世論調査の電話は、報道機関がコンピューターで無作為に作った番号にかけています。名簿は使わず、かける側も相手が誰かを知りません。この方式をRDD(アールディーディー)と呼び、共同通信・NHK・読売新聞・朝日新聞が内閣支持率の調査に使っています。
10月17〜18日の共同通信の調査では、高市内閣の支持率が49.1%となり、政権発足以来初めて50%を下回りました。結果は内閣支持率のニュースにまとめています。
先に結論
- ✓ 番号はコンピューターが無作為に作る。名簿は使わない
- ✓ 答えるのは1回あたり約1,000〜2,000人。1,000人なら誤差は±3ポイントほど
- ✓ 社ごとに支持率がちがうのは、聞き方・調べ方・調査日のちがい
番号は無作為に作られる
RDDは「ランダム・デジット・ダイヤリング」の略です。共同通信は自社の解説で、コンピューターが作った番号にオペレーターが電話をかけ、固定電話と携帯電話の両方にかけていると説明しています。名簿は使っておらず、誰に電話しているのかも分からないとしています。
読者
うちは新聞を取っていないのに、どうして番号を知っているの?
知っているわけではないんです。朝日新聞も、ランダムに出した数字を組み合わせて番号を作り、オペレーターがかけていると説明しています。作った番号が、たまたまお宅の電話だったということです。
固定電話がつながっても、最初に出た人に答えてもらうとは限りません。朝日新聞は、その家に住む有権者の人数を聞き、コンピューターでその中から1人を選びます。選んだ人が不在なら、人を変えずに時間をおいてかけ直します。共同通信も、家族の人数を聞いて「年齢が上から2番目の人」のようにお願いすることがあるとしています。最初に出た人だけに聞くと、家にいることが多い高齢の人などに答えが偏るためです。
固定電話を持たない人が増えたことから、朝日新聞は2016年から携帯電話も調査の対象にしました。次の表の電話調査4社は、どこも固定と携帯の両方にかけています。

各社の調べ方と回答数
内閣支持率を出している社が、記事の末尾や解説で公表している調査の方法です。2026年10月18日時点で確認できた最新の回を並べました。
| 調査した社 | 調査日 | 方法 | 答えた人 | 支持率 |
|---|---|---|---|---|
| 共同通信 | 10月17〜18日 | 電話(RDD、固定と携帯) | 1,050人(固定424・携帯626) | 49.1% |
| NHK | 10月10〜12日 | 電話(RDD、固定と携帯) | ― | 51% |
| 時事通信 | 10月9〜12日 | 調査員の個別面接(対象2,000人) | 有効回収率58.4% | 42.4% |
| 読売新聞 | 9月17〜18日 | 電話(RDD、固定と携帯) | 1,001人(固定398・携帯603) | 59% |
| 朝日新聞 | 毎月 | 電話(RDD、固定と携帯) | 1,200人が目標 | ― |
| 社会調査研究センター | 9月26〜27日 | スマートフォンのネット調査(会員約8,000万人から無作為に選ぶ) | 1,944人 | 45% |
出典は末尾の一覧のとおりです。NHKの回答数は、確認できた記事に載っていませんでした。朝日新聞の行は、同社の解説記事にある目標の人数です。社会調査研究センターは埼玉大学発の調査会社で、NTT(エヌティーティー)ドコモの会員を母集団にした調査を行っています。毎日新聞が9月に見出しで報じた内閣支持率も、同じ45%でした。
電話以外の方法もあります。時事通信は、調査員が対象者に会って聞く個別面接です。読売新聞は電話とは別に郵送の調査も行っていて、全国から無作為に選んだ3,000人に調査票を送り、有効回答は2,000人(回答率67%)でした。
自動音声の電話もあります。社会調査研究センターは、固定電話には自動音声で質問し、携帯電話にはショートメッセージで回答画面を送る方式を開発し、報道機関の調査を行ってきたと説明しています。自動音声というだけで偽物とは決まりません。
支持率が社ごとに違う理由
同じ10月でも、支持率は時事通信42.4%、共同通信49.1%、NHK51%と、最大で8.6ポイント開きました。違いが出るところは、次の3つです。
- 聞き方:共同通信と朝日新聞は1回だけ聞き、答えなかった人は「分からない・答えない」に入れる。別の社は「どちらかといえば、支持しますか、支持しませんか」と重ねて聞くので、支持も不支持も増える
- 調べ方:電話・面接・スマートフォンで、答えた人の割合が違う。読売新聞の9月の電話調査では、回答率は固定53%、携帯24%だった
- 調査日:簗和生前農相は10月14日に辞表を出した。時事通信とNHKの調査はその前、共同通信の調査はその後に行われた
共同通信も朝日新聞も、数字が違っても、上がり下がりの傾向はだいたい一致すると説明しています。

約1億人の有権者の気持ちを、1,000人ほどで測れるのは、無作為に選んでいるからです。共同通信は、約千人でも無作為に選べば男女や年代の割合が有権者全体に近づき、最後に国勢調査と同じ構成比になるよう補正していると説明しています。読売新聞も、男女・年代・地域の割合を総務省の人口構成比に合わせて補正しています。
それでも誤差はあります。国の世論調査の報告書に載る早見表では、無作為に選んだ場合の誤差(95%の確からしさ)は次のとおりです。
| 答えた人の数 | 結果が50%のとき | 結果が10%のとき |
|---|---|---|
| 2,000人 | ±2.2ポイント | ±1.3ポイント |
| 1,000人 | ±3.1ポイント | ±1.9ポイント |
| 500人 | ±4.4ポイント | ±2.6ポイント |
出典:農林水産省「食育に関する意識調査(令和5年度)調査結果の見方」の標本誤差の表。
1,000人ほどで支持率が50%前後なら、本当の値はおよそ±3ポイントの幅の中にあります。前回から1〜2ポイント動いただけでは、この幅に収まります。1回の数字より、何か月かの向きと、複数の社の向きをそろえて見るほうが確かです。
X(エックス)のアンケート機能のような投票は、答える人を無作為に選べないため、世論調査とは別物です。朝日新聞は、何万人が答えても偏っていれば「有権者全体の縮図」にならないと説明しています。
電話を受けたときは
報道機関の世論調査の電話では、内閣を支持するか、支持する政党、話題になっている政策などを聞かれます。家族の人数や年齢を聞かれるのは、答える人を選ぶためです。答えない人も多く、読売新聞の9月の調査では、携帯電話で応答した2,504人のうち答えたのは603人でした。
注意したいのは、調査を名乗る別の電話です。国民生活センターには、国勢調査をかたる自動音声の電話の相談が寄せられています。番号を無作為に作る世論調査では、相手はあなたの名前も知りません。口座やお金の話が出たら、その場で切ってください。
不審な電話の相談は、消費者ホットライン188(いやや)へ。世論調査のほかに、投票した人に聞く出口調査のしくみは「沖縄知事選 出口調査」、新聞を取っている人の割合を聞いた調査は「新聞購読率 5割割れ」、各社が質問している消費税の減税の行方は「消費減税法案」にまとめています。
出典
- 共同通信「内閣支持、最低49% 農相更迭『遅過ぎ』57%」(東奥日報掲載、2026年10月18日)
- 共同通信「共同通信社の電話世論調査とは」(日本経済新聞掲載、2026年4月5日)
- NHK「高市内閣支持率51% 不支持32% NHK世論調査」(2026年10月13日)
- 時事通信「内閣支持率42%に下落」(nippon.com掲載、2026年10月15日)
- 読売新聞「2026年9月 電話全国世論調査 質問と回答」
- 読売新聞「[新聞週間]読売世論調査 質問と回答」(郵送法)
- 朝日新聞「【そもそも解説】朝日新聞の世論調査」(2025年10月24日)
- 社会調査研究センター「9月26-27日実施 全国世論調査の結果」・会社概要
- 農林水産省「食育に関する意識調査(令和5年度)調査結果の見方」
- 国民生活センター「国勢調査をかたる不審な電話や訪問に注意」(2025年9月11日)
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