🗨️「日経平均が6万8,000円台というニュースを見ました。株が上がっているなら、うちのマンションも高く売れるようになっているんですか?」
7月の実データは逆を向いています。首都圏の中古マンションは、成約㎡単価が前年比マイナス1.5%と3か月連続で下落し、成約件数も8.6%減りました。上がり続けているのは「売り出し価格」のほうです。
[不動産] この記事の要点
日経平均株価は8月13日に前日比784円高の6万8,308円59銭を付け、14日も4日続伸して6万8,713円80銭で取引を終えました(TOPIXは史上最高値を更新)。一方、東日本レインズが8月10日に公表した7月度の首都圏中古マンション市場は、成約㎡単価が前年比マイナス1.5%と3か月連続の下落でした。
2026年8月14日 発表 (2026年8月15日 更新)
- マンション・戸建ての売却を考えている人
- 「上がりきる前に買いたい」と焦っている購入検討者
- 株高のニュースで住宅ローン金利の先行きが気になる人
先に結論
- 日経平均は8月13日に6万8,000円台を回復。ただし史上最高値ではない(最高値は6月の7万2,000円台。連日更新中なのはTOPIX)
- 「株高=マンションも上がる」は7月の実データでは成り立っていない。首都圏の成約㎡単価は前年比マイナス1.5%と3か月連続下落
- 上がっているのは売り出し価格(+20.4%・27か月連続上昇)。売り手の強気と成約の弱さが開き、在庫が5か月連続で増えている
- 地域は真っ二つ。多摩+10.5%・東京都区部+2.7%に対し、横浜・川崎は13か月ぶりの下落
8月13日に6万8,000円台。ただし「史上最高値」ではありません
まず株価の事実関係から。日経平均は8月13日に前日比784円高の6万8,308円59銭まで上昇し、14日も405円21銭高の6万8,713円80銭と4日続伸しました。背景として報じられているのは、米国のインフレ指標の鈍化による利下げ観測と、AI・半導体関連株の買いです。
ここで一つ、ニュースの読み方の確認です。「日経平均、最高値」と思った人が多いはずですが、日経平均の史上最高値は今年6月に付けた7万2,000円台で、今回の6万8,000円台はそこからの戻りの途中です。連日で史上最高値を更新しているのは日経平均ではなくTOPIX(8月14日終値4,197.20ポイント)のほう。「最高値」の主語がどちらなのかで、ニュースの意味は変わります。
7月の首都圏マンション:売り出し価格は上がり、売れた価格は下がった
「株もマンションも、どうせ全部上がってるんでしょう」。そう思っている人に、株価とちょうど同じ週に出た不動産側の一次データを見てもらいます。東日本レインズが8月10日に公表した2026年7月度の首都圏中古マンション市場です。
| 首都圏 中古マンション(2026年7月) | 実数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 成約㎡単価 | 84.17万円/㎡ | マイナス1.5%(3か月連続下落) |
| 成約件数 | 3,638件 | マイナス8.6%(4か月連続減少) |
| 新規登録(売り出し)㎡単価 | 117.86万円/㎡ | プラス20.4%(27か月連続上昇) |
| 在庫件数 | 47,151件 | プラス5.5%(5か月連続増加) |
この表は上下で読みます。下の2行、売りに出す側の希望価格は27か月上がり続けています。ところが上の2行、実際に売買が成立した単価は3か月連続で下がり、成約の数そのものも減っている。売り手の希望と、買い手が実際に払った金額のあいだが開き、売れ残りが5か月連続で積み上がっている——これが株高のニュースの裏で起きていることです。
横浜・川崎は13か月ぶり下落、多摩は+10.5%。同じ首都圏で逆方向
Yahoo!知恵袋に「住宅価格が上がってマイホームが買えないというのは、東京近郊や大都市の話ですか?」という質問があります(2024年10月の投稿)。2年近く前の質問ですが、答えは今の方がはっきりしています。同じ首都圏の中でさえ、方向が割れているからです。
| エリア(2026年7月・中古マンション) | 成約㎡単価 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 東京都区部 | 135.77万円/㎡ | +2.7%(75か月連続上昇) |
| 東京都多摩 | 58.44万円/㎡ | +10.5%(12か月連続上昇) |
| 横浜・川崎市 | 65.62万円/㎡ | マイナス2.5%(13か月ぶり下落) |
| 埼玉県 | 44.53万円/㎡ | +2.3% |
| 千葉県 | 41.37万円/㎡ | マイナス0.1% |
区部の価格を追えなくなった需要が多摩に流れて2桁上昇、一方で横浜・川崎は1年1か月ぶりにマイナスへ。区部自体も、価格は75か月上がり続けているのに成約件数は17.2%減と7か月連続で減っています。「首都圏の相場」という一つの数字は、もうどの街の実態も表していません。
近畿圏は14か月連続上昇。ただし買う人は6か月連続で減っている
関西はどうか。近畿レインズの7月度データでは、中古マンションの成約㎡単価は47.94万円で前年比+5.3%、成約価格は14か月連続の上昇です。数字だけ見れば首都圏より強い。ただしここでも、成約件数は前年比マイナス4.5%と6か月連続で減っています。価格の上昇と市場の元気は別物で、買える人が減りながら値段だけが上がる形は、首都圏の区部と同じです。
株のニュースを、家の売り買いにどう読み替えるか
私は、いまの実データを「株高の資産効果が住まいに波及している」とは読めないと見ています。売り手の希望は+20.4%、買い手が付けた値はマイナス1.5%。この差の埋まり方は、売り手が下げるか、買い手が追いつくかの2つしかなく、在庫が5か月連続で増えている以上、いまかかっているのは前者への圧力です。これは「今が売り時・買い時」という話ではなく、値付けの根拠にする数字を間違えないという話です。
「株が上がったから、うちも強気の値段で出そう」——7月のデータは、この判断の結果を在庫47,151件という形で先に見せてくれています。売るときに見るべきは隣の売り出し価格ではなく、成約価格。レインズの月例レポートは毎月10日前後に公表され、誰でも無料で読めます。
生活・仕事にどう効くか
- 売却の値付け:売り出し側(新規登録)の㎡単価は前年比+20.4%と27か月連続で上昇。一方、成約はマイナス1.5%。強気の値付けは在庫の積み上がり(+5.5%・5か月連続増加)に化けています
- 購入の判断:東京都区部は価格+2.7%で上昇が続く一方、成約件数はマイナス17.2%と7か月連続減。買う人が減りながら値段だけ上がる形です
- 自分の街の相場:同じ首都圏でも多摩+10.5%、横浜・川崎マイナス2.5%と逆方向。「首都圏平均」では自分の街を語れません
- 住宅ローン:株高の背景は米国の利下げ観測。日本側は日銀の利上げペースが焦点で、変動金利の動きは別のニュースとして追う必要があります
結局どうすればよいか
- 売るなら「売り出し価格」ではなく「成約価格」の相場を見る。レインズの月例レポートは誰でも無料で読めます
- 首都圏平均・近畿圏平均ではなく、自分の市区町村の実勢を地域別データで確かめる
- 株価のニュースを住まいの売り買いに直結させない。見るのは成約件数・在庫件数・金利の3つ
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公式出典
- 東日本不動産流通機構「Market Watch サマリーレポート 2026年7月度」(2026年8月10日発表)
- 近畿不動産流通機構「マンスリーレポート 2026年7月度」(2026年8月4日発表)
- 財経新聞「日経平均大引け:前日比405.21円高の68713.80円」(2026年8月14日発表)
- 日本経済新聞「日経平均大引け 3日続伸 784円高の6万8308円、TOPIXは連日高値」(2026年8月13日発表)
更新履歴
- 2026年8月15日 初版を公開
※本記事は2026年8月15日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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