浦安市が市全域について出している液状化の危険度の図は、1枚のPDFにまとまった1種類だけです。それは2011年の被害の範囲ではなく、想定の計算図なので、色だけで土地や中古住宅の安全を決めると読み違えます。
市は2011年の被害を記録した資料に、「液状化及び下水道施設破損エリア」の地図も載せています。
公式資料の確認日:2026年10月13日。市の「浦安市震度分布図・液状化危険度分布図」(令和5年5月11日更新)と、千葉県の令和8年5月の概要を確認しました。本文の地図は、国土地理院が配信する千葉県の液状化の図(前回想定)で、個別宅地の調査結果ではありません。
市の液状化マップの中身
市の不動産取引向けのページは、市のハザードマップを洪水・内水・高潮の3種類とし、液状化は「震度分布図・液状化危険度分布図」として別に案内しています。
ページ名は「浦安市震度分布図・液状化危険度分布図」です。危機管理課が令和5年5月11日に更新したページに、1ページのPDFが付いていて、震度の図と液状化の図が載っています。
震度の図は、震源を浦安市の直下5.1キロ、マグニチュードを7.1に決めた想定です。液状化の図は、地盤調査をもとに浦安の地盤をモデル化し、内陸直下型地震(レベル2)による「地震動や液状化の影響の程度」を計算したものと説明されています。元の調査は平成23年度です。
凡例の文字は「液状化の影響が大きい」「液状化の影響が小さい」の2語です。PDFの文字から確認できたのは、ここまでです。色が付いていない場所の説明や、指数の数値は見つけられませんでした。
市は著作権のページで、引用などを除く無断の複製・転用を認めていません。そのためこのページには市の図を載せず、市の名前で探せる入口だけを案内します。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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県の想定は新旧で別物
千葉県は令和8年(2026年)5月に、新しい地震被害想定の概要を公表しました(県のページの更新日は5月26日)。千葉県北西部直下地震で、液状化が原因の全壊・焼失の建物は、県全体で前回の約1,700棟から約2,100棟に増える想定です。県は理由を「地盤モデルの更新などにより増加」と書いています。
ただし、この概要に浦安市の液状化の数字はありません。県のページは「詳細については後日公開予定」としています。
国土地理院の「重ねるハザードマップ」で見られる千葉県の液状化の図は、その前回の想定です。平成26・27年度の調査で、千葉県北西部直下地震を想定し、250mメッシュ、液状化対策は考慮していません。

この前回の図では、元町(主に当代島・北栄・猫実・堀江)に緑の「低い」が広がります。埋立地側は、赤や橙の「高い」「やや高い」と緑が入り交じります。この色分けは想定の計算で、2011年に実際に起きた被害の広がりとは別のものです。
読者
県の図で「低い」なら、その町は大丈夫ですか?
国土地理院の説明は、液状化危険度が低い地域でも、地震の位置や規模によって危険度が高くなる場合があるとしています。図は想定の1つで、保証ではありません。
2011年に起きたこと
2011年3月11日の東日本大震災で、浦安市は震度5強でした。約30分後の余震は震度5弱です。1960年代から1980年にかけて埋め立てた中町・新町(約1,455ヘクタール)の「ほぼ全域」で液状化が起きたと、市の報告書は書いています。
液状化による建物の被害は、国土交通省の調べ(平成23年9月現在)で全国約27,000棟のうち約8,700棟が浦安市でした。市の調査では、戸建てなど小さな建物のうち約3,700棟が、半壊以上(1/100以上の傾き)の被害認定を受けています。対象と基準が違うため、この2つの数字は足したり比べたりできません。
下水道は、管路のたるみやマンホールの浮上が起き、最長で約1か月、使用が制限されました。市は、家屋の倒壊や火災はなく、人的な被害もなかったと書いています。
被害が大きかった場所には傾向がありました。埋め立てに使った、細かい粒を多く含む砂の層が厚いほど、地下水位が浅いほど、被害は大きかったとされています。地盤を締め固める工法などで対策をした場所では、道路や歩道に損傷はなく、敷地内の噴砂も確認されませんでした。
県の前回の図では埋立地にも緑の「低い」が混ざりますが、2011年は中町・新町のほぼ全域で液状化が起きました。
浦安の元町は液状化するのか
市の資料は、埋め立てて造った場所を中町・新町と書き、元町は分けています。それでも、市が3学会(地盤工学会・土木学会・日本建築学会)に委託した液状化対策技術検討調査は、東京湾北部地震(マグニチュード7.3)と1923年の関東地震(マグニチュード7.9)を想定して計算し、「元町地域を含む浦安市全域において液状化の発生する危険性が高い」と結論しています。
この想定の規模(7.3と7.9)は、市の震度分布図のマグニチュード7.1とは別の設定です。市の液状化図が使った地震の規模はPDFに書かれておらず、この調査の想定と同じかどうかは確認できていません。
市の「地区防災View(ビュー)」(令和6年3月1日更新)は、元町地域(主に当代島・北栄・猫実・堀江)を洪水浸水想定区域としています。ページの本文に液状化の言葉はありませんが、リンク先の元町編PDFの被害想定の欄には「上記のほか、市内全域で液状化現象の可能性」とあり、市の液状化図も付いています。
読者
うちは元町だから、液状化は関係ないですか?
関係ないとは言えません。ただし地震を想定した計算で、実際の地盤は敷地ごとに違います。自宅の地盤調査の資料で確かめます。
宅地の対策の現状
浦安市は平成24年度から、戸建て住宅地の「市街地液状化対策事業」を進めました。住民の要望を受けて16地区(4,103宅地)を検討し、合意が整った3地区(471宅地)で、格子状に地盤を固める工事に着手しています。
工事が終わったのは、令和元年8月に完了した東野三丁目の33宅地、1地区だけです。弁天二丁目は着手後に一部の住民が工事に協力できない意向を示し、舞浜三丁目は埋め立て時のドレーン材が地中に残っていると分かって、それぞれ事業を中止しました。

市の評価書には、費用と期間も書かれています。市の支援を入れても、地権者1人あたりの負担は約200万円。検討から工事の完了まで、合計で約8年かかりました。
市の防災の補助金のページには、自主防災組織の2件だけが載っていて、宅地の液状化対策や地盤調査の補助は見当たりません。ほかの課に制度があるかは、確認できていません。
私は、この数字から「浦安は対策が進んだ町」とも「何もしていない町」とも言えないと考えています。面で対策した地区は少なく、土地や中古住宅を選ぶときは、その宅地ごとの記録を見る必要があります。
購入や建て替えの前には、地盤調査の報告書、地盤改良の施工記録、基礎の図面をそろえて確認します。柱状改良をした戸建てのうち一部で沈下・傾斜が出たのは、埋め立ての層の下まで改良が届いていなかったためと考えられる、と市の調査は書いています。資料がなければ、分かっていない項目を残したまま、地盤の専門家に相談する順番です。
災害リスク診断は、住所から洪水・津波の浸水想定や、地盤の揺れやすさ(約250mメッシュ)などを調べる入口です。液状化の判定や、地盤改良の効果は返しません。市の資料と宅地の地盤調査を置き換えずに使います。
浦安市の液状化は、市の危険度図1枚、県の前回の図と新しい想定、2011年の記録を、それぞれ別の条件として並べると読み解けます。図の色だけで町の安全を決めず、自宅の地盤の記録まで進んでください。
出典・原資料
- 浦安市「浦安市震度分布図・液状化危険度分布図」(令和5年5月11日更新・危機管理課)
- 浦安市「液状化対策技術検討調査 結果概要」/「市街地液状化対策検討委員会 報告書」(平成28年9月)/「東日本大震災への対応」(平成23年6月1日)
- 浦安市「復興交付金事業計画の個別事業の実績に関する評価様式(D-19-1)」
- 浦安市「不動産取引時の説明事項」(令和7年12月4日更新)/「地区防災View」(令和6年3月1日更新)/「防災などに関する補助金」/「著作権」
- 千葉県「千葉県地震被害想定調査(令和6・7年度)」(千葉県ホームページ・更新日令和8年5月26日)
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」千葉県液状化危険度分布図(平成26・27年度千葉県地震被害想定調査より)
浦安市はリンク先をトップページと定めているため、市の資料は資料名で示しています。
アイキャッチの航空写真:国土地理院・地理院タイル「全国最新写真」を加工。地震被害を撮影した写真ではありません。本文の図の作成:おかあさんのおうち。
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