MENU
お役立ち記事
【近日公開】AIが物件資料からSUUMO・at homeの入稿文を作成「入稿メイト」|先行登録受付中(無料)

重説 ハザードマップ/中身の説明は義務ではない

🗨️「重要事項説明でハザードマップを見せてもらえば、その家が危ないかどうかは分かるのでしょうか」

分かりません。国が義務にしているのは、洪水・内水・高潮の3枚を出して、この物件はここですと概ねの位置を示すところまでです。深さがどれくらいか、水が引くまで何日かかるかを読むのは、説明を受ける側に残されています。

[不動産] この記事の要点

発表日・更新日

2026年9月19日 発表

影響を受ける人
  • 家を買う前・借りる前に、重要事項説明で何をどこまで説明されるのかを知っておきたい人
  • 重要事項説明書を作る側で、水害ハザードマップの欄に何を書けばよいか迷っている人
  • 市にハザードマップが無いと言われて、その欄をどう埋めるのか分からなくなった人
目次

義務なのは、地図の上で「ここです」と指すところまでです

重要事項説明で水害ハザードマップが出てくるようになったのは、2020年8月28日からです。このとき何が義務になったのかは、国土交通省が出している「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に書かれています。長いので、範囲を決めている部分だけ引きます。

取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。

なお、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、(中略)水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」3の2(規則第16条の4の3第3号の2関係)

「内容の説明まで義務付けるものではない」。ここが、この制度でいちばん誤解されているところだと思います。地図を出して、あなたの家はここですと指す。法律の上では、それで義務を果たしたことになります。

では何のための義務かというと、同じガイドラインが「消費者に確認せしめるもの」と書いています。確認するのは消費者のほう、という組み立てです。深さがどのくらいか、水が引くまで何日かかるか、その地図に書いてあることを読むのは、説明を受ける側の仕事として残されています。

出てくる地図は1枚ではなく、3種類です

同じガイドラインが「洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し」と書いているとおり、対象は3種類あります。呼び方が法律と日常で違うので、先に対応させておきます。

水防法の言い方ふだんの言い方どんな水か
洪水浸水想定区域洪水ハザードマップ川があふれる
雨水出水浸水想定区域内水ハザードマップ下水が流れきれず、街の中であふれる
高潮浸水想定区域高潮ハザードマップ台風で海の水位が上がる

「雨水出水」という言葉は、ガイドラインの中で国自身が「以下『内水』という」と言い換えています。市役所のページで内水と書かれていても、法律の条文では雨水出水です。同じものです。

もう1つ、川ごとに地図が分かれている地域では、その物件がいくつもの地図に入っていることがあります。その場合は入っている地図それぞれについて説明することになっています。1枚見せてもらって終わり、ではありません。

地図で調べたあと、家に置いておくもの

色がついていても、白でも、家に置くものは変わりません。自治体の備蓄は数日分が前提なので、最初の3日をしのぐ分は各家庭で持っておくものとされています。

アイリスオーヤマ 防災リュック 1人用 33点セット(防災士監修)
アイリスオーヤマ 防災リュック 1人用 33点セット(防災士監修)

一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。

白神山地の5年保存水 2L×6本
白神山地の5年保存水 2L×6本

飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。

トイレの女神PREMIUM 簡易トイレ 100回分
トイレの女神PREMIUM 簡易トイレ 100回分

断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。

※ 本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介している商品は、記事の内容に関連するものを編集方針にもとづいて選んでいます。Amazonのアソシエイトとして、おかあさんのおうちは適格販売により収入を得ています。

アパートを借りるときも対象です

「売買の話でしょう」と思われがちですが、賃貸も対象です。ここは条文の組み立てを見ると理由がはっきりします。施行規則第16条の4の3は、柱書で契約の種類ごとに説明する号を指定しています。

契約の種類説明する号第3号の2は入るか
宅地の売買・交換第1号から第3号の2まで入る(柱書を改正して入れた)
建物の売買・交換第1号から第6号まで入る
宅地の貸借第1号から第3号の2まで、第8号から第13号まで入る(柱書を改正して入れた)
建物の貸借第1号から第5号まで、第7号から第12号まで入る(柱書は変えていない)

面白いのはいちばん下の行です。建物の貸借だけは、柱書が1文字も変わっていないのに対象になっています。もともと「第1号から第5号まで」と範囲で指定されていたところへ、第3号と第4号のあいだに第3号の2を新しく差し込んだので、何もしなくても範囲の中に入ったからです。アパートを借りるときにハザードマップが出てくるのは、この条文の作りによります。

契約書の上に置かれた木製の家の模型と鍵
売買でも賃貸でも、説明の項目としては同じ第3号の2(Photo: Pexels)

地図が無い市では「ありません」と言うのが義務です

市町村がハザードマップを作っていない場合はどうなるのか。ここは国がQ&Aで答えを出していて、しかも説明する文面まで示しています。

「当該宅地又は建物が所在する市町村においては、水防法に基づく水害ハザードマップは作成されておりません。」と説明する必要があります。

国土交通省「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明」に関するQ&A A4

欄を空けて飛ばすのではなく、無いことを説明する。そこまでが義務です。業者の側は、市町村に問い合わせて作っていないことが確認できれば、その照会をもって調査義務を果たしたことになる、とガイドラインに書かれています。

読む側として覚えておきたいのは、「ハザードマップはありません」は「危なくありません」ではないということです。地図が作られていない市町村でも、水は同じように来ます。説明されなかったぶんは自分で調べるしかありません。

内水の地図があっても、対象とは限りません

ここがいちばんややこしいところで、同じ内水ハザードマップでも、水防法に基づいて指定されたものだけが説明の対象になります。市が地図を持っていることと、重要事項説明に出てくることは別です。

実際どれくらい割れているのか、道路が冠水する場所を市ごとに調べてきたときに、市の書き方をそのまま拾ってあります。

市が書いていること重要事項説明
愛知県豊橋市水防法第14条の2第2項にもとづく雨水出水浸水想定区域を指定・公表対象。市が「説明義務が生じます」と明記
三重県松阪市同じ条文にもとづく指定だが、範囲は近鉄伊勢中川駅の周辺だけその区域だけ対象
三重県四日市市令和7年10月31日から対象になった。ただし7地区は対象外途中から対象
愛知県一宮市「浸水実績を活用した図であるため、水防法の規定に基づく雨水出水(内水)ハザードマップには該当しません」対象外

4つの市で4通りに割れています。とくに四日市市の例が分かりやすくて、2025年10月31日を境に扱いが変わりました。去年その市で「内水の地図は説明の対象外です」と言われていた人と、今年言われる人とでは、答えが違います。

しかも、この流れはこれから加速します。2021年の水防法改正を受けた国の通知は、新たな雨水出水浸水想定区域の指定を「令和7年度までにまずは約800団体で実施することを想定している」と書いていて、同じ通知の中で「重要事項説明の対象となるハザードマップ対象エリアが拡大することが見込まれる」と述べています。古い調査結果を使い回していると、ここでずれます。

市ごとの内水の扱いは、道路冠水マップ どこで見られるの?から各市の記事に入ると、市の原文つきで確認できます。

説明しなかったらどうなるか

水害ハザードマップの説明は、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明の一部です。そして第65条第2項第2号は、業務停止処分の対象になる違反を並べたなかに「第三十五条第一項から第三項まで」を名指ししています。処分の重さは「一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる」と条文に書かれています。

同じ第65条の第1項は、法律の規定に違反した場合に必要な指示ができるとしていて、こちらは指示処分です。いずれも監督処分で、行政が出すものです。刑事罰の話とは分けて考える必要があります。

ただ、読む側として現実的なのは、処分を求めることよりも先に自分で地図を開いておくことだと思います。説明の場で初めて見せられた地図を、その場で読み切るのは無理があります。

この住所は浸水しやすい場所ですか?

住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。

重説を待たずに、3枚とも自分で開く

やることは単純です。国土交通省のハザードマップポータルサイトで、検討している住所を入れて、洪水・内水・高潮の3枚を切り替えて見ます。Q&Aでも国はこのポータルを案内しています。

そのうえで、色がついていたら深さの凡例を見ます。色がついていなくても安全という意味ではないことは、ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?に書いたとおりです。千葉の豪雨では、浸水想定区域の外側でも人が亡くなっています。

区域に入っていた場合に、建てることへの制限がかかるのかどうかは別の話です。そちらは高潮浸水想定区域/建築制限はありませんで、水防法の区域と建築基準法の災害危険区域を並べて整理しました。

私はこう読みました

私は、この制度をいちばん短く言うと「地図を渡すところまでが業者の仕事で、読むのは買う人・借りる人の仕事」だと考えています。そう決まっているのは、たぶん業者に地形や水の読み方まで負わせると、今度は誤った説明の責任問題になるからです。だから国は範囲をはっきり切りました。

問題は、その切り方が消費者側に伝わっていないことだと思います。「重説で説明されたから確認済み」と思っている人と、「位置を示しただけ」と分かっている人とでは、契約までの数日で調べる量がまったく違ってきます。

だから、重要事項説明の日を調べ始める日にしないほうがいい。地図は誰でも無料で開けますし、説明される前に開いておけば、その場で聞く質問も変わります。深さはどれくらいか、避難所はどこか、この地図はいつのものか。そこから先は、義務ではなく交渉の話になります。

よくある質問

Q. 重要事項説明書にハザードマップが添付されていませんでした。違反ですか。
A. 国のQ&Aは、説明書の欄には「別紙のとおり。」「別添ハザードマップ参照。」のように地図で位置を示す旨を記載することを想定している、としています。説明のときに地図を提示して位置を示していれば、書面への記載の仕方はこの形でよいことになります。提示そのものが無かった場合は別の問題です。

Q. 地番まで正確に示してもらえますか。
A. 国のQ&Aは「地番まで正確に示すことを求めるものではなく、概ねの位置を示せば足りる」としています。地図の上で指し示す、または印をつける、といった方法が想定されています。

Q. うちは浸水想定区域の外です。それでも説明されますか。
A. されます。区域の外にある場合でも、水害ハザードマップにおける位置を示さなければならない、とQ&Aに書かれています。

Q. ため池のハザードマップも説明の対象ですか。
A. 対象外です。この説明義務は水防法にもとづく地図についてのもので、ため池ハザードマップなど水防法以外の規定にもとづくものまで説明することは求めていない、とQ&Aが整理しています。

Q. 古いハザードマップを見せられました。
A. 使うのは、市町村のホームページ等を確認して入手可能な最新のものとされています。いっぽうで、区域の見直しが地図にまだ反映されていない場合は、現存する最新の地図を使えばよい、ともされています。地図の日付を聞いておくと、どちらの状態かが分かります。

生活・仕事にどう効くか

  • アパートを借りるとき:建物の賃貸も対象。条文の柱書は1文字も変わっていないのに対象になっている(「第1号から第5号まで」の範囲に、新しく作られた第3号の2が入るため)。
  • 浸水想定区域の外の物件:区域の外にある場合でも、地図の上で位置を示さなければならない。省略してよいことにはなっていない。
  • 地図が無い市町村:「作成されておりません」と説明する義務がある。空欄にして飛ばすのは違う。しかも説明する文面まで国が示している。

結局どうすればよいか

  • 重要事項説明の前に、ハザードマップポータルサイトで洪水・内水・高潮の3枚を自分で開いておく
  • 示された地図がいつのものかを聞く。市町村のサイトで入手できる最新のものを使うことになっている
  • 内水の地図があっても水防法に基づくものとは限らない。市町村のページで根拠の条文が書かれているかを見る

\気になる住所を1つ入れるだけ/

災害リスクを住所で調べてみる ›

浸水・土砂・地盤をまとめて表示(無料)

公式出典

更新履歴

  • 2026年9月19日 初版を公開

※本記事は2026年9月19日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する

災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。

災害・防災の新着

もっと見る
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

コメント

コメントする

目次