🗨️「マンションの地下が浸水すると、部屋は無事でも住めなくなるんですか」
そうなります。地下にある受変電設備が水に浸かると、エレベーターも給水ポンプも止まるからです。国は2020年6月にガイドラインを出していて、そこに書かれているのは「どこまで水を入れないかの線(水防ライン)を先に決める」という考え方です。個人の部屋では決められない話なので、管理組合の仕事になります。
[不動産] この記事の要点
2026年9月15日 発表
- 地下に電気室・機械室・機械式駐車場があるマンションの住民
- マンションの管理組合の理事・修繕委員
- 浸水想定区域にある物件を買おうとしている人
止まるのは電気だけではない
地下の受変電設備が水に浸かると、順番に他のものが止まります。国のガイドラインが冒頭で挙げているのは、令和元年東日本台風のときに実際に起きたことです。
| 止まるもの | そのあと起きること |
|---|---|
| 受変電設備(地下) | 建物全体が停電 |
| エレベーター | 高層階は階段だけになる |
| 給水ポンプ | 水道管が無事でも、上の階まで水が上がらない |
| 排水ポンプ | 下の階でトイレと排水が使えなくなる |
| 機械式駐車場 | 車を出せない |
ここが戸建てと決定的に違うところです。戸建ての停電は「不便」ですが、高層マンションの停電は水が上がらないことと同義になります。部屋そのものは1階分も浸かっていないのに、住み続けられない状態になります。
地図で調べたあと、家に置いておくもの
色がついていても、白でも、家に置くものは変わりません。自治体の備蓄は数日分が前提なので、最初の3日をしのぐ分は各家庭で持っておくものとされています。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
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ガイドラインが言っている「水防ライン」
このガイドラインの中心にあるのは、設備を高い場所へ移せという話だけではありません。建物のどこまで水を入れないかという線を、先に決めておくという考え方です。
洪水等の発生時においても建築物の機能継続(居住継続及び使用継続)を確保するためには、洪水等による浸水被害に備え、建築物における電気設備の浸水対策の充実を図ることが望ましい。(ガイドライン「はじめに」より)
線を決めたら、そこを越えて水が入る経路をひとつずつ塞ぎます。ガイドラインが挙げている経路は主に3つです。
| 入ってくる場所 | 中身 |
|---|---|
| 出入口 | エントランス、駐車場のスロープ |
| からぼり・換気口 | ドライエリア、地下の給排気口。ここは見落とされやすい |
| 排水・貯留設備 | 下水道からの逆流、建物内の貯留槽からの溢水 |
2つ目の「からぼり」は、地下室に光を入れるために建物の脇を掘り下げた空間のことです。水が集まる形をしているので、道路が冠水すると、玄関より先にここから入ります。
個人では決められない
ここが実務でいちばん引っかかるところです。地下の電気室も、からぼりも、換気口も、すべて共用部分です。自分の部屋の窓に止水板を付けるのとは話が違い、管理組合の決議がいります。
ガイドラインが「建築主、設計者、施工者、所有者・管理者、電気設備関係者」と関係者を並べて、それぞれの役割を書いているのもそのためです。誰が設定浸水規模を決めるのか、誰が発災時に動くのか。決めていないと、水が来てから相談することになります。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
買う前に見るなら、2つ
物件を選ぶ側でできることは、わりと単純です。ひとつは、ハザードマップでその場所の想定浸水深を見ること。もうひとつは、受変電設備と給水ポンプがどの階にあるかを管理会社か図面で確かめることです。この2つが重なったとき、部屋の階数や間取りとは関係なく、住み続けられるかどうかが決まります。
ガイドラインは新築だけでなく既存の建築物も対象にしていて、既存建築物向けの留意点の章が別に設けられています。いま住んでいる建物でも打てる手はある、という構成です
生活・仕事にどう効くか
- 住み続けられるか:部屋が無事でも、エレベーターと水が止まれば高層階では生活が成り立たない。避難ではなく「戻れない」状態が続く。
- 管理組合の決議:地下は共用部分。対策はひとつの住戸では決められず、総会の議案になる。
- 売るとき・買うとき:浸水想定区域かどうかは重要事項説明の対象。設備がどこにあるかは、図面か管理会社に聞かないとわからない。
結局どうすればよいか
- 自分のマンションの受変電設備と給水ポンプが地下にあるか、管理会社に確認する
- ハザードマップで、建物の位置の想定浸水深を確認する
- からぼり(ドライエリア)と換気口の位置を見ておく。水はそこから入る
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
ほかに使える無料ツール
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(2020-06発表)
- 国土交通省 報道発表「『建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン』をとりまとめました」(2020-06発表)
更新履歴
- 2026年9月15日 初版を公開。
※本記事は2026年9月15日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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