札幌市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は12か所です。
ところが札幌市が自分で残している浸水の記録を数えると、1,206件ありました。国の一覧と市の記録で、桁が2つ違います。
この記事でわかること
- ✓ 国の「道路冠水注意箇所」は札幌市12か所。北海道全体で47か所しかなく、そのうちの12です
- ✓ 札幌市の浸水履歴は1,206件で、その6割が道路の冠水です
- ✓ 記録がいちばん多いのは白石区の240件。国の一覧には白石区の道が1か所しか入っていません
箇所の数・路線名・住所は国土交通省 北海道開発局「冠水想定箇所(北海道)」47か所と、箇所ごとの説明表12枚から自分で数えました。浸水履歴は札幌市危機管理局「浸水履歴(令和8年8月現在)」のエクセルを1件ずつ集計しています。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引きました。
国の一覧は12か所、市の記録は1,206件です

北海道開発局が出している一覧は、北海道全体で47か所です。市町村別に数えると札幌市が12か所で最も多く、次が北見市の4か所、旭川市の3か所と続きます。
いっぽう札幌市は、平成12年7月25日以降に市が把握した浸水を1件ずつ記録して公開しています。その総数が1,206件。いちばん新しい記録は令和8年8月25日で、このとき8つの区から報告が入っています。
どちらが正しいという話ではありません。国の一覧は「構造として水がたまる場所」を選んだもの、市の記録は「実際に水が出て市が動いた場所」です。数えているものが、そもそも違います。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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白石区は記録が最多なのに、国の一覧には1か所だけです
浸水履歴を区ごとに数えると、白石区240件、東区218件、南区179件、清田区103件の順でした。いちばん少ない中央区でも55件あります。
この順番を、国の12か所と重ねると食い違いが出ます。12か所の内訳は中央区4、北区4、厚別区2、南区1、白石区1。記録が最も多い白石区は、国の一覧では菊水アンダーパスの1か所だけです。
もっとはっきりしているのが東区です。市の記録は218件、そのうち道路冠水が141件あるのに、国の一覧に東区の道は1か所も入っていません。豊平区・清田区・西区・手稲区も同じくゼロで、10区のうち5区は国の一覧の外にあります。
「札幌 冠水 白石区」と調べている人が見るべきなのは、国の12か所ではなく市の浸水履歴のほうだ、ということになります。

記録の6割は「道路の冠水」です

市の記録には、そのとき何が起きたかを書く欄があります。数えると「道路冠水」が735件で、複数の被害が同時に書かれたものを足すと754件、全体の62.5パーセントが道路の冠水でした。
残りはマンホールからの溢水が98件、車庫の浸水が78件、住宅の浸水等が65件、地下車庫の浸水が50件。床上浸水は22件です。家より先に、まず道路と車庫に水が来ています。
日付でも固まりがあります。いちばん多いのが2014年9月11日の115件、次が2017年9月23日の101件、その次が2001年9月11日の99件。地区でいうと白石区北郷が80件、東区東苗穂が71件、東区北が65件です。
標高は3メートルから68.5メートルまで

| 区 | 名称 | 路線 | 標高 |
|---|---|---|---|
| 北区 | 百合が原公園アンダーパス | 市道 | 3.0m |
| 北区 | 篠路アンダーパス | 道道 | 3.6m |
| 北区 | 新川アンダーパス | 道道 | 4.5m |
| 北区 | 環状通エルムトンネル | 市道 | 11.4m |
| 中央区 | 苗穂アンダーパス | 市道 | 13.2m |
| 中央区 | 札幌市苗穂アンダーパス | 国道275号 | 13.3m |
| 白石区 | 菊水アンダーパス | 市道 | 12.8m |
| 厚別区 | もみじ台通アンダーパス | 市道 | 15.0m |
| 中央区 | 東8丁目アンダーパス | 市道 | 16.3m |
| 中央区 | 創成トンネル | 市道 | 20.7m |
| 厚別区 | 上野幌アンダーパス | 市道 | 64.1m |
| 南区 | 札幌市川沿アンダーパス | 国道230号 | 68.5m |
標高は説明表の住所から引いた代表点の値です。くぐる道の底は、これよりさらに低くなります。
低いほうに並ぶのは北区です。百合が原、篠路、新川西と、3か所とも標高5メートル未満。石狩川に向かって下っていく側で、市街地としてはいちばん低い一帯にあたります。
名前にも特徴があります。12か所のうち10か所が「アンダーパス」、残る2か所は「環状通エルムトンネル」と「創成トンネル」。札幌では、地下道という呼び方がほとんど使われていません。検索するときも「アンダーパス」で探したほうが早く当たります。
この住所は浸水しやすい場所ですか
ここまでは市全体の話です。知りたいのは自分の住所がどうかだと思います。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
電話をかける先は、区ごとに違います
説明表の管理者の欄を見ると、札幌ならではの形になっていました。国道230号の川沿と国道275号の苗穂は北海道開発局 札幌道路事務所。残る10か所は、すべて「◯◯区土木部維持管理課」です。
北区の4か所は北区土木部、中央区の4か所は中央区土木部、というふうに区役所ごとに分かれています。警察署も南・東・北・中央・白石・厚別と6つに割れます。他の市だと市役所の道路課1つにまとまることが多いので、ここは札幌の特徴です。
道に水がたまっているのを見つけたときの連絡先が、場所によって別の窓口になる、ということでもあります。自分の生活圏の区役所の番号を控えておくと早いです。
内水の地図は、2022年3月から重要事項説明の対象です
札幌市は令和4年(2022年)3月18日に、雨水出水浸水想定区域を指定して公表しました。根拠は令和3年に改正された水防法の第14条の2です。
市はこの区域を10区ぶんのPDFで出しているほか、区ごとの「浸水ハザードマップ」に反映しています。注意事項には、このハザードマップは水防法の規定に基づく水害ハザードマップ【内水氾濫(雨水出水)、洪水】に該当すると書かれています。
水防法に基づく地図は、不動産の売買や賃貸のときに宅地建物取引業者が説明する対象です。札幌市の内水の地図は、2022年3月18日から説明される側になっています。重要事項説明でハザードマップの話が出たら、洪水だけでなく内水の面も指してもらってください。
高潮については、札幌市内に浸水想定区域が指定されていないため、水防法に基づく高潮ハザードマップはありません。浸水履歴のほうは法律に基づくものではなく、市のパトロールや市民からの通報で把握できた記録です。条丁目までの単位なので、地番や浸水の深さは載っていません。
もし車で水に入ってしまったら


12か所のうち10か所がアンダーパス、2か所がトンネルです。どちらも手前から見ると水面が平らに見えて、いちばん深い底は見えません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
雪どけの時期は、側溝や排水口が氷や土砂でふさがっていることがあります。同じ雨量でも水がはけず、ふだん通れる道で急にたまることがあります。通れているという感覚が、いちばん危険です。水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けません。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 大崎市 冠水 どこが危ないの?(宮城県) 県内32か所で最多の市。仙台市は1か所も入っていません
- 青森市 冠水 どこが危ないの? 14か所のうち13か所が市道、法定の内水地図はまだありません(青森県)
- 秋田市 冠水 どこが危ないの? 市が名指しする地下道は17か所と、映像で見られる6か所(秋田県)
- 新潟市 冠水 どこが危ないの? 288か所のうち、市が人を張り付けているのは31か所(新潟県)
- 神戸市 冠水 どこが危ないの?(兵庫県) 13か所のうち12か所に排水ポンプが付いています
この記事のまとめ
札幌市で道路が冠水しやすい場所として国が数えているのは12か所です。北海道全体で47か所しかなく、そのうちの12か所が札幌市に集まっています。10か所が「アンダーパス」、2か所がトンネルで、標高は3.0メートルから68.5メートルまで開きます。
いっぽう札幌市自身の浸水履歴は1,206件あり、その62.5パーセントが道路の冠水です。区別では白石区の240件が最多ですが、国の一覧に入っている白石区の道は菊水アンダーパス1か所だけ。東区にいたっては記録が218件あって、国の一覧はゼロです。市の内水の地図は2022年3月18日に水防法に基づいて指定され、重要事項説明の対象になっています。
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