土浦市で大雨のときに水がたまるおそれがある道は、国土交通省の一覧では1か所です。川口立体道、JR常磐線の高架下をくぐる市道です。
ところが土浦市は、自分で「道路冠水マップ」を出しています。並んでいるのは14か所。しかも1か所ずつに、過去に何センチ浸かったかが書いてあります。いちばん深いのは大畑(おおはた)地内の土浦北インターチェンジ付近。市の文は「豪雨時に90センチ程度冠水しました。」です。
その14か所の標高を引くと、13か所が11メートルから25メートルの台地の上にありました。市内でいちばん低い蓮河原町(はすかわらちょう)は0.2メートルですが、そこに印は1つもありません。低い土地だから浸かる、という並びにはなっていません。
この記事でわかること
- ✓ 市の注意文は「1時間に30ミリを超える場合には特に注意」。想定区域図の想定は1時間153ミリです
- ✓ 国と県の一覧に載るのは川口立体道の1か所だけ。14か所のうち、唯一の低地です
- ✓ 集水桝のふたにゴミが詰まると冠水する、と市が住民に清掃を頼んでいます
14か所の名称・冠水の深さ・注意文は、土浦市道路管理課「道路冠水マップ」(2020年11月4日更新)と、そこから開ける1か所ごとの地図ページの逐語から取りました。1か所・2か所という数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」の茨城県分(地図から開ける一覧31か所/県別PDF63か所)、33か所の一覧と予防的事前通行規制は茨城県 土木部道路維持課の公表資料から数えています。雨量の想定は土浦市下水道課「雨水出水浸水想定区域図」(2026年1月14日更新)、水防法の条文の記載は市「洪水ハザードマップ」、過去の被害は市「土浦市の災害履歴(地震・風水害)」、大雨のときに見るページは市「川の水位情報」から取りました。標高は国土地理院の標高データで引いた値です。
国の一覧は1か所、市のマップは14か所です
国土交通省の関東地方整備局は、大雨で水がたまりやすい道を「道路冠水注意箇所」としてまとめています。茨城県分は地図から開ける一覧で31か所あり、そのうち土浦市は1か所。川口二丁目の川口立体道です。
茨城県が別に出している「道路冠水危険箇所一覧」33か所でも、土浦市はNo.12の1件だけ。中身は同じ川口立体道です。国と県の資料だけなら、気をつける道は1本に見えます。
土浦市道路管理課のページには、別の数が載っています。「道路冠水マップ」に並ぶのは14か所。国と県が挙げている川口立体道は、その1番目に置かれているだけでした。
並べ方も違います。「白鳥地内(コンビニエンスストア付近)」「神立(かんだつ)地内(レンタルビデオ店付近)」「桜ヶ丘地内(和菓子店付近)」。路線名ではなく近くの店で説明していて、更新日は2020年11月4日のままです。

地図の番号と同じ順です
① 川口立体道
市道/国と県の一覧にもある1か所 大和4号線・有明2号線
土浦市川口二丁目(川口立体道)JR常磐線土浦高架下 / 標高3.6メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416)) / 警察: 土浦警察署 / 消防: 土浦市消防本部
設備など: 豪雨時に40,50センチ程度冠水しました。
※ 国土交通省の一覧・茨城県の一覧に載っているのは、14か所のうちこの1か所だけ
② 白鳥地内(コンビニエンスストア付近)
市の道路冠水マップ
土浦市白鳥地内 / 標高25メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
③ 神立跨線橋
市の道路冠水マップ
土浦市神立跨線橋 / 標高25メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時40センチ程度冠水しました。
④ 都和一丁目地内
市の道路冠水マップ
土浦市都和一丁目地内 / 標高24.3メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時50センチ程度冠水しました。
⑤ 神立地内レンタルビデオ店前
市の道路冠水マップ
土浦市神立地内レンタルビデオ店前 / 標高25.1メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
⑥ 都和公民館裏
市の道路冠水マップ
土浦市都和公民館裏 / 標高20.7メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
⑦ 中貫都市下水路
市の道路冠水マップ
土浦市中貫都市下水路 / 標高11メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時60,70センチ程度冠水しました。
⑧ 中村西根地内清掃センター
市の道路冠水マップ
土浦市中村西根地内清掃センター / 標高23.5メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
⑨ 西根南二丁目地内
市の道路冠水マップ
土浦市西根南二丁目地内 / 標高24.4メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時40,50センチ程度冠水しました。
⑩ 桜ヶ丘地内和菓子店付近
市の道路冠水マップ
土浦市桜ヶ丘地内和菓子店付近 / 標高21.8メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
(11) 中高津一丁目
市の道路冠水マップ
土浦市中高津一丁目 / 標高21.2メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
(12) 大畑地内北インターチェンジ
市の道路冠水マップ
土浦市大畑地内北インターチェンジ / 標高24.3メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時90センチ程度冠水しました。
(13) 大畑稲荷神社付近
市の道路冠水マップ
土浦市大畑稲荷神社付近 / 標高18.4メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30,40センチ程度冠水しました。
(14) 卸町付近
市の道路冠水マップ
土浦市卸町付近 / 標高23.2メートル
管理: 土浦市道路管理課(029-826-1111(内線2416))
設備など: 豪雨時30センチ程度冠水しました。
(15) 天川跨道橋下
国道(国管理) 国道6号バイパス
茨城県土浦市天川 / 標高24.4メートル
管理: (県のPDFには管理者欄なし)
※ 国の茨城県版PDF(アンダーパス部以外含む)にだけある。市の道路冠水マップにも県の33か所にも入っていない
Googleマップのリンクは、資料に書かれた住所を国土地理院の住所検索にかけた緯度経度で開きます。町丁目や街区の代表点なので、構造物そのものの位置とは数十メートルずれることがあります。現地の名前で検索し直すと、より正確な場所が出ます。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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いちばん深いのは大畑地内の90センチです
14か所それぞれに地図のページがあり、開くと深さの1文が入っています。
90センチの大畑地内だけが飛び抜けています。次が中貫(なかぬき)都市下水路の60〜70センチ、都和(つわ)一丁目地内の50センチ、川口立体道と西根南二丁目地内の40〜50センチ、神立跨線橋東の40センチ、大畑稲荷神社付近の30〜40センチ。残る7か所は30センチです。
市は14か所を並べたページの下に、その深さが車と体に何をするかも書いています。「目安としてタイヤの半分より水位がある場合にはエンジンが止まるといわれています。」「水位が50センチを超えてくると歩行が困難になり,転倒などの危険があります。」
当てはめると、90センチと60〜70センチは歩けなくなる50センチを超えています。浅いほうの7か所でも30センチあり、タイヤの半分という目安から遠くはありません。


14か所のうち13か所は、台地の上にあります
土浦市の町丁目は195あります。国土地理院の標高データを代表点で引くと、いちばん低いのが蓮河原町の0.2メートル、いちばん高いのが東城寺の101メートル。5メートルに届かない町丁目は48あり、田中三丁目0.6メートル、生田町0.9メートルと、駅の周りが並びます。
その物差しに14か所を置きます。市が示した地点の緯度経度で引くと、13か所が11メートルから25.1メートルの間に収まりました。高いほうが神立地内の25.1メートル、低いほうでも中貫都市下水路の11メートル。卸町23.2メートル、都和公民館裏20.7メートルと、台地の上ばかりです。
低地にあるのは川口立体道の3.6メートルだけ。0.2メートルの蓮河原町にも、1メートル台の桜町にも、市の印は1つもありません。
標高には但し書きが要ります。195町丁目の値は代表点1点を引いたもので、町全体の高さではありません。14か所の値は市が示した地点そのものですが、どちらも道路の底の高さではない点は同じです。掘り下がった道があれば、路面はこの値より下にあります。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
数える資料を変えると、1か所が14か所になります
同じ「土浦市の冠水しやすい道」を数えた資料が、ここまでに4つ出てきました。国土交通省の地図から開ける一覧で1か所、同じ国土交通省の茨城県版PDFで2か所、茨城県の一覧で1か所、市の道路冠水マップで14か所です。
国の資料が割れるのは、PDFの表題に理由があります。1行目が「道路冠水注意箇所マップ【茨城県】 アンダーパス部以外含む」。この版にだけ入っている土浦市のもう1か所が、国道6号バイパスの天川跨道橋下です。市の14か所にも県の33か所にも入っていません。
県の一覧には、もう1つ読みどころがあります。茨城県は2026年9月7日から、県が管理するアンダーパス9か所で「予防的事前通行規制」を始めました。たまる前に閉める規制です。内訳は日立市4、守谷市2、つくば市2、筑西市1。土浦市は入っていません。

どの資料にも抜けがあります。市自身が「上記箇所以外にも冠水する場合があります」と書いています。載っていない=安全、ではありません。この数え方のずれは全国どこでも起きていて、道路冠水マップがどこで見られるかは資料ごとに変わります。
市の目安は1時間30ミリ、地図の想定は1時間153ミリです
市が道路冠水マップに書いている、数字の入った目安は1つだけです。「1時間に30ミリを超える場合には特に注意しましょう。」
いっぽう、市の下水道課が2026年1月14日に出した「雨水出水浸水想定区域図」は、まるで違う数字で描かれています。「時間最大雨量は、関東地方で1年間に1/1000(0.1%)の確率で発生するとされている153mm/hに設定しています」。
道が浸かり始める目安が30ミリ、地図を描くための想定が153ミリ。5倍の開きです。土浦市で道路が冠水するかどうかの分かれ目は、市自身の言葉では1時間30ミリで、地図の想定よりずっと手前にあります。
根拠の書き方も違います。洪水ハザードマップのページには「水防法第15条第3項の規定に基づき示したものです」とあり、対象は霞ヶ浦・桜川と、備前川(びぜんがわ)・新川など7つの河川。ところが雨水出水浸水想定区域図のページには「水防法」も「第14条の2」もなく、公表日や告示日の記載もありません。
これは「法律に基づかない図だ」という意味ではなく、市がページに何も書いていない、ということです。確かめたいなら下水道課(029-826-1111 内線2255)に聞くことになります。なお防災のハザードマップ一覧から「内水ハザードマップ」に入ると、着くのは更新日2013年6月19日のページのほうです。
グレーチングのゴミを取ることが、市の頼みごとです
市の道路冠水マップには、読者に向けた頼みごとが書かれています。
「集水桝フタ(グレーチング)へのゴミの詰まりにより,冠水が起こります。集水桝フタ(グレーチング)の詰まりがありましたら清掃のご協力をお願いします。」
集水桝は道路の端で雨水を飲み込む穴で、その上の格子状の鉄のふたがグレーチングです。落ち葉やレジ袋が張りつけば、雨水は行き場を失って路面に残ります。
14か所のうち13か所が台地の上にあるという並びは、この一文と噛み合います。周りより少しくぼんだ場所で出口がふさがれば、標高が20メートルあっても水はたまります。台風の前の晴れた日に、家の前の側溝のふたを見る。市の14か所に載っていない水たまりを減らす方法が、行政の文章のいちばん下に書いてあります。

1941年の水は、下水道と新川から始まりました
市が残している災害の記録には、水が来る順番が書かれています。1941年7月22日の記述はこうです。「旧土浦市:下水道と新川の氾濫に始まり、利根川の増水と、これに伴う霞ヶ浦の水位上昇により、3,462戸の床上浸水が発生」。
始まりは下水道と新川。そのあとに利根川が増水し、霞ヶ浦の水位が上がって、床上浸水が3,462戸まで膨らみました。雨水が先で、湖は最後です。市は市街地の雨水について「大雨時にポンプを稼動させ雨水を川や霞ケ浦にくみ出す」と書いています。くみ出す先が、その霞ヶ浦です。
1938年6月28日からの記録には、もっと重い一文があります。「23日間にわたる滞水により赤痢、疫痢が発生した」。23日間、水が引かなかったということです。
いっぽう2015年9月の平成27年9月関東・東北豪雨で、市が記録しているのは床下浸水1戸。この表は2019年10月の台風19号で止まっていて、令和に入ってからの浸水の実績は載っていません。
大雨の夜に見るものは、市がまとめています。「川の水位情報」のページから、霞ヶ浦の土浦観測所、桜川の桜橋(田土部)観測所と匂橋観測所、備前川の岩田橋、新川の神天橋が開きます。道路は茨城県の道路通行規制情報です。市の道路冠水マップが降る前に見る地図なら、こちらは降っている最中に見る地図になります。
水に入ってしまった車から出るまで

14か所には、線路の下をくぐる道も、水路のそばの平らな道も混ざっています。どちらも手前から見ると水面は平らで、いちばん深い底は見えません。市が書いた90センチも、走ってきた車の窓からは見分けがつきません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓で、フロントガラスは合わせガラスなので脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。ドアの高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられません。外に出られないときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 水戸市 冠水 どこが危ないの?(茨城県)
- 日立市 冠水 どこが危ないの?(茨城県) 県が雨の前に閉める9か所のうち、4か所が日立市です
- 取手市 冠水 どこが危ないの?(茨城県) 7か所のうち5か所が国道6号藤代バイパスの下です
- 越谷市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 市内の標高の幅が3.5メートルしかありません
この記事のまとめ
土浦市で道路が冠水しやすい場所は、市の道路冠水マップで14か所です。国土交通省の一覧では1か所、茨城県の一覧でも1か所で、どちらも川口立体道。市のマップでは、それが1番目に置かれているだけでした。いちばん深いのは大畑地内の土浦北インターチェンジ付近で、市の記録は「豪雨時に90センチ程度冠水しました。」です。
14か所のうち13か所は標高11〜25.1メートルの台地の上にあり、市内でいちばん低い蓮河原町(0.2メートル)には1つもありません。低い土地だから浸かる、という話ではないということです。市が書いている目安は1時間30ミリで、雨水出水浸水想定区域図の想定は1時間153ミリ。そして市は「集水桝フタ(グレーチング)の詰まりがありましたら清掃のご協力をお願いします。」と書いています。降る前にできることが、行政の文章のいちばん下に置かれています。
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