🗨️「被災して更新の書類どころじゃなかった。宅建業の免許、切れてしまう?」
災害救助法が適用された市町村に主たる事務所がある業者は、2026年7月28日以後に満了する免許の期限が2027年1月27日まで延びました。申請は要りません。ただし、変更の届出などの期限は2026年11月27日で別枠です。
[不動産] この記事の要点
国土交通省が2026年8月7日、令和8年熊本地震の被害者が持つ国土交通省所管の許可等について、有効期間の延長対象を定める告示(国土交通省告示第1037号ほか)を公布した。2026年7月28日以後に満了する宅地建物取引業者の免許、宅地建物取引士証、賃貸住宅管理業者の登録などの満了日が、いずれも2027年1月27日に延長される。
2026年8月8日 発表
- 災害救助法が適用された市町村に主たる事務所・営業所がある不動産業者、建設業者、建築士事務所
- 同じ市町村に住所がある宅地建物取引士、管理業務主任者、監理技術者
- 2026年7月28日以後に免許・登録・資格者証の有効期間が満了する人
この記事でわかること
- 宅建業免許・宅建士証など、延長の対象になる免許と登録の一覧
- 対象者が「主たる事務所」で決まるものと「住所」で決まるものの違い
- 更新の期限(2027年1月27日)とは別にある、届出の期限(2026年11月27日)
宅建業免許・宅建士証はいつまで延びるのか
国土交通省は2026年8月7日、令和8年熊本地震の被害者が持つ許可・免許・登録について、有効期間の延長対象を定める告示を公布しました。総合政策局、不動産・建設経済局、水管理・国土保全局、住宅局、物流・自動車局、海事局の連名です。
延長される満了日は2027年(令和9年)1月27日。対象は2026年7月28日以後に満了する許可等です。地震の発生日である7月28日以後に期限が来るものが、まとめて後ろにずれるかたちになります。
根拠は、令和8年熊本地震を特定非常災害に指定した令和8年政令第260号と、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成8年法律第85号)第3条です。この法律に基づく指定が告示(国土交通省告示第1037号ほか)で具体化されました。
告示で対象として指定された許可等と対象者に当てはまる場合、満了日は告示によって延びます。更新のたびに出す申請とは別に、延長のための手続きを踏む必要はありません。
延長の対象になる不動産・建築の免許と登録
告示に並んでいるのは国土交通省が所管するもの全般で、船舶や自動車検査まで含みます。ここでは不動産・建築の実務に関係するものだけを抜き出します。満了日はすべて2027年1月27日です。
| 許可・登録・資格者証 | 根拠条文 | 対象者の基準 |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業者の免許 | 宅建業法3条1項 | 主たる事務所 |
| 宅地建物取引士証の交付 | 宅建業法22条の2第1項 | 住所 |
| 賃貸住宅管理業者の登録 | 賃貸住宅管理業法3条1項 | 主たる営業所または事務所 |
| マンション管理業者の登録 | マンション管理適正化法44条1項 | 主たる事務所 |
| 管理業務主任者証の交付 | マンション管理適正化法60条1項 | 住所 |
| 建築士事務所の登録 | 建築士法23条1項 | 被災地域内にある事務所に限る |
| 建設業の許可 | 建設業法3条1項 | 主たる営業所 |
| 監理技術者資格者証の交付 | 建設業法27条の18第1項 | 住所 |
| 不動産鑑定業者の登録 | 不動産の鑑定評価に関する法律22条1項 | 主たる事務所 |
| 小規模不動産特定共同事業の登録 | 不動産特定共同事業法41条1項 | 主たる事務所 |
| 住宅宿泊管理業者の登録 | 住宅宿泊事業法22条1項 | 主たる営業所または事務所 |
| 家賃債務保証業者の登録 | 家賃債務保証業者登録規程3条1項 | 主たる営業所または事務所 |
| 不動産投資顧問業の登録 | 不動産投資顧問業登録規程3条1項 | 主たる営業所 |
| 解体工事業の登録 | 建設リサイクル法21条1項 | 主たる営業所 |
| サービス付き高齢者向け住宅事業の登録 | 高齢者住まい法5条1項 | 主たる事務所 |
このほか、測量業者の登録、建設コンサルタント・地質調査業者・補償コンサルタントの登録、登録住宅性能評価機関や登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録、指定確認検査機関・指定構造計算適合性判定機関の指定、経営事項審査も対象に入っています。法務省・国土交通省告示第2号では、建設機械抵当法8条による建設機械の登記用紙が閉鎖されないことも同じ日まで延ばされました。
「事務所がどこか」で決まるものと「自分がどこに住んでいるか」で決まるもの
表の右端の列を見比べてください。同じ宅建業法でも、免許は「特定被災地域内に主たる事務所を有する者」、宅地建物取引士証は「特定被災地域内に住所を有する者」と基準が違います。マンション管理業者の登録と管理業務主任者証、建設業の許可と監理技術者資格者証も同じ構造です。会社に付く許可は事務所で、人に付く資格は住所で判定されます。
ここが実務で効きます。たとえば熊本市に住む宅地建物取引士が、被災地域外の会社に勤めているとします。会社の免許は延びませんが、その人の宅地建物取引士証は延びます。逆に、八代市に本店がある会社の従業員が福岡市に住んでいれば、免許は延びるのに士証は延びません。会社単位でまとめて判断すると、必ずどちらかを取りこぼします。
もうひとつ、支店だけが被災地域にある場合は多くの項目で対象外です。表の基準はほとんどが「主たる」事務所・営業所だからです。例外は建築士事務所の登録で、こちらは「特定被災地域内に在る事務所に係るものに限る」と書かれており、その事務所自体が被災地域にあれば対象になります。
もうひとつの期限、2026年11月27日を見落とさない
報道発表資料の参考2に、更新とは別の期限が書かれています。2026年7月28日以後に法令上の履行期限が来る義務、たとえば変更の届出などが地震のせいで履行できなかった場合、2026年11月27日までに履行すれば行政上および刑事上の責任を問われない、という定めです(法第4条第2項)。
つまり、被災地の事業者が抱える期限は2種類に分かれます。
| 対象 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 免許・登録・資格者証の有効期間 | 2027年1月27日 | 法3条/国交省告示第1037号 |
| 変更の届出などの履行義務 | 2026年11月27日 | 法4条2項 |
差は2か月あります。宅建業者の場合、商号・代表者・役員・事務所・専任の宅地建物取引士の変更はいずれも届出の対象です。免許の期限が1月まで延びたことを理由に届出まで後回しにすると、11月27日を過ぎた時点で猶予の外に出ます。
一覧にない許可でも、申し出れば延びることがある
告示に名前がない許可や、対象者の条件から外れる場合でも、道が閉じたわけではありません。報道発表資料の参考1には、指定された特定権利利益や対象者以外であっても、被害者からの申出により満了日の延長が認められる場合があるため、その許可を所管する部局に問い合わせるよう書かれています。
また、自動車検査証(車検証)の有効期間は今回の告示とは別枠で、道路運送車両法61条の2に基づいて運輸支局長が伸長を公示しています。営業車を多く抱える事業者は、こちらも同時に確認しておくと手戻りがありません。
特定被災地域とは、令和8年熊本地震に際して災害救助法が適用された市町村の区域を指します。熊本県の公表では、八代市・水俣市・山鹿市・菊池市・宇土市・上天草市・宇城市・天草市・合志市の9市、美里町・大津町・菊陽町・御船町・嘉島町・益城町・甲佐町・氷川町・芦北町・津奈木町の10町、西原村の1村。これとは別に熊本市にも適用が決定されており、合わせて21市町村です。自分の事務所や住所がこの範囲に入るかどうかが、最初の判定になります。
この措置をどう見るか
今回の告示で危ないのは1月27日ではなく11月27日のほうだと私は見ています。理由は3つあります。
第一に、更新は5年に1度しか来ないので、当事者は自分の満了日をだいたい覚えています。一方の届出は事象が起きたときに発生するもので、地震後の移転や役員交代がそれに当たります。今まさに発生している義務のほうが、意識に上りにくい。
第二に、報道は「期限が2027年1月27日まで延長」という見出しになりがちで、参考2の日付は本文の後ろに埋もれます。数字が1つだけ記憶に残ると、そちらに引きずられます。
第三に、11月27日までに履行すれば責任を問われない、という書き方は裏を返せば、それを過ぎたら通常どおり責任を問われるということです。免許の期限は自動で動きますが、届出は自分で動かさないと動きません。
被災地の事業者にとって、書類の期限は復旧作業のいちばん外側にあります。だからこそ、いま手元にあるカレンダーに書き込むべき日付は2つある、とだけ確認しておいてください。
生活・仕事にどう効くか
- 免許の更新:宅建業の免許は5年に1度しか更新が来ない。地震の直後に当たった業者は、告示により満了日が2027年1月27日まで動くため、最大で約半年の猶予ができる。
- 届出の期限:商号・役員・専任の宅地建物取引士の変更届など、法令で履行期限が決まっている義務は延長の枠が別。2026年11月27日までに履行すれば行政上・刑事上の責任を問われない。1月27日と混同すると2か月ずれる。
- 取引の実務:重要事項説明では宅地建物取引士証を提示する必要がある。証の券面に印字された満了日を過ぎていても、告示の対象なら失効していない。相手方から指摘されたときに根拠を示せるよう、告示の番号を控えておく。
結局どうすればよいか
- 自分の免許・登録・資格者証の満了日が2026年7月28日以後かどうかを、券面と通知書で確認する
- 主たる事務所(法人)または住所(個人資格)が、災害救助法の適用市町村にあるかを確認する。支店だけでは対象にならないものが多い
- 変更の届出など、更新以外の期限がないかを洗い出す。こちらは2027年1月27日ではなく2026年11月27日が目安
- 一覧にない許可や、対象者の条件から外れる場合は、その許可を所管する部局に申し出て個別の延長が受けられるか確認する
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公式出典
- 国土交通省「令和8年熊本地震における被害者の有する許可等の有効期間の延長について」報道発表資料(2026年8月7日発表)
- 国土交通省告示第千三十七号(別添1)(2026年8月7日発表)
- 法務省・国土交通省告示第二号(別添3)(2026年8月7日発表)
- 熊本県「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」(2026年7月28日発表)
更新履歴
- 2026年8月8日 初版を公開
※本記事は2026年8月8日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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