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不動産の免許番号で営業年数はわかる?

不動産会社の看板や広告に出ている免許番号が「大阪府知事(1)第○○号」だったので、できたばかりの会社だと思って候補から外す。この判断をすると、4社に1社を中身も見ずに切り捨てることになります。東京都・愛知県・大阪府・兵庫県の宅地建物取引業者56,192社を数えたところ、カッコの中が(1)の会社は14,442社、全体の25.7%ありました。

そしてもうひとつ。「カッコの数字に5を掛ければ営業年数がわかる」という説明が、検索したときに出てくるページのほとんどに書かれています。同じ56,192社でこの計算を検算したところ、実際の年数と±2年に収まったのは49.8%でした。3,310社は10年以上ずれていました。

この記事でわかること

  •  (1)の会社は56,192社中14,442社。全体の25.7%を占める
  •  「カッコ×5年」が±2年で当たるのは49.8%。(17)では実際より19年長く出る
  •  免許番号からは行政処分歴はわからない。国の業者検索システムに処分情報は載っていない

読者

物件探しをするときは免許番号が高いほうが安心できる、と聞いたのですが。

おかあさん

その「高いほう」が何年ぶんを指すのかが、数字によって大きく違います。(3)なら計算どおりですが、(15)では15年ぶんずれていました。

目次

カッコの中は「今の免許で何回目か」を表す

宅地建物取引業法の第3条第2項に「前項の免許の有効期間は、五年とする」と書かれています。第3項で、期間が切れたあとも営業を続けるなら更新を受けなければならないと定めています。つまり免許は5年ごとに取り直すもので、カッコの中の数字はその通算回数です。

新しく免許を受けたときが(1)。5年後に更新して(2)。次が(3)。だから(3)の会社は、最短でも10年は免許を持っていることになります。

この番号は会社の奥にしまわれているものではありません。同じ法律の第50条第1項が「公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない」と定めていて、事務所に行けば壁に貼ってあります。免許番号はその標識に載っています。

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免許を出しているのが1つの都道府県だけなら「○○県知事免許」、2つ以上の都道府県に事務所があれば「国土交通大臣免許」になります。今回数えた56,192社では、都道府県知事免許が53,525社、国土交通大臣免許が2,667社でした。

56,192社で「カッコ×5年」を検算した

使ったのは、東京都・愛知県・大阪府・兵庫県が公開している宅地建物取引業者の名簿から集めたデータです。1社ごとに免許番号のカッコの数字と、その会社が最初に免許を受けた年月日が入っています。重複を除いた56,192社について、「カッコの数字×5年」で出した年数と、最初の免許年から数えた実際の年数を突き合わせました。

計算と実際の差 会社数 割合
±2年(ほぼ当たり) 28,008社 49.8%
3〜4年 18,443社 32.8%
5〜9年 6,431社 11.4%
10年以上 3,310社 5.9%

当たるのは半分で、6社に1社は5年以上ずれます。そしてずれ方には規則があり、カッコの数字が大きいほど大きく外れます。

カッコの数字 ×5年で出る年数 実測の中央値
(3) 10年 12年 実際のほうが2年長い
(6) 25年 27年 実際のほうが2年長い
(9) 40年 38年 実際のほうが2年短い
(12) 55年 47年 実際のほうが8年短い
(15) 70年 55年 実際のほうが15年短い
(17) 80年 61年 実際のほうが19年短い

(17)は今回のデータで最大の数字です。掛け算では80年になりますが、この286社が最初に免許を受けたのは1965年で、実際は61年。19年ぶん、長く営業しているように見えてしまいます。

読者

19年も違うんですか。掛け算のどこが間違っているんでしょう。

おかあさん

掛ける数の「5」です。データを見ると、古い番号のところだけ刻みが3年になっています。

(7)より上は3年刻みになっている

カッコの数字ごとに、その会社が最初に免許を受けた年の幅を並べると、途中で刻み方が変わっているのがわかります。

  • (9)… 1987年〜1990年
  • (8)… 1990年〜1993年
  • (7)… 1993年〜1996年
  • (6)… 1996年〜2001年
  • (5)… 2001年〜2006年
  • (4)… 2005年〜2011年

(7)より上は3年ごと、(6)から下は5年ごとに区切られています。境目は1993年から1996年のあいだにあります。免許の有効期間が5年ではなかった時期が、データにそのまま残っているということです。

今の法律の条文は5年と書いてありますが、いつ5年になったのかを条文で確かめることはできませんでした。法令データベースで参照できる版は2017年以降のもので、それより前の改正は附則にも残っていません。だからここでは「3年刻みの時期があった」という、データから読める事実だけを書いておきます。

実務への影響ははっきりしています。カッコが8を超えたあたりから、掛け算は会社を実際より古く見せます。創業年を知りたいなら、免許番号ではなく登記や会社概要を見たほうが確実です。

明るい室内の机で、立っている2人と座っている担当者が図面を広げて話している
会って話す前に免許番号から読み取れるのは、大臣免許か知事免許か、今の免許で何回目か、の2つだけです(写真: Pexels)

(1)の会社は4社に1社ある

56,192社のうち(1)は14,442社。(2)が9,404社、(3)が6,857社と続きます。免許が5年で切れる以上、直近5年に免許を受けた会社はすべて(1)になるので、この比率は珍しいことではなく仕組み上そうなるものです。

もうひとつ、番号が振り出しに戻る場面があります。宅地建物取引業法の第7条は、事務所の増減で免許を出す役所が変わったとき、「その者に係る従前の国土交通大臣又は都道府県知事の免許は、その効力を失う」と定めています。県内だけだった会社が他県にも事務所を出せば、それまでの免許は失効し、新しく大臣免許を受け直すことになります。

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今回のデータでも、国土交通大臣免許2,667社のうち901社が(1)でした。事務所を増やした会社が新しい免許を受けた直後だと、この形になります。

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免許番号を見ても、行政処分を受けたかはわからない

免許番号がわかれば、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で会社を引くことができます。2008年6月23日から動いているもので、本店の所在地や代表者などの基本情報が出ます。

ただし、このシステムの案内ページには注記があります。

(注)新システムでは、各業者の処分等情報はご覧いただけません。
処分等情報については、国土交通省ネガティブ情報検索サイトをご利用ください。

処分の履歴は別のサイトに分かれています。そしてそちらには公開の期限があります。国土交通省のネガティブ情報等検索サイトには「行政処分等情報の公開期間:5年」と明記されています。都道府県も同じで、埼玉県は「監督処分を行なった日から5年間掲載します」、神奈川県は「監督処分を行った日から5年間掲載」と書いています。

読者

検索して何も出てこなかったら、処分を受けていない会社ということでいいんですよね。

おかあさん

そこが分かれます。6年前に業務停止を受けていた会社は、今どこを探しても出てきません。掲載期間が過ぎているだけです。

私は、この5年という区切りは処分を受けた側の再出発のために置かれているものだと考えています。制度としては筋が通っています。ただ、これから何千万円かの取引を任せる側からすると、「調べて出てこなかった」と「処分を受けていない」は同じ意味ではない、という事実は知っておいたほうがいい。免許番号のカッコを数えるより、こちらのほうがよほど判断に効きます。

事務所で高齢の女性が書類にペンを走らせ、担当者ともう1人が横で見守っている
署名の前に確かめられるのは、直近5年ぶんの行政処分までです。それより古い処分は公開期間を過ぎていて、どこを探しても出てきません(写真: Pexels)

免許番号のかわりに確かめられること

免許番号から読み取れるのは、(1)大臣免許か知事免許か、(2)今の免許で何回目か、の2つだけです。会社の年齢は誤差を含み、処分歴は入っていません。そのうえで、番号を手がかりに次の3つが確かめられます。

1つめは、免許が今も生きているかどうか。都道府県は知事免許の業者名簿を閲覧できるようにしていて、大臣免許は国土交通省の企業情報検索システムで引けます。看板の番号と一致しなければ、免許換えか、更新されていないかのどちらかです。

2つめは、直近5年の行政処分。ネガティブ情報等検索サイトで、業種を宅地建物取引業者にして探します。出てこなくても白ではありませんが、出てきたら内容は必ず読んでください。

3つめは、事務所の標識。第50条第1項で掲示が義務づけられている紙で、免許番号と、その事務所の専任の宅地建物取引士の氏名が載っています。訪ねたときに壁を見れば済みます。

そして番号の話とは別に、相手の会社が出してくる価格が妥当かどうかは、自分で相場を持っていないと判断できません。カッコの数字を10分調べるより、周辺の取引価格を1分見るほうが、金額に直結します。

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不動産会社が倒産するときのルートを読む

読者

結局、免許番号は見なくていいということですか。

おかあさん

見る価値はあります。ただ、読み取れるのは2つだけです。そこに会社の良し悪しまで期待すると、(1)の14,442社を理由なく外すことになります。

この記事の数字の出どころ

会社数の集計は、東京都・愛知県・大阪府・兵庫県が公開している宅地建物取引業者の名簿から2026年7月から8月にかけて取得したデータを、免許番号で重複を除いて数えたものです。集計対象は56,192社。現に免許を持っている会社だけが入っているので、すでに廃業した会社は含まれません。廃業率や生存率を計算できるデータではありません。また4つの都府県のぶんなので、全国の比率ではありません。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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