増えた背景
東京商工リサーチは、物価高と人件費の上昇が長引くなかで、中小企業の「賃上げ疲れ」が表に出てきたと分析しています。数字で見える背景は3つです。
- 最低賃金が全国平均で1,177円になり、前年度から56円(5.0%)上がった。10月から県ごとに順次上がる
- 倒産した会社の66.2%(159件)が資本金1,000万円未満の小さな会社
- 倒産の95.4%(229件)が破産で、立て直しを目指す民事再生と会社更生は各1件だけ

大企業が賃上げを続けると、同じ地域の小さな会社も、人を引き留めるために給料を上げざるを得なくなります。売上が同じだけ伸びなければ、その差がそのまま資金繰りを削ります。
業種と地域の内訳
業種では、飲食業が41件(前年同期比57.7%増)、建設業が55件、運輸業が27件、医療・福祉が20件でした。小売業は19件で、前年同期の6件から3倍を超えています。どれも、働く人の数が売上に直結する業種です。
都道府県別では東京が42件で最も多く、福岡22件、宮城と茨城が11件で続きます。件数の多い県と、その県の新しい最低賃金・上がる日を並べました。
| 都道府県 | 人手不足倒産(4〜9月) | 新しい最低賃金 | 上がる日 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 42件 | 1,280円(54円増) | 10月1日 |
| 福岡 | 22件 | 1,114円(57円増) | 10月4日 |
| 宮城 | 11件 | 1,098円(60円増) | 10月1日 |
| 茨城 | 11件 | 1,136円(62円増) | 10月18日 |
| 神奈川 | 10件 | 1,279円(54円増) | 10月1日 |
| 群馬 | 9件 | 1,120円(57円増) | 10月3日 |
| 大阪 | 9件 | 1,231円(54円増) | 10月1日 |
| 埼玉 | 8件 | 1,196円(55円増) | 10月1日 |
地区別では関東が93件(50.0%増)と大きく増えた一方、中部は13件(45.8%減)、北海道は13件(23.5%減)と減りました。全国では24都府県で増え、16道府県で減っています。
このあとの見通し
集計は9月までの数字で、10月から上がった最低賃金の影響はまだ入っていません。東京商工リサーチは、最低賃金の引き上げと物価高が重なり、人手不足倒産の増加が続くと見ています。上がる日が11月・12月の県もあるため、年明けの集計で影響がはっきり見えてくるはずです。
生活・仕事にどう効くか
- 勤め先が小さな会社なら:倒産の95.4%は立て直しを目指さない破産で、会社が消える形で終わっている。給料が遅れ始めたら、未払いのまま破産する前に記録を残しておくと、国の立替払制度(未払いの8割まで)を使うときに役立つ。退職から6か月を過ぎると対象外になる。
- 最低賃金の上がる日:10月1日に上がったのは15都道府県だけで、茨城は10月18日、京都は11月16日、岩手・熊本は12月1日と県で違う。自分の県の発効日は厚生労働省の一覧で確かめられる。
結局どうすればよいか
- 給料の支払いが遅れたら、給与明細・タイムカード・振込記録を手元に保存しておく
- 自分の県の最低賃金と発効日を、厚生労働省の一覧で確かめる
- 時給で働いている人は、発効日以降の給与明細で時給が上がっているかを見る
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 東京商工リサーチ「年度上半期の『人手不足』倒産 過去最多の240件 深刻な“賃上げ疲れ”、『賃上げ倒産』が1.7倍に増加」(2026年10月5日発表)
- 東京商工リサーチ 同調査の集計表(日経リリース添付PDF)(2026年10月5日発表)
- 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」
更新履歴
- 2026年10月7日 東京商工リサーチの発表と集計表、厚生労働省の最低賃金一覧を確認し初版を公開
※本記事は2026年10月7日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。









コメント