国の「道路冠水注意箇所」に載っている中央区の6か所は、すべて車が地下にもぐる道です。国道4号の本町アンダーと、昭和通りの下を通る5つの地下自動車道。どれも車で通る地下の道です。
区が自分で付けている「浸水実績図」を開くと、赤い丸は別の場所に散らばっています。日本橋、銀座の外堀通り側、湊、そして晴海。平成22年以降の13か所のうち11か所が、晴海でした。
中央区は、東京都の記録で建物の浸水がいちばん少ない区でもあります。それでも水が出る場所はある。どこに出るのかを、3つの資料で重ねました。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」に中央区は6か所。本町アンダーと昭和通りの地下自動車道5つです
- ✓ 区の浸水実績図には平成12年からの9回の雨で55の赤丸。晴海四・五丁目の境の交差点は5回、湊一丁目は4回です
- ✓ 都の記録で50年間に浸水した建物は15棟で23区最少。中央区の水は地下室と道路に出ます
箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都の一覧と説明表、赤丸の数は中央区「浸水実績図」(令和8年8月更新)を拡大して目で数えたもの、建物の浸水は東京都「浸水実績箇所の住所検索」の元データ(1974〜2024年)を数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
国の一覧に、中央区は6か所あります
国土交通省の関東地方整備局は、大雨のときに水がたまるおそれがある道を「道路冠水注意箇所」として挙げています。東京都の一覧は153か所で、中央区は6か所です。
A は国道4号の本町アンダー(日本橋本町4丁目)で、国の東京国道事務所が管理しています。B〜F は都道316号、つまり昭和通りの地下を通る江戸橋・八重洲・宝町・東銀座・新橋の地下自動車道です。日本橋1丁目から新橋2丁目まで、5つが1本の道に並んでいます。標高は3.3〜4.6メートルでした(江戸橋だけは道路上の地点の値)。

地図の番号と同じ順です
B 江戸橋地下自動車道
都道 316号
東京都中央区日本橋1丁目 / 標高3.8メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 中央警察署 / 消防: 日本橋消防署
※ 町丁目の代表点が地下の掘り込みの標高(マイナス4.9メートル)を拾ったため、道路上の地点の標高を載せています
C 八重洲地下自動車道
都道 316号
東京都中央区日本橋2丁目 / 標高3.3メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 中央警察署 / 消防: 日本橋消防署
D 宝町地下自動車道
都道 316号
東京都中央区京橋2丁目 / 標高4.3メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 中央警察署 / 消防: 京橋消防署
E 東銀座地下自動車道
都道 316号
東京都中央区銀座4丁目 / 標高4メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 築地警察署 / 消防: 京橋消防署
F 新橋地下自動車道
都道 316号
東京都中央区銀座7丁目 / 標高4.2メートル
管理: 東京都建設局道路管理部保全課 / 警察: 築地警察署 / 消防: 京橋消防署
Googleマップのリンクは、説明表の住所と構造物の名前から道路地図(OpenStreetMap)で位置を合わせた緯度経度で開きます。合わせられなかった箇所は町丁目の代表点なので、数百メートルずれることがあります。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
説明表の備考には、「アンダーパス等における道路冠水は、多方面に広がり上記以外の多数の管轄署に被害が及ぶ可能性があります」とあります。地下自動車道の冠水は、その場所だけの話では終わらない、ということです。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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区の浸水実績図には、数えると55の赤丸があります
中央区は「浸水実績図」を公開しています。平成12年7月から現在までに、台風や集中豪雨で起きた「地下室等への浸水や道路冠水」を、区が確認した場所と区民から連絡を受けた場所で示したものです。区は「区内で発生したすべての浸水箇所を示すものではありません」と断っています。
図に載っている雨は9回。赤丸を拡大して数えると55ありました。いちばん多いのは平成12年7月4日の23か所で、このときは1時間に82.5ミリの雨が降っています。区の別のページには「約30件の地下室浸水などの被害」とあります。

目を引くのは弱い雨の記録です。平成17年5月23日は1時間34.5ミリで8か所、最後の記録の令和3年7月11日は1時間17.0ミリ、総雨量17.5ミリで3か所でした。地下室の浸水には、道路からあふれた水だけでなく「宅地内施設の不具合も含みます」と区は書いています。
何度も記録されるのは、晴海と湊です
55の赤丸を場所ごとにまとめると、同じ場所が何回もの雨で記録されているのは2か所でした。晴海四・五丁目の境の交差点が5回の雨、湊一丁目の南高橋の西詰が4回の雨です。
地域で分けると、日本橋が15、銀座・京橋・築地が12、新富・湊・明石町・築地七丁目が10、月島・勝どきが4、晴海が14。平成22年以降に限ると13か所のうち11か所が晴海で、残る2つは令和3年の銀座八丁目の東端です。
| No. | 場所 | 区の図の記録 | 地図 |
|---|---|---|---|
| 1 | 晴海四・五丁目の境の交差点 | 5回の雨(平成12・16・22・23年×2) | 地図で開く |
| 2 | 晴海五丁目の西側 | 5か所(平成23年×4・平成25年) | 地図で開く |
| 3 | 湊一丁目(南高橋の西詰) | 4回の雨(平成12・16年×2・17年) | 地図で開く |
| 4 | 湊二・三丁目の境 | 2回の雨(平成16・17年) | 地図で開く |
| 5 | 日本橋茅場町二・三丁目の境 | 平成12年7月4日に5か所 | 地図で開く |
| 6 | 日本橋蛎殻町一丁目 | 平成12年7月4日に2か所 | 地図で開く |
| 7 | 銀座八丁目の東端 | 3か所(平成12年・令和3年×2) | 地図で開く |
| 8 | 築地一丁目 | 平成12年7月4日に2か所 | 地図で開く |
| 9 | 築地七丁目 | 平成17年5月23日に2か所 | 地図で開く |
場所は区の図の赤丸を目で読み取ったおおよその位置です。区は住所を書いていないため、町丁目の代表点で地図を開きます。
読者
晴海は新しい街なのに、どうして何度も記録があるんですか?
区の図は場所と日付を示すだけで、理由までは書いていません。分かるのは、平成12年から平成23年まで、同じ交差点で5回の雨の記録が付いていることです。
建物の浸水は、50年で15棟だけです
東京都の「浸水実績箇所の住所検索」は、建物が床下・床上まで浸かった記録を町丁目ごとに公開しています。1974年から2024年までの元データで中央区の行は2行だけ。どちらも平成12年7月4日の内水で、合わせて15棟(床下7・床上8)でした。23区でいちばん少なく、隣の港区は1,261棟です。
中央区で水が出るのは、家の床の上より、地下室と道路です。都の記録は建物が床下・床上まで浸かった棟数なので、道路の冠水や地下室の浸水は数に入りません。「中央区は浸水しない」と読むのは間違いです。
区は地勢の説明で、区の「大部分は江戸時代以降に埋め立てられたもので、起伏が非常に少ない」と書いています。私は、地面の高い低いより、建物の地下にどれだけ水の入口があるかが効いてくる街だと見ています。
内水のハザードマップは「なし」
不動産の重要事項説明では、水防法にもとづくハザードマップで物件の位置を示すことになっています。中央区の宅地建物取引業者向けのページ(2026年9月3日掲載)は、洪水は「あり(2種類)」、雨水出水(内水)と高潮は「なし」としています。
洪水のハザードマップのうち隅田川・神田川・日本橋川版は、区によると「水防法上の雨水出水(内水)ハザードマップには該当しませんが、内水氾濫のリスクを反映しています」。そのうえで、東京都が令和8年3月に公表した雨水出水浸水想定区域図を案内しています。中央区は神田川流域・江東内部河川流域・隅田川及び新河岸川流域の3つにかかり、想定している雨は1時間最大153ミリ、24時間690ミリです。
中央区でマンションを借りる・買うなら、都の内水の図で建物の位置を確かめ、地下の駐車場や機械室の入口がどう守られているかを管理会社に聞いてください。区には、築20年以上の分譲マンションの共用部分の改修で「電気設備への浸水対策工事」を助成する制度もあります。
自分の家の前が危ないかを調べる3つ
- 区の「浸水実績図」で、家の近くに赤丸があるかと、何番の雨の記録かを見る
- 東京都の雨水出水浸水想定区域図で、内水の浸水の深さを見る
- 雨の日に、建物の地下への入口(駐車場のスロープ、階段、換気口)が道路より低くないかを見る
中央区の赤丸は、地下室の浸水と道路の冠水をまとめて示したものです。3つ目は、住んでいる建物のことを知る作業です。区は土のうを配っていて、「ご希望の方はご連絡下さい」としています。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
よくある質問
国の一覧にある地下自動車道は、歩行者に関係ありますか
車で通る地下の道です。説明表には、冠水が「多方面に広がり」ほかの管轄署に被害が及ぶ可能性がある、と書かれています。
晴海のマンションは避けたほうがいいですか
そこまでは言えません。区の図の記録は道路冠水と地下室の浸水で、都の記録で建物の床上浸水が出た町ではありません。確かめるべきは、その建物の地下の入口と、内水の図での浸水の深さです。
高潮のハザードマップはありますか
区のハザードマップはありません。区は東京都の高潮浸水想定区域(令和6年12月改定)を案内しています。
ほかの区はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 港区 冠水 どこが危ないの?
- 江東区 冠水 どこが危ないの?
- 墨田区 冠水 どこが危ないの?
- 品川区 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都(一覧と1か所ごとの説明表。2026年9月23日取得)
- 中央区「中央区ハザードマップ・浸水実績図(宅地建物取引業者の方へ)」(2026年9月3日掲載・浸水実績図PDF)
- 中央区「水害に備えていますか?」
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」(元データ・1974〜2024年)
- 東京都下水道局「雨水出水浸水想定区域図」神田川流域・江東内部河川流域・隅田川及び新河岸川流域(令和8年3月25日指定)
- 中央区「位置と地勢」/「分譲マンション共用部分改修費用助成」
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず区と東京都の最新の発表を確認してください。
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