鹿児島市で土地を買うとき、市全体の相場である1坪25.1万円で予算を組むと、武では坪76.0万円なので届かず、喜入町では坪6.6万円なので大きく余ります。同じ市内、同じ1坪で11.5倍の開きです。
鹿児島市には2024年10-12月から2025年7-9月までに290件の土地取引があり、成約3件以上の町だけで35町ぶん並びます。ここまで町が並ぶと、「鹿児島市の相場はいくら」という1つの数字は、どの町の予算づくりにも使えません。
国土交通省が公表している実際の成約価格を、町ごとに並べ直しました。候補地がどのあたりに立っているかを先に見てください。
先に結論
- 鹿児島市の土地は1坪25.1万円(中央値・290件)。1区画は220㎡=66.6坪が中央値です
- 町別だと武76.0万円、喜入町6.6万円で11.5倍。市の1つの数字は、どの町の予算にも当てはまりません
- 坪単価が市の中央値の4分の1を下回る町が3つあります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあり、住宅地の相場としては読めません
- 地価公示(住宅地81地点)の中央値は28.8万円。成約はそれより12.6%低い数字ですが、母集団が違うので値下がりの話ではありません
- 建物込みなら中古戸建て99.2万円/坪、新築戸建て112.7万円/坪。どちらも分母は建物の延床坪で、土地の坪単価とは引き算できません
鹿児島市の土地は1坪25.1万円。1区画66.6坪で概算1,672万円
2024年10-12月から2025年7-9月までに鹿児島市で成約した土地の坪単価は、中央値で25.1万円でした。坪単価が極端に外れた14件を除いたうえでの290件です。残った290件の幅は、1坪2.4万円から155.4万円まであります。
1区画の面積の中央値は220㎡、坪にすると66.6坪です。坪単価の中央値をこの広さに当てると、土地代は概算で1,672万円になります。ただし坪単価と面積は別々に取った中央値なので、この金額で売れた1件が実在するわけではありません。予算の当たりをつけるための概算として使ってください。
不動産会社で「鹿児島市の土地はだいたい坪25.1万円ですね」と言われたとします。市全体で見れば外れていない一言です。ただし候補地が武にあるのか喜入町にあるのかで、同じ66.6坪でも土地代は11.5倍ちがいます。予算の話をするときは、市名ではなく町名まで下ろしてから金額を出してください。
町別に並べると武76.0万円と喜入町6.6万円で11.5倍
成約3件以上の町は35あります。全部を1本ずつ並べると読めなくなるので、取引件数の多い13町を抜き出しました。
鹿児島市の土地の成約価格(坪単価の中央値・2024年4Q〜2025年3Q)。成約3件以上の35町から、取引件数の多い13町を抜き出しました。濃い色の2本が、見出しの倍率に使った武と喜入町です
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。グラフに載せたのは35町のうち13町だけなので、候補地の住所で確かめてください。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
見出しに出した11.5倍は、成約が5件以上ある町どうしの比較です。武は8件、喜入町は6件成約しています。
35町の端どうしで取れば差はもっと開きます。いちばん高いのは荒田の82.6万円で、喜入町との差は12.5倍になります。ただし荒田の成約は4件しかありません。3件や4件しかない町の中央値は、1件の外れ値で動きます。だから見出しの倍率は、件数のある町どうしで取っています。
市全体の25.1万円は、35町のどこかにぴったり当てはまる数字ではありません。いちばん取引が多いのは吉野町の20件ですが、坪単価は11.9万円で市の中央値25.1万円を大きく下回ります。2番目に多い紫原は16件で41.3万円。件数が集まっている町ほど市の真ん中に寄る、という関係にはなっていません。
候補地が谷山中央(8件・34.7万円)なのか坂之上(8件・14.0万円)なのかで、66.6坪の土地代は別の桁の話になります。同じ件数の町どうしでもこれだけ離れます。
坪単価が極端に安い3つの町は、住宅地の数字として読めない
坪単価が市の中央値25.1万円の4分の1を下回る町が3つあります。上谷口町6.0万円(3件)、山田町4.9万円(4件)、喜入中名町4.0万円(5件)です。
この3町の数字には、農地・山林・市街化調整区域の取引が混ざっている疑いがあります。市街化調整区域は市街化を抑えるための区域で、家を建てるには原則として自治体の許可が要ります。農地であれば転用の手続きが挟まります。
坪4.0万円は安い住宅地の値段ではなく、住宅地として使えない土地が混ざった数字です。
この記事が「鹿児島市でいちばん安い町」を見出しに置いていないのは、そのためです。売り出し中の土地で、周辺よりはっきり安いものを見つけたときは、値段の前に地目と都市計画上の区分を確かめる順番になります。地目と区分は、市の窓口か仲介会社に聞けばその場で分かります。3町とも成約は3件から5件で、1件の内容が中央値を動かす規模でもあります。
公示の28.8万円と成約の25.1万円。これは値下がりではありません
鹿児島市の地価公示は住宅地81地点で、坪単価の中央値は28.8万円です。実際に成約した土地の中央値25.1万円との差は-12.6%でした。
この差を「値下がりした」と読むのは間違いです。公示は住宅地として選ばれた標準地の評価額、成約は実際に売れた土地の価格で、数えている対象が違います。鹿児島市の290件には、先に見た農地や山林が混ざる町の取引も入っています。母集団の違う2つを引き算しても、時間の変化は出てきません。
公示価格は、候補地の周辺に標準地があるときの目安として使う数字です。予算そのものは、候補の町の成約価格で組むことになります。
中古戸建て99.2万円と新築戸建て112.7万円。分母は建物の延床坪です
建物まで含めて買う場合の数字を並べます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 | 単価の分母 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 25.1万円/坪 | 290件 | 土地の面積 |
| 中古戸建て | 99.2万円/坪 | 121件 | 建物の延床面積 |
| 新築戸建て | 112.7万円/坪 | 70件 | 建物の延床面積 |
同じ「坪単価」でも、土地と戸建てでは割っている面積が違います。土地の25.1万円は成約総額を土地の面積で割った値、戸建ての99.2万円は成約総額を建物の延床面積で割った値です。この2つを引き算しても、建物代は出てきません。並べて比べられるのは、中古戸建てと新築戸建てのあいだだけです。
中古戸建ては下位25%が69.4万円、上位25%が119.0万円。新築戸建ては下位25%が98.1万円、上位25%が126.3万円です。中古の上位25%は、新築の下位25%を上回っています。2つの価格帯は重なっていて、坪単価だけでは新旧が分かれません。
中古を買って直す道を選ぶと、坪単価の低いほうから入って、直す費用の側を自分で決められます。とくに屋根と外壁は足場を組む工事なので、入居してから別々の時期にやると足場代を二度払うことになります。買う前に外まわりの工事費を見ておくと、土地から建てる案と総額で並べられます。1社の見積もりだけでは、その金額が高いのか安いのかも判定できません。
工事費が分かると、中古を買って直す案と土地から建てる案を総額で並べられます
中古マンションは築年帯で数字が変わる
鹿児島市の中古マンションは102件で、中央値は1㎡あたり30.7万円でした。築年帯で分けると景色が変わります。
| 築年帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 0-10年 | 13件 | 51.4万円/㎡ |
| 11-20年 | 20件 | 38.0万円/㎡ |
| 21-30年 | 36件 | 32.6万円/㎡ |
| 31-40年 | 29件 | 17.3万円/㎡ |
この築年は2026年を基準にした区切りです。築21〜30年は1996年から2005年に建った物件、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。1982年より前に建った物件は元のデータから外してあるので、この表には入っていません。
件数がいちばん集まっているのは築21-30年の36件で32.6万円/㎡、次が築31-40年の29件で17.3万円/㎡です。市全体の中央値30.7万円/㎡をはさんで、この2つの帯が並んでいます。
広さで分けると、50〜70㎡が40.8万円/㎡(16件)、70〜90㎡が34.7万円/㎡(59件)、90㎡以上が28.9万円/㎡(12件)、30㎡未満が13.3万円/㎡(12件)でした。件数がいちばん集まっているのは70〜90㎡の帯の59件です。新築マンションは集計期間内の成約が1件だけで64.6万円/㎡。1件では傾向として読めないので、参考値として置いておきます。借りる側の相場は1㎡あたり1,833円です。
私はこう見ています
「鹿児島市の相場は坪いくらですか」という質問は、答えを聞いても予算づくりには使えません。武と喜入町で11.5倍、35町のうち3町は住宅地の数字として読めない、いちばん取引の多い吉野町は市の中央値を大きく下回る。290件を町別に割ると、そういう形が出てきます。
私は、市の中央値は「自分の候補地がその線の上か下か」を確かめるためだけの数字だと考えています。線そのものを予算にすると、武では候補が出てこず、喜入町では土地に払いすぎます。鹿児島市のように35町ぶんのデータが並ぶ市では、平均像を1つ出すこと自体が判断を鈍らせる方向に働くと見ています。
ここは私の読みなので、持ち帰ってほしいのは根拠にした数字のほうです。
予算を決める前にやる3つのこと
1. 町名まで決めてから坪単価を当てる。 市の25.1万円ではなく、候補の町の数字で計算します。グラフに出した13町以外でも、住所を入れれば周辺の実勢から出ます。
2. 候補の町が住宅地かどうかを先に確かめる。 坪が極端に安い町は、農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあります。安さの理由が土地の使い道にあるなら、それは予算の話ではありません。
3. 土地から建てる案と、中古を買って直す案を総額で並べる。 坪単価は種別ごとに分母が違うので、比べるのは総額です。中古なら購入価格に工事費を足してから並べてください。
鹿児島市の学区を町名から調べる
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市全体をならした数字は鹿児島市の不動産相場にまとめています。候補を2つか3つの町に絞ったら、鹿児島市の学区一覧で町名から通学先も確かめておくと、あとで町を選び直さずに済みます。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第3四半期。土地290件、中古戸建て121件、新築戸建て70件、中古マンション102件、新築マンション1件
- 土地290件は、坪単価が極端に外れた14件を除いた集計です。除いたあとの幅は1坪2.4万円から155.4万円
- 1区画の面積の中央値220㎡(66.6坪)と坪単価の中央値25.1万円は、別々に取った値です。掛け合わせた1,672万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 町別の集計は成約3件以上の町のみで35町。件数の少ない町の中央値は1件の取引に動かされるので、見出しの11.5倍は成約5件以上の武(8件)と喜入町(6件)で取っています
- 上谷口町・山田町・喜入中名町の3町は、市の中央値の4分の1を下回ります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあるため、住宅地の相場としては扱っていません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。土地の坪単価(土地面積あたり)とは分母が違うため、引き算はできません
- 中古マンションの単価は、成約総額を専有面積(㎡)で割った値です。築年帯はデータ生成時点の2026年基準で、1982年より前の物件は元データから除外されています
- 地価公示:国土交通省の地価公示。鹿児島市内の住宅地81地点の中央値。成約価格とは母集団が違うため、両者の差は値上がり・値下がりを示すものではありません
- 賃貸:鹿児島市の募集賃料106,800件から算出した1㎡あたりの中央値


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