🗨️「誰も住んでいない実家に、盗られて困るものなんて残ってないと思うけど?」
警察庁の統計では、令和7年に空き家で起きた侵入窃盗は11,958件。侵入窃盗全体47,233件の約25%がここで起きていて、被害品には貴金属・宝石等も含まれ、そのケースが1,053件あります。
[不動産] この記事の要点
警察庁長官官房が令和8年2月に公表した「令和7年の犯罪情勢」で、発生場所が「空き家」の窃盗犯の認知件数が13,971件となり、統計を取り始めた令和2年以降5年連続で前年を上回ったことが示された。このうち侵入窃盗は11,958件で、前年比2,644件・28.4%の増加。
2026年8月12日 発表
- 親が亡くなった・施設に入ったなどで、誰も住んでいない実家がある人
- 相続したまま使っていない家や土地を持っている人
- お盆に帰省して、久しぶりに実家の中を見る人
この記事でわかること
- 空き家で起きる侵入窃盗が、5年で3.8倍に増えていること
- 「何も無い家」から実際に何が盗まれているか
- お盆に実家へ行ったときに、家の中より先に見ておく場所
先に結論
- 令和7年に空き家で起きた侵入窃盗は11,958件。侵入窃盗全体のおよそ4件に1件がここで起きている
- 令和2年の3,180件から5年で約3.8倍。増え方は空き家以外の6倍以上
- 盗まれているのは貴金属・宝石(1,053件)、エアコンの室外機(702件)、金属類。「何も無い家」ではない
- お盆に実家へ行くなら、家の中を片づける前に、建物のまわりを一周する
空き家の空き巣は、5年で3.8倍になった
警察庁長官官房が令和8年2月に公表した「令和7年の犯罪情勢」に、発生場所を「空き家」に限った窃盗の統計が載っています。ここでいう空き家は、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物とその敷地のことで、国や地方公共団体が所有・管理するものは除かれています。つまり、いま多くの人が「実家」と呼んでいる、誰も住まなくなった家がそのまま当てはまります。
令和7年の認知件数は、窃盗犯全体で13,971件。統計を取り始めた令和2年以降、5年連続で前年を上回り、令和2年比では307.9%の増加です。内訳は、建物の中に入って盗む侵入窃盗が11,958件、敷地内などから盗む非侵入窃盗が1,934件、乗り物盗が79件です。
| 年 | 空き家の侵入窃盗 | 空き家の非侵入窃盗 |
|---|---|---|
| 令和2年 | 3,180件 | 221件 |
| 令和3年 | 3,436件 | 319件 |
| 令和4年 | 4,074件 | 439件 |
| 令和5年 | 8,189件 | 751件 |
| 令和6年 | 9,314件 | 1,440件 |
| 令和7年 | 11,958件 | 1,934件 |
数字は警察庁「令和7年の犯罪情勢」図17から引いています。11,958件を令和2年の3,180件で割ると3.76倍。1日あたりに直すと約32.8件で、1時間に1件以上のペースで、誰も住んでいない家が開けられている計算になります。倍率と1日あたりの件数は、警察庁の数値から当サイトで算出したものです。
「侵入窃盗が増えた」の中身は、ほぼ空き家だった
令和7年の侵入窃盗は全国で47,233件、前年より4,197件・9.8%増えました。ニュースで見出しになるのはこの9.8%のほうです。ただ、増えた4,197件の内訳を空き家とそれ以外に分けると、景色が変わります。
| 区分 | 令和6年 | 令和7年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 侵入窃盗 全体 | 43,036件 | 47,233件 | +4,197件(+9.8%) |
| うち空き家 | 9,314件 | 11,958件 | +2,644件(+28.4%) |
| 空き家以外 | 33,722件 | 35,275件 | +1,553件(+4.6%) |
「空き家以外」の行は、全体から空き家ぶんを引いてこちらで計算した値です。増えた4,197件のうち2,644件、つまり63%は空き家で起きた増加で、増加率でも空き家は空き家以外の6倍以上のペースで伸びています。人が住んでいる家の空き巣が急に増えたわけではなく、増えているのは誰もいない家のほうです。
侵入窃盗47,233件に対する空き家11,958件の割合は25.3%(これも当サイトの計算)。空き巣に入られた家のおよそ4件に1件は、そもそも住人がいない家だということになります。ただし警察庁の資料が「発生が多い」としているのは商業施設と一戸建住宅で、空き家が最多の場所というわけではありません。空き家が突出しているのは件数ではなく増え方です。
誰も住んでいない家から何が盗まれているか
空き家で起きた侵入窃盗の被害品のうち、警察庁が「大きく増加している」として挙げているのは3つです。貴金属・宝石等が被害品に含まれるものが1,053件(前年比32.8%増)、家電製品類が含まれるものが391件(同18.5%増)、金属類が含まれるものが330件(同27.4%増)。1件に複数の被害品が入るので、足し算はできません。
敷地内から持っていく非侵入窃盗のほうは、もっと生々しくなります。エアコンの室外機が702件(同12.3%増)、その他の機械器具等が731件(同63.2%増)、金属類が227件(同57.6%増)。警察庁はこの増加について、銅などの金属価格の高騰で、銅が使われている物品を金属くずとして売るために盗まれているとみられる、と書いています。
つまり狙われているのは、価値のある家財だけではありません。建物にくっついている金属そのものが換金対象になっているので、家の中を空にしてあっても対象から外れないということです。
お盆に実家で見ておく3か所
警察庁の統計に月別の内訳はないので、お盆に被害が増えるとまでは言えません。それでも、離れて暮らしている家族が空き家の中に入れる機会は年に何度もありません。片づけの前に、次の3か所だけ先に見ておくと状況がつかめます。
1つ目は建物のまわりです。エアコンの室外機、給湯器、屋外の配線、雨どいや門扉の金属部分。外されていないか、工具でこじった跡がないかを一周して確認します。2つ目は窓と勝手口。ガラスの割れ、クレセント錠まわりの傷、雨戸のずれを見ます。3つ目は郵便受けです。あふれた郵便物は「長く誰も来ていない家」の合図になるので、その場で片づけて、次に誰がいつ来るかを決めておきます。
そのうえで、貴金属・宝石・通帳・印鑑を家に置いたままにしないこと。被害品の1位が貴金属・宝石だという事実は、「実家には何もない」と思っていた家から実際に出てきていることを意味します。
私見:空き家が狙われるのは、盗られたと誰も気づかないから
ここからは私の見方です。空き家だけがこれほど伸びている理由は、盗みやすさよりも、盗られたことが分からない時間の長さにあると考えています。根拠は3つです。
1つ目は検挙の状況です。発生場所が空き家の窃盗犯の検挙件数は5,723件と前年より22.1%増えているのに、検挙率は41.0%で前年から2.4ポイント下がっています。件数を増やしても追いつけていません。2つ目は被害品です。貴金属・宝石は、住んでいれば数日で気づくものですが、年に1回しか開けない家では次に開けるまで分かりません。3つ目は室外機です。室外機を外して運ぶには時間も音も要りますが、それが702件成立しているということは、その作業を見とがめる人がいなかったということです。
この見方が正しいなら、対策の順番も変わります。頑丈な鍵を足すことより先に、誰かがその家を定期的に見ている状態をつくるほうが効きます。お盆に近所へ挨拶して連絡先を渡しておくのは、そのいちばん安上がりな方法です。
生活・仕事にどう効くか
- 家財:空き家の侵入窃盗で、貴金属・宝石等が被害品に含まれるものは1,053件(前年比32.8%増)。仏具や指輪、時計を置いたままにしている家がそのまま該当する。
- 建物の設備:敷地内から持ち去られる非侵入窃盗では、室外機が被害品に含まれるものが702件(同12.3%増)、金属類が227件(同57.6%増)。銅などの金属価格の高騰が要因と考えられる、と警察庁は書いている。
- 売るとき:室外機や給湯器、屋外配線が外された状態は、現況渡しで売る際に買主へ説明が要る項目になる。気づくのが引き渡し直前だと、値引きか原状回復かの交渉が発生する。
結局どうすればよいか
- 貴金属・宝石・通帳・印鑑を実家に置いたままにしない。持ち帰るか、どこに何があるかを家族で共有する
- 建物のまわりを一周して、エアコンの室外機・給湯器・屋外の配線が外されていないか見る
- 郵便受けと外まわりを写真に撮っておく。次に来たときに何が変わったか比べられる
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公式出典
- 警察庁長官官房「令和7年の犯罪情勢」(2026-02発表)
- 警察庁「住まいる防犯110番」(2026年8月12日発表)
更新履歴
- 2026年8月12日 初版を公開
※本記事は2026年8月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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