではなく、30ミリ台の雨で起きたことです。新宿区で半地下の部屋を借りるなら、入口が道路より低くないか、止水板を置けるかを見てください。
内水のハザードマップは「一部有」です
新宿区洪水ハザードマップは令和7年8月に改定され、表面に洪水(外水)と雨水出水(内水)、裏面に高潮が載っています。区のQ&Aでは、水防法にもとづく図の有無を洪水=有、雨水出水=一部有、高潮=有としています。洪水と重なる範囲は作っていない、という注付きです。
東京都下水道局は令和8年3月25日に、神田川流域・城南地区河川流域・隅田川及び新河岸川流域の雨水出水浸水想定区域を指定しました。新宿区は3つの流域すべての関係区に入っています。想定している雨は1時間最大153ミリ、24時間690ミリ。借りる・買う前に、区のハザードマップと都の雨水出水浸水想定区域図の両方で、洪水と内水の色を確かめてください。
自分の家の前が危ないかを調べる3つ
- 区の「道路の冠水履歴」の地図で、家の前の区道に印があるかを見る
- 東京都の「浸水実績箇所の住所検索」で、自分の町丁目に何回記録があるかを見る
- 雨の日に、家の前の道がどちらへ下っているか、雨水ますが詰まっていないかを確かめる
2024年の浸水は、川から遠い窪地で起きました。3つ目は、地図の外にある情報です。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
よくある質問
神田川から離れていれば安全ですか
いいえ。2024年8月21日の床上浸水9棟は、内藤町や四谷坂町など川から離れた窪地で起きています。原因は「窪地内水」でした。
新宿御苑トンネルは大雨で通れなくなりますか
水がたまるおそれがあるとして、国の一覧に載っています。大雨の日は、トンネルや線路の下をくぐる道を避けると確実です。
区の冠水履歴に載っていない道は大丈夫ですか
区は「区内のすべての履歴ではありません」と書いています。区道以外の道路も載っていません。載っていないことは、冠水しないことの証明にはなりません。
ほかの区はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 杉並区 冠水 どこが危ないの?
- 渋谷区 冠水 どこが危ないの?
- 練馬区 冠水 どこが危ないの?
- 板橋区 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都(一覧と1か所ごとの説明表。2026年9月23日取得)
- 新宿区「道路の冠水履歴」(2026年4月17日更新)
- 新宿区「近年の水害時における区内の被害実績」(新宿区地域防災計画 令和5年度修正 別冊資料編より)
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」(元データ・1974〜2024年)
- 新宿区「新宿区洪水ハザードマップ」(令和7年8月改定)
- 東京都下水道局「雨水出水浸水想定区域図」神田川流域・城南地区河川流域・隅田川及び新河岸川流域(令和8年3月25日指定)
- 新宿区「新宿区について(名前の由来・歴史・地勢)」
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず区と東京都の最新の発表を確認してください。
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