「板橋区 冠水」と打つと、いちばん先に出てくるのは「板橋区 冠水 どこ」です。
答えになる資料は2つあります。国が作った名簿と、区が58年つけてきた記録です。
この2つは、ほとんど重なりません。国の名簿にある町には区の記録が無く、区の記録でいちばん水が出ている町は国の名簿に載っていないからです。
この記事でわかること
- ✓ 国の一覧に板橋区の名前が出るのは10か所。9か所は標高23メートルより上の台地にあります
- ✓ 区は昭和43年からの浸水履歴を町丁目ごとに公開。床上がいちばん多いのは成増三丁目の92棟です
- ✓ 道路が冠水した記録は36回ぶん。名前がいちばん多く出るのは成増の15回と高島平の14回です
箇所の数と住所は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所マップ【東京都】」(令和8年6月15日時点・153か所)と、箇所ごとの説明表から取りました。浸水と道路冠水の記録は板橋区「浸水履歴」(2025年12月3日更新)を1件ずつ数えたものです。
国の一覧に名前があるのは10か所です
| 通称 | 路線 | 住所 | 標高 |
|---|---|---|---|
| 仲宿アンダー | 国道17号 | 板橋2丁目〜氷川町 | 26.0m |
| 北町アンダー | 国道17号バイパス | 練馬区北町3丁目 | 35.4m |
| 赤塚アンダー | 国道17号バイパス | 赤塚1丁目 | 28.0m |
| 徳丸アンダー | 国道17号バイパス | 赤塚1丁目 | 28.0m |
| 大門アンダー | 国道17号バイパス | 大門〜赤塚8丁目 | 29.3m |
| 馬坂アンダー | 国道17号バイパス | 大門〜三園1丁目 | 29.3〜6.2m |
| 熊野町アンダーパス | 都道317号 | 中丸町 | 31.2m |
| 南常盤台アンダーパス | 都道318号 | 南常盤台1丁目 | 23.0m |
| 向原トンネル | 都道441号 | 向原2丁目 | 35.6m |
| (名称なし) | 区道2943号線 | 赤塚8丁目22番地先 | 28.1m |
問い合わせ先は3つに分かれます。国道の6か所は東京国道管理第二課、都道の3か所は東京都建設局道路管理部保全課、区道の1か所は板橋区です。
標高は、説明表に書かれた字丁目を国土地理院の住所検索と標高で測った代表点の値です。地下道そのものの高さではありません。住所が2つの町にまたがる箇所は、両方を測って幅で載せました。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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3か所は「練馬区・板橋区」と両方の名前で載っています
北町アンダー、赤塚アンダー、徳丸アンダーの3つは、市区町村の欄が「練馬区・板橋区」になっています。ところが説明表の住所を開くと、北町アンダーは練馬区北町3丁目、赤塚アンダーと徳丸アンダーはどちらも板橋区赤塚1丁目でした。
気になるのは名前のほうで、徳丸アンダーの住所は徳丸ではなく赤塚1丁目でした。地図で徳丸を探しても、この箇所は見つかりません。
もうひとつ、東京都全体を見て分かったことがあります。都内153か所のうち国が直接管理する国道は24か所。そのうち国道17号と国道17号バイパスの6か所は管理番号が4番から9番まで続いていて、この6か所は6か所とも、板橋区の名前が入っています。
うち5か所は、区の北側を赤塚から三園へ抜ける国道17号バイパスの1本に並んでいます。
10か所のうち9か所は、標高23メートルより上です

10か所の標高を並べると、9か所が23.0メートルから35.6メートルの間に収まりました。残る1つが馬坂アンダーです。
馬坂アンダーの住所は「大門〜三園1丁目」。大門側は29.3メートル、三園1丁目側は6.2メートルでした。名前のとおり坂の途中にあって、台地から低地へ23メートル下る道の、いちばん下に近いところにあります。
いっぽう区内で低い町を測ると、舟渡2丁目2.5メートル、坂下3丁目2.5メートル、高島平7丁目3.0メートル、蓮根3.9メートル。荒川と新河岸川に沿った帯です。
この帯に、国の一覧の箇所は1つもありません。理由は単純で、平らな土地には掘り下げてくぐる相手がいないからです。10か所は「低いから」ではなく「くぐるために掘ったから」低くなっています。
さらに区の浸水履歴と突き合わせると、大門・赤塚1丁目・向原2丁目の3つには、昭和43年からの記録が1件もありません。国が「冠水するおそれ」と数えた町に、区の記録は残っていないということです。
区は58年ぶんの浸水履歴を、町丁目ごとに出しています

板橋区の「浸水履歴」は、昭和43年4月30日以降の被害を町丁目ごとにまとめたものです。令和7年3月からは、道路が冠水した箇所も同じ表に入りました。
全部の町丁目を数えると、記録があるのは122。区全体をまとめた行を除いて足すと、床上616棟・床下389棟でした。
いちばん多いのは成増三丁目の床上92棟。次が幸町の46棟、大谷口北町の38棟、中丸町の35棟、熊野町の26棟と続きます。
ここで標高を当ててみると、成増三丁目は18.8メートル、幸町は34.1メートル、大谷口北町は22.4メートル。床上浸水がいちばん多い3つの町は、どれも台地の上です。区内でいちばん低い舟渡は、4つの丁目を合わせても床上2棟・床下1棟しかありません。
低い土地は荒川の堤防と排水機場で守られていて、たまった水を川へ落とせます。台地の上は下水道に頼るしかないので、管があふれた分が窪地へ集まります。これが逆転の中身です。
道路が冠水した日と場所も、日付つきで出ています

もう1つの表が「道路冠水箇所一覧表」です。平成12年9月12日から令和7年9月10日まで、36回ぶんの大雨について、町名・丁目・番が並んでいます。
名前が出てくる町は50。回数でいちばん多いのが成増の15回、次が高島平の14回。坂下・西台・前野町が8回ずつ、三園が7回で続きます。
丁目まで見ると、はっきりした場所が浮かびます。成増五丁目19番は8回、高島平三丁目12番は7回、西台二丁目19番は5回。同じ番地が20年以上のあいだ、何度も表に載っているということです。
おもしろいのは高島平三丁目で、記録は9回あるのに床上も床下も0です。9回とも、浸かったのは家ではなく道でした。成増五丁目も11回のうち床上は2棟だけで、ほとんどが道路の冠水です。
同じ成増でも、三丁目は家が浸かり、五丁目は道が浸かる。町の名前だけで判断できないのは、このためです。
この一覧の最後は令和7年9月10日です。2026年8月22日に板橋区付近で降った大雨は、まだ入っていません。表に無い=起きていない、ではありません。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
この住所は浸水しやすい場所ですか
洪水、内水、土砂災害。見る資料はそれぞれ別の場所に置かれています。1枚ずつ探すのは手間なので、住所を入れるだけでまとめて確認できるページを用意しました。
先月の120ミリは、区の記録より多い雨でした

浸水履歴には、その日の総雨量と1時間雨量も書いてあります。区の記録でいちばん強いのは平成22年7月5日の1時間113ミリ(総雨量135ミリ)でした。
この日は36の町で道路が冠水し、成増三丁目で床上34棟、大谷口北町で床上38棟の被害が出ました。
そして2026年8月22日17時17分、気象庁は板橋区付近で1時間120ミリ以上という記録的短時間大雨情報を出しました。レーダーで解析した値なので雨量計の記録とは別物ですが、区がこれまで書き残してきた113ミリより多い数字です。
国が置いている想定は、さらに上にあります。関東は1時間153ミリ。これは全国を降り方の似た15の地域に分けて決めた値で、近畿と中部は147ミリ、四国南部は160ミリ、東北東部は120ミリです。
東京23区の下水道は1時間50ミリを基本に整備されてきました。8月22日の120ミリは、その2.4倍にあたります。

もし車で水に入ってしまったら

板橋区の10か所は、どれも上を国道か鉄道が通るくぐる道です。手前から見ると水は平らに見えて、いちばん深い真ん中の底は見えません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市区も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 練馬区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 10か所とも標高28メートルより高い、武蔵野台地の上にあります
- 足立区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 7か所とも標高2メートル未満、千住旭町は海面より下です
- 大田区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 4つが空港と港のトンネル。都内でただ1つの「ずい道」もここです
- 板橋区はなぜ冠水しやすいの? 8月22日に1時間120ミリ以上が降った日の記録と、区内34メートルの高低差
この記事のまとめ
板橋区で道路が冠水しやすい場所として国が名前を出しているのは10か所。9か所は標高23メートルより上の台地にあり、区内でいちばん低い舟渡や高島平には1つもありません。
いっぽう区は昭和43年からの浸水履歴を町丁目ごとに公開しています。床上がいちばん多いのは成増三丁目の92棟、道路冠水の記録にいちばん多く名前が出るのは成増の15回と高島平の14回。国の名簿と区の記録は、別々の質問に答えています。
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所マップ【東京都】」153か所(令和8年6月15日時点)と、道路防災情報の地図ページに付いている箇所ごとの説明表
- 板橋区「浸水履歴」地域別浸水履歴(昭和43年4月30日以降。2025年12月3日更新)と「道路冠水箇所一覧表(H12.9.12〜)」
- 気象庁「記録的短時間大雨情報」2026年8月22日 東京都板橋区付近
- 東京都下水道局「今後の下水道浸水対策のあり方検討委員会 報告書」(2021年12月)
- 国土交通省 水管理・国土保全局「浸水想定(洪水、内水)の作成等のための想定最大外力の設定手法」(平成27年7月)
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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