空き家を「負動産」にしないための実践ガイド
売れないからと、
空き家をそのままにしていませんか?
空き家は、時間がたつほど建物の傷みや管理負担が増えやすいものです。売却・賃貸・活用・解体のどれを選ぶ場合も、まず現状を整理することが解決への近道です。
「売れない」と決めつける前に、権利関係・建物状態・価格・売り方・税制の5点を順番に確認しましょう。放置ではなく、管理しながら選択肢を比較することが大切です。
空き家は全国で900万戸を超えています
総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、ともに過去最高でした。賃貸用・売却用・二次的住宅を除く空き家も385万6千戸あります。
空き家を抱えること自体は珍しくありません。しかし、換気や修繕が行われない家は劣化しやすく、庭木、害虫、防犯、近隣への影響など、売却価格以外の問題も生じます。
2023年の空き家数
全国の空き家率
放置前に知っておきたい「管理不全空家」
2023年12月13日に施行された改正空家法では、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼす「特定空家」になるおそれがある住宅を、自治体が「管理不全空家」として指導・勧告できる仕組みが設けられました。
勧告を受けると、敷地に適用されていた固定資産税の住宅用地特例が外れる場合があります。すぐ売れないときも、定期的な換気、通水、清掃、庭木の手入れ、外壁や屋根の点検などを続けましょう。
売れない空き家を見直す5つのステップ

1.名義と権利関係を確認する
登記事項証明書で所有者を確認します。相続登記が済んでいない、共有者がいる、境界が不明といった状態では、売買の手続きが進まないことがあります。相続や共有が絡む場合は、司法書士・土地家屋調査士・税理士など適切な専門家へ早めに相談しましょう。
2.建物と敷地の状態を把握する

雨漏り、傾き、シロアリ、残置物、接道、再建築の可否などを確認します。修繕して売るのか、現況のまま売るのか、解体して土地として売るのかは、費用と需要を比較して判断します。先に大規模工事をするのではなく、複数の売却案を見積もるのが安全です。
3.希望価格ではなく「根拠のある価格」にする
近隣の成約価格、土地の形状、建物の劣化、解体費、買主が負担する改修費などを踏まえます。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の取引価格や地価公示、防災・都市計画情報などを確認できます。査定は1社だけでなく、査定根拠の説明まで比較しましょう。
4.売却以外の出口も並べる
| 選択肢 | 向いているケース | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 現況で売却 | 早めに手放したい | 契約不適合責任の条件を確認 |
| 解体後に売却 | 古家需要が乏しい | 解体費・税負担・再建築可否を先に確認 |
| 賃貸・活用 | 賃貸需要や用途がある | 改修費、管理費、空室リスク |
| 自治体制度 | 空き家バンク等の対象 | 地域ごとに条件が異なる |
5.税制の期限と要件を確認する
相続した被相続人の居住用家屋などを一定の要件で売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。対象となる譲渡期間は現行制度上2027年12月31日までです。相続人が3人以上の場合の控除上限など細かな条件があるため、国税庁の最新情報を確認し、税務署や税理士へ相談してください。
まず揃えたいチェックリスト
- ☐ 登記事項証明書・固定資産税納税通知書
- ☐ 建築確認関係書類・測量図・境界資料
- ☐ 相続関係書類と共有者の意向
- ☐ 建物の不具合・修繕履歴・残置物一覧
- ☐ 維持費、解体費、売却時の諸費用
よくある質問
空き家は安くしないと売れませんか?
価格だけが原因とは限りません。再建築の可否、境界、残置物、情報不足、販売方法などが障壁になる場合があります。値下げの前に、問い合わせが少ない理由を整理しましょう。
先に解体したほうがよいですか?
一律には言えません。古家を活用したい買主もいます。解体費、土地としての需要、固定資産税、自治体の補助制度、再建築可否を確認してから判断してください。
遠方に住んでいて管理できません

自治体の相談窓口、空き家管理事業者、不動産会社などへ相談する方法があります。契約範囲、写真報告、緊急時対応、追加料金を比較してください。
売却判断の前に、取引価格を確認しましょう
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際の取引価格や地価公示などを無料で確認できます。まずは周辺相場を調べ、売却・活用・管理の選択肢を整理しましょう。個別の法律・税務判断は各分野の専門家へご相談ください。
不動産情報ライブラリで調べるまとめ
売れない空き家は、放置するほど解決しやすくなるわけではありません。①権利関係、②物件状態、③価格、④売却以外の選択肢、⑤税制の順に確認し、管理を続けながら出口を比較しましょう。
参考資料
- 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(総務省統計局)/2026年7月12日確認
- 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について(国土交通省)/2026年7月12日確認
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省)/2026年7月12日確認
- No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(国税庁)/2026年7月12日確認
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の法律・税務・売買判断については、自治体や各分野の専門家へご相談ください。

