最低賃金を下回る約束は、その部分が無効です
最低賃金法の第4条は、使用者に最低賃金額以上を支払う義務を課しています。そのうえで第2項が強い書き方をしています。
最低賃金の適用を受ける労働者及び使用者間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
最低賃金法 第4条第2項
つまり「時給100円で合意しましたよね」と言われても、その合意は成り立ちません。自動的に、その地域の最低賃金で契約したものとして扱われます。すでに働いたぶんについては、差額を請求できます。
最低賃金は都道府県ごとに決められていて、いちばん低い県でも100円とは桁が違います。時給100円という条件は、労働者にあたる働き方をしていた場合、どの地域でも法律に反します。
いま学生ができること
あとから差額を求めるときに、必要になるのは記録です。難しいことではありません。
- 募集要項のページを保存する(消される前に)
- 業務の指示が来たチャットやメールを消さない
- 何時から何時まで、誰の指示で、何をしたかを自分のメモに残す
この3つがあれば、「指揮命令を受けて業務に従事していた」という事実が形になります。相談先は、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署、または各都道府県労働局の総合労働相談コーナーです。相談は無料で、学生でも使えます。
就職の不安につけこまれる構図があります
私は、この問題の核心は金額ではないと考えています。時給100円に同意してしまう理由は、お金が惜しくないからではなく、断ったら選考に響くのではないかという不安があるからです。
そこを見越して条件が組まれているなら、それは体験の場ではなく、安く働かせる仕組みです。区別する物差しは、この記事で見たとおり「会社の指示で働いて、成果が会社のものになっているか」の1本だけ。迷ったら、その1本で測ってください。
生活・仕事にどう効くか
- 名前ではなく、中身で決まる:「インターンシップ」という名称は関係ない。会社の指揮命令を受けて業務に従事し、成果が会社に帰属していれば労働基準法上の労働者にあたる。
- 下回る取り決めは、その部分が無効になる:最低賃金法第4条第2項は、最低賃金額に達しない賃金を定める契約はその部分を無効とし、最低賃金額と同じ定めをしたものとみなすとしている。差額の請求ができる。
- 集客ノルマは「体験」ではない:ノルマを課して成果を求めるのは、体験させる行為ではなく業務に従事させる行為に近づく。労働者と判断される方向に働く事情になる。
結局どうすればよいか
- 募集要項・応募時のメール・業務の指示が来たチャットを消さずに残す
- 何時から何時まで、誰の指示で、何をしたかを自分で記録しておく
- おかしいと思ったら、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署か総合労働相談コーナーに相談する
公式出典
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第9条 定義)(2026年9月12日発表)
- e-Gov法令検索「最低賃金法」(第4条 最低賃金の効力)(2026年9月12日発表)
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(2026年9月12日発表)
更新履歴
- 2026年9月12日 初版を公開。条文はe-Gov法令検索による。報道の内容は事実関係のみを参照した。
※本記事は2026年9月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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