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寮費 天引き/敷金は入れられません

目次

そもそも、給料から引くには協定が要ります

もう一段さかのぼると、労働基準法の話になります。運用要領は関係法令として第24条第1項を引いています。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(中略)当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

— 労働基準法第24条第1項

原則は全額払いです。控除できるのは、法令に定めがあるとき(所得税や社会保険料など)か、労働者の過半数代表との書面による協定があるときだけ。寮費や食費を引くには、この協定が要ります。外国人だけの話ではなく、日本人の社宅・寮でも同じ条文が効きます。

特定技能の場合はさらに、雇用条件書(参考様式第1-6号)に控除する費用の名目と額を明記し、本人が十分に理解できるようにしなければならない、と運用要領が定めています。

初任給が0円になった件で、東京地裁が支払いを命じました

この話が9月11日に判決として出ました。東京地方裁判所は、在留資格「特定技能」で都内のラーメン店に勤めていたミャンマー国籍の30代女性が運営会社を訴えた裁判で、会社に約100万円の支払いを命じています。

報道によると、女性は2025年1月に来日し、基本給は約25万円。ところが会社が寮の敷金や贈答品の初期費用などを一方的に差し引いたため、最初の月の手取りが0円になりました。判決は労働基準法に違反する控除だと認め、未払い賃金約56万円と損害賠償約40万円の支払いを命じています。特定技能では勤務先を変えることに制約があると会社が知りながら優越的な立場を利用した、という指摘も判決に入っています。

当事者の氏名や会社名はここでは書きません。読者に効くのは、判決が認めた中身のほうです。

天引きが適正でないと、会社は人を雇えなくなります

会社側にとっての罰は、支払い命令だけではありません。運用要領は受入れ機関の欠格事由の説明で、こう書いています。

食費・住居費等を天引きしている場合であっても、天引きしている金額が適正でない場合には、本欠格事由に該当する可能性があります。

— 同運用要領(「手当又は報酬の一部又は全部を支払わない行為」の説明)

欠格事由に当たると、特定技能外国人を受け入れられなくなります。寮費の引きすぎは、民事の未払い賃金という一点ではなく、人を雇い続けられるかどうかに直結するということです。

給与明細の控除欄を、1回だけ見てください

会社の寮や社宅に住んでいる人は、給与明細の控除欄に「寮費」「住宅費」の行があるはずです。確かめるのは3つだけです。

1つめ、その名目と額が雇用条件書に書かれているか。2つめ、控除の根拠になる労使協定があるか。3つめ、額が実費の範囲に収まっているか。3つめは、借りている部屋の賃料を入居人数で割れば自分で当たりがつきます。敷金や礼金、仲介手数料が毎月の寮費に混ざっているなら、特定技能の基準では認められていない形です。

生活・仕事にどう効くか

  • 借上げの寮:徴収してよいのは借上げに要する費用(管理費・共益費を含む)を入居人数で割った額まで。敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金は含めてはいけない。
  • 会社が持っている寮:建設・改築などに実際にかかった費用(土地の購入代・造成費は除く)、耐用年数、入居人数を勘案して出した合理的な額まで。
  • 水道・光熱費:実際にかかった費用を、その宿舎で同居している人(会社側やその家族を含む)の人数で割った額まで。

結局どうすればよいか

  • 給与明細の控除欄に「寮費」「住宅費」がある人は、雇用条件書に名目と額が書かれているか確かめる
  • 控除の根拠になる労使協定(過半数代表との書面による協定)があるかを会社に確認する
  • 徴収額が実費より高いと感じたら、借りている部屋の賃料と入居人数で割り算して突き合わせる

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公式出典

更新履歴

  • 2026年9月12日 初版を公開。判決の内容は報道、控除のルールは出入国在留管理庁の運用要領にもとづく

※本記事は2026年9月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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