相模原市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は11か所です。神奈川県119か所のうち、横浜市28、藤沢市13、伊勢原市12に次いで4番目に多い数です。
11か所の名前を並べると、10か所が同じ2文字で終わります。立体。関東7都県の774か所のうち「立体」と呼ばれるのは52か所しかなく、その5か所に1か所が相模原市にあります。
この記事でわかること
- ✓ 市は国の11か所とは別に41か所を公表していて、合わせると市内52か所です
- ✓ 11か所とも標高57.5メートル以上。いちばん低い箇所がここまで高い市は初めてです
- ✓ 国の一覧では2か所しかない緑区が、市の分を足すと23か所でいちばん多くなります
箇所の数・種別・路線名・所在地は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」神奈川県119か所と箇所ごとの説明表から数えました。市の41か所は相模原市「道路冠水のおそれがある立体交差(アンダーパス)等」(令和8年9月16日更新)の2つの一覧、浸水の想定は市の「浸水(内水)ハザードマップ」、台風の被害は市の「令和元年東日本台風災害記録誌」(令和4年7月)から取りました。標高は国土地理院の標高データです。県の合計はWeb(ウェブ)マップの一覧の数で、令和8年6月1日更新のPDF版では神奈川県128か所・横浜市30か所となっています。
10か所の名前が「〇〇立体」です

11か所のうち、名前に「立体」が入るのが10か所。入らないのは南区当麻の「新昭和橋下」だけです。
関東の一覧を数えると偏りがはっきりします。7都県で774か所あり、いちばん多い呼び名は「アンダー」の168か所。「立体」は52か所しかありません。
その52か所を市区別に見ると、相模原市が10でいちばん多く、次が日野市の4。神奈川県内の「立体」12か所のうち10か所が相模原市で、残りは厚木市と大井町に1か所ずつです。
「立体」は通称ではありません。市が出している一覧の題名が「市内の立体交差(アンダーパス)一覧」。鉄道や幹線道路と交差させるために道路を掘り下げた、その箱の底が数えられています。
種別は市道7、県道4。県道の4か所も、政令指定都市なので管理者は相模原市です。国が直接管理する国道は1つもありません。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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11か所とも、標高57.5メートルより上にあります

所在地を国土地理院の標高データに通すと、いちばん低いのが南区当麻の57.5メートル。新昭和橋下と下当麻立体が同じ数字です。いちばん高いのは緑区橋本八丁目の相原元橋本立体で143.9メートル、差は86.4メートルあります。引いたのは丁目・字の代表点の高さで、道路の底そのものの高さではありません。
目を引くのは高いほうではなく、低いほうです。100を超える市を同じ手順で測ってきましたが、いちばん低い箇所がここまで高い市はありませんでした。これまでの記録は豊田市の「13か所とも24.8メートル以上」です。
市街地が相模原台地の上にあるからです。この市では「低い土地だから水がたまる」という説明が成り立ちません。台地の上でも、道を掘り下げればそこが底になります。
市はこれとは別に、41か所を数えています
市のホームページに「道路冠水のおそれがある立体交差(アンダーパス)等」というページがあります。令和8年9月16日に更新されていて、一覧が2つ置いてあります。
1つめは「市内の立体交差(アンダーパス)一覧」で11か所。路線も所在地も、国の道路冠水注意箇所と同じでした。施設名だけは市の資料のほうが長く、国が「矢掛立体」と書く場所を市は「矢掛立体交差」と書いています。2つめが「市内の立体交差(アンダーパス)以外の冠水注意箇所一覧」で、一般37か所と傾斜4か所、合わせて41か所が載っています。
足すと市内52か所。国の一覧で見えている11か所は、市が把握している箇所の5分の1です。

区ごとに並べ直すと、見え方が入れ替わります。
| 区 | 国の一覧 | 市の一般 | 市の傾斜 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 緑区 | 2 | 19 | 2 | 23 |
| 南区 | 5 | 15 | 0 | 20 |
| 中央区 | 4 | 3 | 2 | 9 |
国の一覧だけなら、緑区は2か所。どちらも橋本の市街地です。市の一覧を足すと、緑区が23か所でいちばん多くなり、中央区の9か所がいちばん少なくなります。
緑区の19か所に出てくるのは、下九沢、田名、町屋、川尻、三ヶ木、青山といった地名で、国の一覧には1つも出てきません。国のリストだけを見て「緑区は少ない」と読むと、事実と逆になります。
坂の下にたまる「傾斜」が4か所あります

市の41か所は、「一般」と「傾斜」に分けて書かれています。傾斜は4か所だけですが、この分け方を見たのはこのシリーズで初めてです。
| 路線 | 所在地 |
|---|---|
| 市道 | 緑区下九沢1826-2付近 |
| 国道129号 | 中央区南橋本4丁目74-15付近 |
| 市道 嶽之内当麻 | 中央区淵野辺本町5丁目861-2付近 |
| 県道76号(山北藤野線) | 緑区日連332-1付近 |
アンダーパスは掘り下げた箱の底に水がたまります。傾斜は違います。坂を下った先に集まる。「ここから下」という形が見えないぶん、走っていて気づきにくいのはむしろこちらです。
中央区淵野辺本町の市道嶽之内当麻は、国の一覧にある共和嶽之内立体と同じ路線名です。1本の道に、掘り下げた箱と坂の下と、2種類の低い場所があることになります。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
冠水の地図は、重要事項説明で示す義務がありません
相模原市には浸水(内水)ハザードマップがあります。平成24年9月の発行で、平成30年8月の改訂。雨水管で排水できないときや、八瀬川・姥川といった市が管理する川からあふれたときを想定しています。
想定しているのは、この雨です。
この浸水(内水)ハザードマップは、過去に記録した1時間に96.5ミリメートル(平成20年)と同じ降雨が市域全域に同時に降った場合に、浸水が広がる範囲とその深さを想定した区域(浸水想定区域)を記載しています。
そしてもう一文、市の防災マップ一覧のページにこう書かれています。
相模原市が作成・公表している水防法に基づくハザードマップは、洪水浸水想定区域を示した洪水ハザードマップのみとなります(雨水出水浸水想定区域や高潮浸水想定区域の指定はありません)。
宅地建物取引業法の施行規則が改められ、重要事項説明では水防法に基づく水害ハザードマップで物件の位置を示すことになりました。相模原市でその対象になるのは洪水のマップだけです。内水のマップは水防法に基づかないため、示す義務がありません。
示してはいけないという意味ではありません。ただ、冠水が心配な人ほど、説明では出てこない資料を自分で開きに行くことになります。

令和元年東日本台風で、市内に起きたこと
市は「令和元年東日本台風災害記録誌」を令和4年7月にまとめています。道路の被害は52の路線で474件。土砂崩れ143、崩落102、土砂流入96と続いて、冠水は45件でした。
その45件の「主な路線」として市が先に挙げているのは、国道412号と市道石神六間の2つです(表には「他」と続きます)。市道石神六間は、市の冠水注意箇所一覧に緑区青山2732-2として同じ路線名で載っています。ただし一覧が作られたのは台風の8か月後で、どちらが先かはこの資料からは分かりません。

同じ記録誌に、人の被害も書かれています。死者8名、負傷者3名で、全員が緑区内でした。このうち4人は、1台の軽乗用車に乗っていた人たちです。道路の冠水ではなく、川への転落でした。
発生場所は緑区青山。串川の中村橋付近から軽乗用車が河川に転落し、流された。乗っていたのは4人で、40代の男性、30代の女性、10代の女の子、10歳未満の男の子。全員が亡くなっています。
河川の被害は市内116か所で、うち串川が63か所。住まいの被害は199棟で、床上浸水20棟、床下浸水51棟。緑区の津久井地域に集中していました。
水に入ってしまった車から出るまで

国が数えた11か所は、どれも何かの下をくぐる道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。市が足した41か所には、坂を下りきったところという形もあります。
JAF(ジャフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
車が動かなくなったら110番と119番へ。ドアの高さの半分を超えると、内側からはほぼ開けられません。外に出られないときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 横浜市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 30か所のうち6か所は、標高60メートルより高い場所です
- 川崎市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 12か所のうち10か所は鉄道の下、北の3区にはありません
- 藤沢市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 13か所のうち10か所が「地下道」。市道の説明表には緯度経度が書いてあります
- 茅ヶ崎市 冠水 どこが危ないの?(神奈川県) 5か所とも「地下道」。砂丘の列を南北に抜ける道です
この記事のまとめ
相模原市で道路が冠水しやすい場所は、国の一覧で11か所。うち10か所の名前が「〇〇立体」で、関東の「立体」52か所の19%、神奈川県内の12か所のうち10か所がこの市にあります。11か所とも標高57.5メートル以上で、いちばん高い相原元橋本立体は143.9メートルです。
市はこれとは別に41か所を公表していて、合わせて市内52か所。国の一覧では2か所だった緑区が、足すと23か所でいちばん多くなります。市の内水のハザードマップは水防法に基づかないため、重要事項説明で必ず示されるのは洪水のマップだけです。
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