なぜ雨がやんでも下がらないのか
理由は、土砂災害の危険度が雨そのものではなく、土の中にたまった水の量で判定されているからです。気象庁はこの量を土壌雨量指数という数値にして、警報の基準に使っています。
気象庁の解説には、こう書かれています。がけ崩れや土石流には「現在降っている雨だけでなく、これまでに降った雨による土壌中の水分量が深く関係しており」、土壌雨量指数は「降った雨が土壌中に水分量としてどれだけ溜まっているかを、タンクモデルを用いて数値化したもの」だと。
タンクモデルって、何ですか。
穴の開いたバケツを3つ縦に重ねた模型です。上から雨が入って、横の穴から少しずつ流れ出て、底の穴から下のバケツへしみていく。3つに残っている水の合計が土壌雨量指数です。雨が止まっても、水が抜けきるまでは指数が下がりません。
気象庁は10分ごとにこの計算を回しています。そして危険度を色で示す土砂キキクルは、「60分雨量及び土壌雨量指数の最大6時間先までの予測値」を使って表示すると明記されています。6時間先まで計算しているから、電文に「8日6時まで」という終わりの時刻を先に書けるわけです。
1万人にレベル5が出たまま、夜を越えました
気象庁の警報とは別に、避難情報を出すのは市町村です。7日のうちに、3つの町村が全域へ緊急安全確保(警戒レベル5)を出しました。
| 町村 | 発令 | 対象 |
|---|---|---|
| 新島村 | 7日4時30分 | 全域 1,335世帯 2,431人 |
| 大島町 | 7日12時30分 | 全域 3,947世帯 7,884人 |
| 利島村 | 7日15時00分 | 全域 182世帯 306人 |
合わせて5,464世帯、10,621人。神津島村・御蔵島村・青ヶ島村には発令されていません。三宅村は7日21時に伊ヶ谷・伊豆・坪田・神着・阿古の地区ごと、八丈町は7日7時に三根・中之郷・大賀郷などの地区ごとに出ていますが、対象の世帯数は公表されていません。
レベル5なのに、避難所へ行った人の話をあまり聞かないのはなぜですか。
緊急安全確保は「避難所へ行きなさい」という指示ではないからです。もう安全に移動できないかもしれない段階なので、いまいる建物の2階以上で、崖や斜面と反対側の部屋へ動く。それが正しい行動になります。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
8日も、明け方にもう一度降る予想です
これで終わりではありません。気象庁が7日23時に出した時系列情報では、伊豆諸島北部の8日はこうなっています。
| 8日の時間帯 | 1時間最大雨量の予想 |
|---|---|
| 0時〜3時 | 30ミリ |
| 3時〜6時 | 15ミリ |
| 6時以降(3時間ごと) | 各10ミリ |
24時間最大雨量は50ミリの予想です。7日までの265〜282ミリに比べれば小さい数字ですが、土の中がすでに水でいっぱいのところへ乗る雨なので、指数は下がりにくくなります。前線は8日に関東甲信地方を北上する見込みで、伊豆諸島では雷を伴って激しく降る所があるとされています。
朝までにできること
いま外は暗く、斜面の様子は見えません。それでも判断の材料はつくれます。
まず、自分の家が土砂災害警戒区域に入っているかどうか。ここが分かっているかどうかで、次に警報が出たときに「動くか動かないか」を迷う時間が変わります。区域の外だから安全という話ではありませんが、区域の中なら建物からの立ち退き避難が前提になる、と気象庁は明記しています。
そのうえで、寝る部屋を変える。崖や斜面に面した1階の部屋で寝ないだけで、助かり方が変わります。緊急安全確保はそういう指示です。
6時を過ぎても、雨がやんでいても、斜面の近くではしばらく警戒が要ります。土の中の水は、目で見えないところで、まだ残っています。
生活・仕事にどう効くか
- 気象庁は終わりの時刻を書いている:9月7日23時39分の電文で、大島町・利島村・新島村は「7日23時から8日6時まで、警戒レベル5相当」。神津島村は「7日23時から8日12時まで、警戒レベル4相当」。同じ島しょでも6時間ずれる
- 雨はもう止んでいる:8日1時30分のアメダスで、1時間雨量は大島7.0ミリ、新島0.0ミリ、神津島0.0ミリ、三宅島0.0ミリ。一方24時間雨量は新島282.0ミリ、大島265.5ミリ、神津島176.0ミリ
- レベル5が出たまま夜を越えた人が1万人いる:緊急安全確保の対象は大島町が全域3,947世帯7,884人(7日12時30分)、新島村が全域1,335世帯2,431人(7日4時30分)、利島村が全域182世帯306人(7日15時)。神津島村・御蔵島村・青ヶ島村には発令されていない
結局どうすればよいか
- 8日6時になっても、外の音と斜面を見てから動く。気象庁が書いているのは危険度が警戒レベル5相当で続く時間帯であって、6時に解除すると約束したものではない
- 崖や谷の出口に面した部屋で寝ない。緊急安全確保は「避難所へ行け」ではなく「いまいる場所で少しでも安全なほうへ移れ」という意味なので、2階の斜面と反対側へ移るだけでも違う
- 自分の家が土砂災害警戒区域に入っているかを、明るくなる前に一度だけ確かめておく。区域の内か外かで、次に警報が出たときの判断が変わる
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
- 新島村の土砂災害特別警報|レベル5で島内のどこへ避難するか
- 伊豆大島 大雨 2013年に元町を埋めた土石流は、崩れた深さの多くが1メートルより浅いところでした
- 水災等地区分の調べ方 ハザードマップと一致しない5段階のリスク区分
- 床上浸水でも火災保険が出ない?水災補償の45cm・30%基準を整理
ほかに使える無料ツール
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 気象庁 気象警報・注意報(新体系)東京都 2026年9月7日23時39分発表分(2026年9月8日発表)
- 気象庁 警報・注意報 東京都(警戒レベル相当情報 2026年9月7日23時39分更新)(2026年9月8日発表)
- 気象庁 アメダス 2026年9月8日1時30分の観測値(2026年9月8日発表)
- 気象庁「土壌雨量指数」(知識・解説)(2026年9月8日発表)
- 気象庁「土砂キキクル」(知識・解説)(2026年9月8日発表)
- 気象庁「特別警報について」(2026年9月8日発表)
- Yahoo!天気・災害 避難情報(大島町・利島村・新島村・神津島村・三宅村・八丈町/各自治体発表)2026年9月8日1時50分閲覧(2026年9月8日発表)
更新履歴
- 2026年9月8日 初版を公開(8日1時30分時点の観測値と、7日23時39分発表の警報にもとづく)
※本記事は2026年9月8日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。

コメント