世田谷区で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は7か所です。
7か所には、はっきりした共通点がありました。どれも標高31メートルより高い、台地の上にあります。多摩川に近い玉堤や鎌田には、1か所もありません。
この記事でわかること
- ✓ 7か所とも国道か都道。区が管理する道は1つもありません
- ✓ 標高は31.4メートルから47.8メートル。区内で低い玉堤(10.7メートル)には1つもありません
- ✓ 区の浸水記録は37年で1,824棟。59の町のうち56町に記録があり、名前が出ない町は3つだけです
箇所の数・種別・住所は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所マップ【東京都】」153か所と箇所ごとの説明表から、浸水の記録は世田谷区「浸水確認箇所一覧」(平成元年〜令和7年9月30日)から取りました。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIです。
7か所は国道が2つ、都道が5つです
国土交通省の一覧には東京都内の153か所が載っています。区市別に数えると、世田谷区は7か所。23区では大田区・板橋区・練馬区の10か所が最も多く、世田谷区はそのすぐ下のグループです。
種別を見ると国道が2か所、都道が5か所。区が管理する道は1つもありません。同じ7か所の足立区は都道1・区道6でしたから、中身はまるで逆です。
| 管理番号 | 種別 | 路線 | 名称 | 住所 | 標高 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都-02-004 | 直轄国道 | 国道20号 | 大原アンダー | 大原2丁目 | 47.8m |
| 東京都-02-013 | 直轄国道 | 国道246号 | 瀬田アンダー | 玉川台1丁目〜瀬田4丁目 | 35.6m |
| 東京都-02-046 | 都道 | 主要地方道318号 | 玉川通り旭陸橋下アンダーパス | 上馬4丁目 | 36.8m |
| 東京都-02-047 | 都道 | 主要地方道318号 | 世田谷通り常盤陸橋下アンダーパス | 上馬5丁目 | 36.5m |
| 東京都-02-048 | 都道 | 主要地方道318号 | 淡島通り若林陸橋下アンダーパス | 若林5丁目 | 31.4m |
| 東京都-02-049 | 都道 | 主要地方道311号 | 目黒通り下アンダーパス | 等々力2丁目 | 32.3m |
| (地図側の一覧に無い) | 都道 | 補助128号線 | 桜木トンネル | 桜1丁目 | 39.7m |
318号は環状七号線、311号は環状八号線です。環七が3か所、環八が1か所。どれも環状道路が別の通りの下をくぐる、陸橋の下でした。
桜木トンネルだけは、地図で見られる一覧のほうに入っていません。関東地方整備局の資料は県ごとのPDFと地図側の一覧で件数が違い、地図側に無い箇所は箇所ごとの説明表が開けません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
※ 本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介している商品は、記事の内容に関連するものを編集方針にもとづいて選んでいます。Amazonのアソシエイトとして、おかあさんのおうちは適格販売により収入を得ています。
7か所とも、標高31メートルより上です

7か所の住所を国土地理院の標高APIに入れると、いちばん低い若林5丁目で31.4メートル、いちばん高い大原2丁目で47.8メートルでした。
いっぽう区内で低いのは多摩川に近い側です。玉堤一丁目が10.7メートル、鎌田一丁目が11.4メートル、野毛一丁目が19.5メートル。この3つの町に、国の一覧の箇所は1つもありません。
足立区の7か所は全部が標高2メートル未満でした。同じ「7か所」なのに、数字が1つも重なりません。
区の一覧は、道路の冠水を数えていません
世田谷区は「浸水確認箇所一覧」という資料を公開しています。平成元年から令和7年9月30日までの記録で、発生日・総雨量・最大雨量・町名・丁目・番・床上か床下か・浸水の深さ・棟数まで入っています。
ただし、注意書きにこう書いてあります。「掲載対象は、建物内の床上、床下、地下の被害です。道路、駐車場、農地、庭、空き地など地表の冠水は対象外です」。
国の一覧は道路を数え、区の一覧は建物の中を数えています。2つを重ねても同じ場所にはなりません。区の記録に無いことは、その道が浸からないことを意味しません。
37年で1,824棟。9割は川があふれたのではありません

一覧は1,327行あり、棟数を足すと1,824棟になります。
原因の欄を数えると、内水が1,179行、氾濫が83行。9割以上が「川があふれたのではない」浸水です。下水道や水路が雨を流しきれずにあふれる形が、世田谷区の水害の主な形だということです。
町ごとに棟数を足すと鎌田が225棟で最も多く、次が上馬の113棟。そこから砧78棟、用賀74棟、北烏山64棟と続きます。北烏山の標高は49.1メートルで、区内では高いほうです。高台だから浸からない、は世田谷区では成り立ちません。

2位の上馬には、国の一覧の2か所(旭陸橋下と常盤陸橋下)があります。標高は36メートル台。道の記録と建物の記録が同じ町で重なるのは、7か所のうちここだけでした。
記録が無い町は3つだけ。その1つに国の一覧の道があります
区の町名は、公園を除くと59あります。浸水確認箇所一覧に名前が出てくるのは56町。記録が1件も無いのは大原・豪徳寺・玉川田園調布の3町だけです。
そして国の一覧の1つ目、国道20号の大原アンダーは、その「大原」にあります。区の記録では1棟も浸かっていない町に、国が名指しする道がある。数えているものが違うと、こういうことが起きます。
台風19号のときは、多摩川沿いだけでした

令和元年10月の台風19号の記録は62行・64棟です。町別に見ると玉堤27、野毛15、上野毛5、尾山台4。62行のうち47行が、この4町に集まっています。
4町とも多摩川に近く、標高は10メートルから28メートルほど。国の一覧の7か所とは1つも重なりません。雨で危ない場所と、川が増えて危ない場所は、同じ区の中でも別だということになります。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
この住所は浸水しやすい場所ですか
ここまでは区全体の話です。知りたいのは自分の住所がどうかだと思います。
浸水の3分の1は、地下で起きています

一覧には「建物構造」という欄があり、地下の被害があったときだけ中身が書かれます。数えると地下車庫が259行、地下室が131行、半地下が61行、地下玄関が9行。あわせて470行・570棟で、1,824棟のおよそ3分の1にあたります。
いちばん深かったのは尾山台3丁目の地下車庫で、平成30年8月27日に200センチ。床から水面まで2メートルです。鎌田1丁目と2丁目、上野毛2丁目の150センチが続きます。
地下は、外の道が数センチ浸かった段階でも水が入ります。世田谷区の記録は、その入口が車庫であることが多いと教えています。
内水のハザードマップは、いま作っている途中です
区は洪水・内水氾濫ハザードマップを配っていますが、水防法に基づくものかどうかは中身で分かれます。
| 種類 | 作成 | 中身 |
|---|---|---|
| 洪水 | 有 | 多摩川洪水版のすべてと、内水氾濫・中小河川洪水版の一部 |
| 雨水出水(内水氾濫) | 無 | 令和8年3月に東京都が区域を指定し、区はいま作成中 |
| 高潮 | 無 | 区域が指定されていない |
不動産の取引で説明が義務になる水害ハザードマップは、いまのところ洪水の分だけです。内水の分は、これから加わります。
配られている内水氾濫・中小河川洪水版は、東京都が作った時間最大雨量153ミリ・総雨量690ミリの想定によるものです。多摩川洪水版のほうは、2日間の総雨量588ミリで堤防が切れた場合を描いています。
もし車で水に入ってしまったら

7か所は、どれも上を別の道が通るくぐる道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市区も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 足立区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 同じ7か所ですが、7つとも標高2メートル未満です
- 板橋区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 10か所で23区最多。こちらも台地の上に並びます
- 大田区 冠水 どこが危ないの?(東京都) 同じ多摩川沿いの区です
この記事のまとめ
世田谷区で道路が冠水しやすい場所は7か所。国道2か所と都道5か所で、区道は1つもありません。環七が3か所、環八が1か所で、どれも陸橋の下です。
7か所は標高31メートルから48メートルの台地の上にあり、区内で低い玉堤・鎌田・野毛には1つもありません。区が37年ためた1,824棟の浸水記録は9割以上が内水で、記録が無い町は3つだけ。そのうちの1つ「大原」に、国の一覧の1か所目があります。
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所マップ【東京都】」153か所と箇所ごとの説明表
- 世田谷区「浸水確認箇所一覧/浸水確認箇所図」平成元年〜令和7年9月30日
- 世田谷区「世田谷区洪水・内水氾濫ハザードマップ(多摩川洪水版、内水氾濫・中小河川洪水版)」令和8年7月更新
- 世田谷区「世田谷区の町丁目別人口と世帯数」令和8年
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。










コメント