江戸川区は、区のページに自分でこう書いています。「区面積の7割が満潮位以下のゼロメートル地帯」。大雨の日にどこが危ないかと聞かれれば、区のほとんどがそうだと答えたくなります。
ところが、国の「道路冠水注意箇所」に載っている江戸川区の道は1か所だけです。かわりに東京都の浸水の記録で何度も名前が出てくるのは、区役所のある中央一丁目と、その周りの町でした。区役所の町の代表点の標高は、マイナス1.8メートルです。
国の一覧、区の冠水マップ、都の浸水記録。3つを重ねると、江戸川区の水がどこにたまるかが見えてきます。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」に江戸川区は1か所。小松川一丁目の小松川アンダーパスです
- ✓ 1995年以降に建物の浸水が5回記録された町は、松本一丁目・中央二丁目・西一之江三丁目。区役所の中央一丁目も4回です
- ✓ 内水のハザードマップは令和8年3月の都の指定図に差し替わり、区は「水防法に基づいています」と答えています
箇所の数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都の一覧と説明表、浸水の回数と棟数は東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」の元データ(1974〜2024年・江戸川区383行)を自分で数えました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
国の一覧に、江戸川区は1か所だけです
国土交通省の関東地方整備局は、大雨のときに水がたまるおそれがある道を「道路冠水注意箇所」として挙げています。東京都の一覧は153か所。江戸川区はそのうち1か所しかありません。
小松川一丁目の小松川アンダーパスです。区道「補122」で、管理は江戸川区土木部保全課。住所の代表点の標高は4.6メートルでした。

地図の番号と同じ順です
A 小松川アンダーパス
区道 補122
東京都江戸川区小松川1丁目 / 標高4.6メートル
管理: 江戸川区土木部保全課 / 警察: 小松川警察署 / 消防: 江戸川消防署
Googleマップのリンクは、説明表の住所と構造物の名前から道路地図(OpenStreetMap)で位置を合わせた緯度経度で開きます。合わせられなかった箇所は町丁目の代表点なので、数百メートルずれることがあります。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
区は冠水対策について、「地形上、雨水が集まりやすい場所には雨水貯留管を入れるなどして冠水の解消を図っています」と書いています。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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区の冠水マップには、11回の雨が描かれています
江戸川区は「道路冠水履歴マップ」を公開しています。区職員の目視と区民からの情報をもとに、平成7年以降に雨で冠水した道路を地図に線で描いたものです。区は「表示線形は概ねの位置」としていて、道路以外の情報は載っていません。
マップに載っている雨は、平成12年7月4日の雷雨から令和元年9月9日の台風15号までの11回です。区は「下水道の排水能力は毎時50ミリメートル」で、短い時間に強く降ると一時的に冠水することがある、と説明しています。
区の道路冠水履歴マップは、規約で「いかなる形式においても情報の全部または一部を許可無く複製し利用することは出来ません」とされています。この記事では線や位置を写さず、区のページで見る方法を案内しています。
読者
自分の家の前の道が載っているか、どうやって見ればいいですか?
区の「道路冠水履歴マップ」のページから地図を開き、家の近くの道に冠水の線があるかを見てください。
区役所の町が、何度も浸かっています
東京都の「浸水実績箇所の住所検索」は、建物が床下・床上まで浸かった記録を町丁目ごとに公開しています。江戸川区の記録は383行、25回の雨。1995年以降に絞ると、記録は58行・227棟。棟数の多い雨は次の5回です。

町丁目ごとに回数を数えると、松本一丁目・中央二丁目・西一之江三丁目が5回、中央一丁目が4回です。中央一丁目は江戸川区役所の所在地(中央一丁目4番1号)。4つの町の代表点は、どれも標高マイナス0.6メートル以下でした。
| No. | 町丁目 | 1995年以降の浸水 | 標高 | 地図 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 松本一丁目 | 5回 | -0.6m | 地図で開く |
| 2 | 中央二丁目 | 5回 | -0.7m | 地図で開く |
| 3 | 西一之江三丁目 | 5回 | -0.6m | 地図で開く |
| 4 | 中央一丁目(区役所の町) | 4回 | -1.8m | 地図で開く |
| 5 | 西葛西一丁目 | 2013年に34棟(うち床上18) | -1.3m | 地図で開く |
1995年以降、1つの町丁目で1回あたりの棟数がいちばん多いのは、2013年10月15日の西葛西一丁目で34棟(うち床上18棟)です。葛西の町でも、雨で建物が浸かっています。
都の浸水実績図は10棟以上か0.1ヘクタール以上の場所を着色する決まりで、公表は災害のおよそ2年後です。江戸川区の行は2017年以降ありませんが、浸水が無かったという意味ではありません。標高は町丁目の代表点1点の値です。
内水のハザードマップは、都の指定図に差し替わりました
東京都下水道局は令和8年3月25日に、雨水出水浸水想定区域を指定しました。江戸川区は荒川より東側が「中川・綾瀬川圏域」、西側が「江東内部河川流域」です。想定している雨は1時間最大153ミリ、24時間690ミリ。国の1か所がある小松川一丁目は、荒川の西側にあたります。
江戸川区はハザードマップの内水のページ(本編43ページ)をこの指定図に差し替え、宅地建物取引業者向けのQ&Aで、内水を含む7つの図すべてについて水防法に「基づいています」と答えています。
| 区 | 令和8年3月の都の指定を受けた内水の扱い(区の案内) |
|---|---|
| 江戸川区 | 内水(本編43ページ)も水防法に「基づいています」 |
| 葛飾区 | 内水のハザードマップは「水防法に基づく内容ではありません」 |
| 足立区 | 内水氾濫は「非該当」。令和8年3月の都の指定を注記で追記 |
同じ日の同じ指定を受けた隣どうしの3区で、案内が3通りに分かれています。江戸川区の物件なら、重要事項説明で内水の図も示される前提で確かめてください。
止水板は、費用の2分の1・上限50万円
江戸川区の止水板設置等助成は、区内の建物に止水板を付ける費用の2分の1、上限50万円です。止水板に関連する内外壁の止水工事や、土間コンクリートの工事も対象になります。
区が承認通知書を渡す前に契約すると対象外です。令和8年度の申し込みは12月25日まで。ほかに、誰でも自由に土のうを持ち出せる「土のうステーション」が区内に置かれています。
自分の家の前が危ないかを調べる3つ
- 区の「道路冠水履歴マップ」で、家の前の道に冠水の線があるかを見る
- 東京都の「浸水実績箇所の住所検索」で、自分の町丁目の記録を見る
- 区の水害ハザードマップ43ページで、内水の浸水の深さを見る。洪水・高潮のページとは別です
区は「区内全域が高潮による浸水被害の危険にさらされている」と書いていて、洪水・高潮の図に目が行きがちです。ふだんの大雨で起きるのは内水のほうなので、43ページを必ず開いてください。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
よくある質問
国の一覧に1か所しかないなら、冠水は少ないのですか
いいえ。国の一覧は江戸川区では1か所だけですが、区の冠水マップにも11回の雨の冠水が載っていて、都の記録でも1995年以降に227棟が浸水しています。
区役所のまわりは避けたほうがいいですか
そこまでは言えません。浸水の回数が多いのは事実ですが、判断の材料になるのは物件の1階の床の高さと、敷地が道路よりどれだけ上がっているかです。重要事項説明で内水の図の位置を確かめてください。
令和元年の台風19号のときはどうでしたか
区のハザードマップによると、区は新中川より西側(清新町・臨海町を除く)に避難勧告を出しました。荒川下流部や江戸川は氾濫しませんでしたが、区は「少しでも気象条件が違えば区内でも大規模な被害があったかもしれません」と書いています。
ほかの区はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 葛飾区 冠水 どこが危ないの?
- 江東区 冠水 どこが危ないの?
- 墨田区 冠水 どこが危ないの?
- 足立区 冠水 どこが危ないの?
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」東京都(一覧と1か所ごとの説明表。2026年9月23日取得)
- 江戸川区「道路冠水履歴マップ」(利用規約)
- 東京都 水害リスク情報システム「浸水実績箇所の住所検索」(元データ・1974〜2024年)
- 江戸川区「宅地建物取引業者の方へ(よくある質問)」(2026年3月30日更新)
- 江戸川区水害ハザードマップ43ページ「浸水想定区域図(内水氾濫)」
- 江戸川区「江戸川区の地形」
- 江戸川区「台風(ゲリラ豪雨)の冠水対策について」
- 江戸川区「止水板設置等助成」
- 国土地理院 住所検索API・標高API(標高)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。避難や通行の判断は、必ず区と東京都の最新の発表を確認してください。
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