🗨️「国税の期限が自動で延びたと聞いたけど、固定資産税や自動車税も止まっているの?」
止まっていません。県税・市町村税は申請しない限り納期限も延滞金もそのまま進みます。減免も猶予も、こちらから申し出て初めて効きます。
[災害] この記事の要点
日本税理士会連合会が2026年8月6日、令和8年熊本地震に関する緊急要望書2通を国税庁長官と総務省自治税務局長にそれぞれ提出した。総務省宛の要望では、被災者が地方税の申告期限の延長・徴収猶予・減免措置を適切に受けられるよう、令和6年能登半島地震と同様の対応を求めている。
2026年8月8日 発表
- 八代市・宇土市・宇城市・氷川町など被災地に自宅や事業所がある人
- 被災した家屋・土地の固定資産税や、自動車税を払っている人
- 被災地で個人事業を営んでいる人(個人事業税の減免対象)
- 地震のあとに代わりの住まいを取得して不動産取得税がかかる人
この記事でわかること
- 国税は申請不要で自動延長、県税・市町村税は申請しないと動かないという非対称
- 熊本県で減免を申請できる県税4つと、猶予1年以内・期限延長2月以内という期間
- 税理士会が8月6日に総務省へ出した要望書が、何を問題にしているか
先に結論
- 国税は八代市・宇土市・宇城市・氷川町に納税地があれば、申請なしで期限が延びている
- 県税と市町村税は自動で止まらない。申請しない限り納期限も延滞金もそのまま進む
- 熊本県で減免を申請できるのは、個人事業税・不動産取得税・自動車税の3つ。個人県民税は市町村民税の減免に連動する
- 納税の猶予は申請により1年以内、申告・納付の期限延長は理由がやんだ日から2月以内
- 県税の相談は熊本県税務課(096-333-2098)と各広域本部・自動車税事務所
国税は自動で延びた。同じ被災者の県税は延びていない
国税庁は8月4日に地域指定を行い、八代市・宇土市・宇城市・氷川町に納税地がある個人と法人について、2026年7月28日以降に到来する国税の期限を全税目で自動的に延長しました。申請書も届出も要らず、延滞税もかかりません。
問題はここからです。同じ人が払っている税金でも、県税と市町村税はこの指定の対象外です。熊本県が案内している減免・猶予・期限延長は、いずれもこちらから申請して初めて効く仕組みになっています。罹災証明書の順番待ちをしているあいだにも、自動車税や固定資産税の納期限は通常どおり近づき、過ぎれば延滞金の計算が始まります。
減免を申請できる県税は3つ、連動するものが1つ
熊本県が8月4日に更新した「県税減免等に関する相談窓口」の案内によると、被害の状況によって減額または免除の対象になるのは個人事業税・不動産取得税・自動車税の3つです。個人県民税は単独では減免されず、市町村民税が減免された場合に同じ割合で減免されます。つまり市町村への申請が先に必要になります。
国税・県税・市町村税で、誰が何をしなければならないかを並べると次のとおりです。
| 区分 | 対象になる税 | 申請 | 内容・期間 | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 国税 | 所得税・法人税・消費税など全税目 | 不要(地域指定) | 2026年7月28日以降に到来する期限を延長。終期は未定 | 所轄税務署 |
| 県税(減免) | 個人事業税・不動産取得税・自動車税 | 必要 | 被害の状況に応じて減額または免除 | 各広域本部・自動車税事務所 |
| 県税(個人県民税) | 個人県民税 | 市町村への申請が前提 | 市町村民税が減免された割合と同じ割合で減免 | 市町村の税務担当 |
| 県税(期限延長) | 申告・納付など | 必要 | 理由がやんだ日から2月以内 | 各広域本部・自動車税事務所 |
| 県税(納税の猶予) | 県税全般 | 必要 | 1年以内の期間 | 各広域本部・自動車税事務所 |
| 市町村税 | 固定資産税・市町村民税・軽自動車税など | 自治体ごとに異なる | 各市町村の条例による | 各市町村の税務担当 |
不動産に関わるところでは、不動産取得税が入っている点が見落とされがちです。被災した住まいの代わりに家や土地を取得すると不動産取得税がかかりますが、これも申請の対象に含まれています。買う前に窓口へ確認しておくと、資金計画に載せる金額そのものが変わります。
八代市の災害情報ページには、市税の案内がまだ載っていない
市町村税はさらに事情が分かれます。八代市の「令和8年熊本地震 関連情報」ページを2026年8月8日時点で確認したところ、罹災証明書・断水・避難所・住まいの支援・事業者支援などの項目は並んでいますが、市税の減免・猶予・期限延長についての案内は見当たりませんでした。
案内が出ていないことと、制度が無いことは別です。地方税法にも各市の条例にも災害時の減免規定はあります。ただ、被災した人が自分で「そういう制度があるはずだ」と気づいて税務担当に電話をかけない限り、始まらない状態になっています。窓口が混雑している時期ですが、納期限が近い税があるなら先に一報を入れておく価値があります。
税理士会が8月6日に、国と総務省へ2通の要望書を出した
日本税理士会連合会は2026年8月6日、令和8年熊本地震に関する緊急要望書を2通提出しました。1通は国税庁長官宛(日連8第538号)、もう1通は総務省自治税務局長宛(日連8第539号)です。
総務省宛の要望書は、令和6年能登半島地震と同様の対応が必要だとしたうえで、被災者が地方税の申告期限の延長・徴収猶予・減免措置を適切に受けられるよう特別の配慮を求めています。国税庁宛のほうは、国税通則法第11条による地域・期日の指定について被災地の実情を十分に配慮すること、個別申請による期限延長にも柔軟に対応すること、そして制度の周知を丁寧に行うことの3点を挙げています。
専門家団体がわざわざ「周知を丁寧に」と書いて出すという事実自体が、いまの状況を表しています。制度を知っている人だけが使えている、という認識が現場にあるということです。
私見:足りないのは制度ではなく、届け方
私はこの一連の動きを、制度の不足ではなく届け方の不足だと見ています。理由は3つあります。
第一に、減免も猶予も期限延長も、制度としてはすでに用意されています。熊本県のページには対象税目も申請様式の場所も書かれていて、新たな法改正を待つ必要はありません。第二に、日税連の要望書が求めているのは新制度の創設ではなく「配慮」と「柔軟な対応」と「周知」であり、制度の中身ではなく運用と伝達に焦点が当たっています。第三に、国税だけが地域指定という自動適用の形をとっている一方で、地方税は申請主義のまま残されています。申請主義は、家を失って避難所にいる人ほど動けないという意味で、被害の大きい人ほど取りこぼす構造になっています。
だからこそ読者側でできる対処は単純です。待たないこと。被災地に不動産や自動車を持っているなら、罹災証明書の申請と同じタイミングで、県税と市町村税の窓口にも一本電話を入れる。それだけで数万円から数十万円の差が出る可能性があります。
生活・仕事にどう効くか
- 納期限と延滞金:国税は2026年7月28日以降に到来する期限が自動で延び、延滞税もかからない。一方で県税・市町村税は申請しなければ通常どおり納期限が来て、延滞金の計算も止まらない。
- 手元に残るお金:熊本県への申請が通れば、個人事業税・不動産取得税・自動車税が被害の程度に応じて減額または免除される。納税の猶予は申請により1年以内の期間で認められる。
- 住まいの再取得:被災した住まいの代わりに家や土地を買うと不動産取得税がかかるが、これも減免の申請対象に含まれている。契約前に県税の窓口へ確認しておくと、資金計画の前提が変わる。
結局どうすればよいか
- まず罹災証明書を申請する。県税・市町村税の減免はいずれも被害の程度を証明する書類が前提になる
- 熊本県税務課(096-333-2098)または各広域本部・自動車税事務所に、自分が払っている県税が減免の対象かを電話で確認する
- 固定資産税・市町村民税・軽自動車税は市町村の窓口が別。案内が出ていなくても、自分から税務担当に申し出る
- 納期限に間に合わないと分かった時点で、納税の猶予(1年以内)を申請する。滞納してから動くと延滞金が乗る
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公式出典
- 日本税理士会連合会「令和8年熊本地震に係る税制緊急要望書」(日連8第539号/総務省自治税務局長宛)(2026年8月6日発表)
- 日本税理士会連合会「令和8年熊本地震に係る国税の申告期限等の延長に関する緊急要望書」(日連8第538号/国税庁長官宛)(2026年8月6日発表)
- 熊本県 県税減免等に関する相談窓口(2026年8月4日発表)
- 熊本県 令和8年熊本地震に関する情報(2026年8月8日発表)
- 八代市 令和8年熊本地震 関連情報(2026年8月8日発表)
更新履歴
- 2026年8月8日 初版を公開
※本記事は2026年8月8日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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