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キスシーンは台本の十数回のはずが60回超…全額出資した中国の女性投資家が自らヒロインに、ドラマは数日で配信停止

🗨️「制作費を全額出したスポンサーは、ドラマの中身をどこまで変えていいの?」

中国の短編ドラマで、全額出資した女性投資家が自らヒロインになり、キスシーンを台本の十数回から60回超に増やしました。結末は、配信側による親密シーン20か所超の削除、数日での配信停止、そして残金3万元(約60万円)の未払いです。

[話題] この記事の要点

何が起きたか

中国の縦型ショートドラマ(短劇)で、制作費を全額出資した女性投資家が脚本と配役を握って自らヒロイン役に。キスシーンは台本の十数回から60回超に増え、相手役の新人俳優がSNSで告発した。作品は親密シーン20か所超が削除されたうえ、配信開始から数日で停止された。日本では8月14日に中央日報日本語版が報じた。

発表日・更新日

2026年8月14日 発表

影響を受ける人
  • 縦型ショートドラマ(短劇)を観ている人・気になっている人
  • スポンサー1社(1人)に依存する制作現場で働く人・フリーランス
  • 「推し活」「課金」文化の行き着く先に興味がある人
目次

この記事でわかること

  • キスシーンが台本の十数回から60回超に増えた経緯と、俳優が断れなかった契約上の理由
  • 配信停止(下架)は当局の処分ではなく、配信プラットフォーム側の判断であること
  • 投資家の名前・年齢・出資額は、どの報道にも出ていないこと

「制作費を全額出してくれる人がいるなら、現場は多少の無理を聞くしかない」——そう思っている人に、その”多少”が60回を超えるとどうなるかを最後まで見せる出来事が中国で起きました。短編ドラマに全額出資した女性投資家が脚本を書き換えて自分をヒロインに据え、相手役に指名した新人俳優とのキスシーンは、台本の十数回から60回超に。完成したドラマは配信開始から数日で停止され、残金約60万円はいまも支払われていません。

日本では8月14日に中央日報日本語版が報じたばかりで、8月14日時点の日本語の記事は実質この1本だけです。しかもその記事はキスシーンが60回を超えたところまでで、そのあとの「配信停止」と「残金未払い」には触れていません。この記事では、中国語の報道まで含めて課金の結末まで追います。

遠い国の話ですが、全国の人が同じ疑問を持った海外ニュースは日本でもよく読まれます。コロンビアの地震のときは「海外の建物は地震に弱いのか」という疑問を記事にしました。今回、日本の読者が持った疑問はこうです——「お金を出した人は、作品をどこまで変えていいのか」。

先に結論

  • 中国の縦型ショートドラマ(短劇)で、制作費を全額出した女性投資家が脚本と配役を握り、自ら「王妃」役のヒロインに。相手役の新人俳優を指名した
  • キスシーンは台本の十数回から60回超へ。全50話余り・1話1分強なので、ほぼ毎話キスシーンが入る計算
  • 俳優は契約の違約金条項で降板できず、SNSで告発。監督も内容は「事実」と証言した
  • 配信プラットフォームが親密シーン20か所超を削除→話がつながらなくなり、配信開始から数日で停止(下架)
  • 投資家は完成品に不満だとして残金3万元(約60万円)が未払い。名前・年齢・出資額は、どの報道にも出ていない

全額出資の「富婆」が脚本を書き換え、自らヒロインに——台本のキスシーン十数回が60回超に

中国で「短劇」と呼ばれるのは、スマホの縦画面のまま観る1話1分強のドラマです。今回の作品は全50話余り。単純計算で、全部つなげても1時間ほどの作品になります。

この短劇の制作費を全額出したのが、報道で「富婆(お金持ちの女性)」とだけ呼ばれている投資家でした。お金と一緒に脚本・配役・撮影も握り、ヒロインの「王妃」役に自分を据え、相手役の「落魄王爺(零落した王爺)」役には新人俳優の鍾宇飛さんを指名します。なお、ドラマのタイトル自体は、どの報道でも公表されていません。

台本の段階で、キスシーンは十数回でした。それが撮影が進むにつれて増え、最終的に60回を超えます。50話余りで60回超——1話1分強のドラマに、ほぼ毎話キスシーンが入る計算です。監督の夢星氏はテンポを壊すとしてシーンの追加に反対しましたが、却下されました。

項目報道されている数字
台本のキスシーン十数回
実際の撮影60回超
作品の長さ全50話余り・1話1分強
配信側が削除した親密シーン20か所超
未払いの残金3万元(約60万円)
配信期間開始から数日で停止

新人俳優が断れなかったのは、演技の問題ではなく違約金でした

鍾宇飛さんは、SNSに投稿した動画でこの現場を告発しました。訴えた中身は、回数だけではありません。投資家はスタントダブル(替え玉)の使用を拒み、撮影では台本にない行為が続いたといいます。本人の言葉はこうです。

台本にあるキスシーン・親密シーンには応じられる。だが口の中に舌を入れ、唾液を送り続けるのは、職業の範疇を超えている。(新浪が伝えた発言。訳は当サイト)

台本と通常の撮影の程度に合わせて進めてほしいと現場で求めたのに対し、助監督の返答は「どうしようもない」「少しだけ我慢してほしい」でした(中央日報日本語版の訳)。

では、なぜ降りなかったのか。報道が挙げる理由は3つです。契約に高額の違約金条項があったこと。新人でその額を払えないこと。そして、苦労して手にした主役を失いたくなかったこと。俳優が我慢強かったのではなく、契約が降板の出口を塞いでいたという構図です。

告発のあとには「売名では」という声も出ましたが、これへの回応も報じられています。「売名なら、この件でいくらでも話し続けられる」「最初はわざとじゃないと思っていた。だが指摘した後も、彼女はこれを大型の『脚本殺(マーダーミステリーの体験ゲーム)』のように楽しんでいた」(網易。訳は当サイト)。その場で注意しても、相手は収まらなかったとも証言しています。

監督の夢星氏も、告発の内容は「事実」だと認めました。「もともとキスシーンの割合を減らすよう勧めていたが、投資家は最後まで自分の主張を押し通した」(中央日報日本語版の訳)。現場でこの人を止められる立場の人は、最後までいませんでした。

課金の結末——親密シーン20か所超がカットされ、話がつながらず数日で配信停止

完成したドラマは、配信まではこぎつけました。ところが配信プラットフォームが内容を過激すぎると判断し、親密シーン20か所超を削除します。60回超に対して、およそ3分の1にあたる量です(割合は各報道の数字からの単純計算)。

1話1分のドラマから20か所を削れば何が起きるか。話がつながらなくなりました。結局、配信開始から数日で下架(配信停止)になります。書き添えておくと、これは当局の処分ではなく、プラットフォーム側の判断として報じられています。

「設定が漫画すぎて逆に観たい」と思った人は、もう観られません。60回超のキスシーンも、それを削って「つながらなくなった物語」も、公開の場から消えました。

残金約60万円は未払い。そして「金主」の名前は、どの報道にも出ていません

話はここで終わりません。投資家は完成品に不満だとして、残金3万元(約60万円)の支払いを拒んでいると報じられています。監督は後期制作(編集などの仕上げ)の費用3万元を、俳優側も3万元を回収できていません。全額出資で始まった企画が、最後は未払いで締まりました。

そしてもう1つ。この投資家の名前・年齢・出資額は、どの報道にも出ていません。分かっているのは「富婆」という呼び名と、王妃役を自分で演じたことだけです。撮影の時期も「俳優が業界に入って間もないころ」としか報じられていません。中華圏のネットでは「2026版西門大媽」——好色な大金持ちの代名詞になっている古典小説の登場人物・西門慶をもじった呼び名——という揶揄が広がりました。

日本でも、8月14日に中央日報日本語版の記事が配信されると、Xではその日のうちに反応が出ています。「気持ち悪っっ!」(Xユーザー・にゃ氏の8月14日の投稿。Yahoo!リアルタイム検索で確認した実在の投稿です)。

短劇のキスシーンを巡る騒ぎは、今回が初めてではありません

短劇の撮影現場でキスシーンを巡るトラブルが表に出たのは、今回が初めてではありません。2025年10月には、別の俳優・胡凌宸さんがドラマ「恋愛脳」の撮影中にキスシーンに耐えられず現場から逃げ出し、話題になっています(レコードチャイナ既報。今回とは別の事件です)。

背景には短劇の予算規模があります。今回動いていない金額は、残金の3万元(約60万円)。制作費の全体像は公表されていませんが、残金がこの桁だという時点で、テレビドラマとは別世界の予算で回っていることが分かります。個人が1本まるごと「課金」できてしまう規模——それが、出資者がヒロインの座ごと買えた土台です。

お金で台本と配役は買えても、作品と満足は買えませんでした

並べてみると、この課金で得をした人が1人もいません。投資家は作品を失い、支払いを拒んだまま告発の続報を浴びています。俳優と監督は報酬の一部を回収できていません。「逆に観たい」と集まった野次馬も、もう観られません。Xではこの構図に「ザ・資本主義 だなぁ」(Xユーザー・uz_tw氏の8月14日の投稿)という一言が付きました。

お金で台本と配役は買えました。ただ、作品の出来と、それを観てもらえる場所までは買えませんでした。お金で環境を手に入れても満足が付いてこない話は、日本の住まいにもあります。年収1,800万円の夫婦がタワマンを手放した理由を書いたときも、最後に残ったのは金額ではなく「そこで何を我慢するか」でした。

残金3万元の行方と、削除されたドラマが形を変えて再配信されるのか。続報は中国語圏の報道を追う必要があります。動きがあれば、この記事に追記します。

生活・仕事にどう効くか

  • 短劇・縦型ドラマを観ている人:本作は配信停止済みで、公式には観られません。「本編」を名乗る切り抜き動画は出どころが確認できないため、真偽不明のまま拡散に加わらないのが安全です。
  • スポンサー1人に頼る仕事をしている人:俳優が降りられなかった直接の理由は、契約の高額な違約金条項でした。報酬の残金も未払いのままで、「全額出資者が唯一の顧客」という契約は、退路と回収の両方を失いやすい構図です。

結局どうすればよいか

  • 本編は配信停止(下架)済みで公式には観られない。「本編」を名乗る切り抜き動画は元が確認できないので、シェアする前に疑う
  • 続報(残金の行方・再配信の有無)は、新浪・hk01など中国語圏の報道で確認する
  • 日本語の続報はまだ少ない。この記事も動きがあれば追記する

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公式出典

更新履歴

  • 2026年8月14日 初版を公開

※本記事は2026年8月14日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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