国の想定では、鬼怒川があふれると常総市の大輪町や箕輪町などは、町・字の中心が2階も水没する5〜10mの区域に入ります。
実際に堤防が切れたのは2015年9月10日、常総市三坂町の上三坂地区で、約200mにわたって決壊しました。
先に結論
- ✓ 0.5m以上の浸水が1週間以上続く町・字の中心は17か所で、うち常総市が14か所。最長は常総市の笹塚新田町の2〜4週間
- ✓ 最大の水害は2015年9月の関東・東北豪雨。常総市の約3分の1にあたる約40km²が浸水し、約4,300人が救助された
- ✓ 上流の五十里・川俣・川治・湯西川の4ダムが無ければ、2015年の浸水戸数は約18,000戸(実績は約9,300戸)だったと国は試算。ただ国は、施設の能力を上回る洪水では「壊滅的な被害が発生するおそれがある」としている
鬼怒川が氾濫したら浸水する町

色が付いていない場所でも、浸水しないとは限りません。この地図は鬼怒川があふれた場合だけの想定で、支川の決壊、高潮、下水があふれる内水、ほかの川の氾濫は入っていません。
国の想定の雨は、宇都宮市の石井より上流で72時間に669mmです。
常総市のほかに町・字の中心が5〜10mの区域に入るのは、下妻市の赤須・江・桐ケ瀬、結城市の大字林、八千代町の大字下山川です。

2015年に堤防が切れた上三坂地区は、拡大図の鬼怒川水海道の観測所より上流の左岸(東側)にあります。

町・字の数は、町・字の中心1点が区域に入るかで数えています。中心が区域の外にある町・字でも端は浸かることがあり、同じ丁目の中でも深さは場所で違います。面積や世帯数ではありません。
常総市は町・字の中心90か所のうち71か所が区域に入り、0.5m未満が4か所、0.5〜3mが37か所、3〜5mが21か所、5〜10mが9か所です。
次は下妻市39か所(3m以上が9か所)、八千代町30か所(同6か所)、筑西市29か所(同7か所)です。

1週間以上続くのは常総市の大輪町・中沼・平町・笹塚新田町などと、坂東市の勘助新田などです。
常総市の豊岡町丁・横曽根新田町は、深さが0.5〜3mでも1〜2週間続きます。
台風シーズンが始まる前に、家へ置いておくもの
風で割れるのは窓、家に入ってくるのは水です。この2つは、進路が決まってから買いに走っても店の棚から消えています。
窓が割れるのを防ぐ道具ではありません。割れたあとの破片を膜で押さえるものです。飛散率を約1%まで落とせるのは防災安全合わせガラスですが、そちらは発注から施工まで日数がかかって台風の前には間に合いません。今日のうちに手を動かせるのはこちらです。貼るのは室内側です。
土のうは砂を詰める前提の道具ですが、住宅街ではその砂が手に入りません。水で膨らむ型なら平たいまま棚にしまえて、玄関の段差にも、下水が逆流してくる風呂・トイレの排水口の上にも置けます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
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鬼怒川の過去の水害と最近の大雨

2015年9月10日は常総市の若宮戸で6時過ぎに溢水が確認され、三坂町では11時ごろ越水し、12時50分ごろ決壊しました。
常総市の災害対策本部は10時15分ごろ、「上三坂地区,中三坂上・下地区」への避難指示を決めました。
10時31分の防災行政無線の放送原稿では、この「上三坂」地区が漏れていたと、市の検証報告書は書いています。
宅地と公共施設の浸水がおおむね解消したのは9月19日で、10日間かかりました。
鬼怒川上流の4ダムは、五十里ダムが1956年、川俣ダムが1966年、川治ダムが1983年、湯西川ダムが2012年に完成しました。
国は、4ダムが2015年に鬼怒川下流左岸の浸水深3m以上の浸水面積を概ね3分の1に減らしたとしています。
2019年の東日本台風の浸水約200haは、結城市・下妻市・筑西市などの主に内水氾濫でした。
2026年9月の台風第25号では、川の防災情報の10分ごとの記録(速報値)で、佐貫(下)・石井(右)・川島・鬼怒川水海道とも水防団待機水位に届きませんでした。

今の水位を見る場所

洪水予報の基準は、塩谷町の佐貫(下)、宇都宮市の石井(右)、筑西市の川島、常総市の鬼怒川水海道の4か所です。常総市は鬼怒川水海道、筑西市・結城市は川島を見ます。
観測所ごとの水位は国土交通省の川の防災情報、雨による川の危険度は気象庁の洪水キキクルで見られます。
2015年の決壊地点で、家と道路はどうなったか
国土技術政策総合研究所などの報告は、決壊地点から水流が直撃したと考えられる位置の建物について「ほとんどが基礎ごと流失し所在が不明であった」と書いています。
流されずに残った鉄鋼系プレハブ住宅は、長さ12mの杭19本を使った基礎でした。
「流されなかった家なら無事だった」とは言い切れません。この住宅もほぼ四周で地盤がえぐられ、室内は1階の床から約40cm浸かっていました。
近くでは、傾いた電柱に沿う舗装道路が約100mにわたって流失し、基礎ごと引き抜けた街灯もありました。
国は2016年8月2日、激しい氾濫流で家の倒壊や流出が想定される「家屋倒壊等氾濫想定区域」を公表し、常総市では鬼怒川の両岸に帯状に引いています。
流域の町のページ
道路の冠水(下水があふれる内水)は、この記事の地図に入っていません。流域の市区町村ごとの冠水・河川氾濫のページは次のとおりです。
あわせて読む真岡市の冠水|注意したい外堀アンダー ›
あわせて読む宇都宮市 冠水 どこが危ないの? ›
ここで扱った浸水想定は、国が鬼怒川について作った想定最大規模の想定です。今の状況は、市区町村の避難情報と川の防災情報を優先してください。
出典
2026年9月23日に確認
- 国土交通省「日本の川 関東 鬼怒川」
- 関東地方整備局「『平成27年9月関東・東北豪雨』に係る洪水被害及び復旧状況等について」(平成29年4月1日)
- 常総市水害対策検証委員会「平成27年常総市鬼怒川水害対応に関する検証報告書」(平成28年6月)
- 国土技術政策総合研究所・建築研究所「平成27年9月10日に茨城県常総市で発生した鬼怒川氾濫による建築物の被害調査報告」(平成27年10月26日)
- 下館河川事務所「鬼怒川緊急対策プロジェクト」(令和3年9月版)
- 下館河川事務所「出水速報 台風第19号(令和元年10月10日~14日)による出水状況等について」
- 関東地方整備局「鬼怒川直轄河川改修事業」(令和8年7月27日 河川整備計画フォローアップ委員会 資料-4-1)
- 下館河川事務所「利根川水系鬼怒川洪水浸水想定区域図(想定最大規模)・家屋倒壊等氾濫想定区域」(平成28年8月2日)
- 国土交通省「川の防災情報」の10分ごとの記録(速報値)をart-piで集計
- 国土交通省「国土数値情報 洪水浸水想定区域データ(河川単位)」令和7年度
- 国土交通省「位置参照情報」(町・字の代表点)
- 国土地理院「地理院タイル」(淡色地図・全国最新写真)
- 国土交通省「川の防災情報」
- アイキャッチ:国土地理院「地理院タイル(全国最新写真)」を加工して作成
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