山形県尾花沢市(おばなざわし)で、国の「道路冠水想定箇所」に載っているのは5か所です。位置図を道路地図に重ねると、4か所は国道13号尾花沢バイパスの下をくぐる道で、北の丹生川(にゅうがわ)ランプ地下道から南の尾花沢BOX1号まで、約1.1キロの間に並んでいます。
2020年7月の豪雨について、市長が「最も大きい被害」に挙げたのは、道路の冠水ではなく水道の断水でした。隣の大石田町にある豊田水源場が浸水し、尾花沢市の3,300世帯で5日間、水道が止まりました。
この記事でわかること
- ✓ 2024年7月25日からの大雨で、県の報告では市内の住家は全壊1棟・半壊1棟・床下浸水2棟でした
- ✓ 冬は流雪溝の処理能力を超える事例が例年あり、市は道路の冠水などを防ぐため、2026年1月に協定を結んで監視カメラと水位センサーを試しています(市長の答弁)
- ✓ 市の防災のページに、内水(川があふれなくても雨がたまる水)だけの地図は見当たりません
大雨の日に、尾花沢で「いま通れない道」と川の水位を見るページ
- 山形県の通行規制情報(県が管理する国道347号・県道の規制)
- 山形河川国道事務所「道路のライブカメラ」(国道13号の「尾花沢北IC1」「毒沢」など)
- 国道347号 鍋越峠 道路情報(なべこしとうげ。峠のカメラ画像)
- 山形県 河川・砂防情報(県が観測する川の水位と雨量)
- 川の防災情報(最上川など全国の川の水位)
- 気象庁 キキクル(浸水害・洪水の危険度)
避難の情報は、市の防災アプリ「防災尾花沢」と登録制メールで届きます。
国道347号の母袋(もたい)から宮城県境までは、雨の量で閉まる区間です。県の報告では、2015年9月、2016年8月(台風9号・10号)、2017年10月(台風21号)、2024年7月に全面通行止めになりました。理由はどれも雨量で、冠水ではありません。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧の5か所:4か所は国道13号尾花沢バイパスの下
国土交通省 東北地方整備局の「道路冠水想定箇所」は、山形県で78か所です。山形市15・東根市8・鶴岡市7に次いで、尾花沢市は米沢市・天童市と並ぶ5か所。
説明表の位置図と道路地図OpenStreetMap(オープンストリートマップ)で位置を合わせると、B〜Dの「尾花沢BOX1号〜3号」は、田んぼの中の市道がバイパスの下をくぐる所で、南から約430メートルおきに並びます。Dの約230メートル北がAで、国道347号がバイパスの下をくぐります。
Eの小山地下道だけは、北北西へ約4.5キロ離れた芦沢(あしざわ)にあり、JR奥羽本線の線路の下をくぐります。入口には「おばなざわ6 小山地下道」の看板があります(説明表の写真)。

地図の記号と同じ順です
A 丹生川ランプ地下道(にゅうがわ)
国道347号 管理番号 山形県-02-245 呼び名「おばなざわ5」
住所:尾花沢市大字尾花沢(番地の記載なし)。国道347号が国道13号尾花沢バイパスの下をくぐる所で、丹生川にかかる尾花沢橋のすぐ南
管理: 山形県村山総合支庁 北村山地域振興局 0237-47-8667 / 警察: 尾花沢警察署
B 尾花沢BOX1号
市道Ⅲ-100号線 管理番号 山形県-02-442 呼び名「尾花沢2」
住所:尾花沢市大字尾花沢(番地の記載なし)。田んぼの中の市道が国道13号尾花沢バイパスの下をくぐる所。5か所でいちばん南
管理: 尾花沢市役所 0237-22-1111 / 警察: 尾花沢警察署
C 尾花沢BOX2号
市道Ⅲ-99号線 管理番号 山形県-02-443 呼び名「おばなざわ3」
住所:尾花沢市大字尾花沢(番地の記載なし)。Bから北へ約430メートル、同じバイパスの下
管理: 尾花沢市役所 0237-22-1111 / 警察: 尾花沢警察署
D 尾花沢BOX3号
市道Ⅲ-24号線 管理番号 山形県-02-444 呼び名「おばなざわ4」
住所:尾花沢市大字尾花沢(番地の記載なし)。Cから北へ約430メートル。位置図では上の道路の車線が分かれている所
管理: 尾花沢市役所 0237-22-1111 / 警察: 尾花沢警察署
E 小山地下道
市道Ⅲ-241号線 管理番号 山形県-02-446 呼び名「おばなざわ6」
住所:尾花沢市大字芦沢(番地の記載なし)。JR奥羽本線の線路の下をくぐる地下道で、Aから北北西へ約4.5キロ
管理: 尾花沢市役所 0237-22-1111 / 警察: 尾花沢警察署
※ 説明表の写真では、入口に「高さ制限2.8M」の表示があります
Googleマップのリンクは、説明表の位置図と道路地図OpenStreetMapの橋・地下道を突き合わせた位置で開きます。説明表の住所は大字(おおあざ)までで番地が無く、大字の代表点は道路の底と関係が無いため、標高は載せていません。
県は、名前と番号をそろえた通報用の看板を付け、アンダーパスなどには路面から0.5メートルの高さに黄色、1.0メートルに赤の線を表示していると説明しています。Aの説明表の写真にも、壁に赤と黄色の線が写っています。
2020年7月の豪雨:水源場の浸水で3,300世帯が5日間断水
アメダス尾花沢(尾花沢地区横町)は、7月26日16時から29日12時までに196.5ミリで、7月1か月の平年値155.1ミリを3日足らずで上回りました(県の資料)。横町にある雨量計1か所の値で、水源場のある大石田町で降った量ではありません。
県の資料(8月16日9時現在・調査継続中)で、市内の住家の被害は床上浸水2棟・床下浸水2棟。場所は名木沢(なきさわ)・芦沢・荻袋開拓(おぎのふくろかいたく)と書かれています。2024年6月の市長の答弁も、床上浸水2件・床下浸水2件です。
大きかったのは水道です。豊田水源場は大石田町の中心部にあり、尾花沢市と大石田町(簡易水道を除く)に水を送っています。県の資料では「原水濁度(にごり)上昇及び施設の浸水」で、7月29日9時から5,429戸・16,760人が断水し、尾花沢市は8月2日19時に全戸で解消しました。

原因について、市は2022年12月の市議会で「最上川の氾濫により豊田水源場が冠水」と答えています。2024年6月の市長の答弁は「内水被害による豊田水源の浸水」としつつ、同じ答弁で「豊田地区の最上川氾濫による影響が大きかった」とも述べています。川の氾濫(外水)と内水のどちらか1つに決めた資料は見つかっていません。
読者
家のまわりが冠水していなくても、水道が止まるんですか?
2020年は、市内で浸水した家は4棟でしたが、隣町の水源場の浸水で、市の上水道の区域の水が止まりました。市の立地適正化計画も「豪雨災害時における豊田水源場断水の可能性」を課題に挙げています。大雨の予報が出たら、飲み水と生活用の水をためておくと安心です。
2024年7月25日の大雨:アメダス尾花沢は1日148.5ミリ
アメダス尾花沢の7月25日の雨は148.5ミリで、1976年からの記録で2位でした。横町の雨量計1か所の値で、市内のほかの地区で降った量ではありません。

県の報告(2026年2月12日10時現在)で、市内の住家は全壊1棟・半壊1棟・床下浸水2棟でした。全壊は丹生(にゅう)地内だと、市の課長が答えています。野尻川は寺内(てらうち)で1か所、堤防が切れました(破堤)。県の表では、この箇所に家屋浸水ありの印は付いていません。市は全地区の5,166世帯に高齢者等避難を出し、26日6時35分に解除しました(県の報告)。
銀山温泉では2019年10月の台風19号で、銀山川の水位が上がって避難指示に切り替わり、避難した人は最大124人でした(2019年12月の市長の答弁)。野尻川も銀山川も川の話で、道路の冠水とは別です。
読者
2024年の全壊は、水につかったのが原因ですか?
県の報告にも市の答弁にも、全壊の原因は書かれていません。同じ大雨で市内のがけ崩れも1か所報告されていますが、場所は書かれておらず、全壊と結びつける資料もありません。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
冬の冠水:流雪溝の詰まりと市の水位センサー
アメダス尾花沢の積雪は2018年2月14日に256センチを記録しています。市長は2026年3月の市議会で、「例年、豪雪時の過度な投雪により、流雪溝の処理能力を超過する事例が発生」していると答えました。
市は2026年1月29日にNTT(エヌ・ティ・ティ)東日本山形支店と協定を結び、取水口の沈砂池と北村山高校付近の流末にカメラを、その2か所と北町に水位センサーを付けて試しています。水位が設定を越えると建設課にアラートが届く仕組みで、市長は「道路冠水などの被害を未然に防ぎ」と説明しました。
流雪溝は、道路わきで雪を水に流す溝です。雪を入れすぎると詰まって水があふれ、道路の冠水につながります。
豪雨のときには、側溝が小さくて雨水を飲み込めず、宅地に冠水するケースがあった牛房野(ごぼうの)線で、市は側溝を入れ替える工事を2024年度の予算に入れました(2024年3月の市議会、建設課長)。
住む前・借りる前に見る地図
市の洪水ハザードマップは、丹生川・野尻川・朧気川(おぼろけがわ)と、芦沢・毒沢(どくさわ)地区の5枚です。市の防災のページに、内水だけの地図は見当たりません。
丹生川のマップは、おおむね5年に1回の大雨(1日111ミリ)を想定した地図で、「浸水想定区域は、ほとんどが農地となっており、住家等は含まれていません」と書いています。同じ欄には、区域の外でも浸水することがある、という注意書きもあります。市の立地適正化計画も、居住誘導区域には浸水想定区域(0.5メートル以上)が無いとしたうえで、国道347号が一部浸水区域にかかる点を挙げています。
国土地理院の重ねるハザードマップで洪水(想定最大規模)を見ると、カードの地図ボタンのA〜Cの位置のまわりには、浸水の深さ0.5メートル未満と0.5〜3メートルの色がかかっています(ピンのまわり約7メートルを読んだ目安で、D・Eには色がありません)。川があふれた場合の想定で、道路の下にたまる雨水を表した地図ではありません。市のWeb(ウェブ)ハザードマップは利用規約で複製が禁じられているので、この記事では写さず、リンクだけを置きます。
\家の住所が洪水と土砂の区域に入るかを確かめる/
洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを公的データで出します(道路の冠水や内水は出ません)
山形県のほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市区ごとの記事のまとめ)
- 山形市 冠水 どこが危ないの?(国の一覧で県内最多の15か所)
公式出典
- 国土交通省 東北地方整備局「道路防災情報Webマップ」道路冠水想定箇所 山形県(一覧と説明表 yamagataken-02-245・442・443・444・446。2026年9月23日取得)
- 山形県「道路冠水危険個所にご注意!」(2023年9月28日更新)/山形県「道路の通行規制や汚損、工事、除雪等に関するお問い合わせ先」
- 山形県「7月27日からの大雨に関する災害対策本部員会議」第7回資料(8月16日9時現在の被害状況)
- 山形県「令和6年7月25日からの大雨」被害の概況(令和8年2月12日10時現在)・概要版及び詳細版(令和7年2月4日10時現在)
- 山形県 被害状況の報告(国道347号の通行止め):9月9日からの大雨(平成27年・終報)・台風9号(平成28年・終報)・台風10号(平成28年・終報)・台風21号(平成29年10月24日)・7月7日からの大雨(令和6年7月11日16時30分現在)
- 気象庁「過去の気象データ」尾花沢 観測史上1〜10位の値
- 尾花沢市議会 会議録(2019年12月、2022年12月6日、2024年3月11日・6月24日・9月5日・9月12日・12月6日、2026年3月5日)
- 尾花沢市大石田町環境衛生事業組合「豊田水源場」
- 尾花沢市「尾花沢市洪水ハザードマップ」「Webハザードマップ」「立地適正化計画(後半・第7章 防災指針)」「尾花沢市ライブカメラ」
- 国土地理院 地理院タイル(地図)・重ねるハザードマップ(洪水浸水想定区域 想定最大規模)
- 道路・地下道の位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料を集計したものです(2026年9月23日取得)。避難や通行の判断は、必ず尾花沢市と山形県の最新の発表を確認してください。
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