「上位28人に入れば当選でしょ」と思いがちですが、実はそうとは限りません。定数の内側に入るだけでは足りないのです。得票が「法定得票数」に届いていることも条件です。市議会議員の選挙なら、線は有効投票の総数を定数で割り、さらに4で割った数です(公職選挙法95条1項3号)。
選挙ごとの法定得票数
線の高さは、選挙の種類で変わります。公職選挙法95条1項は、次のように決めています。
| 選挙 | 法定得票数 |
|---|---|
| 衆議院の小選挙区 | 有効投票総数の6分の1以上 |
| 参議院の選挙区 | 有効投票総数÷その選挙区の定数(改選数)の6分の1以上 |
| 都道府県議会・市区町村議会 | 有効投票総数÷その選挙区の定数の4分の1以上 |
| 知事・市区町村長 | 有効投票総数の4分の1以上 |
議員の選挙では、1人あたりの平均の票(有効投票÷定数)を出してから、その4分の1を線にします。たくさん人を選ぶ選挙ほど、1人に必要な票は少なくなります。
青森市議選で計算してみる
2026年11月8日に投開票された青森市議会議員選挙は、定数28に40人が立候補しました。青森市選挙管理委員会の確定値(9日0時58分)を、この式に当てはめます。

| 項目 | 数 |
|---|---|
| 有効投票の総数 | 85,028.998票 |
| ÷ 定数28 | 約3,036.7票 |
| その4分の1=法定得票数 | 約759.2票 |
| 当選した28人目の得票 | 1,657票 |
| いちばん少なかった人の得票 | 782票 |
40人全員が約759.2票を上回ったので、法定得票数が当落を分けることはありませんでした。いちばん少ない人との差は、約23票です。
読者
有効投票に小数があるのはなぜ?
同じ名前の候補者がいると、どちらとも取れる票は、ほかの票の割合で分けて数えるの。これを按分というのよ。青森市議選は「工藤」さんと「まこと」さんが2人ずついたから、小数が出たのね。くわしくは無効票になる書き方にあるわ。
届かなかったらどうなる
定数の内側に入っても、法定得票数に届かない人は当選しません。その席は空いたままになります。
市区町村議会では、こうして当選人が足りず、欠けた人数が定数の6分の1を超えると、再選挙になります(公職選挙法110条1項)。定数28なら、6分の1は約4.7人です。5人以上欠けたときに選挙をやり直します。
また、得票がまったく同じで順位が決まらないときは、選挙長がくじで当選人を決めます(95条2項)。
供託金の線とは別
似た線に、供託金の没収ラインがあります。市議会議員の選挙では「有効投票総数÷定数の10分の1」に届かないと、立候補のときに預けたお金が戻りません。青森市議選なら約303.7票です。こちらは当選とは関係なく、お金が戻るかどうかの線です(供託金の没収の記事)。
青森市議選の当選者28人と得票は、青森市議選の結果の記事にまとめています。
出典:公職選挙法95条・110条(e-Gov法令検索)、青森市選挙管理委員会「開票速報(得票順)」2026年11月9日0時58分確定。
アイキャッチ写真の出典
2005年の大阪市長選挙で使われた投票箱。撮影 MASA(マサ)/クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0(ウィキメディア・コモンズ)。
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