一宮市で土地を買うとき、新生なら1坪59.5万円、萩原町萩原なら6.8万円です。同じ広さの土地でも、町が変わるだけで坪単価は8.8倍になります。どちらも成約が5件ある町どうしの比較です。
国土交通省が公表している一宮市の成約373件を、町ごとに並べ直しました。市全体の坪単価の中央値は19.8万円。この1つの数字で資金計画を組むと、新生では候補が出てこず、萩原町萩原では土地に払いすぎます。
1区画の面積の中央値は210㎡(63.5坪)でした。坪単価の中央値をこの広さに当てた金額は概算1,260万円です。2つの中央値は別々に取った値なので、この金額で売れた1件が実在するわけではありません。
先に結論
- 一宮市の土地は1坪19.8万円(中央値・373件)。1区画は210㎡=63.5坪が中央値です
- 成約5件以上の町どうしだと、新生59.5万円と萩原町萩原6.8万円で8.8倍の開きがあります
- 坪単価が市の中央値の4分の1を下回る町が3つあります。農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあり、住宅地の相場としては読めません
- 地価公示(住宅地56地点)の中央値は26.0万円。成約の中央値はそれより23.6%低い数字ですが、母集団が違うので値下がりの話ではありません
- 建物込みなら中古戸建て90.3万円/坪、新築戸建て94.5万円/坪(どちらも延床坪)。2つの価格帯は重なっています
一宮市の土地は1坪19.8万円。1区画63.5坪で概算1,260万円
2024年第4四半期から2025年第4四半期までに一宮市で成約した土地373件の坪単価は、中央値で19.8万円でした。この373件からは、坪単価が極端に離れた12件をあらかじめ除いてあります。
除いたあとでも、坪単価は1坪2.0万円から125.6万円まで開いています。中央値の19.8万円は真ん中に立つ1点であって、この値段の土地が並んでいるという意味ではありません。
1区画の面積の中央値は210㎡、坪にすると63.5坪です。坪単価の中央値をこの広さに当てると、土地代は概算で1,260万円になります。面積と坪単価は別々に取った中央値なので、予算の当たりをつけるための目安として使ってください。
不動産会社で「一宮の土地はだいたい坪20万円くらいですね」と言われたとします。市全体で見れば外していない一言です。ただし候補地が新生にあるのか萩原町萩原にあるのかで、同じ広さでも土地代は何倍もちがいます。金額の話をするときは、市名ではなく町名まで下ろしてからにしてください。
町別に並べると新生59.5万円と萩原町萩原6.8万円で8.8倍
成約が3件以上あった町は48あります。48本を並べると読めなくなるので、成約が5件以上あった町にしぼり、坪単価の高い順に上から7町と下から7町を抜き出しました。比較のために市全体の中央値も入れてあります。
一宮市の土地の成約価格(坪単価の中央値・2024年4Q〜2025年4Q)。成約3件以上の48町のうち、成約が5件以上あった町だけを坪単価の高い順に並べ、上から7町と下から7町を抜き出しました。まん中の1本は町ではなく市全体の中央値です。いちばん下の1本は、農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いのある町です
自分の町の相場を調べる
この記事の数字は市全体の中央値です。町ごとの相場は住所を入れるとその場で出ます。グラフに載せたのは48町のうち14町だけなので、候補地の住所で確かめてください。
このツールは農地や山林が混ざった極端な取引も除かずに集計します。そのため市全体の数字はこの記事より低く出ます。町ごとの傾向を見るのに使ってください。
見出しに出した8.8倍は、新生(5件)59.5万円と萩原町萩原(5件)6.8万円の比較です。町が変わるだけで、同じ広さの土地の値段は8.8倍まで開きます。
48町の端どうしで取れば差はもっと広がります。向山町と萩原町中島で取ると9.5倍です。ただしこの2町はどちらも成約3件で、3件の中央値は1件の外れ値で動きます。資金計画の基準にするなら、成約5件以上どうしの8.8倍のほうを使ってください。
市全体の中央値と同じ19.8万円が出たのは三条(9件)でした。この町は上から7町にも下から7町にも入っていないので、グラフには出ていません。市の中央値は、抜き出した2つのかたまりのあいだに落ちる数字だと考えると位置がつかめます。
成約件数がいちばん多かった町も、グラフの外にあります。木曽川町玉ノ井の18件で、坪14.0万円。次いで木曽川町黒田が15件で29.4万円、今伊勢町馬寄が13件で30.1万円です。取引の多い3町だけでも14.0万円から30.1万円まで開いていて、どこを見たかで市の印象が変わります。
坪4万円を切る町を「安い住宅地」と読まない
坪単価が市の中央値19.8万円の4分の1を下回る町が3つあります。木曽川町里小牧が10件で4.0万円、大赤見が4件で3.9万円、浅井町西海戸が3件で3.3万円です。
この3町の数字には、農地・山林・市街化調整区域の取引が混ざっている疑いがあります。市街化調整区域は市街化を抑えるための区域で、家を建てるには原則として自治体の許可が要ります。農地であれば転用の手続きが挟まります。
坪4.0万円は安い住宅地の値段ではなく、住宅地として使えない土地が混ざった数字です。
この記事が「一宮市でいちばん安い町」を見出しに置いていないのは、そのためです。売り出し中の土地で周辺よりはっきり安いものを見つけたら、値段の前に地目と都市計画上の区分を確かめる順番になります。市の窓口か仲介会社に聞けばその場で分かります。
公示の26.0万円と成約の19.8万円。この差は値下がりではありません
一宮市の地価公示は住宅地56地点で、坪単価の中央値は26.0万円です。実際に成約した373件の中央値は19.8万円で、公示より23.6%低い水準になります。
ここで「一宮の土地は下がっている」と読むのは、数字の使い方として成立しません。公示は住宅地として選ばれた標準地の評価額、成約は実際に売れた土地の価格で、数えている対象が違います。373件のほうには、先に見た農地や山林が混ざる町の取引も入っています。母集団の違う2つを引き算しても、時間の変化は出てきません。
公示価格は、候補地の近くに標準地があるときの目安として使う数字です。予算そのものは、候補の町の成約価格で組むことになります。
中古戸建て90.3万円と新築戸建て94.5万円。価格帯は重なっています
建物まで含めて買う場合の一宮市の数字を並べます。
| 種別 | 成約価格(中央値) | 件数 |
|---|---|---|
| 土地 | 19.8万円/坪(土地面積あたり) | 373件 |
| 中古戸建て | 90.3万円/坪(延床あたり) | 188件 |
| 新築戸建て | 94.5万円/坪(延床あたり) | 121件 |
中古戸建ては下位25%が72.6万円、上位25%が108.4万円。新築戸建ては85.0万円から119.6万円です。中古の上位25%は、新築の下位25%を上回っています。坪単価だけを見ても新旧は分かれません。
土地の19.8万円と中古戸建ての90.3万円を引き算しても、建物代は出てきません。戸建ての坪単価は成約総額を建物の延床坪数で割った値、土地の坪単価は土地面積で割った値です。分母が違うので、この2つを比べたいときは総額どうしで並べてください。
中古を買って直す道を選ぶと、坪単価の低いほうから入って、直す費用の側を自分で決められます。ただし工事費は物件ごとに変わるので、成約価格の表からは出てきません。1社の見積もりだけでは高いのか安いのかも判定できないので、総額で比べたい人は複数社に出してもらうところからになります。
直す費用が出てはじめて、土地から建てる案と総額で並べられます
中古マンションは築年で1㎡あたりの値段が変わる
一宮市の中古マンションは75件で、中央値は1㎡あたり20.0万円でした。築年帯で分けると景色が変わります。
| 築年帯 | 件数 | 中央値 |
|---|---|---|
| 築11〜20年 | 11件 | 29.0万円/㎡ |
| 築21〜30年 | 32件 | 20.6万円/㎡ |
| 築31〜40年 | 28件 | 14.7万円/㎡ |
この築年は2026年を基準にした区切りです。築21〜30年は1996年から2005年に建った物件、築31〜40年は1986年から1995年に建った物件を指します。1982年より前に建った物件は元のデータから外してあるので、この表には入っていません。
件数がいちばん集まっているのは築21〜30年の32件で、20.6万円/㎡。市全体の中央値20.0万円/㎡とほぼ同じ位置です。築31〜40年になると28件で14.7万円/㎡まで下がります。同じ広さの部屋なら、築年が10年ずれるだけで総額の桁のうしろが変わるということです。
広さで分けると、70〜90㎡が40件で22.8万円/㎡、50〜70㎡が22件で17.6万円/㎡、90㎡以上が11件で17.9万円/㎡でした。90㎡以上は70〜90㎡より1㎡あたりが安く出ていますが、11件しかないので傾向として見るだけにしてください。借りる側の相場は1㎡あたり1,665円です(30,050件)。
市の平均ひとつで予算を組むと何が起きるか
「一宮市の相場は坪いくらですか」という質問は、答えを聞いても予算づくりには使えません。新生と萩原町萩原で8.8倍、成約がいちばん多い木曽川町玉ノ井は市の中央値より下、そのうえ48町のうち3町は住宅地の数字として読めない。373件を町別に割ると、そういう形が出てきます。
私は、市の中央値は「自分の候補地がその線の上か下か」を確かめるためだけの数字だと考えています。線そのものを予算にすると、上の側の町では候補が出てこず、下の側の町では土地に払いすぎます。48町ぶんのデータが並ぶ市では、平均像を1つ出すこと自体が判断を鈍らせる方向に働くと見ています。
ここは私の読みなので、持ち帰ってほしいのは根拠にした数字のほうです。
予算を決める前にやる3つのこと
1. 町名まで決めてから坪単価を当てる。 市の19.8万円ではなく、候補の町の数字で計算します。グラフに出した14町以外でも、住所を入れれば周辺の実勢から出ます。
2. 候補の町が住宅地かどうかを先に確かめる。 坪単価が市の中央値の4分の1を下回る3町は、農地・山林・市街化調整区域が混ざっている疑いがあります。安さの理由が土地の使い道にあるなら、それは予算の話ではありません。
3. 土地から建てる案と、中古を買って直す案を総額で並べる。 土地は坪19.8万円、中古戸建ては延床坪90.3万円、新築戸建ては延床坪94.5万円。分母が違うので、比べるのは総額です。
一宮市の学区を町名から調べる
一宮市の土地相場を住所から調べる(無料)
どちらもこのサイトのページです。登録も入力も要りません
市全体をならした数字は一宮市の不動産相場にまとめています。候補の町が決まったら、その町の学区一覧とあわせて見ると、通う学校まで含めて絞り込めます。
この記事の数字の出どころ
- 成約価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報。集計期間は2024年第4四半期から2025年第4四半期。土地373件、中古戸建て188件、新築戸建て121件、中古マンション75件
- 土地373件は、坪単価が極端に離れた12件を除いた集計です。除いたあとの幅は1坪2.0万円から125.6万円
- 1区画の面積の中央値210㎡(63.5坪)と坪単価の中央値19.8万円は別々に取った値です。掛け合わせた1,260万円は概算で、実在する1件の価格ではありません
- 町別の集計は成約3件以上の町のみで48町。3件や4件の町の中央値は1件の取引に動かされるため、見出しの8.8倍は成約5件以上の新生と萩原町萩原で取っています
- 中古戸建て・新築戸建ての坪単価は、成約総額を建物の延床坪数で割った値です。土地の坪単価(土地面積あたり)とは分母が違うので、そのまま引き算はできません
- 中古マンションの築年帯は2026年を基準にした区切りです。1982年より前に建った物件は元データから除外されています
- 地価公示:国土交通省の地価公示。一宮市内の住宅地56地点の中央値。成約価格とは母集団が違うため、両者の差は値上がり・値下がりを示すものではありません
- 賃貸:一宮市の30,050件から算出した1㎡あたりの中央値


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