国が道路冠水注意箇所として名前を出しているのは、東京都内に153か所。そのうち大田区は10か所で、八王子市の12か所に次ぐ都内2番目の多さです。練馬区も同じ10か所でした。
10か所の顔ぶれは、ほかの区とかなり違います。4つが空港と港のトンネルで、3つが環状七号線です。残るのが蒲田アンダーと、JR東海道線と東急多摩川線のガード下でした。
そしてもう1つ。都内153か所のうち「ずい道」と書かれているのは、大田区のこの1つだけです。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は東京都153か所、大田区は10か所で都内2位タイ
- ✓ 10か所のうち4つがトンネル、うち3つは国道357号の空港まわり
- ✓ 区は雨水出水(内水)の浸水想定区域を指定していない
箇所数は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水箇所リスト【東京都】」(令和8年6月15日更新)を1行ずつ数えたものです。番号1から153まで欠番も重複もありませんでした。大田区の10か所は地先名が構造物の名前になっているものが多く、町丁を特定できないため標高は載せていません。
10か所の内訳は、空港・環七・ガード下です

| 路線 | か所 | 名称 |
|---|---|---|
| 国道357号 | 3 | 羽田空港トンネル/空港北トンネル/空港南トンネル |
| 都道318号(環状七号線) | 3 | 大和大橋下アンダーパス/平和ずい道/湾岸道路下アンダーパス |
| 国道15号 | 1 | 蒲田アンダー |
| 都道11号 | 1 | JR東海道線ガード下アンダーパス |
| 都道311号 | 1 | 東急多摩川線ガード下アンダーパス |
| 臨港道路 | 1 | 臨海トンネル |
国道357号は湾岸道路です。都内でこの道のトンネルは4つあり、そのうち3つが大田区の空港まわりに固まっています。残る1つは江東区と品川区にまたがる東京港トンネルです。
環状七号線のほうは、都内9か所のうち3つが大田区。板橋区、杉並区、中野区、世田谷区にも1つずつあります。同じ1本の道が、区をまたいで何度も出てくる形です。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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「ずい道」は都内にここだけです

153か所を呼び名で数えると、「アンダー」が43、「トンネル」が25、「ガード」が11、「地下道」が5。そして「ずい道」はたった1つ、環状七号線の平和ずい道だけです。「隧道」という漢字表記は都内に1つもありません。
呼び名は現地の慣習で決まるので、同じ構造でも書き方が割れます。神奈川県では「隧道」が3つあり、岐阜県の148か所には逆に「トンネル」も「ガード」も1つもありませんでした。
大田区の10か所のうち、トンネルと名がつくのは4つ。都内のトンネル25のうち4つが大田区で、練馬区・江東区と並んで最多です。
区は、内水の浸水想定区域を指定していません
大田区は宅地建物取引業者向けに、水防法にもとづくハザードマップがあるかどうかを表にして公開しています。洪水は「あり」、高潮も「あり」。雨水出水、つまり内水は「なし」です。
理由も注釈に書かれています。
大田区は水防法第14条の2に基づく雨水出水浸水想定区域は未指定です
内水の色がついた地図が無いわけではありません。「中小河川・土砂災害・内水氾濫ハザードマップ」には呑川や丸子川の氾濫とあわせて内水の想定も入っています。ただ、その内水の部分について区はこう続けています。
東京都が独自に作成しているものであり、水防法に基づくものではありません
家を借りたり買ったりするときに必ず説明される地図は、水防法にもとづくものです。説明されなかったからといって、そこが内水で浸からないという意味にはなりません。
同じページには、津波災害警戒区域の指定が無いこと、宅地造成等工事規制区域が令和6年7月31日から区の全域にかかっていること、大規模盛土造成地が区内に17か所あることも書かれています。
田園調布で浸水したとき、地元の雨は1時間25ミリでした
大田区には、実際に浸水した場所の検証結果が残っています。令和元年の台風19号で田園調布4丁目・5丁目が浸かったときのものです。
多摩川の水位は、10月12日16時ごろに氾濫危険水位の8.40メートルを超え、22時ごろに計画高水位の10.35メートルを超え、22時30分に10.81メートルでピークを迎えました。
いっぽう、同じ場所で降っていた雨は最大で1時間25ミリ。多摩川の流域で最大だった檜原(ひのはら)や御岳(みたけ)は1時間56ミリ、4日間で654ミリでした。
川の水位が上がると、支流や下水を川へ出すための樋門(ひもん)を閉めます。閉めれば、内側にたまった水は出られません。地元でたいして降っていなくても、上流の雨で足元から来るということです。このときは最終的に谷沢川があふれ、田園調布一帯が浸かりました。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
8月に国が全国のアンダーパスを点検しています

令和8年8月13日、国道16号の千葉市中央区村田町のアンダーパスが冠水し、車に乗っていた人が亡くなりました。国土交通省によると、原因は「非常用電源設備の不作動」。停電したときに非常用電源が立ち上がらず、排水ポンプが動いていませんでした。
これを受けて8月14日から、全国の直轄国道にあるアンダーパスなど102か所が緊急点検されました。関東地方整備局の対象は48か所で、村田町を除いて異常はありませんでした。
大田区の10か所のうち国道は4つ。残る6つは東京都と港湾の管理者が見ています。
この住所は浸水しやすい場所ですか
洪水・内水・高潮・土砂で、見る資料はそれぞれ別に置かれています。1枚ずつ確かめるのは手間なので、住所を入れるだけでまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

アンダーパスに共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市区も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの? 国の一覧に名前がある全国52市を1つずつ調べました
- 練馬区 冠水 どこが危ないの?
- 川崎市 冠水 どこが危ないの? 12か所のうち10か所は鉄道の下、北の3区にはありません
- 多摩川 氾濫 水はどこから入ってくる? 2019年に川崎を浸したのは堤防の決壊ではなく、閉めた水門の上と管理通路の水抜き穴でした
この記事のまとめ
大田区で道路が冠水しやすい場所として国が名前を出しているのは10か所。都内153か所のうち練馬区と並ぶ2位で、4つが空港と港のトンネル、3つが環状七号線です。都内でただ1つの「ずい道」もここにあります。
区は水防法にもとづく雨水出水の浸水想定区域を指定していません。内水の色がついた地図はありますが、それは東京都が独自に作ったもので、水防法に基づくものではないと区自身が書いています。
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「道路冠水箇所リスト【東京都】」153か所(令和8年6月15日更新)
- 国土交通省「国道16号村田町アンダーパス冠水事案を踏まえた緊急点検結果及び今後の取組について」別紙1(令和8年8月21日)
- 大田区「宅地建物取引業者の方へ(水防法に基づく大田区ハザードマップの作成状況)」「大田区防災ハザードマップ」
- 大田区「令和元年台風19号における田園調布地区内水解析 検証結果」
- ハザードマップポータルサイト「内水浸水想定区域 掲載状況一覧」63件
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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