🗨️「スマートキーは、玄関からどれくらい離して置けばリレーアタックを防げるの?」
警察庁は距離を示していません。書いてあるのは「玄関先に置かず、電波を遮断できるケースに入れる」の2つです。ネットで見かける「1メートル離せば安全」も「20メートル必要」も、公的な根拠はありません。
[事件・事故] この記事の要点
2026年9月10日 発表
- 自宅の駐車場や車庫に車を置いている人
- スマートキーを玄関やその近くに保管している人
- 愛知・埼玉・神奈川・茨城・千葉に住んでいる人
盗まれる場所が、駐車場から自宅へ入れ替わった
警察庁が2026年2月に公表した資料で、令和7年の自動車盗の認知件数は6,386件でした。前年より306件(5.0パーセント)増えています。ただ、この記事で見てほしいのは件数ではなく、どこで盗まれたかのほうです。
| 盗まれた場所 | 平成15年 | 令和7年 |
|---|---|---|
| 一般住宅 | 8.7%(5,574件) | 45.2%(2,885件) |
| 駐車(輪)場 | 63.1%(40,499件) | 27.9%(1,780件) |
| 道路上 | 14.2%(9,110件) | 3.1%(200件) |
20年ちょっとで、上下がそっくり入れ替わっています。全体の件数は64,223件から6,386件へ10分の1になったのに、一般住宅で盗まれた件数だけは5,574件から2,885件と、半減にとどまりました。件数が減りにくい場所が自宅だった、ということです。45.2パーセントは統計のある平成15年以降で最も高い割合です。
同じ資料には、キーを差したまま・車内に放置した状態で盗まれた「キーあり」と、それ以外の「キーなし」の内訳もあります。令和7年のキーなしは77.8パーセントで、こちらも過去最高でした。4台に3台は、鍵を持っている状態で持っていかれています。
うちは鍵を玄関の靴箱の上に置いているけど、あれって危ないの?
警察庁の資料には、その置き方が名指しで書かれています。次の節で原文を出します。
警察庁が書いているリレーアタック対策は、距離ではない
「玄関から何メートル離せば安全か」を探して来た人には、先に結論を書いておきます。公的な資料に距離は書かれていません。
警察庁の資料の「盗難防止対策」には、こうあります。
リレーアタックによる被害を防止するため、スマートキーは玄関先に置かず、電波を遮断できるケースに入れる等の対策をしましょう。
警察庁 生活安全企画課「自動車盗難等の発生状況等について」(令和8年2月)
示されているのは「玄関先に置かない」と「電波を遮断できるケースに入れる」の2つで、メートル数はありません。手口の説明のほうにも、玄関先等に保管しているスマートキーから発する微弱な電波を特殊な機器で中継して
とだけ書かれています。距離ではなく置き場所と遮断で語られている、というのが公的な資料の書きぶりです。
ネットには「1メートル離せば届かない」から「20メートル必要」まで、10倍以上ひらいた数字が並んでいます。私は、この数字のばらつきに付き合うより、缶に入れてしまうほうが確実だと考えています。中継機の性能も、家の壁の素材も、隣に停めた車の位置も、読者の側では確かめようがないからです。距離を測って安心するのは、確かめられない条件の上に立つことになります。
狙われているのは、どの車か
同じ資料には、車名別の盗難台数も載っています。「千台当たり」は、その車の保有台数で割った数字です。台数の多さではなく、持っている人から見た確率に近いのはこちらです。
| 車名 | 令和7年の盗難台数 | 千台当たり |
|---|---|---|
| ランドクルーザー | 1,177台 | 3.5 |
| プリウス | 424台 | 0.2 |
| アルファード | 303台 | 0.4 |
| レクサスLX(エルエックス) | 195台 | 19.7 |
| ハイエース | 209台 | 0.2 |
台数だけならランドクルーザーが1,177台で突出していますが、保有台数で割るとレクサスLX(エルエックス)が19.7で最も高くなります。1,000台のうち20台近くが1年で消えている計算です。ハイゼットやキャリイのような軽トラックも上位10位に入っていて、資料は古い型式の車やトラックを狙った犯行も発生している
と書いています。新しくて高い車だけの話ではありません。
住んでいる都道府県で、遭う確率がまるで違う
令和7年の認知件数は、愛知1,051件・埼玉756件・神奈川649件・茨城540件・千葉539件で、この5県だけで全国の55.4パーセントを占めます。一方、秋田は3件、鳥取と島根と徳島は5件でした。愛知の1,051件と秋田の3件では、350倍の開きがあります。
資料は、盗まれた車が県境をまたいで解体ヤードなどへ運ばれ、海外に不正輸出されている実態にも触れています。港と高速道路のある地域に集中しているのは、そのためです。引っ越し先を選ぶときに気にする種類の数字ではありませんが、いま住んでいる県が上位5県なら、対策の順番を早めるだけの理由にはなります。
自宅の駐車場で、今日できること
警察庁が挙げている自宅駐車場向けの対策は、センサーライト・防犯カメラ・車止めポールの3つです。原文は自動車盗難は、自宅駐車場で最も多く発生していますので
という書き出しで始まります。表の入れ替わりを、そのまま対策の文章にしたかたちです。
3つとも、家を建て替えたり駐車場を作り直したりせずに後から付けられます。賃貸のカーポートでも、電池式のセンサーライトなら壁に穴を開けずに設置できます。先に手を付けるなら、鍵の置き場所を変えることです。これだけは費用がかからず、今日のうちに終わります。
もう一つ、資料に載っていて見落とされやすいのが、部品ねらいのうち39.7パーセントがナンバープレートだという数字です。盗まれたナンバープレートは別の犯罪に使われることがあり、警察は盗難防止ネジの普及を進めています。車そのものが無事でも、プレートだけ持っていかれることはあります。
生活・仕事にどう効くか
- 盗まれる場所:平成15年は月極などの駐車場が63.1%で自宅は8.7%だった。令和7年は自宅45.2%・駐車場27.9%で、完全に入れ替わっている。
- 鍵の置き場所:警察庁の対策は「玄関先に置かない」と「電波を遮断できるケースに入れる」の2点。何メートル離すという記載はない。
- 住まいの設備:警察庁は自宅駐車場にセンサーライト・防犯カメラ・車止めポールを挙げている。後から付けられるものばかりで、家を建て替える必要はない。
結局どうすればよいか
- スマートキーを玄関・玄関横の靴箱・玄関ドアのそばから動かす
- 電波を遮断できるケース(金属の缶でも代用できる)に入れて保管する
- 自宅の駐車場に、センサーライトか防犯カメラのどちらかを先に付ける
- 自宅以外に停めるなら、見通しがよく照明と防犯カメラのある駐車場を選ぶ
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
- 警察庁 生活安全企画課「自動車盗難等の発生状況等について」(令和8年2月)(2026-02発表)
更新履歴
- 2026年9月10日 初版を公開
※本記事は2026年9月10日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。


コメント