静岡市で津波の浸水が想定されているのは、清水区の港まわりと三保、駿河区の用宗と安倍川の河口まわりです。町・字の代表点で見ると、市内895のうち64が県の津波浸水想定(最大クラス)の範囲に入り、54が清水区に集まります。
ただし、深さより先に時間が決まります。内閣府が2025年3月に出した想定では、清水区の海岸に高さ1mの津波が地震の2分後、駿河区は4分後に来る計算です。
先に結論
- ✓ 最大津波高は駿河区12m・清水区11m(県の第4次想定レベル2)。内閣府の2025年版は両区11mで、駿河区は2012年の13mから下がった
- ✓ 津波避難ビルは146施設(2026年8月)、津波避難タワーなどは20基。市の目標は「5分・500m」で避難できる地域
- ✓ 1854年の安政東海地震は入江で5.7m、三保で最大6m、用宗で4.5m。市の津波ハザードマップには安政の浸水範囲が重ねてある
いま津波警報・注意報が出ているなら
この記事は平時に読む想定の地図です。いま出ている警報と予想の高さは気象庁の津波情報(予報区「静岡県」)、避難指示は市の防災情報で確かめてください。海や川の近くにいるなら、読むより先に高い所へ。
静岡市で津波が来る範囲

市内で代表点が範囲に入る64のうち54が清水区です。清水港を囲む日の出町・港町・幸町・築地町などの港まわりが0.5〜3m、三保半島の清水港側と折戸、駒越北町が続きます。
深さ3m以上は駒越北町と、駿河区の用宗にある「港」の2つだけです。駿河区のほかの9は用宗二丁目が0.5〜3m、小坂三丁目と西島が0.5〜1m、下島や大谷一丁目は0.3m未満です。葵区に範囲に入る町はありません。

市の地域防災計画は、清水駅まわりの沿岸を「沿岸部は埋め立て地となっていて、工場や港湾施設が広がる」と書き、三保半島は「清水港に面した内縁部は海抜が低く、埋め立て地も多い」としています。色が港の内側に集まる理由です。
用宗については「用宗漁港付近や安倍川河口は浜堤の切れ間であり、一部海抜が低くなっているところがある」と書いています。海岸沿いの浜堤が自然の堤防になり、その切れ目から水が入る地形です。

| 町・字 | 区 | 想定の深さ(代表点) |
|---|---|---|
| 港 | 駿河区 | 3〜5m |
| 用宗二丁目 | 駿河区 | 0.5〜3m |
| 小坂三丁目 | 駿河区 | 0.5〜3m |
| 西島 | 駿河区 | 0.5〜3m |
| 駒越北町 | 清水区 | 3〜5m |
| 愛染町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 旭町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 横砂 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 横砂西町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 駒越東町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 幸町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 港町一・二丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 三保 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 松井町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 松原町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 上一・二丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 新港町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 真砂町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 清開一・二・三丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 清水村松地先新田 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 清水町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 折戸二・四丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 千歳町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 相生町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 袖師町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 築地町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 辻一丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 島崎町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 日の出町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 入船町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 巴町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 梅田町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 八千代町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 美濃輪町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 富士見町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 本町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 万世町一・二丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 横砂南町 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 江尻東三丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 辻二・三・四丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
| 入江一丁目 | 清水区 | 0.5〜3m |
深さは、国土交通省「位置参照情報」の町・字の代表点(およその中心)1点で、重ねるハザードマップの津波浸水想定(最大クラス)を読んだ値です。静岡県の津波浸水想定(南海トラフ巨大地震・レベル2、2013年11月公表)を読んでいます。市の津波ハザードマップは浸水深ではなく「基準水位」(建物に当たったせり上がりを足した水位)で塗り分けているので、色の区分が違います。代表点が範囲の外でも、町・字の中の低い所は範囲に入っていることがあります(ハザードマップで色がない場所の意味)。
清水区駒越北町(想定3〜5m)
点は町のおよその中心です。清水区で唯一、代表点が3〜5mの想定に入る町で、市の計画は久能から駒越にかけて「背後に高台が多くみられる」と書いています。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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何メートルの津波が何分で来るか
内閣府が2025年3月31日に公表した南海トラフ巨大地震の想定では、満潮時の最大津波高は駿河区・清水区とも11mです。2012年の前回想定は駿河区13m・清水区11mでした。
静岡県の第4次地震被害想定(2013年6月)は駿河区12m・清水区11m(東京湾平均海面からの高さ)で、市の地域防災計画もこの数字を使っています。
時間は高さより先に効きます。内閣府のケース①では、清水区の海岸に1mの津波が2分、3mが3分、5mが4分で来る計算です。駿河区は1mが4分、10mが25分です。
| 想定 | 駿河区 | 清水区 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 最大津波高(満潮時) | 11m | 11m | 内閣府 2025年3月(11ケースの最大値) |
| 最大津波高(レベル2) | 12m | 11m | 静岡県 第4次想定 2013年6月 |
| 1mの津波が来る時間 | 4分 | 2分 | 内閣府 2025年3月 ケース① |
| 最大の波が来る時間 | 16分 | 13分 | 静岡県 第4次想定 ケース① |
| 浸水面積(1cm以上) | 3.9km² | 13.2km² | 静岡県 第4次想定 ケース① |
| 津波による死者の想定 | 約1,600人 | 約11,000人 | 市の地域防災計画(レベル2・冬の深夜) |
県の第4次想定は「必ずしも第1波が最大とは限らず、場所によっては第1波より第2波、第3波の波高が高い場合もある。従って、少なくとも 12 時間以上の警戒が必要である」と書いています。
内閣府は2025年の報告で到達時間の基準を地殻変動直後の水位に変え、「前回報告よりも津波到達時間が早まっている地域が多くみられる」としています。市の訓練ページも「地震の揺れから最短で2分(静岡市清水区)で津波が到達する」と書いています。
死者の想定が清水区に偏るのは、浸水面積が駿河区の3倍超で、2分で来るからです。市は清水区の津波による死者を約11,000人、駿河区を約1,600人と見込んでいます。
県の第4次想定の注記:「地震に伴う様々な要因により、今回示した津波の高さを越える津波が発生することもありうる。」想定は満潮時に堤防が沈下・破壊される条件で計算した数字で、次に来る津波の予報ではありません。
静岡市に来た過去の津波

市の津波ハザードマップには、安政東海地震の浸水範囲が「既往水害」として重ねて描かれています。県立図書館の資料は、中部について「地震による土地の隆起も手伝って大きな被害は避けられた」としつつ、「古文書にはいたるところで津波被害が発生していたことが記されている」と書いています。
国土地理院の自然災害伝承碑は静岡市内に10基ありますが、津波の碑は0基です。清水の港に残っているのは碑ではなく、宝永地震の「清水では向島の松の木にイルカがかかったといわれる」という言い伝えのほうです。
1960年のチリ地震津波は、県の災害史が清水の高さを「1.3m 位」、市の地域防災計画が観測値217cmとしていて、資料で数字が違います。どちらかに寄せずそのまま載せます。
逃げる場所と、いま出ている情報
静岡市の津波避難ビルは2026年8月時点で146施設、津波緊急避難場所は2026年4月時点で73か所です。市は2020年度までに津波避難タワーなど20基(清水区9・駿河区10・命山1)を整備しました。
避難の順番は市の計画どおりです。まず「要避難地区の住民は、直ちに津波危険予想地域外の安全な場所へ避難する」。時間が無ければ「最寄りの津波避難施設(津波避難ビル、津波避難タワー等)へ避難する」。
- 市の「津波ハザードマップ」(令和5年9月・6図郭)で自宅の基準水位と到達時間の色を見る。地図は浸水深ではなく基準水位
- 「しずマップ」(市の地図サービス)で最寄りの津波避難ビル・タワーを探す。2025年1月31日に防災情報マップから移った
- 静岡市防災メール(空メールで登録)と市のLINE公式アカウントで避難指示を受ける。同報無線の放送は電話054-269-5656でも聞ける
- 大津波警報ならレベル2の要避難地区、津波警報ならレベル1の要避難地区に避難指示が出る。注意報は海岸堤防より海側の地域が対象
津波警報は気象庁が予報区「静岡県」に出します。市単位では出ません。市は、強い揺れや弱くても長い揺れを感じたら「津波警報等の発表を待たずに、すぐ避難を始めること」が最も重要だと書いています。
「清水区は2分で来るのだから逃げられない」とは言い切れません。市の推進計画は「5分・500m」で避難できる地域づくりを目標にしていて、津波避難ビルは「地域の内外を問わず全ての人を受け入れる施設」です。
県の津波浸水想定の留意事項:「本資料で浸水しないとされた地域においても津波の危険性が全く無いということではありません。」色がない場所が、来ない場所ではありません。
静岡市のほかの災害リスク・ほかの市
- 静岡市 冠水 どこが危ないの?
- 実は地名にヒントがあります 静岡の「浜」は海抜3.7m、津波までに歩けるのは200m
- 津波 到達時間/南海トラフは最短2分
- 糸魚川静岡構造線 30年14〜30%で全国最大
- ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと?
- 仙台市 津波 どこまで来るの? (宮城県)
静岡市の津波は清水区の港まわりに集まり、1mの波が2分で来る想定です。自宅の町が表にあるなら、市のハザードマップで基準水位と到達時間の色を見て、500m以内の津波避難ビルを1つ決めておくところまでが準備です。
出典(すべて2026年10月3日に確認)
- 静岡県「静岡県第4次地震被害想定」
- 静岡県 第4次地震被害想定(第一次報告)第2編 自然現象の想定(平成25年6月)PDF
- 静岡県「静岡県津波浸水想定」(平成25年11月公表)
- 静岡県「津波災害警戒区域(静岡市駿河区)」
- 静岡市「津波ハザードマップ」
- 静岡市「津波避難施設」
- 静岡市「指定緊急避難場所・指定避難所一覧」(津波避難ビル一覧 2026年8月現在)
- 静岡市地域防災計画 津波対策編(令和8年1月修正)PDF
- 静岡市「津波からの避難」
- 静岡市「津波避難訓練」
- 静岡市津波防災地域づくり推進計画 概要版(平成29年3月)PDF
- 静岡県「静岡県市町村災害史」(清水市・静岡市南部)
- 静岡県立中央図書館「資料紹介 安政の大地震」PDF
- 内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」報告書・市町村別一覧表(令和7年3月31日)
- 内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告)」津波断層モデル編(平成24年8月29日)PDF
- 気象庁「津波予報区について」
- 国土地理院「自然災害伝承碑」
- 地図:国土地理院「重ねるハザードマップ」(津波浸水想定)・地理院タイル/町・字の代表点:国土交通省「位置参照情報」(2025年版)
- 気象庁「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」
- アイキャッチ:地理院タイル(全国最新写真)を加工して作成
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