沖縄市は、国の「道路冠水注意箇所」(沖縄県で17か所)に1か所も載っていません。それでも2025年1月24日の大雨では、市全体で床上浸水23件・車の被害45件が出て(市の答弁)、市は3月の議会で道路冠水が起こる主な地域を4つ挙げました。松本郵便局前の県道85号、比謝川(ひじゃがわ)沿いの市道、高原(たかはら)の県道20号との交差点、泡瀬(あわせ)のアワセベイストリートです。
このうち床上浸水12件、車の被害42件が松本でした(市の答弁)。この日のアメダス胡屋(ごや)の雨は、16時10分までの1時間で21.5ミリ。沖縄市胡屋にある雨量計1か所の値で、松本で降った量ではありません。
この記事でわかること
- ✓ 泡瀬では2023年の台風6号のとき、高潮で雨水幹線から海水が逆流し、道路が冠水しました(市の答弁)
- ✓ 県が2026年8月27日に指定した高潮浸水想定区域(想定しうる最大規模の高潮)で、沖縄市の最大浸水深は2.5メートル。表の備考は「泡瀬」です
- ✓ 市の内水ハザードマップ(2026年3月30日に指定した区域の図)は、いちばん浅い0.1〜0.2メートルの色を「道路冠水相当」としています
雨の日に、沖縄市で「いま」を見るページ
雨の日に開く公式ページです。
- 沖縄市「水位監視カメラ」(比謝川・泡瀬1・泡瀬2。60秒に1回の静止画)
- 沖縄市「緊急情報」(避難情報)
- 沖縄県「河川情報システム」(比謝川などの水位)
- 沖縄県「ハイサイ!防災で~びる」(県内の被害の報告)
- 沖縄総合事務局「道路部門ポータルサイト」(国が管理する国道)
- 気象庁 キキクル(浸水害・洪水の危険度)
市のサイトで、冠水している道をその場で一覧にしたページは見つかりませんでした。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は0か所、市が挙げた「主な地域」は4つ
国の道路冠水注意箇所は沖縄県で17か所ありますが、沖縄市の行はありません。
市の建設部参事は2025年3月11日の議会で、道路冠水が起こる主な地域として、美来工科高校から消防本部へ続く「比謝川沿いの市道安慶田美里線」(安慶田=あげだ、美里=みさと)、「松本郵便局前の県道85号線を含めた周辺の市道」、「高原地内の愛聖クリニック前の市道と県道20号線の交差点周辺」、「アワセベイストリートと泡瀬ビジュル通りの交差点周辺」を挙げました。同じ日、上下水道部長は浸水が起きている地域として、知花(ちばな)・松本・宮里・安慶田・室川・泡瀬・比屋根(ひやごん)・久保田などを挙げています。
ピンの点の標高を引くと、松本郵便局前は44.3メートル、高原と泡瀬の2か所は2.7〜2.8メートルでした。同じ「主な地域」のピンどうしで、40メートル以上の差があります。

地図の番号と同じ順です
1 松本郵便局前の県道85号と周辺の市道
2025年3月の議会で、市が「道路冠水が起こる主な地域」に挙げた場所
ピンは松本郵便局の前の県道85号の上(OpenStreetMap=オープンストリートマップ)。点の標高44.3メートル
2 比謝川沿いの市道安慶田美里線
市の答弁では「美来工科高等学校から消防本部へと続く」区間
ピンは美来工科高校と沖縄市消防本部の中間(美里五丁目)。道路の上とは限らないため標高は載せていません
3 高原の愛聖クリニック前(市道と県道20号の交差点周辺)
2025年3月の議会で、市が「道路冠水が起こる主な地域」に挙げた場所
ピンは愛聖クリニックの位置(高原五丁目・OpenStreetMap)。点の標高2.8メートル
4 アワセベイストリートと泡瀬ビジュル通りの交差点周辺
2025年3月の議会で、市が「道路冠水が起こる主な地域」に挙げた場所
地図に「泡瀬ビジュル通り」の名前が無いため、泡瀬ビジュルにいちばん近いアワセベイストリート上の点を当サイトが選びました(泡瀬四丁目)。点の標高2.7メートル
5 泡瀬五丁目・海邦一丁目付近
2023年8月の台風6号の高潮で、雨水幹線から海水が逆流してあふれ、道路が冠水した(市の答弁)
ピンは泡瀬五丁目の代表点(国土地理院の住所検索)。標高1.9メートル
市の答弁は地域の名前までで、番地や範囲はありません。ピンは場所の目安で、冠水した地点そのものではありません。標高はピンの点を国土地理院の標高APIにかけた値で、町全体の高さではありません。
松本・美里:2025年1月24日、県道85号で起きたこと
琉球新報の2025年1月25日の記事によると、県道85号は約300メートルにわたって冠水し、松本郵便局も床上浸水しました。沖縄タイムスは同じ日、「沖縄市、大雨で1メートル冠水」の見出しで伝えました。どこが1メートルだったかは、見出しとリードからは分かりません。
市の消防長は3月の議会で、松本では「多数の水没した車両から脱出できない4人の方」を消防隊が救出したと答えています。

原因について、市の上下水道部長は、消防職員がグレーチング(道路の排水口の格子のふた)のまわりの草木を取り除くと水位が下がったことから、「草木等の目詰まりが一つの大きな要因」だったのではないかと答えています。
美里では、市が挙げた「比謝川沿いの市道安慶田美里線」が主な地域の1つです。美里第1雨水幹線(昭和56年に整備。名前は美里ですが、答弁の場所は松本都市緑地のそば)について、市は令和3年度のシミュレーションで「比謝川の水位、局地的降雨などの条件が重なった場合、冠水等が発生する結果」を得たと答弁しています。美里で家が何件浸水したかは、答弁の地域別の数からは分かりません。
読者
松本は、これからも同じように浸かるんですか?
市は2026年2月の議会で、明道(あけみち)公園に雨水をためる施設の整備に令和8年度から着手すると答えています。答弁の時点では予定で、工事が始まったかを示す市の発表は見つかっていません。
泡瀬:台風の高潮で、水路から海水があふれた
市の上下水道部長は2023年9月の議会で、その年8月の台風6号について「高潮の影響により、泡瀬5丁目、海邦1丁目付近に整備されております雨水幹線から海水が逆流溢水し、道路冠水等の被害が発生」と答えました。満潮の時刻の雨は、8月1日19時ごろが4.5ミリ、8月2日6時ごろが21ミリ。下水道の計画で決めた雨の量(1時間87ミリ)を下回っていたとして、部長は「潮位による影響が主な原因」と推測しています。
2026年2月には「泡瀬地区においては外水である高潮の影響が大きい」として、沖縄県と協議を進めると答えています。
沖縄県は2026年8月27日、水防法にもとづいて、想定しうる最大規模の高潮で浸水する琉球諸島沿岸の区域を指定し、沖縄市も対象に入りました。県の解説書の表では、沖縄市の浸水面積は4.6平方キロメートル、最大浸水深は2.5メートル(川や水路の中、極端な水際や窪地を除く)、浸水の深さが50センチ以上の状態が続く時間は29時間で、備考の欄は「泡瀬」です。建築の制限があるかは、高潮浸水想定区域の記事にまとめました。
読者
泡瀬の「高潮」と「津波」は同じものですか?
別のものです。高潮は台風の気圧と風で海面が上がる現象で、津波は地震で起きます。津波は沖縄の津波想定の記事を見てください。
沖縄市の冠水マップ=内水ハザードマップの見方
「沖縄市 冠水 マップ」の答えは、市の「沖縄市雨水出水浸水想定区域図」と「沖縄市内水ハザードマップ」です。市は2026年3月30日にこの区域を指定しました。内水ハザードマップを公表した日は市のページに書かれていません(ページの更新日は2026年5月15日)。水防法にもとづき、1時間に153ミリの雨が市全域に降ったときに、下水道や水路からあふれる水の深さを示しています。
地図の凡例は、いちばん浅い0.1〜0.2メートルの色を「道路冠水相当」、0.5〜1.0メートルを「床上浸水相当」としています。海の潮位は、2018年9月29日に実際に観測された潮位の変化(いちばん高いときで標高1.9メートル)を前提にしています。
ただし注意事項には「落葉や土砂による雨水ますの詰まり等により起きる浸水は、シミュレーションでは反映しきれない」とあります。2025年1月の松本で、市が「一つの大きな要因」に挙げたのも、この詰まりでした。当サイトで見ると、松本郵便局前の県道85号沿いや泡瀬の街区にも浅い色が付いています。
川の洪水は、県の比謝川洪水浸水想定区域図(24時間1,012ミリを想定)で見ます。当サイトが図を見た限りでは、安慶田や胡屋の市街地の川沿いにも色が付いています。この図も、高潮や内水による浸水は考えていないと断っています。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
胡屋の雨量と浸水の件数(2025年1月と2026年5月)
アメダス胡屋では、線状降水帯の発生情報が出た2026年5月23日には73.0ミリ(20時04分まで)を観測し、1976年からの6位に入りました。

それでも沖縄県の5月27日9時の速報(最も新しい版)で、この大雨による沖縄市の床上浸水は3件(久保田・桃原・宮里)、床下浸水は4件で、松本と泡瀬の名前はありません。胡屋の1時間の雨が21.5ミリだった2025年1月24日の床上浸水は、県の1月25日8時の速報で18件、3月の市の答弁で23件でした。時点が違い、差の理由を書いた資料は見つかっていません。この2回では、胡屋の雨が強かった日のほうが、浸水の件数は少なくなっています。
住む前・借りる前に確かめること
- 内水ハザードマップで、家と勤め先に「道路冠水相当」以上の色が付いていないかを見る
- 海沿いなら、県の高潮浸水想定区域図(46沖縄市)で深さを見る
- 比謝川の近くなら、洪水浸水想定区域図も見る
- 雨の日に、家の前のグレーチングや側溝が落ち葉でふさがっていないかを確かめる
\内水の地図とは別に、比謝川の洪水と土砂の区域も確かめる/
その住所が洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っているかを出します(内水と道路の冠水は出ません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 那覇市 冠水 どこが危ないの?(国の一覧の沖縄県17か所)
- 沖縄 冠水 どこが危ないの?(県全体の記録と、水の種類ごとの想定区域)
- 西原町 冠水 どこが危ないの?(西原シティ前の国道329号と小波津川)
- 豊見城市 冠水 どこが危ないの?(名嘉地と、字与根に広い高潮の想定区域)
公式出典
- 内閣府 沖縄総合事務局「道路冠水注意箇所リスト【沖縄県】」/「直轄国道冠水想定箇所」
- 沖縄市議会 会議録(2023年9月20日・21日、12月15日、2025年3月11日・17日、6月11日・12日、9月22日、2026年2月18日、3月12日)
- 沖縄市「沖縄市雨水出水浸水想定区域図の策定・公表(令和8年3月30日)」(内水ハザードマップ 情報面・地図面)
- 沖縄市「防災マップ」(沖縄市防災マップ全体図・比謝川洪水浸水想定区域図・津波ハザードマップ)/沖縄市「水位監視カメラ」
- 沖縄県「高潮浸水想定区域図」(令和8年8月27日指定・解説書・46沖縄市)/沖縄県「洪水浸水想定区域」
- 沖縄県災害対策本部「災害対策本部関係情報」(令和7年1月24日 大雨洪水警報 被害状況 1月25日8時の速報/令和8年5月23日~ 被害状況 5月27日9時の速報・被害及び災害応急対策の実施状況 5月24日7時)
- 気象庁「過去の気象データ」胡屋 観測史上1〜10位の値・10分ごとの値(2025年1月24日・2026年5月23日)
- 琉球新報「車内に浸水『怖かった』 沖縄本島中部で大雨 床上浸水、冠水相次ぐ」(2025年1月25日)/沖縄タイムス「『路地が川のように…』 沖縄市、大雨で1メートル冠水」(2025年1月25日)
- 国土地理院 地理院タイル(地図)・住所検索・標高API・逆ジオコーダ
- 道路と施設の位置:OpenStreetMap(オープンストリートマップ、© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず沖縄市と沖縄県の最新の発表を確認してください。
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