福岡県宗像市(むなかたし)で、市が「主な浸水箇所」と呼ぶのは田熊(たぐま)と田久(たく)です。一定程度の大雨が見込まれるときは、この2か所に排水ポンプ車を1台ずつ置く考えだと、市は2026年7月の議会で答えています。
2025年8月の大雨について、市は「田久地区をはじめ、赤間駅周辺で道路冠水を記録しました」と答えました(2026年6月の議会)。国の「道路冠水注意箇所」に宗像市は2か所ありますが、田熊・田久・赤間駅(あかまえき)はそこに入っていません。
この記事でわかること
- ✓ 雨の日の道の様子は、市の防災ホームページの「防災ライブカメラ」と「防災情報ダッシュボード」で見られます
- ✓ 田熊と田久には、道路の水が10センチで「冠水注意」、30センチで「冠水危険!」を出す電光掲示板があります
- ✓ 国の一覧に載っているのは、稲元(いなもと)のガード下と東郷(とうごう)の跨線橋です
雨の日に「今どこが浸かっているか」を見るところ
- 宗像市公式ウェブサイトの「宗像市防災ホームページ」:トップに「防災ライブカメラ」と「防災情報ダッシュボード」のボタンがあります
- 防災ライブカメラ:10分おきに更新。赤間駅の南口・北口、田久に3か所、東郷に2か所(東郷①は田熊2丁目)、河東(かとう)に3か所、くりえいとの計11か所です
- 防災情報ダッシュボード:市は2025年8月の大雨のとき、「避難所の開設状況や通行止めなどの情報」は防災情報ダッシュボードで確かめるよう案内しました
- 県道の通行止め:福岡県は「日本道路交通情報センター」で道路規制情報を出しています(電話 #8011)
国の一覧は2か所、稲元のガード下と東郷の跨線橋
国土交通省 九州地方整備局の「道路冠水注意箇所」は、福岡県で147か所です(当サイトで数えた)。宗像市は2か所で、一覧に載っていない道が冠水しないわけではありません。
A は市道が線路の下をくぐる「稲元ガード下」です。説明表の写真には「冠水注意」の看板と、高さ制限の標識が写っています。B は県道 宗像篠栗(ささぐり)線の「東郷村跨線橋」。道路は線路の上を越えますが、写真に写っているのは橋の脇を下る細い通路と「大雨の時 冠水注意」の看板です。

地図の記号と同じ順です
A 稲元(いなもと)ガード下
市道 稲元1016号線
宗像市稲元391-1(説明表の住所)
管理: 宗像市役所維持管理課 / 警察: 宗像警察署 / 消防: 宗像地区消防本部
※ ピンは説明表の位置図を地理院地図・道路地図(OpenStreetMap〈オープンストリートマップ〉)と照らし合わせ、JR鹿児島本線の下をくぐる道に当サイトが置いた点。391-1番地は国土地理院の住所検索で番地まで一致しませんでした
B 東郷(とうごう)村跨線橋
県道 宗像篠栗(むなかたささぐり)線
宗像市東郷5丁目10(説明表の住所)
管理: 北九州県土整備事務所(宗像支所) / 警察: 宗像警察署 / 消防: 宗像地区消防本部
※ 道路地図(OpenStreetMap)では、この跨線橋のすぐ脇に線路の下をくぐる歩行者用の通路が描かれています。ピンはその通路に当サイトが置いた点
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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田熊の旧国道3号、市が把握した道路冠水の年は2023年までに5つ
田熊を通る県道 福間宗像玄海線は、市の資料で「旧国道3号」の一部です。市は2023年12月の議会で「旧JA東郷支店付近の旧国道3号につきましては、本市で把握しているだけでも、平成21年、24年、30年、令和3年、本年と、道路冠水が発生」と答えました。2009・2012・2018・2021・2023年の5つの年です。
2024年7月1日にも田熊と田久で道路冠水が起き、市はこの2か所に道路冠水警報システムを置きました。水が10センチになると電光掲示板に「走行注意」「冠水注意」、30センチで「走行危険!」「冠水危険!」が交互に出ます。
2025年8月10日は深夜1時半から約2時間、田熊で排水ポンプ車を動かし、ポンプ場近くの水路から八並(やつなみ)川へ水を出しました。市は同じ年の12月、この大雨では「八並川からの越水の危険性もありました」と答え、「これまでは旧国道3号の内水氾濫が影響していましたが、外水氾濫による影響も考えられます」としています。
読者
掲示板が出ていても、車ならゆっくり通れば平気ですか?
市は「無理に通行せず、う回してください」と呼びかけ、注意の表示が出てもそのまま通る車があったことを課題に挙げています。議会では議員が、トラックやバスなど大きな車が通るたびに水が波のように家へ押し寄せるという、田熊の住民の声を紹介しています(2025年9月)。
今の田熊のポンプ場の能力は1秒に0.26トンです。市は1秒に3トンの新しいポンプ場を2026年秋に着工する予定で、2028年の梅雨時期までに動かすことを目指しています(2026年7月の議会)。ただし「昨年と同様の豪雨の場合については浸水が残る可能性」もあり、浸水する場所や時間、深さは減ると見込んでいると答えています。
田久の交差点付近は、1メートル冠水した記録
市は2012年12月、県道 宗像若宮線の田久交差点から森都病院前の交差点付近は「大雨による内水はんらんにより、たびたび道路冠水が発生」と答えました。2006年6月23日と2009年7月24日には、森都病院前の交差点(当時の答弁では東海大短大入口交差点)が約1メートル冠水し、県道と市道が全面通行止めになっています。
原因として考えられることについて市は2012年6月、県と市の協議会で「田久雨水幹線の流下能力の不足」と、釣川の水位が高いことによる「背水」(水路の水が押し戻される状態)の影響が挙がったと答えました。
2025年8月11日は朝8時半から約2時間、田久のビバホーム横の水路から釣川へ排水ポンプ車で水を出しました。
読者
県道の通行止めは、市が決めるんですか?
県道は福岡県か宗像警察署でないと通行止めにできない、と市は答えています。市は情報を伝えて現地で誘導する役で、災害対策本部の会議には警察と県土整備事務所も入っています(2026年7月)。
赤間駅の周りは、川の水位が上がると雨水を川へ出せない
市の「雨に強いまちづくりビジョン」(2024年3月)は、浸水被害が「赤間駅周辺や旧国道3号…の沿道において特に多く発生しています」と書いています。原因について市は2023年3月、「釣川や山田川の水位が上昇した場合に河川への放流ができずに、内水による浸水」が生じる仕組みを解明できていると答えました。
ビジョンは、10年に1回程度の雨を想定した1時間68.2ミリで、6つの代表地点の浸水を試算しています。同じ資料に2018年7月の浸水の写真が載っている地点です。

| No. | 地点(市の資料の呼び名) | 地図の点の置き方 | 地図 |
|---|---|---|---|
| 1 | 赤間駅南口 | 道路地図の「赤間駅南口」バス停 | 地図で開く |
| 2 | くりえいと通り | 道路地図の「くりえいと通り」の中ほど | 地図で開く |
| 3 | 主要地方道 福間宗像玄海線(田熊バス停付近) | 道路地図で福間宗像玄海線の「日の里北口」交差点(「田熊」交差点の南東約65メートル。当サイトが置いた点で、バス停そのものではない) | 地図で開く |
| 4 | 田久四つ角交差点 | 道路地図の「田久」交差点 | 地図で開く |
| 5 | 城西けやき通り | 稲元三丁目の町の代表点(市の防災ライブカメラ「河東③」の設置場所が「稲元3丁目(城西けやき通り)」のため。通りの位置は未確認) | 地図で開く |
| 6 | 主要地方道 宗像玄海線(河東コミュニティセンター付近) | 河東地区コミュニティ・センター(須恵1丁目4-1) | 地図で開く |
地図の1〜6は、当サイトが道路地図や町の代表点に置いた目安で、浸水した地点そのものではありません。赤間駅周辺の雨をためる調整池は、田久地区で基本設計のあと用地取得などを経る計画で、「令和20年頃」としている運用開始を前倒しできるよう進めると市長は答えています(2026年6月)。
2025年8月の雨、アメダス宗像で3日607ミリ
アメダス宗像(宗像市田熊)の雨は、2025年8月9日が117.5ミリ、10日が308.0ミリ、11日が181.5ミリでした。3日で607.0ミリで、8月の平年値177.1ミリ(1991〜2020年)の約3.4倍です(合計も倍率も当サイトの計算)。10日の308.0ミリと、この日の1時間76.5ミリは、どちらも1976年からの観測で1位です。田久や赤間駅で降った量ではありません。

福岡県の被害報(第17報・最終報、2025年9月5日14時時点の速報値)では、宗像市全体で床上浸水13件、床下浸水7件、道路の損壊23件、がけ崩れ19件でした。地区ごとの数は書かれていません。市は2025年12月の議会で「道路冠水を数か所で記録」と答えており、名前が挙がったのはその一部です。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
家と通る道を調べるときは、内水と洪水を分けて見る
市の「防災Web(ウェブ)マップ」の内水浸水想定区域は、想定最大規模の1時間153.0ミリの雨で、排水しきれずにあふれた場合の範囲と深さです(2024年1月作成)。市はこの内水の図を「水防法に基づいていません」と書いています。
川からあふれる洪水は、県が指定した洪水浸水想定区域で見ます。釣川・八並川・山田川の区域は、想定最大規模で6時間543ミリの雨が前提です。
市の浸水対策補助金は、止水板や室外機・駐車場のかさ上げの費用の半分(上限50万円)を出します。2025年8月の大雨で浸水被害を受けた人や、洪水・内水の浸水想定区域に住む人・事業者が対象で、申請は2027年1月29日まで(予算に達すると早く終わることがあります)。市は、申請者は「昨年に道路冠水を記録した東郷地区や赤間地区からが多く」と答えています(2026年7月の議会)。
\川の洪水で色が付く場所かを、住所から見る/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
このツールでは、道路の冠水と内水の想定は出ません。樽見川など8つの川の洪水浸水想定区域は、2022年5月に公表されたものです。市の防災Webマップでも確かめてください。市のサイトは掲載物の無断の転載を禁じているため、市の地図や写真は写していません。
福岡県のほかの市の冠水の記事
公式出典
- 国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所」福岡県(一覧と説明表 福岡県-02-214・358。2026年9月25日取得)
- 宗像市公式ウェブサイト(トップページ。市のサイトはトップページ以外へのリンクを原則として禁じているため、ページ名とページIDを書きます):「道路冠水警報システムを設置しました」(ID:8197)/「防災ライブカメラ」(ID:2231)/「防災ライブカメラを2か所増設しました」(ID:8131)/「宗像市雨に強いまちづくりビジョン~雨水管理総合計画~」(ID:1986・2024年3月)/「宅地建物取引業者の皆様へ(宗像市防災マップ関係)」(ID:7580)/「令和8年度の浸水対策補助金の受付を開始します」(ID:9812)/「福岡県管理河川の洪水浸水想定区域図が更新されました」(ID:2200)/「【記録的短時間大雨情報発表】8月9日からの大雨について」(ID:8860・2025年8月10日。市のサイトからは削除済みのため、インターネットアーカイブが2025年9月9日に保存した写しで確認)
- 宗像市防災ホームページ(宗像市公式ウェブサイト内の防災サイトのトップページ)/宗像市防災情報ダッシュボード/宗像市防災Webマップ(内水浸水想定区域の前提条件)
- 宗像市議会会議録:平成24年第2回定例会(2012年6月14日)/平成24年第4回定例会(12月4日)/令和5年第1回定例会(2023年3月1日)/令和5年第4回定例会(12月6日)/令和6年第3回定例会(2024年9月3日・4日)/令和7年第3回定例会(2025年9月3日)/令和7年第4回定例会(12月3日)/令和8年第2回定例会(2026年6月29日・30日、7月2日)
- 福岡県防災ホームページ「8月9日からの大雨に関する情報」(第17報・最終報、2025年9月5日14時00分時点)/福岡県「道路の規制情報はこちらへ」
- 気象庁「過去の気象データ」宗像:2025年8月の日ごとの値/観測史上1〜10位の値/平年値/気象庁「地域気象観測所一覧」(観測所の所在地)
- OpenStreetMap(A・Bと1〜4の道路・線路の位置。© OpenStreetMap contributors)
- 国土地理院 住所検索API(番地・町の代表点)/地理院タイル(地図)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。冠水や通行止めは雨のたびに変わります。避難や通行の判断は、必ず宗像市と福岡県、国の最新の発表を確認してください。
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