那覇市で津波の浸水が想定されているのは、那覇港の両岸(港町・曙・若狭・泊・前島)と、久茂地・西・東町・旭町の旧市街、国場川の河口の垣花町・住吉町、那覇空港の一帯です。町・字の代表点で見ると、市内219のうち43が沖縄県の津波浸水想定(最大クラス)の範囲に入ります。
ただし、想定を決めているのは南海トラフではありません。県の想定は、1791年の地震を再現した沖縄本島南東沖地震と、沖縄トラフ側の久米島北方沖地震で、那覇市の海岸に1mの津波が25分で来る計算です。
先に結論
- ✓ 海岸線の津波水位は最大8.4m、市内の最大浸水深は7.7m、浸水面積は950ha(県の想定・2015年3月)
- ✓ 那覇空港は浸水深5.5mの想定。県庁と那覇市役所は浸水なし
- ✓ 那覇市津波避難ビル(松山・2,000人)と、協定の津波緊急一時避難ビル115棟(2024年3月)
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「沖縄本島地方」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
那覇市で津波が来る範囲

範囲に入る43のうち、3〜5mの想定は港町一・四丁目、曙一丁目、若狭三丁目の4つで、どれも那覇港に面しています。0.5〜3mは泊・前島・久茂地・松山・西・東町・旭町・通堂町・垣花町・住吉町・壺川三丁目などに続きます。
県の主な施設の表では、那覇空港が浸水深5.5m、南部合同庁舎が2.8mの想定です。県庁と那覇市役所は「浸水なし」です。

拡大図で見ると、港町の埠頭から若狭・西・久茂地まで0.5〜3mの色が続き、港町の岸壁沿いには3〜5mの色があります。色が切れるのは、松山・久米の小高い所と、国際通りの手前あたりです。
| 町・字 | 想定の深さ(代表点) |
|---|---|
| 曙一丁目 | 3〜5m |
| 港町一・四丁目 | 3〜5m |
| 若狭三丁目 | 3〜5m |
| 壺川三丁目 | 0.5〜3m |
| 曙二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 港町二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 泊三丁目 | 0.5〜3m |
| 辻三丁目 | 0.5〜3m |
| 前島一・二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 若狭一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 久茂地一・二丁目 | 0.5〜3m |
| 松山二丁目 | 0.5〜3m |
| 西一・二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 東町 | 0.5〜3m |
| 旭町 | 0.5〜3m |
| 通堂町 | 0.5〜3m |
| 垣花町・垣花町一丁目・垣花町二丁目・垣花町三丁目 | 0.5〜3m |
| 住吉町一・二・三丁目 | 0.5〜3m |
| 具志 | 0.5〜3m |
| 泊二丁目 | 0.5〜3m |
| 久茂地三丁目 | 0.5〜3m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの津波浸水想定(最大クラス)を読んだ値です。沖縄県の津波浸水想定(2015年3月、法定)を読んでいます。市の防災マップ2024の津波の図は浸水深ではなく「基準水位」(建物にぶつかってせり上がった水位)で色分けしているので、区分が違います。代表点が範囲の外でも、町・字の中の低い所は範囲に入っていることがあります(ハザードマップで色がない場所の意味)。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
沖縄県の津波浸水想定(2015年3月)では、那覇市の海岸線の津波水位は最大8.4m(標高、満潮を含む)です。水位が1m上がるまで25分、3mまで26分、5mまで27分で、上がり始めると一気に上がる計算です。
代表地点ごとの第1波は、港町が28分(久米島北方沖地震)、那覇空港が29分、那覇港が33分(沖縄本島南東沖地震)です。最も高く駆け上がるのは那覇空港付近の8.4mです。
南海トラフは内閣府の2025年3月の想定で、那覇市の最大津波高は3m、ケース①で1mの津波が来るのは285分後です。那覇で効くのは、すぐ近くの琉球海溝と沖縄トラフの地震です。
| 代表地点(地震) | 沿岸の最大水位 | 最大遡上高 | 第1波 |
|---|---|---|---|
| 港町(沖縄本島南東沖) | 4.3m | 5.6m | 32分 |
| 港町(久米島北方沖) | 5.7m | 5.9m | 28分 |
| 那覇港(沖縄本島南東沖) | 3.6m | 6.2m | 33分 |
| 那覇港(久米島北方沖) | 5.7m | 7.0m | 38分 |
| 那覇空港(沖縄本島南東沖) | 5.7m | 8.4m | 29分 |
| 那覇空港(久米島北方沖) | 4.8m | 6.0m | 31分 |
県の想定では、市内の最大浸水深は7.7m、建物にぶつかったせり上がりを足した基準水位の最大は8.8mです。浸水面積は950haで、2013年の県の前回想定(1,160ha)より小さくなりました。
小さくなったのは、沖縄本島側の琉球海溝の地震を、前回のマグニチュード9.0から、1791年の地震をもとにした8.2に見直したためです。
沖縄県の留意事項:「地震の震源が想定より陸地に近かったり、想定を超える津波が来襲するなど、条件が異なる場合には、ここで示した時間より早く津波が来襲したり、遡上高が高くなったり、浸水域以外でも浸水する可能性があります。」
那覇市に来た過去の津波

那覇市の地域防災計画の災害記録には、市内で津波の被害が出たという記録はありません。県の資料で那覇の地点名が出る津波の数字は、1791年の地震による那覇港・泊港の1.5m(痕跡の高さ)です。
県はこの1791年の地震を再現したモデルを、いまの想定の「沖縄本島南東沖地震」に使っています。2015年の報告書は「沖縄本島沿岸域で新たな痕跡が史料より発見された」と書いています。
1771年の「明和の大津波」は八重山・宮古の災害で、石垣島地方気象台は八重山全域の死者を約1万人としています。那覇での記録ではありません。
逃げる場所と、いま出ている情報
市が建てた那覇市津波避難ビルは松山二丁目にあり、3階以上に最大2,000人が24時間避難できます。ほかに、市と協定を結んだ津波緊急一時避難ビルが103事業所・115棟あります(2024年3月1日)。
協定のビルには、サンエー那覇メインプレイスやゆいレールの那覇空港駅、那覇市役所本庁舎も入っています。使えるのは大津波警報が出てからで、訓練では使えません。
- 市の「那覇市防災マップ2024」の津波災害警戒区域マップで、自宅の基準水位を見る
- スマートフォンの「なはMAP(なはマップ)」で、いる場所から最寄りの避難所と津波の浸水予測図を見る
- 那覇市防災・気象情報メールで津波警報と避難指示を受ける
- 潮が引かないまま急に来る津波もある。市は「潮が引かないからといって油断してはいけません」と書いている
那覇市は、気象庁が「沖縄本島地方」に大津波警報・津波警報・津波注意報を出したら避難指示を出します。震度4程度以上の揺れや、弱くても長い揺れを感じたときも、市長が必要と認めれば出します。
「沖縄本島は昔から津波の被害がないから大丈夫」とは言い切れません。県は1791年に那覇港で1.5mの痕跡を見つけ、それを再現した地震で、那覇市の海岸に1mの津波が25分で来ると計算しています。
沖縄県の留意事項:「浸水しないと予測された地域であっても、実際には浸水する可能性もあります。」市の防災マップも「津波災害警戒区域に指定されていなくても、津波の恐れがある場合には、海や川の近くからは避難してください」と書いています。
那覇市のほかの災害リスク・ほかの市
- 那覇市 冠水 どこが危ないの?
- 沖縄の津波想定は南海トラフ超え 確率は「不明」
- 津波 到達時間/南海トラフは最短2分
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 静岡市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 仙台市 津波 どこまで来るの? (宮城県)
- 浜松市 津波 どこまで来るの? (静岡県)
- 高知市 津波 どこまで来るの? (高知県)
- 千葉市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 横浜市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 大阪市 津波 どこまで来るの? (大阪府)
- 徳島市 津波 どこまで来るの? (徳島県)
- 大分市 津波 どこまで来るの? (大分県)
- 小田原市 津波 どこまで来るの? (神奈川県)
- 館山市 津波 どこまで来るの? (千葉県)
- 八戸市 津波 どこまで来るの? (青森県)
- 宇和島市 津波 どこまで来るの? (愛媛県)
- 宮崎市 津波 どこまで来るの? (宮崎県)
- 釧路市 津波 どこまで来るの? (北海道)
- 和歌山市 津波 どこまで来るの? (和歌山県)
那覇市の津波は、那覇港の両岸と旧市街、国場川の河口に集まり、海岸に1mの津波が25分で来る想定です。自宅や職場が警戒区域にあるなら、基準水位より高い階のある建物か、区域の外へ出る道を1つ決めておくところまでが準備です。
出典(すべて2026年10月4日に確認)
- 沖縄県「沖縄県津波浸水想定」(平成27年3月)・解説・報告書(概要版)
- 沖縄県「津波災害警戒区域の指定」(平成30年3月27日指定)
- 那覇市「津波災害警戒区域等の指定」
- 那覇市「那覇市防災マップ」(防災マップ2024)
- 那覇市「那覇市津波避難ビル」
- 那覇市「津波緊急一時避難ビル協定の締結状況一覧」(令和6年3月1日現在)PDF
- 那覇市津波避難計画(平成30年4月)
- 那覇市「津波」
- 石垣島地方気象台 資料「過去の顕著な津波の特徴」PDF
- 気象庁 報道発表 別紙5「フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火と日本国内における潮位変化」PDF
- 内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」報告書・市町村別一覧表(令和7年3月31日)
- 気象庁「津波予報区について」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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