港区は、区の紹介で自分の地形を「東京23区の中で最も起伏に富んだ地形」と書いています。いちばん高いのは北青山三丁目の海抜34メートル。いちばん低いところは、区がはっきり場所を挙げています。
「JR浜松町駅前ガード付近で海抜0.08メートル」。この場所は、国の「道路冠水注意箇所」の「浜松町ガード下」(海岸一丁目3番先)と同じ場所とみられます。区でいちばん低い場所に、国も冠水の注意を付けていることになります。
台地と谷が入り組んだ港区で、水はどこに集まるのか。国の一覧、区の水害実績図、東京都の記録を順に見ていきます。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」に港区は5か所。4か所が区道で、3か所はJRの架道橋・ガードの下です
- ✓ 区の水害実績図は令和元年10月から令和5年度まで報告ゼロ。令和6年に3回あり、8月21日は1時間110.5ミリでした
- ✓ 都の記録で港区の建物の浸水は50年で1,261棟、そのうち45%が1999年8月29日の1日です
箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都の一覧と説明表、区の記録は港区「水害実績図」(平成11年〜令和6年の26回分の記録)、建物の浸水は東京都「浸水実績箇所の住所検索」の元データ(1974〜2024年・港区76行)を自分で数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
国の一覧に、港区は5か所あります
国土交通省の関東地方整備局は、大雨のときに水がたまるおそれがある道を「道路冠水注意箇所」として挙げています。東京都の一覧は153か所で、港区は5か所です。
A は芝一丁目のJR川口架道橋下、B は高輪二丁目のJR高輪架道橋下、D は海岸一丁目3番先の浜松町ガード下、E は東新橋一丁目の区街4号線こ道橋。4か所が区道で、管理は港区です。A・B・D の3か所はJRの架道橋・ガードの下です。C の築地虎ノ門トンネル(新橋4丁目)だけが都道です。住所の代表点の標高は2.1〜8.5メートルでした。

地図の番号と同じ順です
Googleマップのリンクは、説明表の住所と構造物の名前から道路地図(OpenStreetMap)で位置を合わせた緯度経度で開きます。合わせられなかった箇所は町丁目の代表点なので、数百メートルずれることがあります。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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区の水害実績図は、令和6年に3回
港区は「水害実績図」を公開しています。主に区民からの電話で寄せられた情報をもとに、平成11年度以降の浸水を、床上浸水・床下浸水・地下浸水・道路冠水の4色の丸で地図に描いたものです。区は「区内浸水被害の全てではありません」としています。
平成11年から令和6年までの26回を表にすると、道路冠水は合わせて118件。平成24年以降の13回で床上・床下の浸水があったのは2回だけで、記録の中心は道路冠水です。
そして区は「令和元年10月14日~令和5年度は、港区内で浸水被害があった報告を受けていません」と書いています。4年あまりゼロが続いたあと、令和6年に3回の記録が付きました。7月6日、7月20〜21日、そして8月21日です。
8月21日は、区の雨量計で1時間110.5ミリ、期間内の雨量127.5ミリ。床上浸水1世帯、床下浸水1世帯、地下浸水3棟、道路冠水6件でした。
読者
国の一覧の場所は、区の図にも出てくるんですか?
区の図を読むと、高輪二丁目と東新橋のJRの線路の下あたりに、令和6年だけで2回ずつ道路冠水の丸が付いています。国の B と E と同じ場所とみられます。
区の水害実績図は住所を書いていないため、丸の位置は図から読み取ったおおよその場所です。区の図は「世帯」と「棟」で、都の記録(棟)とは集計の仕方が違います。
家が浸かるのは、古川沿いです
東京都の「浸水実績箇所の住所検索」で港区を取り出すと、1974年から2024年までに76行、30回の雨で合わせて1,261棟(うち床上407棟)。23区では中央区の15棟に次いで少ない区です。76行のほとんどが、古川の流域でした。

いちばん大きいのは1999年8月29日の568棟です。港区の水害実績図では、この日の1時間の雨は115ミリ、床上浸水191世帯、床下浸水741世帯。都の記録では、三田一丁目・南麻布一〜二丁目・白金で古川が「溢水」し、180棟が浸かっています。区は古川地下調節池の説明で、この豪雨を「多大なる被害」と書いています。
町ごとに記録に出てくる日を数えると、高輪14、西麻布12、赤坂12、白金台11、白金11と続きます。小さな町なのに7回出てくるのが麻布狸穴町(あざぶまみあなちょう)で、2024年8月21日の記録にも入っています。
| No. | 町 | 記録に出てくる日 | 地図 |
|---|---|---|---|
| 1 | 高輪 | 14日 | 地図で開く |
| 2 | 西麻布 | 12日 | 地図で開く |
| 3 | 赤坂 | 12日 | 地図で開く |
| 4 | 白金台 | 11日 | 地図で開く |
| 5 | 白金 | 11日 | 地図で開く |
| 6 | 南麻布 | 8日 | 地図で開く |
| 7 | 三田 | 8日 | 地図で開く |
| 8 | 芝公園 | 8日 | 地図で開く |
| 9 | 麻布狸穴町 | 7日 | 地図で開く |
| 10 | 新橋 | 7日 | 地図で開く |
| 11 | 虎ノ門 | 7日 | 地図で開く |
日の数は、丁目をまとめた町ごとに、都の記録に名前が出てくる日付を数えたものです。町の代表点は町全体の1点なので、浸水した場所そのものではありません。
国の一覧はJR沿いの東側、家の浸水は古川沿い。港区では、車で気をつける場所と、住まい選びで見る場所が分かれています。
内水のハザードマップは、洪水と合わせた1枚です
不動産の重要事項説明では、水防法にもとづくハザードマップで物件の位置を示すことになっています。港区の浸水ハザードマップ(洪水・雨水出水)は、区の表で洪水(外水)も雨水出水(内水)も「含む」。令和8年7月1日に更新されました。
区によると、東京都下水道局が令和8年3月に雨水出水浸水想定区域を指定したため、水防法にもとづいて洪水と雨水出水を合わせたマップに更新したとのことです。浸水の区域や深さは、前の版から変わっていません。対象は城南地区河川流域、隅田川及び新河岸川流域、江東内部河川流域の3つで、想定している雨は1時間最大153ミリ、24時間690ミリです。
高潮のハザードマップも区が作っていて、洪水・内水・高潮の3つがそろっています。隣の中央区は内水と高潮の区のマップが「なし」なので、同じ湾岸でも扱いが違います。メッシュは10メートル四方で、区は「雨水ますの詰まり等により起きる浸水は、シミュレーションでは反映していません」と注意しています。
止水板は、費用の5分の4・上限150万円
港区の止水板設置工事等の助成は、上限150万円で、工事費の5分の4までです。令和8年4月1日から令和11年3月31日までの3年間の制度で、区内の建物を持っている人・借りている人、マンションの管理組合が対象です。工事を伴わない簡易型止水板の購入も含まれます。
もっと手軽なのが止水パネルのあっせんです。あっせん価格66,000円のうち区が36,000円を助成し、自己負担は30,000円。止水板の助成は、交付の承認前に着工すると対象外になります。
自分の家の前が危ないかを調べる3つ
- 港区の水害実績図(平成22年度〜令和元年度のまとめと令和6年の3回)で、家の近くに丸があるかを見る
- 港区浸水ハザードマップ(洪水・雨水出水)で、10メートル四方の浸水の深さを見る
- 雨の日に、家の前の道が坂の下か、JRの線路の下をくぐる道が近くにないかを見る
港区は坂の多い街です。台地の上か、谷の底か、坂の途中か。3つ目は、地図の色よりも先に分かります。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
よくある質問
高台の港区なら浸水しにくいのでは
高台だけでできているわけではありません。区は、北西の高台地と、南東の低地・埋立地、その間を流れる古川の平地からなると書いています。都の記録の浸水は古川沿いに集まっています。
令和5年度まで報告ゼロなら、もう大丈夫ですか
いいえ。令和6年には3回の記録があり、8月21日は1時間110.5ミリの雨で床上・床下・地下の浸水が出ています。
浜松町のガード下は通らないほうがいいですか
大雨の日は避けてください。区が最低地として挙げる場所とみられ、国の一覧にも入っています。線路の下をくぐる道は、水が集まりやすい形をしています。
ほかの区はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 中央区 冠水 どこが危ないの?
- 品川区 冠水 どこが危ないの?
- 渋谷区 冠水 どこが危ないの?
- 目黒区 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都(一覧と1か所ごとの説明表。2026年9月23日取得)
- 港区「水害実績図」(平成11年度以降・2025年6月24日更新)
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」(元データ・1974〜2024年)
- 港区「浸水ハザードマップ(洪水・雨水出水)」(令和8年7月1日更新)
- 港区「港区の地勢」/「港区の人口・位置・大きさを知ろう」
- 港区「古川地下調節池について」
- 港区「止水板設置工事等の助成」/「豪雨に備えて」
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず区と東京都の最新の発表を確認してください。
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