🗨️「東京で冠水しやすい道路って、どこか分かるの?」
国が名簿を公開しています。関東地方整備局の道路冠水注意箇所リストで、東京都は153か所(2026年6月15日時点)。ただし中身はアンダーパスとガード下がほとんどで、8月22日に膝下まで水がきた板橋区高島平は、この153か所に入っていません。名簿に無い場所が安全という意味ではありません。
[災害] この記事の要点
2026年9月5日 発表
- 6日から7日にかけて東京で車を使う人
- アンダーパスやガード下を通勤経路にしている人
- 8月22日に水が出た地域に住んでいる人
- 低地の1階・地下に住んでいる人
6日の東京は、昼過ぎから降って夜遅くに強まる
気象庁が5日10時39分に出した東京都の天気概況には、6日についてこう書かれています。「曇りで昼過ぎから雨となり、夜遅くは雷を伴い激しく降る所があるでしょう」。東京地方の降水確率は、6日昼12時から70%、18時から90%です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
※ 本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介している商品は、記事の内容に関連するものを編集方針にもとづいて選んでいます。Amazonのアソシエイトとして、おかあさんのおうちは適格販売により収入を得ています。
国が数えた東京の道路冠水注意箇所は153か所
意外に知られていませんが、冠水しやすい道路の名簿は公開されています。国土交通省 関東地方整備局が出している「関東甲信地域における道路冠水注意箇所マップ」で、東京都版の最新は令和8年6月15日時点、全153か所です。1か所ずつ市区町村・道路種別・路線名・通称名まで載った表になっています。
この153か所を管理者別に数え直すと、こうなります。
| 道路の種別 | 箇所数 |
|---|---|
| 都道 | 71 |
| 区道・区有通路 | 30 |
| 国道 | 24 |
| 市道 | 23 |
| 臨港道路 | 5 |
| 合計 | 153 |
載っている市区町村は41。1位は八王子市の12か所で、23区ではありません。次が大田区10か所、府中市9か所、そのあとに板橋区・世田谷区・足立区・荒川区・練馬区・日野市が7か所ずつ並びます。23区に99か所、多摩と島しょに54か所で、3分の1が多摩側です。
八王子が1位なんですか? 低い土地の話だと思っていました。
この名簿は標高の低い場所ではなく、水がたまる構造の場所を数えているからです。中身を見ると、ほとんどがアンダーパスとガード下です。
153か所に、高島平は入っていない
ここが今回いちばん大事な点です。8月22日、板橋区付近ではレーダー解析で1時間に120ミリ以上の雨が降りました。東京新聞の取材に、高島平の店員は「1時間ほどで水かさが上がり午後5時半前後には、低い所では大人の膝下まで水がきた。マンホールの隙間から水が噴き出しているのを見た」と話しています。
その高島平は、153か所のリストに1件もありません。板橋区の7か所は仲宿アンダー、北町アンダー、赤塚アンダー、徳丸アンダー、大門アンダー、馬坂アンダー、熊野町アンダーパス、南常盤台アンダーパス、向原トンネルなど、いずれも国道17号や都道の立体交差部です。
理由は名簿の作り方にあります。このリストが拾っているのはアンダーパス部、つまり道路が周囲より掘り下げられていて、降った水が逃げ場を失って集まる場所です。車が立ち往生して閉じ込められる危険があるので、優先して名指ししてあります。一方、8月22日の高島平で起きたのは、下水道が処理しきれずにマンホールから水が噴き出すタイプの冠水です。掘り下がっていない平らな道でも起きるので、構造で数える名簿には最初から乗りません。
つまりこの153か所は「危ない場所の全部」ではなく、「危ないと構造から先に分かっている場所」です。名簿に無いから安全、とは読めません。
名簿に載らない冠水は、土地の傾きで見当がつく
では構造以外に何を見るか。水が抜けるかどうかは、その土地がどれだけ傾いているかで決まります。当サイトでは国土数値情報の地価公示2026(用途=住宅)の地点と、国土地理院の標高API(5mメッシュ)を突き合わせて、全国の平野の傾きを測っています。東京23区から入ったのは次の5区です。
| 区 | 1kmあたりの下がり | 最低標高 |
|---|---|---|
| 墨田区 | 4.4cm(15.75kmで0.7m) | -1m |
| 中央区 | 10.0cm(23.94kmで2.4m) | 1.5m |
| 江戸川区 | 10.4cm(18.27kmで1.9m) | -2.2m |
| 足立区 | 19.6cm(21.42kmで4.2m) | -0.4m |
| 江東区 | 22.3cm(17.01kmで3.8m) | -3m |
比べる相手を1つ置きます。2026年8月に「水が引かない」と報じられた千葉県大網白里市は、10.71kmで10.0m下がっていて、1kmあたり93cmです。墨田区はその21分の1しか傾いていません。傾きが小さいほど、降った水は流れずにその場にとどまります。
そして重要なのは、高島平がこの5区にも入っていないことです。板橋区は台地側にあり、海抜ゼロメートル地帯ではありません。それでも1時間120ミリが降れば水が出ました。構造の名簿にも、標高の一覧にも載らない場所で冠水は起きます。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
6日に向けて、先にやっておくこと
私は、冠水の情報が「注意箇所マップ」と「ハザードマップ」に分かれて置かれていることが、住民にとっていちばん分かりにくい点だと考えています。前者は道路管理者が車のために作った名簿で、後者は川が溢れたときの想定です。下水道が追いつかずに家の前が水びたしになる型は、そのどちらにも正面から書かれていません。
できることは3つです。1つ目は、自分の通勤経路にアンダーパスやガード下があるかを、関東地方整備局の東京都版マップで先に見ておくこと。153か所は市区町村名と通称名で書かれているので、地図を開かなくても表で探せます。2つ目は、6日昼12時以降の予定を降水確率と照らして組み直すこと。3つ目は、もし水が出たときのために、片付ける前に浸水の高さが分かる写真を撮ることです。り災証明書の申請では、この写真が要ります。
関連記事:東京でマンホールから水が噴き出す 記録的大雨で浮かび上がる「内水氾濫」/板橋区はなぜ冠水しやすいの?
生活・仕事にどう効くか
- 6日の移動:東京地方の降水確率は6日昼12時から70%、18時から90%。夜遅くは雷を伴い激しく降る所がある見込みで、帰宅時間帯が山場になる。
- 通る道:東京都内の道路冠水注意箇所は153か所。市区町村別では八王子市12か所が最多で、大田区10か所、府中市9か所と続く。23区に99か所、多摩・島しょに54か所。
- 名簿の外:8月22日に浸水した板橋区高島平は153か所に入っていない。名簿はアンダーパスやガード下など構造的に水がたまる場所が中心で、下水道が追いつかずに平らな道が冠水する内水氾濫は数えられていない。
結局どうすればよいか
- 自分の通勤経路にアンダーパスやガード下があるか、関東地方整備局の東京都版マップで先に確かめる
- 6日は昼12時以降の外出予定を、降水確率70%・90%の時間帯と照らして組み直す
- 水が出た場合に備えて、浸水の高さが分かる位置に目印になるものを置き、片付ける前に写真を撮る
公式出典
- 国土交通省 関東地方整備局「関東甲信地域における道路冠水注意箇所マップ」東京都(令和8年6月15日時点)(2026年6月15日発表)
- 気象庁 東京都 天気概況(2026年9月5日10時39分発表)(2026年9月5日発表)
- 東京新聞「関東南部で激しい雷雨 板橋区で1時間に120ミリ以上降ったか 『大人の膝下まで浸水』不安の高島平」(2026年8月22日発表)
- 国土交通省 国土数値情報 地価公示2026(用途=住宅)/国土地理院 標高API 5mメッシュ(自社集計)(2026年8月20日発表)
更新履歴
- 2026年9月5日 初版を公開
※本記事は2026年9月5日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


コメント