長崎市で土地を探すと、桜馬場では1坪86.0万円、現川町では1坪5.8万円という値段が出てきます。同じ市内、同じ1坪で14.9倍です。市全体の相場とされる1坪20.2万円だけを頼りに予算を組むと、片方の町では候補が1件も出てこず、もう片方では土地に払いすぎます。
長崎市では2024年10-12月から2025年10-12月までに154件の土地が成約しました。成約が3件以上あった町だけを並べると12町になります。この12町の坪単価は、市全体の20.2万円をはさんで上にも下にも大きく散らばります。
国土交通省が公表している実際の成約価格を、町ごとに並べ直しました。候補地がどのあたりに立っているかを先に見てください。
先に結論
- 長崎市の土地は1坪20.2万円(中央値・154件)。1区画は200㎡=60.5坪が中央値です
- 町別だと桜馬場86.0万円、現川町5.8万円で14.9倍。市の1つの数字は、どの町の予算にも当てはまりません
- 中里町4.0万円と西海町3.2万円は市の中央値の4分の1を下回ります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあり、住宅地の相場としては読めません
- 地価公示(住宅地71地点)の中央値は19.0万円。成約はそれより6.1%高い水準ですが、母集団が違うので値上がりの話ではありません
- 建物込みなら中古戸建て70.4万円/坪、新築戸建て108.0万円/坪。どちらも分母は建物の延床坪で、土地の坪単価とは引き算できません
長崎市の土地は1坪20.2万円。1区画60.5坪で概算1,220万円
2024年第4四半期から2025年第4四半期までに長崎市で成約した土地の坪単価は、中央値で20.2万円でした。坪単価が極端に外れた20件を除いたうえでの154件です。除いたあとでも、幅は1坪2.0万円から155.4万円まで開いています。
1区画の面積の中央値は200㎡、坪にすると60.5坪です。坪単価の中央値をこの広さに当てると、土地代は概算で1,220万円になります。ただし坪単価と面積は別々に取った中央値なので、この金額で売れた1件が実在するわけではありません。予算の当たりをつけるための概算として使ってください。
仲介の窓口で「長崎市の土地は坪20.2万円あたりが真ん中です」と言われたとします。154件の真ん中を指す言葉としては外れていません。ただし候補地が桜馬場なのか現川町なのかで、同じ60.5坪でも土地代はまるごと別の話になります。予算の話をするときは、市名ではなく町名まで下ろしてから金額を出してください。
町別に並べると桜馬場86.0万円と現川町5.8万円で14.9倍
成約が3件以上あった12町を、坪単価の高い順にすべて並べます。
長崎市の土地の成約価格(坪単価の中央値・2024年4Q〜2025年4Q)。成約3件以上の12町をすべて並べました。濃い色の2本が、見出しの14.9倍に使った桜馬場と現川町です。いちばん下の2町は住宅地の相場として読めない数字で、理由は次の見出しで説明します
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。グラフに載せたのは成約3件以上の12町だけなので、候補地の住所で確かめてください。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
見出しに出した14.9倍は、住宅地とみられる町どうしの比較です。上端が桜馬場の86.0万円、下端が現川町の5.8万円。どちらもグラフに入れてあります。
ただし桜馬場の成約は3件、現川町は4件です。3件や4件の中央値は、1件の取引で動きます。14.9倍は「町によってここまで開く市だ」と知るための数字で、桜馬場の土地なら必ず坪86.0万円で買えるという意味ではありません。
12町でいちばん成約が多いのは西海町の8件ですが、坪3.2万円で、住宅地の相場としては読めない数字です。住宅地とみられる町のなかで成約がいちばん多いのは田中町の6件で21.8万円。市全体の20.2万円のすぐ上に来ます。
市全体の20.2万円は、12町のどこかにぴったり当てはまる数字ではありません。田中町(6件・21.8万円)と女の都(3件・21.2万円)は市の中央値の近くに来ますが、立山(3件・36.4万円)と古賀町(3件・10.2万円)はそこから大きく離れます。候補地が立山なのか古賀町なのかで、60.5坪の土地代はまったく別の予算の話になります。
中里町4.0万円・西海町3.2万円を「安い住宅地」と読まない
坪単価が市の中央値20.2万円の4分の1を下回る町が2つあります。中里町の4.0万円(5件)と西海町の3.2万円(8件)です。
この2町の数字には、農地・山林・市街化調整区域の取引が混ざっている疑いがあります。市街化調整区域は市街化を抑えるための区域で、家を建てるには原則として自治体の許可が要ります。農地であれば転用の手続きが挟まります。
坪3.2万円は安い住宅地の値段ではなく、住宅地として使えない土地が混ざった数字です。
この記事が「長崎市でいちばん安い町」を見出しに置いていないのは、そのためです。西海町は12町のなかで成約数がいちばん多い8件ですが、件数が集まっていることと、住宅地の相場として読めることは別の話です。
売り出し中の土地で、周辺よりはっきり安いものを見つけたときは、値段より先に地目と都市計画上の区分を確かめる順番になります。市の窓口か仲介会社に聞けばその場で分かります。ここを飛ばして価格だけで動くと、契約したあとに「建てられない」という話が出てきます。
現川町の5.8万円(4件)と古賀町の10.2万円(3件)も、市の中央値からは大きく下に離れた町です。この2町は先の2町ほど極端ではありませんが、成約は3件と4件で、1件の内容が中央値を動かす規模です。安さの理由が土地の使い道にあるのか、それ以外にあるのかは、価格の表からは出てきません。
公示の19.0万円と成約の20.2万円。これは値上がりではありません
長崎市の地価公示は住宅地71地点で、坪単価の中央値は19.0万円です。実際に成約した土地の中央値20.2万円は、これより6.1%高い水準でした。
この差を「土地が値上がりした」と読むのは間違いです。公示は住宅地として選ばれた標準地の評価額、成約は実際に売れた土地の価格で、数えている対象が違います。長崎市の154件には、先に見た農地や山林が混ざる町の取引も入っています。母集団の違う2つを引き算しても、時間の変化は出てきません。
公示価格は、候補地の周辺に標準地があるときの目安として使う数字です。予算そのものは、候補の町の成約価格で組むことになります。
中古戸建て70.4万円と新築戸建て108.0万円。分母は建物の延床坪です
建物まで含めて買う場合の長崎市の数字を並べます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 | 単価の分母 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 20.2万円/坪 | 154件 | 土地の面積 |
| 中古戸建て | 70.4万円/坪 | 35件 | 建物の延床面積 |
| 新築戸建て | 108.0万円/坪 | 10件 | 建物の延床面積 |
同じ「坪単価」でも、土地と戸建てでは割っている面積が違います。土地の20.2万円は成約総額を土地の面積で割った値、戸建ての70.4万円は成約総額を建物の延床面積で割った値です。この2つを引き算しても、建物代は出てきません。 並べて比べられるのは、中古戸建てと新築戸建てのあいだだけです。
中古戸建ては下位25%が40.1万円、上位25%が97.3万円。新築戸建ては87.2万円から124.7万円です。中古の上位25%は、新築の下位25%を上回っています。 2つの価格帯は重なっていて、坪単価だけでは新旧が分かれません。ただし新築戸建ての成約は10件で、中古戸建ての35件にくらべると少ない数です。
中古を買って直す道を選ぶと、坪単価の低いほうから入って、直す費用の側を自分で決められます。ただし工事費は物件ごとに変わるので、成約価格の表からは出てきません。とくに屋根と外壁は足場を組む工事なので、入居してから別々の時期にやると足場代を二度払うことになります。買う前に外まわりの工事費を見ておくと、土地を買って建てる案と総額で並べられます。1社の見積もりだけでは、その金額が高いのか安いのかも判定できません。
工事費が分かると、中古を買って直す案と土地から建てる案を総額で並べられます
中古マンションは築年帯で数字が変わる
長崎市の中古マンションは86件で、中央値は1㎡あたり30.3万円でした。築年帯で分けると景色が変わります。
| 築年帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 0-10年 | 12件 | 58.0万円/㎡ |
| 11-20年 | 19件 | 41.4万円/㎡ |
| 21-30年 | 29件 | 25.9万円/㎡ |
| 31-40年 | 21件 | 22.5万円/㎡ |
| 41年以上 | 5件 | 3.5万円/㎡ |
この築年は2026年を基準にした区切りです。築21〜30年は1996年から2005年に建った物件、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。1982年より前に建った物件は元のデータから外してあるので、この表には入っていません。
件数がいちばん集まっているのは築21-30年の29件で、1㎡あたり25.9万円。市の中央値30.3万円より下に来ます。次に多い築31-40年の21件も22.5万円で、市の中央値を下回ります。件数の集まっている2つの帯がどちらも中央値より下にあるので、「長崎市のマンションは1㎡30.3万円」という言い方は、探している築年によって当たり外れが大きくなります。
築41年以上は5件で3.5万円/㎡と、他の帯から大きく離れます。5件では傾向として読めないので、参考値として置いておきます。
広さで分けると、50〜70㎡が30.8万円/㎡(29件)、70〜90㎡が30.7万円/㎡(41件)、90㎡以上が23.2万円/㎡(9件)でした。件数がいちばん集まっているのは70〜90㎡の41件です。50〜70㎡と70〜90㎡はほぼ同じ単価で、広さの帯だけでは差が出ていません。長崎市のマンションで単価を動かしているのは、広さより築年のほうです。新築マンションは5件で78.5万円/㎡。5件なので参考値として見てください。借りる側の相場は1㎡あたり1,837円です。
私はこう見ています
「長崎市の相場は坪いくらですか」という質問は、答えを聞いても予算づくりには使えません。桜馬場と現川町で14.9倍、12町のうち2町は住宅地の数字として読めない、しかも成約数がいちばん多い町がその2町の片方。154件を町別に割ると、そういう形が出てきます。
私は、市の中央値は「自分の候補地がその線の上か下か」を確かめるためだけの数字だと考えています。線そのものを予算にすると、桜馬場では候補が出てこず、古賀町では土地に払いすぎます。
もう1つ私が長崎市の数字で気にしているのは、町ごとの件数の薄さです。12町のうち成約が5件以上あるのは中里町(5件)、田中町(6件)、西海町(8件)の3町だけで、残りは3件か4件しかありません。町別の中央値は候補地の水準を測る目安としては使えますが、そこから1件ごとの事情まで読み取ることはできないと考えています。ここは私の読みなので、持ち帰ってほしいのは根拠にした数字のほうです。
予算を決める前にやる3つのこと
- 町名まで決めてから坪単価を当てる。市の20.2万円ではなく、候補の町の数字で計算します。グラフに出した12町以外でも、住所を入れれば周辺の実勢から出ます。
- 候補の町が住宅地かどうかを先に確かめる。坪が極端に安い町は、農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあります。安さの理由が土地の使い道にあるなら、それは予算の話ではありません。
- 土地から建てる案と、中古を買って直す案を総額で並べる。土地は坪20.2万円(土地面積あたり)、中古戸建ては坪70.4万円、新築戸建ては坪108.0万円(どちらも延床面積あたり)。分母が違うので、比べるのは総額どうしです。
長崎市の学区を町名から調べる
長崎市の土地相場を住所から調べる(無料)
どちらもこのサイトのページです。登録も入力も要りません
市全体をならした数字は長崎市の不動産相場にまとめています。候補を2つか3つの町に絞ったら、長崎市の学区一覧で町名から通学先も確かめておくと、あとで町を選び直さずに済みます。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。土地154件、中古戸建て35件、新築戸建て10件、中古マンション86件、新築マンション5件
- 土地154件は、坪単価が極端に外れた20件を除いた集計です。除いたあとの幅は1坪2.0万円から155.4万円
- 1区画の面積の中央値200㎡(60.5坪)と坪単価の中央値20.2万円は、別々に取った値です。掛け合わせた1,220万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 町別の集計は成約3件以上の町のみで12町。件数の少ない町の中央値は1件の取引に動かされます。見出しの14.9倍は、住宅地とみられる町どうしである桜馬場(3件)と現川町(4件)で取っています
- 中里町(5件)と西海町(8件)は市の中央値の4分の1を下回ります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあるため、住宅地の相場としては扱っていません
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。土地の坪単価(土地面積あたり)とは分母が違うため、引き算はできません
- 中古マンション・新築マンションの単価は、成約総額を専有面積(㎡)で割った値です。築年帯はデータ生成時点の2026年基準で、1982年より前の物件は元データから除外されています
- 地価公示:国土交通省の地価公示。長崎市内の住宅地71地点の中央値。成約価格とは母集団が違うため、両者の差は値上がり・値下がりを示すものではありません
- 賃貸:長崎市の募集賃料58,370件から算出した1㎡あたりの中央値


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