静岡市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は20か所です。ところが国の一覧を「静岡市」で探しても、1か所も出てきません。
葵区、駿河区、清水区。市町村名の欄が3つの区に分かれて並んでいるからです。足すと20になって、静岡県では浜松市の39か所に次いで2番目になります。
この記事でわかること
- ✓ 20か所のうち13か所が清水区。市の3分の2が1つの区に集まっています
- ✓ 呼び名が区で割れます。葵区は4か所とも「地下道」、清水区は13か所とも「アンダーパス」
- ✓ 市の浸水実績図には「道路冠水だけ起きた場所」が塗られていません
箇所の数・種別・住所は国土交通省 中部地方整備局「道路冠水注意箇所」静岡県140か所と、箇所ごとの説明表20枚から数えました。水害ハザードマップと重要事項説明の扱いは静岡市 危機管理局 危機管理課、浸水実績図と巴川の区域は建設局 土木部 河川課 総合治水係の公表資料です。
13か所が清水区にあります

区ごとに数えると、清水区13、葵区4、駿河区3。清水区だけで全体の3分の2です。
13か所の内訳を住所で分けると、蒲原が4、市街地(八坂東・中之郷・大坪・巴町)が4、興津と袖師と横砂で3、庵原川ぞいの尾羽が2になります。蒲原は2006年に静岡市と合併した旧蒲原町の区域で、市のいちばん東のはしです。
尾羽の2か所は、庵原川橋東アンダーパスと庵原川橋西アンダーパス。説明表に付いている位置図を見ると、1本の橋の左右にひとつずつ赤い丸が打たれています。同じ川を渡るのに、両岸それぞれが注意箇所になっているということです。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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呼び名が区で分かれています
一覧の名称を並べると、気づくことがあります。葵区の4か所は柚木地下道、横田地下道、東森下地下道、小黒地下道。4か所とも「地下道」です。
いっぽう清水区の13か所は、八坂東アンダーパス、庵原川橋東アンダーパス、嶺神明アンダーパス……と、13か所とも「アンダーパス」。混ざっているのは駿河区だけで、鎌田アンダーパス、北村地下道、国吉田地下道の3つです。
全体でいうと地下道が6、アンダーパスが14。同じ市の同じ一覧なのに、東と西で言葉が違います。道路の種類で見ると、20か所のうち19か所が市の道で、県のものは清水区の中之郷アンダーパス1か所だけです。
市の実績図には、道路だけの冠水が載っていません
静岡市は、令和4年の台風15号について浸水実績図を公表しています。被害状況の調査をもとに、周辺の地盤の高さに応じて浸水したと思われる範囲を大まかに塗った地図です。
その注意事項に、短い1行があります。「道路冠水のみ発生した地域については着色しておりません」。
床上や床下まで水が入った家がある場所は塗られますが、道路に水がたまっただけの場所は白いままだということです。通れなくなった道は、市の実績図では見えません。国の一覧のような、道路だけを見た資料が別に要る理由がここにあります。
いま、冊子が配られています

静岡市の水害ハザードマップは、洪水と内水と高潮を1冊にまとめたものです。令和7年3月31日に新しく指定された84河川の区域、7月1日に公表された内水の区域、10月31日に指定された高潮の区域が重ねてあります。
市街地を対象にした南部版と、山間部を対象にした北部版の2種類。この冊子が、令和8年8月24日から9月30日にかけて市内の全世帯にポストへ直接投函されています。つまり、いま配られている最中です。
届いた冊子が見当たらない、破れていたという場合は、市が10月16日まで専用のコールセンターを開いています。
不動産の取引では、説明の対象です

市はこの地図について、「現在公表している水害(洪水、内水、高潮)ハザードマップは水防法に基づくハザードマップです。災害リスク上重要な情報となるため、重要事項説明時など宅地又は建物の取引の際にご活用ください」と書いています。
令和7年7月1日に水防法に基づく雨水出水浸水想定区域を指定したとき、市の危機管理課は静岡県宅地建物取引業協会にも周知を依頼しました。そこにはこうあります。「重要事項説明には、必ず説明くださるよう、加盟事業者への周知をお願いします」。
家を買うとき、借りるときに出てくる書類に、この地図が入るということです。同じ内水の地図でも、市によって扱いは違います。栃木県宇都宮市は令和8年3月30日から水防法に基づくものに改めましたが、対象になるのは地図の中の赤枠で囲まれたところだけ。兵庫県西宮市は図を2枚出していて、重要事項説明で使うのはどちらかを市が名指ししています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
巴川には、別の法律の区域があります

静岡市にはもうひとつ、水防法とは別の法律で決められた浸水の区域があります。巴川流域都市浸水想定区域です。根拠は特定都市河川浸水被害対策法の第32条第2項。
目標にしている雨は1時間で最大67ミリ、24時間で最大344.5ミリです。水防法の区域が「考えられる最大級の雨」を想定するのに対して、こちらは「ここまでは防ごう」という整備の目標として置かれた数字で、意味が違います。
対象は、巴川の流域で過去に床上・床下浸水の実績があった排水区。清水区の巴町アンダーパスは、その巴川の名前がついた場所です。市は巴川だけの浸水情報システムも別に動かしています。
水に入ってしまった車から出るまで

20か所とも、くぐる道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。進んだ先が急に深いのが怖いところです。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。水深がひざ下でも、流れがあれば大人は歩けません。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 浜松市 冠水 どこが危ないの?(静岡県) 39か所は県内最多、34か所が標高6.5メートル以下の南側にあります
- 焼津市 冠水 どこが危ないの?(静岡県) 18か所とも「地下道」。4か所は自転車と歩行者だけ、3か所は農耕車用です
- 磐田市 冠水 どこが危ないの?(静岡県) 標高は2.6メートルから81メートルまでばらばらです
- 沼津市 冠水 どこが危ないの?(静岡県) 国が数えたのは3か所だけ、3つとも沼津駅のそばの「ガード」です
- 豊橋市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 19か所のうち3か所は霞堤。堤防がわざと切ってある場所です
この記事のまとめ
静岡市で道路が冠水しやすい場所は20か所で、静岡県内では浜松市に次いで2番目です。国の一覧は葵区4、駿河区3、清水区13と区ごとに分かれているので、「静岡市」では出てきません。13か所が清水区にあり、そのうち4か所が蒲原です。呼び名は葵区が4か所とも「地下道」、清水区が13か所とも「アンダーパス」。20か所のうち19か所が市の道です。
市の水害ハザードマップは水防法に基づくもので、令和8年8月24日から9月30日にかけて全世帯に配られています。市は宅地建物取引業協会に「重要事項説明には、必ず説明くださるよう」と周知を依頼しました。いっぽう令和4年台風15号の浸水実績図には、道路冠水だけが起きた場所は塗られていません。巴川の流域には、特定都市河川浸水被害対策法に基づく別の区域(1時間最大67ミリ)があります。
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