津島市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は10か所です。
10か所の標高を引いて、画面を二度見しました。マイナス2.0、マイナス1.3、マイナス1.3、マイナス1.3、マイナス1.2。10か所のうち9か所が、海面より低いところにあります。
この記事でわかること
- ✓ 10か所とも市道。標高はマイナス2.0メートルからプラス0.1メートルまでです
- ✓ 管理者も警察署も消防署も、10か所すべて同じ。1つも割れません
- ✓ 市は内水のハザードマップを作っていません。代わりに「1日分」の道路冠水の地図を出しています
箇所の数・種別・住所は国土交通省 中部地方整備局「道路冠水注意箇所」愛知県262か所と、箇所ごとの説明表10枚から自分で数えました。地図の有無と冠水履歴は津島市 危機管理課のページです。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
10か所のうち9か所が、海面より低い場所です

津島市は名古屋の西およそ16キロ、木曽川と日光川にはさまれた平らな土地にあります。市自身が「市域の大部分は海抜ゼロメートル地帯」と説明している場所です。
国の一覧に載った10か所の標高を引くと、いちばん低いのが唐臼町油田のマイナス2.0メートル。西柳原町・東柳原町・立込町がマイナス1.3メートル、昭和町がマイナス1.2メートル、藤浪町がマイナス0.9メートル、藤里町がマイナス0.8メートル、橘町がマイナス0.6メートル、江東町がマイナス0.2メートル。プラスなのは老松町の0.1メートルだけです。
| 管理番号 | 路線 | 住所 | 標高 |
|---|---|---|---|
| 愛知県-02-072 | 市道 唐臼7号線 | 唐臼町油田13 | -2.0m |
| 愛知県-02-066 | 市道 愛宕根高線 | 西柳原町1丁目90番地1 | -1.3m |
| 愛知県-02-067 | 市道 愛宕根高線 | 東柳原町1丁目16 | -1.3m |
| 愛知県-02-071 | 市道 立込5号線 | 立込町4丁目178 | -1.3m |
| 愛知県-02-065 | 市道 昭和見越線 | 昭和町1丁目30 | -1.2m |
| 愛知県-02-069 | 市道 昭和藤浪5号線 | 藤浪町1丁目29 | -0.9m |
| 愛知県-02-070 | 市道 藤里今市場1号線 | 藤里町1丁目20 | -0.8m |
| 愛知県-02-064 | 市道 小辻新開北線 | 橘町3丁目73 | -0.6m |
| 愛知県-02-073 | 市道 江西江東2号線 | 江東町3丁目162番地 | -0.2m |
| 愛知県-02-068 | 市道 江東老松1号線 | 老松町1 | +0.1m |
10か所とも、住所が番地まで書かれています。町名だけで終わらせない市は多くありません。
ほかの市を同じ手順で調べると、低いところでも標高2メートルから3メートルはあります。津島市はそこがまるごと違います。「くぼんでいるから水がたまる」のではなく、土地そのものが海より低い。だから降った雨は、放っておけばどこへも流れません。ポンプで汲み上げて、はじめて外へ出ていきます。
市役所の住所は立込町2丁目21番地です。国の一覧には、その立込町の4丁目が入っています。役所のある町も例外ではない、ということです。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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10か所とも市道。電話をかける先も1つです

愛知県の一覧を数えると262か所ありました。名古屋市が40か所で最多、豊橋市19、田原市15、小牧市14、安城市14、豊田市13、あま市12、清須市11と続き、津島市は10か所で飛島村と並んで9番目です。
その10か所の区分は、10か所とも市町村道。国道も県道も1つも入っていません。管理者の欄は10か所とも津島市、警察署は10か所とも津島警察署、消防署は10か所とも津島市消防本部。13ある欄のうち、1つも割れませんでした。
これは市が小さいからというより、市域が1つの平らな低地でできているからだと思います。地形が割れないので、担当も割れません。
海部地域の7市町村だけで、41か所あります
県の一覧を市町村ごとに数えていて、もうひとつ気づいたことがあります。津島市のまわりが、そろって多いのです。
あま市12、津島市10、飛島村10、弥富市5、蟹江町2、愛西市1、大治町1。この海部(あま)地域の7市町村だけで41か所。愛知県262か所の16パーセントです。面積でいえば県のごく一部で、人口も多くはありません。
飛島村に至っては、人口5千人ほどの村に10か所。津島市と同じ数です。木曽三川の河口に広がる低地で、干拓と埋め立てを重ねてきた土地だからだと思います。
つまり「津島市が特別に危ない」のではなく、木曽川と日光川にはさまれた一帯がまとめて低いということです。市境をまたいで通勤する人は、隣の市町村の一覧も一度見ておくと、通る道の見え方が変わります。
この住所は浸水しやすい場所ですか
ここまでは市全体の話です。知りたいのは自分の住所がどうかだと思います。
内水のハザードマップは、作られていません

津島市の宅地建物取引業者向けのページに、水防法に基づくハザードマップの一覧が載っています。洪水は「あり」、高潮も「あり」。そして雨水出水(内水)は「現時点では作成しておりません」。
不動産を買うとき借りるとき、水害ハザードマップでその物件がどこにあるかを説明することが義務づけられていますが、対象は水防法に基づいて作られた地図だけです。津島市の場合、洪水と高潮は説明されますが、内水はそもそも地図がありません。
これは珍しい形ではありません。同じ連載で調べた埼玉県久喜市も内水の地図を公開していませんでした。ただ、海抜ゼロメートル地帯でそれが起きると、意味が重くなります。津島市で水が出るときは、川からあふれる前に、降った雨が行き場を失うほうが先に来るからです。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
市が出している道路冠水の地図は、1日分だけです
その代わりに、津島市は別のものを公開しています。「大雨のときに、ご注意いただきたい道路について」というページに、地図が2枚ぶら下がっています。令和7年7月17日の大雨による道路冠水履歴と、同じ日の道路規制履歴。
開くと、市の白地図の上に線が引いてあります。凡例は2色だけ。赤が市道、緑が県道です。国道の色はありません。冠水した道が線で描かれていて、点ではないので「どこからどこまで」が分かります。
線は市の北側と中心部に密に集まっていて、南側の田畑が広がるあたりにはほとんどありません。天王川公園の南東、市役所のまわりが特に細かく塗られています。たった1日でこれだけの道が浸かった、という絵です。
市は2つの注意書きを添えています。「本データは道路の冠水履歴をしめしており、家屋などの浸水を示したものではありません」。そして「道路の冠水履歴は、災害対応の中で確認できたもののみを記載しています。市内のすべての履歴ではありません」。職員が現場に行けなかった道は、線が引かれていません。
この地図は、国の一覧10か所とは別の資料です。国が数えているのは「掘り下げられた道路の構造」、市が描いているのは「その日、実際に水が乗った道」。10か所に入っていない道でも、線が引かれている場所はたくさんあります。両方を開いてください。
日光川の堤防が液状化すると、ほぼ全域が浸かります
もうひとつ、津島市の資料で押さえておきたい想定があります。平成26年5月に愛知県が発表した南海トラフ地震の被害予測です。
市はこう説明しています。津波による被害は少ないものの、二級河川日光川の堤防が液状化により被災した場合、ほぼ市域全域が浸水することが予測されている。
雨で水がたまる話と、地震で水が入る話は別のものです。ただ、どちらも同じ理由で起きます。土地が海より低く、堤防とポンプで水を外に出しているから。その仕組みが止まった日に何が起きるかを、市は2つの災害の側から書いています。
もし車で水に入ってしまったら


津島市の10か所は、ほかの市のような深いアンダーパスではありません。それでも、まわりより少し低いだけで水は集まります。土地全体が海より低いので、いったんたまると引きにくいのが違いです。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 名古屋市 冠水 どこが危ないの? 104.5ミリが降った千種区は、40か所に1つもありません(愛知県)
- 安城市 冠水 どこが危ないの? 台地の上なのに県内4番目の14か所、新幹線の下が1か所あります(愛知県)
- 四日市市 冠水 どこが危ないの?(三重県) 内水の地図に「対象外の地区」が7つある市です
- 久喜市 冠水 どこが危ないの?(埼玉県) 同じく内水のハザードマップを公開していない市です
- 岐阜市 冠水 どこが危ないの? 14か所のうち12が「地下道」で、国道は1つもありません(岐阜県)
この記事のまとめ
津島市で道路が冠水しやすい場所は10か所。10か所とも市道で、管理者も警察署も消防署も同じです。標高はマイナス2.0メートルからプラス0.1メートルで、9か所が海面より低いところにあります。土地そのものが海より低いので、降った雨は自然には流れません。
市は内水(雨水出水)のハザードマップを作っていません。代わりに令和7年7月17日の大雨1日分の道路冠水履歴と道路規制履歴を地図で公開しています。国の一覧と市の地図は別のものなので、両方を開いてください。
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