大阪市で津波の浸水が想定されているのは、海に面した此花区・港区・大正区・西淀川区・住之江区と、川をさかのぼった先の西区・福島区・浪速区・西成区・淀川区・北区です。町・字の代表点で見ると、府の2013年の想定で市内1,904のうち597が範囲に入ります。
ただし、府は2026年3月31日に想定を見直しました。浸水する区は17区から13区に減り、都島区・旭区・城東区・鶴見区は0haになりました。一方で大正区は、海面が動き始める時間が65分から33分に早まっています。
先に結論
- ✓ 最大津波水位は大正区4.9m・住之江区4.7m・港区4.6m(府の想定・2026年3月)。1mの津波が最も早く来るのは住之江区の106分後
- ✓ 浸水面積は西淀川区890ha・大正区690haで前回より増え、住之江区1,069ha・此花区703haは減った
- ✓ 府は「大阪市内」の低い土地で引かない水と地下への浸入を注意。梅田の地下街も津波の対象施設
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「大阪府」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
大阪市で津波が来る範囲

2013年の想定で範囲に入る597のうち、3〜5mの想定は36で、此花区の島屋・春日出・西九条・梅香・四貫島、西区の九条、港区の築港、西淀川区の佃・大和田・姫島です。
0.5〜3mは大正区のほぼ全域から、住之江区・西成区・淀川区・福島区まで広がります。区ごとに見ると、範囲に入る町・字は住之江区75、淀川区61、港区58で、港区は58の町・字すべてが入ります。

拡大図で見ると、3〜5mの色が大きな塊になっているのは此花区の島屋・春日出で、西区の九条と港区の築港にも出ます。舞洲や夢洲などの埋め立て地には、ほとんど色が付いていません。
全体図で都島区・城東区・鶴見区に見える淡い色は2013年版のもので、2026年の想定ではこの3区と旭区は浸水なし(0ha)です。

| 町・字 | 区 | 想定の深さ(代表点) |
|---|---|---|
| 四貫島二丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 春日出中一〜三丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 春日出南一・二丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 春日出北一〜三丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 西九条一・三・四丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 伝法五丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 島屋一〜五丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 梅香一〜三丁目 | 此花区 | 3〜5m |
| 九条一・三丁目 | 西区 | 3〜5m |
| 九条南三・四丁目 | 西区 | 3〜5m |
| 築港一・二・四丁目 | 港区 | 3〜5m |
| 大和田四・六丁目 | 西淀川区 | 3〜5m |
| 姫島五丁目 | 西淀川区 | 3〜5m |
| 佃三〜七丁目 | 西淀川区 | 3〜5m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの津波浸水想定(最大クラス)を読んだ値です。地図と表は、重ねるハザードマップに載っている大阪府の2013年8月の津波浸水想定を読んでいます。府は2026年3月31日に想定を見直し、浸水面積は17区のうち15区で減りました。市の水害ハザードマップ(2021年3月版)も2013年版のままです。代表点が範囲の外でも、町・字の中の低い所は範囲に入っていることがあります(ハザードマップで色がない場所の意味)。
此花区島屋一丁目(想定3〜5m)
点は町のおよその中心です。2013年の想定で代表点が3〜5mに入る此花区の町で、近くの府の代表地点「安治川水門」の最大津波水位は新旧とも3.7mです。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
大阪府が2026年3月31日に公表した新しい津波浸水想定(南海トラフ巨大地震、M9.1)では、市内の最大津波水位は大正区4.9m、住之江区4.7m、港区4.6m、此花区・西淀川区4.1mです(東京湾平均海面からの高さ、満潮を含む)。
1mの津波が来るのは、住之江区が最も早く106分、此花区110分、港区・西淀川区118分、大正区121分です。海面が20cm動き始める時間は、大正区で33分、西淀川区で39分です。
見直しについて府は、前回から約10年がたち、地形データの詳細化や防潮堤の耐震化など「様々な条件が変化してきた」と書いています。
| 区 | 浸水面積 | 最大津波水位 | 1mの津波 |
|---|---|---|---|
| 此花区 | 703ha(816ha) | 4.1m(4.1m) | 110分(113分) |
| 港区 | 566ha(620ha) | 4.6m(4.5m) | 118分(114分) |
| 大正区 | 690ha(665ha) | 4.9m(4.6m) | 121分(117分) |
| 西淀川区 | 890ha(840ha) | 4.1m(4.3m) | 118分(116分) |
| 住之江区 | 1,069ha(1,174ha) | 4.7m(5.1m) | 106分(110分) |
| 淀川区 | 516ha(756ha) | — | — |
| 西成区 | 440ha(499ha) | — | — |
| 福島区 | 309ha(379ha) | — | — |
| 西区 | 257ha(426ha) | — | — |
| 北区 | 211ha(322ha) | — | — |
| 浪速区 | 165ha(193ha) | — | — |
| 住吉区 | 7ha(13ha) | — | — |
| 中央区 | 1ha(21ha) | — | — |
| 都島区・旭区・城東区・鶴見区 | 0ha(4区で422ha) | — | — |
表は府の2026年3月の想定で、かっこ内は2013年8月の前回値です。市の「避難の方法(津波)」のページは、今も「最短で1時間50分」と前回の数字で書いています。
府の留意事項は、大阪市内の地盤の低い地域では、防潮堤が壊れると津波が収まったあとも「日々の干満によって、浸水範囲が広がる可能性があります」と書いています。
大阪府の留意事項:「地下への出入口をはじめ、地下につながっているビルの階段、エレベーター、換気口などが、表示している浸水深より低い位置にある場合、津波がありとあらゆるところを伝って地下空間に浸入する恐れがあります。」
大阪市に来た過去の津波

大阪の津波の記録は、川をさかのぼった津波が船を襲った話です。大阪管区気象台は、宝永地震(1707年)で「大阪で死者約750人、他に津波により死者多数」、安政南海地震(1854年)で「津波による死者多数 船舶被害1,800」と記録しています。
内閣府の報告書は、宝永の津波は木津川をさかのぼって道頓堀で橋を落とし、高さは3.6mと推定されると書いています。安政南海の津波は、地震の約2時間後に安治川や木津川の河口から堀川に沿ってさかのぼりました。
| 碑 | 場所 | 碑文の要旨(国土地理院「自然災害伝承碑」) |
|---|---|---|
| 大地震両川口津浪記 | 浪速区幸町三丁目(大正橋東詰) | 安政南海地震の津波で、安治川・木津川等に停泊する船に避難した人々が大きな被害を受けた。宝永地震の教訓が生かせなかったことを後世への戒めとして残す |
| 安政地震津波碑 | 天王寺区(四天王寺境内) | 小船に避難した人たちが、木津川口に押し寄せた津波で上流へ押し流された。海鳴りや潮の干満の乱れを津波の兆しとして避難するよう記す |
大正橋の東詰(浪速区幸町三丁目)には、安政南海地震の翌年に建てられた「大地震両川口津浪記」の碑があります。市のページによると、刻文は地震をのがれて船に乗ってはいけないと戒め、ときどき墨を入れて読めるようにして用心せよと忠告しています。
逃げる場所と、いま出ている情報
大阪市の津波避難ビル・水害時避難ビルは、津波浸水の想定がある17区で2,349棟、避難できる人数は130万6,828人です(2026年3月31日)。2013年4月の津波避難ビルは10区で601か所でした。
市の目安は、少しでも早く「高い」場所、建物の3階相当以上です。浸水想定区域の外に出るのが難しいときや時間がないときは、近くの丈夫な建物の浸水しない階に逃げます。
- 「大阪防災アプリ」で津波避難ビルと浸水想定を見る。地図はオフラインでも見られる
- 大阪市公式LINE・大阪市危機管理室のX・おおさか防災ネットで避難指示を受ける。登録制の防災メールは2025年12月31日で終わった
- 防災行政無線の放送内容は06-6210-3899で聞ける(通話料がかかる)
- 地下街にいるときは地上の高い階へ。市の対象施設の一覧では、ホワイティうめだやディアモール大阪、阪急三番街が「津波」の対象に入っている
大阪市は、予報区「大阪府」に大津波警報・津波警報が出たら避難指示を出します。対象は津波浸水の想定がある区で、市の計画は「災害の状況により、避難指示区域を適宜拡大する」としています。
「大阪は湾の奥だから津波は2時間後」とは言い切れません。1mの津波は100分を超えても、新しい想定で大正区の海面は33分で動き始め、府は防潮堤が壊れると水が引かない地域があると書いています。
大阪府の留意事項:「着色されていない区域が必ずしも安全というわけではありません。」府は、この想定は「ハザードマップではありません」とも書いています。
大阪市のほかの災害リスク・ほかの市
- 大阪市 冠水 どこが危ないの?
- 淀川 氾濫/高槻・枚方で2階も水没する想定
- 寝屋川 氾濫/流域の約4分の3は川より低い土地
- 津波 到達時間/南海トラフは最短2分
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 静岡市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 仙台市 津波 どこまで来るの? (宮城県)
- 浜松市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 高知市 津波 どこまで来るの? (高知県)
- 千葉市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 横浜市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 徳島市 津波 どこまで来るの? (徳島県)
- 大分市 津波 どこまで来るの? (大分県)
- 那覇市 津波 どこまで来るの? (沖縄県)
- 小田原市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 館山市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 八戸市 津波 どこまで来るの? (青森県)
- 宇和島市 津波 どこまで来るの? (愛媛県)
- 宮崎市 津波 どこまで来るの? (宮崎県)
- 釧路市 津波 どこまで来るの? (北海道)
- 和歌山市 津波 どこまで来るの? (和歌山県)
大阪市の津波は、海沿いの5区と川をさかのぼった先の区に広がり、府の見直しで範囲は縮みました。自宅や職場が想定の中にあるなら、3階以上の避難ビルを1つ決め、地下にいるときの上がり口まで確かめておくところまでが準備です。
出典(すべて2026年10月4日に確認)
- 大阪府「津波浸水想定(令和8年3月31日公表)」・解説
- 大阪府「津波浸水想定(平成25年8月20日公表)」・解説
- 大阪府「津波災害警戒区域の指定について」(指定なし)
- 大阪府「自然災害伝承碑に学ぶ」
- 大阪市「水害ハザードマップ」
- 大阪市「避難の方法(津波)」
- 大阪市「津波避難ビル・水害時避難ビルの確保を進めています」(令和8年3月31日時点)
- 大阪市「大阪市地下空間浸水対策協議会」(対象施設一覧)
- 大阪市「災害情報伝達手段の多様化の取組」
- 大阪市「大地震両川口津浪記」
- 大阪管区気象台「大阪府の地震活動・過去の被害地震」
- 内閣府「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1707宝永地震」第2章 PDF
- 内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」報告書・市町村別一覧表(令和7年3月31日)
- 気象庁「津波予報区について」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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