佐野市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は5か所です。市道が2か所、県道が3か所。5か所とも、名前が「◯◯アンダー」で終わります。
そして「佐野市 冠水 リアルタイム」の答えは、市のページにはありません。市の防災トップに並ぶ21項目にも、市が案内する気象・河川のまとめ10本にも、道路の項目が1つも入っていないからです。カメラを持っているのは栃木県で、5か所のうち3か所が映っています。
この記事でわかること
- ✓ 5か所の聞く先は2つに割れます。市道2つが佐野市道路河川課、県道3つが栃木県です
- ✓ 消防署の欄には2通りの名前が並び、電話番号は5か所とも同じ 0283-22-4433 です
- ✓ 道路のカメラは市ではなく栃木県のサイトにあり、佐野市は4か所。うち3か所が冠水注意箇所と同じ場所です
箇所の数・種別・路線名・所在地・連絡先は、国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」栃木県の一覧と、1か所ごとの説明表から取りました。標高は国土地理院の標高データ、位置は国土交通省の位置参照情報(大字・町丁目レベル)の代表点です。道路のカメラは栃木県 県土整備部の道路ライブカメラ(撮影位置一覧)で、2026年9月21日に開いて確認しました。内水ハザードマップと重要事項説明の扱いは佐野市 上下水道局 下水道課、災害の記録・被害の数字・消防の体制は佐野市地域防災計画(令和7年3月)と市の消防本部のページ、避難の内訳は市の「令和元年東日本台風に関する市民アンケート まとめ」、秋山川の雨量と水位は栃木県 県土整備部の資料です。
5か所とも名前が「◯◯アンダー」です
地図から1か所ずつ開ける国の一覧で、栃木県は104か所。市町別に数えると佐野市は5か所で、県内では8番目です。同じ5か所が鹿沼市と那須町にもあります。
| 管理番号 | 名称 | 種別 | 路線 | 所在地 | 管理者 | 標高 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 02-028 | 朱雀アンダー | 市道 | 堀米145号線 | 堀米町 | 佐野市 | 37.9m |
| 02-029 | 吾妻アンダー | 市道 | 吾妻10号線 | 上羽田町 | 佐野市 | 23.2m |
| 02-030 | 富岡アンダー | 主要地方道 | 桐生岩舟線 | 富岡町 | 栃木県 | 31.1m |
| 02-031 | 大橋町アンダー | 主要地方道 | 佐野環状線 | 大橋町 | 栃木県 | 29.9m |
| 02-092 | 若松アンダー | 一般県道 | 堀込停車場線 | 若松町 | 栃木県 | 55.1m |
市道の2か所を管理するのは佐野市道路河川課、県道の3か所は栃木県です。5か所のうち3か所は、市に聞いても市の道ではありません。
国は同じ調査を2つの形で出しています。令和8年6月1日現在の県別PDFのほうは、栃木県111か所・佐野市4か所。数え方の違いで1か所ぶん変わります。
標高は上羽田町の23.2メートルから若松町の55.1メートルまで。佐野市の町丁目は118あって、いちばん低いのが越名町の16.1メートル、いちばん高いのが飛駒町の608.7メートルです。高低差は592.6メートル。5か所はその中ほどに並んでいます。
この標高は町丁目の代表点で引いた値で、道路の底そのものの高さではありません。低い町にも高い町にも、冠水注意箇所は入っていませんでした。


冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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同じ電話番号に、消防署の名前が2つ並んでいます
説明表の消防署の欄を5か所ぶん並べると、名前が2通りあります。市道の2か所が「佐野消防署」、県道の3か所が「佐野地区広域消防組合消防本部」。
電話番号は、5か所とも同じ 0283-22-4433 です。

いまの市の公式ページを見ると、この2つの名前は出てきません。0283-22-4433 は佐野市消防本部の通信指令課の番号で、署のほうは東消防署・西消防署・北分署の3つです。
消防本部と東消防署の住所は、どちらも富岡町1391。富岡アンダーと同じ町です。
管理者の欄にも、同じずれがあります。市道2か所に書かれている 0282-61-1130 は市外局番が 0282。佐野市は 0283 で、市の道路河川課は 0283-24-5111(代表)です。
その消防が、水防そのものを担っています。市の地域防災計画には「本市には、水防団を置かず消防機関が水防にあたる」と書かれています。
大雨のとき、市が出す情報に道路の項目がありません
市の防災トップに並ぶのは21項目です。台風に備える、防災・気象情報メール、洪水・土砂災害ハザードマップ、ため池マップ、内水ハザードマップ。道路冠水やアンダーパスの項目はありません。
「気象・河川水位・河川ライブカメラなどの情報について」というページには、外部へのリンクが10本あります。ページに付いている見出しは、気象、河川情報、危険地区情報、停電情報、災害時燃料供給の5つ。道路という見出しは、そこにありません。
市の防災・気象情報メールが配信するのも、火災・気象・避難の情報です。道路が水に浸かったことを知らせる項目はありません。
道路のカメラは、栃木県のサイトのほうにあります。県の道路ライブカメラの撮影位置一覧に佐野市の欄があり、若松アンダー、新会沢トンネル(佐野側)、大橋町アンダー、富岡アンダーの4か所。このうち3か所は、国の冠水注意箇所と同じ場所です。
残る2か所は朱雀アンダーと吾妻アンダー。どちらも市が管理する市道で、カメラの一覧に名前がありません。県が管理する3か所は映像で見られて、市の2か所は見られない、ということになります。
たどり着き方にはくせがあります。全域の地図から点をクリックする画面は古い作りで、ブラウザによっては画像が出ません。「撮影位置一覧」から市名を選ぶと、富岡アンダーの画像が表示されました(2026年9月21日に確認)。
内水の地図は、家を買うときに説明される地図です
佐野市の内水ハザードマップは、2026年5月に全世帯へ配られました。市はこの地図について、はっきりこう書いています。「佐野市の内水ハザードマップは、水防法第14条の2に基づいています。」
これは宅地建物取引業者に向けた一文です。水防法施行規則第11条第1号の規定により、市が提供する図面に建物の位置が表示されていれば、重要事項説明として説明しなければなりません。家を買うとき借りるときに、不動産会社から説明される地図だということです。
想定しているのは、1時間あたり153ミリの雨。ただし「対象区域はあくまで公共下水道全体計画区域を対象としております。(市内全域ではありません。)」と断りが付いています。
情報面には、こんな欄があります。「地下道(アンダーパス)は、大雨時には周辺から水が流れ込み危険です。」
もう1つ、「浸水実績箇所」の欄。「周辺よりも低くなっていることが多く、水が溜まりやすいので、注意が必要です。」冠水のリアルタイム情報は無くても、低い場所がどこかを先に知る手はあります。

この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
2019年、秋山川は2か所で切れました
令和元年東日本台風。市の災害記録には「秋山川の決壊(海陸橋北西、大橋北西)」と書かれています。国土交通省の資料では、2か所とも「上流右岸」の決壊です。
決壊したのは堤防で、場所はどちらも橋の上流です。その大橋がある大橋町は、大橋町アンダーと同じ町です。
市がまとめた被害は、床上浸水1,767棟、床下浸水2,059棟。道路の被害は209か所、避難者は4,217人、人的被害は3名(中等症1、軽傷2)でした。
栃木県の資料では、秋山川による浸水が床上1,411戸・床下636戸。こちらは被災直後の調査、市の数字は市内全域の延べで、数える範囲が違います。
雨は、秋山台の観測所で24時間471ミリ、1時間最大57ミリ。大橋の水位観測所は氾濫危険水位2.80メートルを超えて3.25メートルまで上がり、そこで施設が壊れて記録が途切れました。
市の内水の地図が想定しているのは1時間153ミリです。2019年に実際に降った1時間57ミリは、その3分の1ほどでした。

避難した人の多くが、車で動いていました
市は住宅被害を受けた約2,000世帯にアンケートを送り、6割近い世帯から回答を得ています。
避難したきっかけの「その他」で大半を占めたのは、「道路が冠水して」「川の水量を見て」「消防車や市広報車の周知」の3つでした。
避難した場所までの交通手段で一番多かったのは「車」。年代別では、20代から60代の7割以上が車で避難しています。
そして「避難しなければよかった」と答えた人は、ほとんどが理由に「車が水没したから」を挙げました。市は「浸水想定区域内に位置する避難所等については、水没のリスクがあることを周知していく必要がある」と書いています。
避難が増えたのは夕方からです。16時50分に避難勧告、17時40分に秋山川の氾濫警戒情報。17時台から避難者が急増し、19時台にピークを迎えました。その19時台に、秋山川・旗川・小曽戸川の越水が確認されています。
それでも市は、まとめにこう書きました。「一人の犠牲者も出なかった」。

道路が水に浸かった記録は、2008年以降で8回
市の地域防災計画には、主な災害の記録が年表で並んでいます。「道路冠水◯箇所」と書かれた回を数えると、2008年以降で8回ありました。
いちばん多いのが2016年8月22日の台風9号で、道路冠水16か所。このとき市は55か所の避難所を全部開けています。
次が2017年7月12日の11か所です。同じ日に「車両水没2」と記録されていて、2014年6月23日にも「車両水没1」があります。
2021年は7月10日に2か所、翌11日に3か所。2022年7月3日にも道路冠水の記録が残っています。
地名を見ると、2021年7月11日に被害が出たのは朝日町・植下町・堀米町・小中町・浅沼町。堀米町は、朱雀アンダーと同じ町です。2019年に避難指示が出た地区にも、堀米と吾妻の名前が並んでいました。

水に入ってしまった車から出るまで

アンケートで「避難しなければよかった」の理由になったのは、車の水没でした。避難のために乗った車が、そのまま水に入っています。
くぐる道は、手前から見ると水面が平らに見えて、いちばん深い底が見えません。
JAF(ジャフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。ドアの高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられません。外に出られないときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 足利市 冠水 どこが危ないの?(栃木県)
- 小山市 冠水 どこが危ないの?(栃木県)
- 栃木市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 16か所のうち10か所が東北自動車道の下です
- 宇都宮市 冠水 どこが危ないの?(栃木県) 19か所とも「◯◯アンダー」で、県内でいちばん多い市です
この記事のまとめ
佐野市で道路が冠水しやすい場所は5か所。市道2か所と県道3か所で、5か所とも名前が「◯◯アンダー」です。標高は23.2メートルから55.1メートルで、市内118町丁目の中ほどに並びます。消防署の欄には2通りの名前が並んでいて、電話番号は5か所とも同じ 0283-22-4433 でした。
市の防災ページにも、市が案内する10本のリンクにも、道路の項目はありません。道路のカメラは栃木県のサイトにあり、佐野市は4か所。うち若松アンダー・大橋町アンダー・富岡アンダーの3か所は、冠水注意箇所と同じ場所でした。市の内水ハザードマップは水防法第14条の2に基づく地図で、家を買うとき借りるときに説明される対象です。道路冠水の記録は2008年以降で8回、最多は2016年台風9号の16か所でした。
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