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実は地名にヒントがあります 由良川の洪水は1,700戸浸水、浅茂川の津波は3.3m

由良川、桂川・宇治川・木津川、丹後沿岸の津波・高潮と京都府の地名を表したアイキャッチ

京都府の水害は、京都市の鴨川だけを見ても分かりません。北では由良川が福知山・綾部・舞鶴へ流れ、2004年の台風23号で沿川約1,700戸が浸水しました。南では2012年の豪雨時に瀬田川・宇治川・淀川は氾濫しなかった一方、弥陀次郎川などの中小河川が氾濫し、炭山では土砂崩れが起きました。丹後の浅茂川は府の想定で最高津波水位3.3mです。川・浜・谷・断層の名前を、洪水・内水・土砂・津波・高潮・地震のどの地図を開くかという入口に変えます。

この記事でわかること

  •  由良川沿川は2004年に浸水家屋約1,700戸、2013年にも約1,600戸。福知山市の荒河新町は標高15.5mでも洪水想定を確認する
  •  2012年京都府南部豪雨は中小河川の氾濫、天井川の堤防決壊、内水、炭山の土砂崩れが同時発生。大河川が無事でも水害は終わらない
  •  府の想定では浅茂川の最高津波水位は3.3m、第1波は31分。丹後5市町は2026年に高潮浸水想定区域も指定された
目次

由良川は2004年に約1,700戸浸水 福知山の川沿いは15〜30m台

福知山市の由良川と土師川周辺の標高段彩図。荒河新町15.5m、厚東町16.2m、篠尾新町17.0m、天田27.6m、東平野町74.5m
福知山・由良川沿いの色別標高図。市街地の低地と東側の高台が短い距離で切り替わる(国土地理院の地理院タイルと5mメッシュ標高から作成)

2026年の地価公示にある福知山市の住宅地16地点は、標高の中央値が25.6mです。荒河新町15.5m、厚東町16.2m、篠尾新町17.0m、天田27.6m。東平野町は74.5mです。海抜0mに近い土地だけが水害に遭うわけではありません。川の水位が地面より上がる場所では、標高15mでも外水氾濫の対象になります。

国土交通省の平成16年台風23号出水の概要によると、2004年10月20日は由良川直轄区間沿川の4市1町で死者5人、浸水面積約2,606ha、浸水家屋約1,700戸でした。範囲は当時の綾部市、福知山市、舞鶴市、宮津市、大江町です。

福知山市の由良川と土師川周辺の洪水浸水想定図。荒河新町、厚東町、天田など川沿いの市街地に浸水深の色が広がる
由良川の洪水浸水想定(想定最大規模)。2004年の実被害範囲ではなく、現在の条件による想定図(ハザードマップポータルの配信タイルから作図)

2013年の台風18号でも、由良川沿川4市で約1,600戸、約2,500haが浸水しました。2004年の1,700戸と足して「3,300戸」とは数えません。別の台風、別の水位、別の被害です。住所を見るときは、過去被害と最大規模の想定図を分け、浸水深だけでなく浸水継続時間と避難路も確認します。

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標高は地面の高さであり、堤防高や洪水時の水位ではありません。由良川沿いでは「海抜が何mか」だけでなく、川の想定水位、堤防との位置関係、道路が先に浸かるかまで見ます。

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由良川・三川合流部・丹後沿岸の災害想定を住所から確認(無料)

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淀・向島・八幡は三川合流部 嵐山では桂川があふれ93戸浸水

桂川、宇治川、木津川が合流する淀、向島、八幡の標高段彩図。淀下津町11.8m、向島中島町11.9m、八幡長田10.9m、男山指月67.5m
淀・向島・八幡の色別標高図。三川合流部の10〜12m台の低地と、男山の67.5mが隣り合う(国土地理院の地理院タイルと5mメッシュ標高から作成)

京都市伏見区の淀下津町は11.8m、向島中島町は11.9m、八幡市八幡長田は10.9mです。桂川・宇治川・木津川が合流する平地に、似た高さの住宅地が並びます。一方、八幡市男山指月は67.5m。市名や最寄り駅だけでは、この差は読めません。

淀、向島、八幡の三川合流部の洪水浸水想定図。桂川、宇治川、木津川の周辺に浸水深の色が重なる
三川合流部の洪水浸水想定(想定最大規模)。桂川・宇治川・木津川のどの想定に入るかを住所地点で確認する(ハザードマップポータルの配信タイルから作図)
京都市内を流れる桂川。川面の両側に市街地と山並みが見える
京都市内を流れる桂川。写真:クリストフ95(ウィキメディア・コモンズ、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0)

2013年9月の台風18号では桂川が増水し、嵐山地区で浸水家屋93戸、浸水面積約10haとなりました。淀川河川事務所は、嵐山地区と京都市伏見区で桂川から水があふれたと説明しています(出水状況資料桂川緊急治水対策)。観光地の嵐山と三川合流部は同じ桂川水系でも、川幅、支川、堤防、避難方向が違います。

読者

男山のような高台なら、八幡市の洪水は見なくてもよいですか。

おかあさん

洪水の浸水色が無ければ外水の可能性は下がりますが、それだけで終わりません。急な坂、擁壁、造成地、土砂災害警戒区域、避難所までの橋を確認します。低地と高台では、次に開く地図が変わります。

弥陀次郎川は天井川25m決壊 炭山では土砂崩れで孤立

2012年8月の京都府南部豪雨では、死者2人、全壊32棟、半壊169棟、床上浸水906棟、床下浸水2,378棟の被害が出ました。城陽市寺田の累加雨量は332mm、精華町菱田では1時間107mmです(京都府安心・安全な暮らしに関する特別委員会資料)。

重要なのは、瀬田川・宇治川・淀川という大河川では氾濫しなかったことです。その一方で、弥陀次郎川、戦川、志津川などの中小河川が市街地で氾濫しました。弥陀次郎川では周囲の地面より川底が高い天井川区間の堤防が25mにわたって決壊。宇治市炭山地区は土砂崩れで一時孤立しました。

宇治市の弥陀次郎川流域と炭山周辺の土砂災害警戒区域図。小倉町10.7m、槇島町12.5mの平地と炭山の斜面を表示
宇治・炭山の土砂災害警戒区域。2012年の実被害範囲ではなく、土石流・急傾斜地・地すべりの現在の区域(ハザードマップポータルの配信タイルから作図)

宇治市小倉町は10.7m、槇島町は12.5m。低い市街地では中小河川と内水を見ます。東の炭山へ進むと地形は急になり、見るべき地図は土砂へ切り替わります。同じ豪雨の中で、川からの水、排水できない雨、斜面崩壊が別々に起きます。

読者

宇治川があふれなかったのに、なぜ床上浸水が900棟を超えたのですか。

おかあさん

水は大河川だけから来ません。短時間の強い雨が小河川の流下能力や下水の排水能力を超え、天井川が決壊し、斜面も崩れました。洪水図だけでなく、内水図と土砂災害警戒区域を重ねる理由です。

丹後は津波と高潮を分ける 浅茂川3.3m、宮津2.0m

京都府の津波想定比較図。京丹後市浅茂川は最高津波水位3.3mで第1波31分、宮津市は2.0mで92分、舞鶴市浜は1.3mで52分
京都府の最大クラス想定における最高津波水位と第1波到達時間。陸上の浸水深とは別の数字(京都府資料から作図)

京都府の地域防災計画 震災対策計画編では、京丹後市浅茂川の最高津波水位は3.3m、第1波到達は31分。宮津市宮津は2.0m・92分、舞鶴市浜は1.3m・52分です。数字が小さい町ほど安全、到達が遅いほど待ってよい、とは読めません。

最高津波水位は海岸で評価した水面の高さです。陸上で地面から何m浸かるかを示す浸水深とは異なります。京都府も、浸水域外で浸水が生じる場合、第二波以降が最大になる場合、低地で長く水が残る場合があると注意しています(津波浸水想定の設定)。浅茂川という海岸地名を見たら、最高水位の数字より先に、徒歩で高台へ上がる経路を確かめます。

さらに京都府は2026年2月27日、福井県境から兵庫県境までの丹後沿岸全てを高潮浸水想定区域に指定しました。対象は舞鶴市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町。910hPaの室戸台風規模を前提に、区域・浸水深・浸水継続時間を示しています。

海辺で開く地図 水の原因 先に見る数字
津波 海底・活断層などの地震 到達時間、浸水深、高台までの時間
高潮 台風の気圧低下と強風 浸水深、浸水継続時間、避難開始時刻
洪水 河川流域の大雨 河川別の浸水深、継続時間、橋の位置
内水 市街地の排水能力を超える雨 道路冠水、地下空間、排水先
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津波と高潮はどちらも海から水が来ますが、発生原因も避難判断も違います。丹後の海辺では、片方の地図に色が無いことを、もう片方の安全証明にしないでください。

花折・木津川・郷村・山田 断層名は揺れの地図を開く入口

京都府は2024年に花折断層帯地震、2025年に府内へ大きな被害をもたらす10断層の想定を更新しました。花折断層帯、木津川断層帯、上林川断層、三峠断層、郷村断層帯、山田断層帯など、地域名や川名を含む断層が府内各地にあります(京都府の地震・津波被害想定)。

府の地震被害総括表では、花折断層帯地震は最大予測震度7、死者4,660人、全壊110,710棟、焼失23,500棟という想定です。これは特定の日の予報でも、断層線の真上だけの被害でもありません。季節・時間帯などの条件を置いた被害シナリオです。

読者

断層から離れた住所なら、地震の確認は不要ですか。

おかあさん

不要にはなりません。強い揺れは断層線より広く及び、軟弱地盤では揺れや液状化、密集地では火災、高台では道路寸断が問題になります。断層名は入口にして、住所地点の震度・液状化・建物年代・避難路へ進みます。

京都市内の住みやすさ、地価、交通、揺れを区ごとに比べたい場合は、

「島」「滝」「浦」「津」「川」「谷」は判定ではなく検索語

2026年の地価公示にある京都府の住宅地435地点を、町名・字名に含まれる文字で集計しました。「島」15地点の標高中央値は14.2m、「滝」6地点19.9m、「浦」4地点26.1m、「津」14地点32.6m、「川」26地点44.7m、「谷」16地点51.7mでした。

文字 住宅地点数 標高中央値 次に確認する地図
15地点 14.2m 旧河道・洪水・内水。中州とは限らない
6地点 19.9m 沢・急傾斜地・土石流。高低差を見る
4地点 26.1m 津波・高潮・背後斜面。海岸とは限らない
14地点 32.6m 港・渡し・川沿い。由来を自治体資料で確認
26地点 44.7m 河川別洪水・内水・家屋倒壊等氾濫想定
16地点 51.7m 土砂・盛土・谷埋め・避難路

中央値が高い「谷」を安全、低い「島」を危険とは判定できません。町名の範囲は広く、同じ字でも由来は異なり、住宅地点の数も同じではありません。地名は、古地図や自治体史を調べ、洪水・内水・土砂・津波・高潮・地震のどれを先に重ねるかを決める検索語です。

京都の前後に読む地域記事

自分の住所で見る順番

  • 福知山・綾部・舞鶴の由良川沿いは、河川別の洪水浸水深、継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域を確認する
  • 淀・向島・八幡は、桂川・宇治川・木津川の想定と内水を分け、避難経路が川や橋を渡らないかを見る
  • 宇治・城陽は、大河川の洪水だけで終えず、弥陀次郎川など中小河川、内水、土砂災害警戒区域を重ねる
  • 舞鶴・宮津・京丹後・伊根・与謝野は、津波の到達時間、高台までの徒歩時間、高潮の継続時間を別々に見る
  • 断層名を見たら、断層線との距離だけでなく、住所地点の予測震度、液状化、建物年代、火災と道路寸断を確認する

地名は危険度の答えではありません。由良川、淀、向島、弥陀次郎川、炭山、浅茂川、花折という名前から、住所1点で必要な地図へ切り替える。それが京都府の地域記事で伝えたい防災の読み方です。

\地名の次は想定図を見る/

ハザードマップのどこを見るか確かめる ›

浸水深・浸水の続く時間・避難先の順で見る手順(家を買う前のチェック)

この記事の集計条件と出典

標高は国土地理院の標高APIと数値標高モデル(DEM5Aを優先し、欠測部を10mメッシュで補完)による地表の高さです。建物や堤防の高さは含みません。住宅地の集計は国土数値情報「地価公示」2026年の京都府435地点を対象にしました。洪水・土砂の図は国土地理院「重ねるハザードマップ」の配信タイルを使い、2026年9月6日に作成しています。

災害の数値は、国土交通省近畿地方整備局の2004年台風23号の由良川出水資料2013年台風18号の桂川資料、京都府の平成24年災害の記録地域防災計画高潮浸水想定区域地震・津波被害想定によります。区域や想定は更新されるため、売買・建築・避難計画では京都府と市町村の最新版を確認してください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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