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全館空調 電気代/目安の出し方

🗨️「全館空調の電気代は、月にいくらかかりますか。自分の家ならいくらになりますか」

公表されている年間の数字は、30〜40坪ほどの家で約1,800〜2,400kWhです。この前提で目安単価の31円をかけると、年に約5.5万〜7.5万円、月にならすと約4,600〜6,300円です。ただし数字の出どころはパナソニックの試算とヒノキヤグループの調査だけで、地域・設定温度・家の性能で大きく動きます。

[不動産] この記事の要点

発表日・更新日

2026年10月9日 発表

影響を受ける人
  • 全館空調を入れるか迷っている、新築・建て替えを考えている人
  • 住宅会社のショールームや体感施設で何を聞けばよいか知りたい人
  • いまの冷暖房の電気代と比べたい人
目次

電気代は円より電力量で比べる

全館空調の電気代は、会社が「円」で公表していても、そのまま比べられません。電気の単価も、設定温度も、家の広さも、会社ごとに違うからです。そこで、公表されている数字を、使った電力量(kWh)にそろえて並べました。

電気代は、電力量(kWh)に単価(円/kWh)をかけて出します。たとえば年間2,000kWhなら、31円で年62,000円、月にならすと約5,200円です。

この記事で計算に使う単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が定めた目安の31円/kWh(税込)です。2022年7月22日の改定値で、2026年10月時点の公式サイトでもこの値です。実際の単価は契約で違うので、手元の検針票の単価に置きかえて読んでください。

出どころ前提公表されている電気代電力量31円なら
パナソニック「ウイズエアー」の試算6地域、延べ床119.25㎡、冷房27℃・暖房20℃、年間。UA(ユーエー)値0.37・C値0.4(数字が小さいほど断熱・気密が高い)年54,953円(31円で計算)約1,770kWh約5.5万円
ヒノキヤグループ「Z空調(ゼックウチョウ)」実際に住む31世帯(2019年)4〜6地域、約30〜40坪、オール電化、年間年56,647円(各家の契約プランの単価)2,430kWh約7.5万円
同 実験棟(3地域・長野県佐久市)延べ床114.27㎡、断熱等級5、冬22℃・夏26℃で24時間。冬と夏の6か月分6か月分で約8.1万円(35円で計算)2,323kWh約7.2万円
同 実験棟(4地域・栃木県那須塩原市)延べ床108.48㎡、そのほかは同じ6か月分で約8.0万円(35円で計算)2,276kWh約7.1万円
同 実験棟(6地域・埼玉県八潮市)延べ床108.48㎡、そのほかは同じ6か月分で約7.5万円(35円で計算)2,137kWh約6.6万円
i どの数字も、公表した会社自身の試算か調査です。第三者が測った値ではありません。この記事で確かめられたのはパナソニックとヒノキヤグループの2社だけで、ほかの会社が電気代の数字を公表しているかは調べきれていません。

円の数字は、前提がそろっていません。パナソニックは31円、ヒノキヤグループの実験棟は35円、実際に住む31世帯の調査は各家の契約プランで計算しています。実験棟の数字は夏と冬の6か月分だけで、春と秋は含まれていません。

地域で夏と冬の中身が入れ替わる

ヒノキヤグループは、長野県佐久市(3地域)、栃木県那須塩原市(4地域)、埼玉県八潮市(6地域)に実験棟を建て、Z空調を24時間動かして電力量を測りました。6地域は東京や大阪と同じ区分で、数字が小さいほど寒い地域です。冬(2024年12月〜2025年2月)は22℃、夏(2025年7〜9月)は26℃の設定でした。

地域(所在地)冬 12〜2月夏 7〜9月冬と夏の合計
3地域(長野県佐久市)1,969kWh
約6.1万円
354kWh
約1.1万円
2,323kWh
約7.2万円
4地域(栃木県那須塩原市)1,738kWh
約5.4万円
538kWh
約1.7万円
2,276kWh
約7.1万円
6地域(埼玉県八潮市)1,140kWh
約3.5万円
996kWh
約3.1万円
2,137kWh
約6.6万円

4地域の夏は、2025年8月25〜28日の停電で運転が止まった期間を含みます。6地域の等級5は、8月2〜5日に18℃の強風運転になっていた期間を含みます。どちらも同社の報告書に書かれた注記です。

冬は寒い地域ほど、夏は暑い地域ほど電力量が多く、合計は3地域2,323kWh、4地域2,276kWh、6地域2,137kWhでした。地域による差は約8%で、変わるのは中身が冬中心か夏中心かです。6地域の冬は、3地域の約6割でした。冬の月平均は、31円で6地域が約1.2万円、4地域が約1.8万円、3地域が約2.0万円です。

実際に住む31世帯の月別を見ると、波はさらに大きくなります。31円で計算すると、いちばん多い1月が489kWh(約1.5万円)、いちばん少ない5月が53kWh(約1,600円)で、約9倍の開きです。冬の3か月(12〜2月)は1,232kWh(約3.8万円)、夏の3か月(7〜9月)は396kWh(約1.2万円)でした。

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読者

結局、月いくらで見ておけばいいの?

おかあさん

年間でならすと、月4,600〜6,300円ほどです。ただ、冬は月1.2万〜2.0万円になる実験棟もあり、月ごとの波が大きい数字です。私は、冬の3か月だけ別枠で見込んでおくほうが、請求書で慌てないと考えています。

同じ会社の数字でも、円で見ると食い違います。2019年の実際の住まいは冬の電気代が月9,319円、実験棟の6地域は月約13,300円(35円計算)でした。電力量にすると、実際の住まいは月約411kWh、実験棟は6地域が月約380kWh、4地域が月約579kWhで、同じ水準です。食い違いの大半は、単価の違いで説明がつきます。2019年の住まいの冬は、電気代を電力量で割ると約23円/kWhでした。

断熱・気密・広さで変わること

同じ実験では、断熱等級5と6の2棟を並べています。等級6は、等級5より家の外側から逃げる熱の量が少ない家です。差は、地域と季節でまったく違いました。

比べたもの場所と季節電力量の差差の割合31円なら(3か月分)
断熱等級5と63地域・冬131kWh約7%約4,100円
断熱等級5と64地域・冬442kWh約25%約13,700円
断熱等級5と66地域・冬82kWh約7%約2,600円
断熱等級5と63地域・夏45kWh約13%約1,400円
断熱等級5と64地域・夏20kWh約4%約600円
断熱等級5と66地域・夏238kWh約24%約7,400円
同じ等級6で気密がちがう6地域・夏205kWh約27%約6,400円

割合は、等級5に対して等級6が何%少なかったかです。最後の行だけは、気密のとれた施工の等級6に対して、気密のとり方がちがう等級6(グラスウール断熱)が何%多かったかを示します。

差が大きいのは4地域の冬と6地域の夏で、ほかは3か月で数千円以内でした。冬と夏の6か月を足すと、等級5と6の差は3地域が176kWh、4地域が461kWh、6地域が321kWhで、31円なら約5,500円、約14,300円、約9,900円です。

同社の報告書(2026年5月)は、等級6にするための初期費用を考えると、等級5が最もバランスのよい選択だとまとめています。そのうえで、断熱を1ランク上げるより、気密を確保するほうが電力消費に効くとしています。

報告書に載った大学の研究者のコメントは、等級による差が小さかった理由を、現場発泡ウレタン(吹きつけて固める断熱材)による気密と、換気で逃げる熱を回収する熱交換換気の効果だろうと推測しています。実験で確かめた結果ではなく、推測です。

i これは断熱材の事業も持つ会社が、自社の実験棟で測った結果です。第三者の測定ではなく、ほかの会社のシステムや、Z空調以外の家にそのまま当てはまるとは限りません。報告書によると、家電や人の熱は再現していない条件です。

広さで何が変わるかは、公式の数字では分かりませんでした。ヒノキヤグループの実験棟は、どれも延べ床が約108〜115㎡です。パナソニックの「ウイズエアー ディライト」は、1システムの適用床面積の目安が約75㎡で、1フロアに1システムを置きます(2025年4月4日発表)。階数や広さが変わると、システムの数が変わることがあります。電力量も交換費用も、自分の延べ床面積と階数で見積もりを取り直してください。

維持費と交換は何を聞くか

電気代のほかに、フィルターの掃除、エアコン本体の交換、故障のときの対応が、住んでいるあいだずっと続きます。公式ページに書かれていることと、書かれていなかったことを分けました。

聞くこと公式ページに書かれていること書かれていなかったこと
保証パナソニック: 機器単体の保証は1年。10年修理保証サービスもある(詳細は住宅会社へ)。ヒノキヤグループ: メーカー保証1年に加え、引き渡しから10年間の延長保証延長保証や修理保証が有料か。対象になる部品。10年が過ぎたあとの扱い
フィルターの掃除パナソニック「ウイズエアー ディライト」の例: 熱交換気ユニットの排気用・粗塵防虫フィルターは月1回、エアコンのダストネットは6か月に1回(内壁設置のとき)、微小粒子用フィルターは清掃できず約2年に1回の交換(カセット形のとき)交換用フィルターの価格。掃除する場所が脚立の要る高さか
エアコン本体の交換パナソニック: 10年を目安に交換。全館空調専用モデルになる。ヒノキヤグループ: 冷媒管やダクトなどの配管は残したまま、機器だけ交換できる交換にかかる金額。10年後にその機種が買えるか
故障したときパナソニック: 住宅会社に連絡し、画面のエラーコードを伝える。ヒノキヤグループ: 取扱説明書に書かれた連絡先へ連絡夏と冬の混み合う時期に何日で来てもらえるか
停電したときヒノキヤグループの実験棟は、2025年8月25〜28日の停電中に運転が止まっていた(同社の報告書)非常用電源につなげるか。確認したパナソニック・ヒノキヤの公式ページには停電時の動作の記載なし

金額は、確認した公式ページのどこにも書かれていませんでした。交換費用と点検費用は、契約前の見積書か書面で出してもらうのが確実です。

体感施設で聞くこと

ヒノキヤグループはZ空調の体感施設「ZOOON(ゾーン)」を各地で運営していて、名古屋は2026年10月10日の開業です。完全予約制で、入館は無料です。名古屋の体感ルームでは、同じ間取りの「断熱等級5(気密あり)のZ空調の家」と「断熱等級6(気密なし)の個別エアコンの家」を比べられると、同社は発表しています。

体感でわかるのは、室温の差や風の感じ方です。電気代、交換費用、故障のときの対応は、体感ではわかりません。行く前に、次の4つを質問として持っていくと、見積もりと比べやすくなります。

  • 自分の間取り・地域・性能で、冷暖房の期間ごとの電力量(kWh)を出してもらえるか
  • 設定温度、運転時間、家電や人の熱を入れた計算か、入れない計算か
  • 単価は何円で計算しているか(家電公取協の目安なら31円)
  • 10年後の機器の交換費用と、フィルターにかかる年間の費用はいくらか

いまの家との比べ方も、先に決めておくと迷いません。いまの家の月ごとの使用量(kWh)は、検針票や電力会社の会員ページで見られます。冷暖房を使わない春や秋の月との差が、冷暖房にかかっている分のおおよその目安です。「◯月分」と実際に使った月がずれる点は、電気代 何月分/検針日で区切られるで説明しています。

生活・仕事にどう効くか

  • 見積もりを比べるとき:円ではなく電力量(kWh)で聞くと、会社ごとの単価と設定温度の違いが外れて、同じ物差しで比べられる。
  • 家計の組み方:年間でならした月額が4,600〜6,300円ほどでも、冬の月は1万円台になる家がある。冬の3か月は別枠で見込む。

結局どうすればよいか

  • 会社に、自分の間取り・地域・性能で、冷暖房の期間ごとの電力量(kWh)を出してもらう
  • 設定温度・運転時間・単価の前提を書面でそろえて、円ではなく電力量で比べる
  • 10年後のエアコン交換費用と、フィルターの年間費用を、見積もりの段階で聞いておく

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公式出典

更新履歴

  • 2026年10月9日 初版を公開

※本記事は2026年10月9日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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