🗨️「台風が来るたびに思うけど、うちの家は風速何メートルまで持つの?」
建築基準法にその数字はありません。あるのは市町村ごとの「基準風速」で、30〜46メートル毎秒。沖縄と群馬では、設計で見込む風の力が2.35倍ちがいます。
[災害] この記事の要点
気象庁は2026年8月24日12時45分、台風第18号(ソウデル)が中心気圧940ヘクトパスカル・最大瞬間風速65メートル毎秒の「非常に強い」勢力で日本の南を西北西に進み、26日ごろ沖縄本島へ最接近する見込みだと発表した。住宅が見込む風の強さは、建築基準法施行令第87条と平成12年建設省告示第1454号によって市町村ごとに30〜46メートル毎秒で定められている。
2026年8月24日 発表
- 沖縄・奄美で台風18号の接近を控えている人
- 台風や強風の多い地域で家を建てる・買う人
- 「コンクリートや新しい家なら台風でも大丈夫」と考えている人
- 隣の家が解体されて更地になった人
この記事でわかること
- 建築基準法が決めているのは「耐えられる風速」ではなく、市町村ごとの基準風速だということ
- 自分の街の基準風速が30〜46のどこにあり、他の街と何倍ちがうのか
- 気象庁の目安で、屋根がはがれる風と家が倒れる風の境目がどこにあるか
先に結論
- 建築基準法に「家は風速何メートルまで耐える」という数字はありません。決まっているのは市町村ごとの「基準風速」で、30〜46メートル毎秒の範囲です
- 沖縄県は全域が46。群馬・栃木・宮城・福島・富山・石川・長野は全域が30です
- 設計で見込む風の力は基準風速の2乗に比例するので、沖縄と群馬では2.35倍ちがいます
- 気象庁の目安では、住家に倒壊するものが出はじめるのは平均風速40メートル毎秒からです
- 台風18号は24日12時の実況で中心気圧940ヘクトパスカル、最大風速45メートル毎秒、最大瞬間風速65メートル毎秒です
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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台風18号は最大瞬間風速65メートルで沖縄へ向かっています
気象庁が2026年8月24日12時45分に発表した情報では、台風第18号(ソウデル)は24日12時に日本の南にあり、中心気圧940ヘクトパスカル、中心付近の最大風速45メートル毎秒、最大瞬間風速65メートル毎秒。強さは「非常に強い」で、西北西へ時速30キロで進んでいます。暴風域は中心から165キロ、強風域は北側390キロ・南側330キロです。
| 日時 | 位置 | 中心気圧 | 最大風速 |
|---|---|---|---|
| 24日12時(実況) | 日本の南 | 940hPa | 45m/s |
| 25日0時 | 南大東島の東南東 約190km | 940hPa | 45m/s |
| 25日12時 | 南大東島の西北西 約60km | 950hPa | 45m/s |
| 26日9時 | 久米島の北北東 約130km | 965hPa | 40m/s |
| 27日9時 | 東シナ海 | 970hPa | 35m/s |
沖縄本島にいちばん近づくのは26日です。ここで気になるのが、65メートルという瞬間風速が家にとって何を意味するのかという点です。「非常に強い台風」と聞いても、自分の家がどこまで持つのかは分かりません。
気象庁の目安では、住家が倒れはじめるのは平均風速40メートルから
気象庁は「風の強さと吹き方」という表で、風速ごとに何が起きるかを示しています。建造物の欄だけを抜き出します。
| 平均風速 | 建造物に起きること |
|---|---|
| 15〜20m/s | 屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがある。雨戸やシャッターが揺れる |
| 20〜25m/s | 屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある。固定されていないプレハブ小屋が移動、転倒する |
| 30〜35m/s | 固定の不十分な金属屋根の葺材がめくれる。養生の不十分な仮設足場が崩落する |
| 35〜40m/s | 外装材が広範囲にわたって飛散し、下地材が露出するものがある |
| 40m/s以上 | 住家で倒壊するものがある。鉄骨構造物で変形するものがある。ブロック壁で倒壊するものがある |
ここで数字の読み方を間違えないでください。この表の平均風速は10分間の平均で、瞬間風速は3秒間の平均です。同じ表の注記には「瞬間風速は平均風速の1.5倍程度になることが多いですが、大気の状態が不安定な場合等は3倍以上になることがあります」と書かれています。
台風18号の最大瞬間風速65メートル毎秒は、最大風速45メートル毎秒のおよそ1.4倍です。表で「住家で倒壊するものがある」とされる40メートル毎秒は、平均のほうの数字になります。
法律に「何メートルまで耐える」という数字はありません
「建築基準法に、家は風速何メートルまで耐えると書いてある」と思っている人がいますが、そういう条文はありません。建築基準法施行令の第87条が定めているのは、風圧力の計算方法です。
第1項は「風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない」。第2項の速度圧は次の式です。
q = 0.6 × E × V02
qが速度圧(1平方メートルあたりのニュートン)、Eは建物の屋根の高さや周辺の建物・樹木の状況に応じて算出する数値、そしてV0が基準風速です。条文はV0をこう定義しています。
「その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて三十メートル毎秒から四十六メートル毎秒までの範囲内において国土交通大臣が定める風速」
つまり法律が決めているのはその土地で見込む風の強さであって、家が壊れない上限ではありません。同じV0の土地に建つ家でも、屋根の高さや周りの状況が違えば、設計で見込む風圧力は変わります。
決まっているのは、市町村ごとの「基準風速」です
V0の具体的な値は、平成12年5月31日の建設省告示第1454号で市町村ごとに指定されています。指定のない地域はすべて30メートル毎秒です。
愛媛県は公式サイトで「愛媛県内の基準風速V0は34m/sです」と案内し、群馬県は「群馬県の基準風速はV0=30メートル毎秒」と示しています。自分の県の建築行政のページを見れば、たいてい書いてあります。
沖縄は46、群馬は30。見込む風の力は2.35倍ちがいます
速度圧の式では、V0が2乗で効きます。同じ形・同じ高さ・同じ周辺状況の家ならEも風力係数も共通なので、V0の比の2乗が、そのまま設計で見込む風の力の比になります。30を1.00として計算しました。
| 基準風速 | 風の力の比 | 指定されている主な市町村(告示制定時の名称) |
|---|---|---|
| 30 | 1.00 | 宮城県・栃木県・群馬県・福島県・富山県・石川県・長野県の全域 |
| 32 | 1.14 | 静岡市・浜松市・藤枝市、京都府全域、姫路市、八王子市 |
| 34 | 1.28 | 東京23区、名古屋市、大阪市、神戸市、福岡市、青森県全域、愛媛県全域 |
| 36 | 1.44 | 横須賀市・逗子市・三浦市、伊東市・下田市、宮崎市・都城市 |
| 38 | 1.60 | 銚子市・館山市・大網白里町、高知市、鹿児島市、大島町(伊豆大島) |
| 40 | 1.78 | 室戸市、枕崎市・指宿市 |
| 42 | 1.96 | 八丈町・青ヶ島村・小笠原村、中種子町・南種子町 |
| 44 | 2.15 | 屋久町・上屋久町、三島村 |
| 46 | 2.35 | 沖縄県全域、名瀬市・大島郡・十島村 |
最大の46が指定されているのは、沖縄県の全域と、鹿児島県の名瀬市・鹿児島郡十島村・大島郡だけです。東京23区の34と比べると、風の力の比は1.83倍になります。沖縄の住宅の96.5パーセントが非木造だという統計は、この数字と無関係ではないはずです。
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同じ県のなかでも割れています
「日本の家はどこも同じ基準で建っている」とは限りません。県の中で区分が分かれている例を挙げます。
- 兵庫県 — 神戸市・尼崎市・明石市・西宮市・宝塚市などが34、姫路市・豊岡市・赤穂市・篠山市などが32
- 静岡県 — 静岡市・浜松市・焼津市・藤枝市が32、沼津市・富士市・熱海市・三島市が34、伊東市・下田市が36
- 千葉県 — 市川市・船橋市・松戸市・柏市が34、千葉市・成田市・佐倉市が36、銚子市・館山市・大網白里町が38
- 東京都 — 23区が34、八王子市・立川市などが32、大島町が38、八丈町・青ヶ島村・小笠原村が42
神戸市と姫路市は同じ兵庫県で、車なら1時間ほどの距離です。それでも34と32に分かれています。海からの距離と、その土地を通った台風の記録が違うからです。
自分の街の数字を調べるときの3つの注意
告示の一覧を見るときに、そのままでは読めない点が3つあります。
1. 市町村名が古い。告示は平成12年のもので、一覧に並んでいるのは平成の大合併より前の市町村名です。今の市名で探しても載っていないことがあります。合併後にどの区分を使うかは自治体によって案内が違うので、市役所・県庁の建築指導課に聞くのが確実です。
2. 基準風速は「耐えられる風速」ではない。V0は速度圧を計算するための入力値です。46の土地だから風速46メートル毎秒まで大丈夫、という読み方はできません。
3. 周りの建物も条件に入っている。施行令第87条の第3項には、風をさえぎる建物や防風林が近接している場合、その方向の速度圧を2分の1まで減らせると書かれています。
この3つ目について、私の見方を書きます。隣の家が解体されて更地になったとき、「風当たりが強くなった」と感じるのは体感の問題だけではないと考えます。設計のときに前に建物があることを見込んでいたなら、その前提そのものが変わったことになるからです。空き家の解体や隣地の建て替えが続いている地域では、一度確認しておく価値があると私は思います。
生活・仕事にどう効くか
- 家を建てる・買うとき:基準風速が34の街と38の街では、設計で見込む風の力が1.25倍ちがう。同じ間取り・同じ見た目でも、屋根や外装の留め方の前提が違う。
- 台風が近づいたとき:気象庁の目安では平均風速20〜25メートル毎秒で屋根瓦が飛びはじめる。台風18号の最大風速45メートル毎秒は、住家に倒壊するものが出るとされる40メートル毎秒を超えている。
- 隣が更地になったとき:施行令第87条第3項は、風をさえぎる建物がある場合に速度圧を2分の1まで減らせると定めている。隣の建物が無くなると、その前提が変わる。
結局どうすればよいか
- 自分の市町村の基準風速を、県庁または市役所の建築指導課のページで確認する(多くの県が公開している)
- 告示の一覧に今の市名が無いときは、合併前の旧市町村名で探すか、建築指導課に問い合わせる
- 台風が近づいたら、飛ばされやすい屋外のもの(物置・自転車・プランター)を先に片づける。屋根や雨戸の点検は風が吹く前に済ませる
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公式出典
- 建築基準法施行令 第87条(風圧力)/e-Gov法令検索(1950年11月16日発表)
- 気象庁「風の強さと吹き方」(2026年8月24日発表)
- 気象庁 台風第18号(ソウデル)の実況と予報(2026年8月24日12時45分発表)(2026年8月24日発表)
- 愛媛県「風圧力(地表面粗度区分・基準風速)」(2026年8月24日発表)
- 群馬県「風荷重(地表面粗度区分・基準風速)について」(2026年8月24日発表)
更新履歴
- 2026年8月24日 初版を公開
※本記事は2026年8月24日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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