「賃貸の更新料の相場は、家賃1〜2か月分」。2026年9月に「賃貸 更新料 相場」で検索して出てきた記事は、上位8本が全部この答えでした。ただし実際に払う額は、住んでいる都道府県で0か月にも1.4か月にもなります。
国土交通省が2007年6月に公表した調査に、都道府県ごとの数字が載っています。更新料を取っている割合は神奈川で90.1%、千葉で82.9%、東京で65.0%。そして大阪と兵庫は0%でした。
この記事でわかること
- ✓ 表に載っている16の都道府県のうち、平均が家賃1.0か月分以上あるのは京都・千葉・東京の3つだけ(国土交通省の調査・2007年6月公表/有効回答175社)
- ✓ 平均額がいちばん重いのは京都の1.4か月。東京・千葉の1.0か月を上回る
- ✓ 取る理由の1位は「一時金収入として見込んでいる」53.0%、2位は「長年の慣習」50.4%(同じ調査・有効回答117社)
更新料の相場は、都道府県で0.1か月から1.4か月まで開く
もとになるのは、国土交通省の「民間賃貸住宅に係る実態調査(不動産業者)」です。答えているのは賃貸住宅管理会社で、平成17年4月から平成18年3月までに契約した物件について、敷金・礼金・敷引金・更新料をいくら徴収しているかを集計したもの。更新料の都道府県別の表は有効回答175社ぶんです。

平均が1.0か月以上あるのは、京都・千葉・東京の3つだけです。ほかは0.5か月が並び、北海道は0.1か月、広島は0.2か月。「相場は家賃1〜2か月分」という説明が全国どこでも当てはまる、という書き方にはなっていません。
「更新料は東京や大阪みたいな大都市が取るもの」は逆だった
更新料は都会の慣習だと思っている人は多いはずです。ところがこの調査で更新料を取る割合が高かったのは、神奈川・千葉・東京・埼玉の首都圏と京都でした。大阪と兵庫は0%。政令指定都市を持つ府県どうしで、まったく逆の結果が出ています。
この調査で更新料の有無を分けていたのは、街の大きさではなく府県の境でした。 大阪市で借りるか、電車で30分の京都市で借りるかで、2年ごとに出ていくお金の有無が変わっていたことになります。
読者
大阪や兵庫で借りれば、一時金は安く済むということですか?
この調査で0%だったのは「更新料」の欄です。同じ表には敷金・礼金・敷引金も並んでいて、兵庫は敷金が100%(平均3.7か月)、敷引金が96.0%です。更新料という名前のお金が無いことと、一時金が無いことは別の話なので、契約書は一時金の欄をぜんぶ見てください。

京都だけ平均1.4か月。家賃の水準は大阪とほとんど変わらない
京都は、割合では55.1%と首都圏より低いのに、平均額は1.4か月で、16の都道府県のうちいちばん重い数字でした。では京都の家賃はその分安いのか。当サイトが総務省の令和5年住宅・土地統計調査から市区町村ごとに集計した、共同住宅(アパート・マンション)の家賃の中央値(1㎡あたり・月)を並べます。
| 市区町村 | 共同住宅の家賃の中央値(1㎡あたり・月) |
|---|---|
| 東京都新宿区 | 3,462円 |
| 横浜市中区 | 2,797円 |
| 大阪市中央区 | 2,380円 |
| 京都市中京区 | 2,302円 |
| 名古屋市中区 | 2,231円 |
| 福岡市中央区 | 1,938円 |
京都市中京区と大阪市中央区の差は、1㎡あたり78円。どちらも2,000〜2,500円の同じ階級に入っていて、統計上はほぼ同じ水準です。仮に25㎡の部屋で計算すると、家賃は京都市中京区で57,550円、大阪市中央区で59,500円になります。
ここに更新料を重ねます。京都で更新料がある物件の平均は1.4か月なので、57,550円×1.4=80,570円。大阪は0円です。
2007年の調査の平均(京都1.4か月)で計算すると、2年ごとに出ていくお金は京都でおよそ8万円、大阪で0円。6年住むあいだの更新は2回なので、差は約16万円です。
家賃を払い続けるのが損か得かも、街によって結論が反転します。更新料まで含めて考えるなら、「家賃を払い続けるのはもったいない」が正しい市と、そうでない区。持ち家と賃貸どっちが得かは街で反転しますもあわせて読んでください。
更新料を取る理由。会社の半分が「長年の慣習」と答えている
同じ調査は、更新料を取っている会社に理由も聞いています。回答したのは日本賃貸住宅管理協会の会員である賃貸住宅管理会社で、934社に配って204社が答えたもの(回収率21.8%)です。この設問は有効回答117社の複数回答になります。

1位は「一時金収入として見込んでいる」で53.0%。2位が「長年の慣習」で50.4%です。半分の会社が、慣習だから取っていると答えています。3位は21.4%で、「家賃が低い分の収入を確保」と「その他」が25社ずつ並びます。
更新料に見合う具体的なサービスがあるから取っている、という答えは上位に出てきません。
私は、この設問の並びが更新料のいちばん正直な説明だと考えています。設備が良くなるから、手続きに手間がかかるから払うのではなく、そういう地域だから払っている。だからこそ、府県の境をまたいだだけで有無が変わるという結果になったのだと見ています。
更新料を払わないとどうなるか
「更新料は法律に書いていないのだから払わなくていい」という言い方があります。ここは決着がついていて、最高裁は2011年(平成23年)に、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の条項は、額が高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り有効と判断しています。その条件を満たすなら、支払う義務があるというのが出発点です。
更新料の額に納得できないときにやることは、払わないことではありません。更新の時期が来る前に、貸主や管理会社に金額の根拠を聞くこと、そして次の章の3つを確かめることです。支払いを止めても、それは更新料への異議申し立てにはなりません。
読者
契約書に書いてあれば、いくら高くても払うしかないということですか?
判決のほうにも条件が付いています。「高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り」という書き方で、いくらからが高額かという線は示されていません。だから最初にやることは、契約書の更新料の欄と、届いた書面の金額が合っているかを見ることです。
更新の通知は、家賃の値上げの通知と一緒に届くこともあります。
このエリアの相場はいくらですか?
住所を入れるだけ。全国175,666件の実際の成約(国土交通省)から、土地・戸建て・マンションの坪単価の目安が5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
更新のお知らせに並ぶのは、更新料だけではない
更新のときに届く書面には、更新料のほかに、更新事務手数料・火災保険料・家賃保証会社の更新保証料といった項目が並ぶことがあります。全部が同じ月に来るので、「更新料が家賃1か月分」という前提で用意したお金では足りない、という形になりがちです。
このうち更新事務手数料は、少し立ち位置が違います。不動産流通推進センターの解説(賃貸借契約書に記載された更新事務手数料等の支払特約の有効性)は、更新事務は宅地建物取引業法の適用を受ける業務ではないため、媒介報酬の制限の規定と関係しないと整理しています。そのうえで「その事務手数料の請求額にふさわしい事務を行った場合にはじめて請求することができる」「借主からもらうのであれば、事前に借主の了承を得て、借主から依頼されたという事実が必要である」としています。仲介手数料のような法律上の上限が置かれていない項目なので、契約書に欄があるか、依頼した覚えがあるかが確認点になります。
この記事では、それぞれの金額は書きません。公的な統計で確かめられるのは更新料の割合と月数までで、ほかの項目の金額をまとめた一次情報が見当たらないからです。書面が届いたら、項目ごとに契約書の該当欄と突き合わせるほうが確実です。契約書に欄が無い項目や、契約書と金額が違う項目は、その場で管理会社に確認してください。

更新の通知が来たら、この3つを順に確かめる
- 契約書の更新料の欄。何か月分と書いてあるか、何年ごとかを見る。契約書に書いてある月数がすべてで、県の平均は目安にすぎません
- いまの家賃が街の水準と合っているか。家賃(共益費を除く)を専有面積で割った1㎡単価を、住んでいる市区町村の中央値と並べます
- 更新にかかる合計と、引っ越した場合を並べる。引っ越しの費用は物件と時期で変わるので、見積もりを取って実額で比べます
冒頭の「相場は家賃1〜2か月分」は、平均をならした言い方としては間違っていません。ただ、その1〜2か月分がそのまま当てはまるのは、この調査では京都・千葉・東京の3つだけでした。あなたが払う額が書いてあるのは、記事ではなく契約書のほうです。
よくある質問
賃貸の更新料の相場は家賃何か月分ですか?
2007年6月公表の国土交通省の調査では、更新料を取っている物件の平均は、北海道の0.1か月から京都の1.4か月まで開いていました。1.0か月以上あったのは京都・千葉・東京の3つだけで、埼玉・愛知・沖縄・福岡などは0.5か月でした。「家賃1〜2か月分」は全国をならした言い方だと考えてください。
更新料は何年ごとに払いますか?
契約期間ごとです。2年契約なら2年ごとに更新の時期が来ます。借地借家法29条1項が「期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」と定めているため、1年未満の契約は使いにくく、2年契約が主流になっています。実際にいくら払うかは契約書の「契約期間」と「更新料」の欄の組み合わせで決まるもので、この調査が集計しているのは徴収の割合と平均額までです。
更新料を払わないとどうなりますか?
最高裁は2011年(平成23年)に、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の条項は、額が高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り有効と判断しています。その条件を満たすなら、「法律に定めが無いから」を理由に支払いを拒むことはできません。金額に納得できないときは、支払いを止めるのではなく、更新の前に貸主・管理会社へ根拠を確認してください。
更新料は返ってくるお金ですか?
更新料は、調査でも敷金・礼金・敷引金と並ぶ一時金として集計されている項目で、預けて退去時に精算する敷金とは別の欄です。退去のときに戻る可能性があるお金の話は、敷金はいくら返ってくるにまとめています。
この記事の根拠
- 都道府県別の更新料の割合・平均月数と、更新料を取る理由:国土交通省「民間賃貸住宅に係る実態調査(不動産業者)」(2007年6月公表)の別紙2の1「賃貸住宅管理会社への調査結果」(PDF)。調査対象は財団法人日本賃貸住宅管理協会の会員である賃貸住宅管理会社で、配布934社・回収204社(回収率21.8%)。都道府県別は平成17年4月〜平成18年3月に契約した物件が対象で有効回答175社、理由は有効回答117社の複数回答
- 1㎡あたり家賃の中央値:総務省「令和5年 住宅・土地統計調査」の表122-5-1のうち共同住宅の借家について、当サイトが市区町村ごとに集計(階級値からの線形補間による中央値)。政府統計の総合窓口(e-Stat(イースタット))統計表ID 0004021510。5年に1度の調査のため、いま募集されている家賃とはずれることがあります
- 更新料条項に関する最高裁の判断:2011年(平成23年)。一義的かつ具体的に記載された条項が、高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り有効とされたものです。判決文そのものは本記事では引用していません
- 更新事務手数料の位置づけ:公益財団法人 不動産流通推進センター「賃貸借契約書に記載された更新事務手数料等の支払特約の有効性」(解説ページ)
- この記事は統計と制度の説明であり、個別の法的助言ではありません。個別の事案は消費者ホットライン(188)や自治体の無料法律相談へ
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。


コメント