🗨️「十勝岳はこれから噴火するんですか」
政府の火山調査委員会が16日、十勝岳の深部にマグマがたまっている可能性があるとしたうえで、大きな火山性地震がはっきり増えればマグマ噴火が起こりうる、という評価を出しました。噴火が決まったという話ではなく、次に見る合図は地震の増え方だ、という意味です。気象庁の噴火警戒レベルは12日からレベル3(入山規制)で、警戒が要るのは火口からおおむね3キロの範囲です。
[災害] この記事の要点
2026年9月16日 発表
- 美瑛町・上富良野町・富良野市に住んでいる人
- 連休に十勝岳温泉・吹上温泉へ行く予定だった人
- 北海道の山へ登る予定を立てている人
3月からずっと続いていた
9月に急に始まった話ではありません。気象庁の観測を並べると、半年かけて積み上がってきたことが分かります。
| 時期 | 観測されたこと |
|---|---|
| 2026年3月以降 | 山体付近のやや深部の膨張を示す地殻変動が継続 |
| 2026年4月以降 | 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が増加 |
| 2026年7月・8月 | 小規模な噴火 |
| 2026年8月17日以降 | 振幅の大きな火山性地震が増加 |
| 2026年9月12日 9時30分 | 噴火警戒レベルを2から3(入山規制)へ |
| 2026年9月16日 | 火山調査委員会が臨時会で評価を公表 |
地震の大きさは振幅で測ります。8月17日以降でいちばん大きかったのは9月12日8時20分の地震で、硫黄沢の観測点で約24マイクロメートル。レベル引き上げの1時間ほど前にあたります。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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委員会が見ているのは「地震が増えるかどうか」
16日の評価で示されたのは、噴火の予告ではありません。「規模の大きな火山性地震の明瞭な増加が認められた場合には、マグマ噴火が発生する可能性がある」——条件つきの文です。
裏を返すと、いまはその増加が認められていない、ということでもあります。委員会が深部付近にマグマが蓄積している可能性を指摘したうえで、次に何を見るかを示した、と読むのが正確です。
マグマ噴火というのは、マグマそのものが地表へ出てくる噴火のことです。十勝岳で7月と8月に起きたのは小規模な噴火で、そこまでの規模には至っていません。
レベル3は、この山では初めて
気象庁が噴火警戒レベルを3(入山規制)へ上げたのは、9月12日の9時30分です。
十勝岳に噴火警戒レベルが導入されたのは2008年で、レベル3になったのはこれが初めてです。想定されているのは「火口から概ね3キロの範囲に影響を及ぼす噴火」で、その範囲では大きな噴石への警戒が必要とされています。
レベルの数字だけを見ると「5段階の真ん中」に見えますが、生活の側で意味を持つのは数字ではなく範囲のほうです。3キロという距離と、自治体が地区名を挙げて出している避難情報。この2つで判断します。

100年前、この山で人が亡くなったのは泥流だった
十勝岳という名前に警戒が集まるのは、100年前の記憶があるからです。
1926年(大正15年)5月24日の噴火では、山の一部が崩れて高温の岩屑なだれとなり、残っていた雪を溶かして大規模な融雪型火山泥流が発生しました。上富良野町・美瑛町の方面へ流れ下り、死者・行方不明は144人にのぼっています。「大正泥流」と呼ばれるこの災害から、今年でちょうど100年です。
この山で人の命を奪ったのは、火口から飛んでくる石ではありませんでした。雪解け水と土砂が混ざって川筋を下る流れです。だから警戒範囲の3キロという数字だけを見て、「うちは遠いから関係ない」とは言い切れません。見るべきなのは距離ではなく、川沿いかどうか、周りより低い土地かどうかです。
いまは9月なので、大正泥流が起きた5月ほどの残雪はありません。それでも、泥流の想定は自治体のハザードマップに描かれています。住所で一度見ておくと、次に警報が出たときの動きが変わります。
いま出ている避難情報
上富良野町は、吹上温泉地区に避難指示、十勝岳温泉地区に高齢者等避難を出しています。どちらも温泉の集まる地区で、連休に予定を入れていた人がいるはずです。
十勝岳は富良野市・美瑛町・上富良野町・南富良野町・新得町の5つの市町にまたがっています。同じ山でも、規制や避難情報は自治体ごとに出ます。宿や登山口がどの町にあるかで、見る発表先が変わります。
生活・仕事にどう効くか
- 移動:規制と避難情報は自治体ごとに出る。宿や登山口のある町の発表を、当日の朝にもう一度見る。
- 住まい:警戒範囲は火口からおおむね3キロだが、泥流は川筋を下る。距離ではなく地形で判断する。
生活・仕事にどう効くか
- 移動:十勝岳は富良野市・美瑛町・上富良野町・南富良野町・新得町の5市町にまたがる。登山道の規制と温泉地区の避難情報は自治体ごとに出ているので、宿へ行く前に町の発表を見る。
- 住まい:この山で過去に人の命を奪ったのは噴石ではなく、雪を溶かして流れ下る泥流だった。山から離れた平地でも、川沿いかどうかで話が変わる。
結局どうすればよいか
- 噴火警戒レベルの数字ではなく、警戒範囲(火口からおおむね3キロ)と避難情報の地区名で見る
- 自宅や宿泊先が火山泥流の想定範囲に入っているかを、住所で確認する
- 山へ行く予定があるなら、当日の朝にもう一度自治体の発表を見る
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 気象庁 火山活動の状況(十勝岳)(2026年9月16日発表)
- 地震調査研究推進本部 火山調査委員会(2026年9月16日発表)
- 気象庁 旭川地方気象台「十勝岳大正泥流から100年」(2026年9月16日発表)
- 内閣府 防災情報のページ 1926 十勝岳噴火 報告書(2026年9月16日発表)
更新履歴
- 2026年9月16日 初版を公開。16日の火山調査委員会の評価と、9月12日時点の気象庁の観測値を記載。
※本記事は2026年9月16日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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