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広島市 コンセント火災/焦げたら誰が払うのか

🗨️「賃貸でコンセントが焦げた。修理代は自分が払うの?」

隣の家には払いませんが、大家さんには払います。失火責任法が止めるのは不法行為の賠償だけで、借りた部屋を返す義務のほうには及びません。最高裁が昭和30年3月25日に、重大な過失がなくても賃借人は責任を免れないと示しています。だから「うっかりだから大丈夫」は賃貸では通りません。焦げに気づいた時点で管理会社へ連絡するのが結局いちばん安く済みます。

[事件・事故] この記事の要点

発表日・更新日

2026年9月20日 発表

影響を受ける人
  • 賃貸住宅で、コンセントやプラグが黒く焦げているのを見つけた人
  • 家具の裏・テレビの裏にプラグを何年も差しっぱなしにしている人
  • 退去のときに原状回復の費用を請求されるか不安な人
目次

広島市は、前から同じ事例を自分のサイトに載せていた

20日に広島市であった住宅火災は、地元局の報道によると通報の内容が「コンセントから炎が出た」というものでした。出火の原因は消防が調べている段階で、まだ公表されていません。ここでその原因を決めつけることはしません。

ただ、広島市消防局は今回の火事より前から、自分のサイトで同じ形の火災事例を公開しています。安佐北区で実際に起きた火災です。

安佐北区内の住宅で、プラグを長期間差し込んだままにしていた屋外コンセントから出火し、外壁などの一部を焼く火災が発生しました。

広島市「火災事例 コンセントから出火!」(更新 2025年2月16日)

つまり「コンセントから火が出る」は珍しい話ではなく、市が名指しで注意喚起している型ということです。だとすると読者にとって意味があるのは、今回の火事の続報よりも「自分の家のコンセントはどうなのか」「もし焦げていたら誰が払うのか」のほうになります。

住まいのリスクに対する備え

土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。

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電気機器が、放火を抜いた

消防庁の消防白書で出火原因の推移を見ると、この数年で順位が入れ替わっています。令和6年の全国の数字です。

順位出火原因件数
1たばこ3,058
2たき火2,781
3こんろ2,718
4電気機器2,577
5放火2,377
7電灯電話等の配線1,701
8配線器具1,636

令和5年までは放火が電気機器の上にいました(令和5年は放火2,495件・電気機器2,205件)。入れ替わったのは令和6年が初めてです。電気機器は令和2年の1,611件から4年続けて増えて、6年で1.6倍になりました。

⚠️ 「電気機器」「電灯電話等の配線」「配線器具」は消防庁が別々に数えている区分です。足した数字を公式の数字のように書かないでください。

広島市に絞ると、もっとはっきり出ます。市の火災は令和3年247件→令和7年303件と増えていて、令和7年の出火原因は1位たばこ49件・2位こんろ43件・3位放火25件・4位配線器具23件・5位たき火22件・6位電気機器18件。配線器具は令和6年が11件だったので、1年で2倍以上になっています。

どうして差しっぱなしのプラグから火が出るのか

仕組みは広島市消防局が原文で説明しています。

プラグをコンセントに長期間差し込んだままにしておくと、その隙間にホコリがたまり、湿気などを含むことにより放電がおこります。これが繰り返し起こると、絶縁状態が悪くなり、炭化現象を起こしてプラグ両刃間に電気が流れてショートし発火します。(トラッキング現象)

広島市「火災事例 コンセントから出火!」

東京消防庁も同じ現象を「コンセントに差したプラグの刃と刃の間についたほこりが、湿気を帯びることで電気回路を形成し、放電による火花が発生して、出火する現象」と書いています。ここで大事なのは、電源を切っていても、差さっているだけで進むという点です。使っていない家電だから安全、にはなりません。

東京消防庁はこうも書いています。「電気コード等を出火原因とする住宅火災は令和6年に488件発生しており、過去10年で最多となっています。」

製品の事故を調べている製品評価技術基盤機構(ナイト)は、2016年から2021年の6年間で配線器具の発火事故が250件あったと発表しています。

賃貸で焦げた。払うのは誰か

ここが本題です。同じ疑問を持った人が知恵袋にも並んでいます。

賃貸マンションで、コンセントが焦げてしまいました。10年以上延長コードを差したままで、コンセントカバーも付けてましたがプラグの方も焦げてました。これはこのまま使うのは危険ですか?管理会社に言った方がいいのでしょうか。その場合、費用は自己負担ですか?

Yahoo!不動産 知恵袋(2023年2月14日)

答えを先に書くと、隣の家には払わないが、大家さんには払うです。理由は2つの制度が別々に働いているからです。

相手根拠結論
隣の家・上下の部屋失火ノ責任ニ関スル法律(不法行為)重大な過失がなければ払わない
大家さん(貸主)賃貸借契約の債務不履行重大な過失がなくても払う

失火責任法は民法709条(不法行為)の適用を止める法律です。ところが部屋を借りている人は、貸主に対して「借りたものを返す」という契約上の義務を負っています。焼いてしまうとこの義務が果たせなくなるので、失火責任法とは別の理屈で責任が出ます。最高裁は昭和30年3月25日の判決でこの考え方を示しました。

「重大な過失」の線も、思っているより厳しく引かれています。全日本不動産協会は「通常人に要求される程度の相当な注意をしなくとも、わずかの注意さえすれば容易に有害な結果を予見することができたのに、漫然とこれを見過ごしたようなほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」と説明しています。つまりほとんど故意に近いところまでいかないと重過失にはなりません。逆に言えば、隣家への賠償が発生することは多くありません。

もらい火のほうの話(隣の火事で自分の家が焼けたとき)は別の記事に分けてあります。

火災保険については、主契約で電気的・機械的な事故は対象外という商品が一般的です。ショートやスパークによる故障は「建物電気的・機械的事故」などの名前の特約を付けた場合だけ対象になり、しかも対象は建物と直結した設備で、コンセントに挿すだけの家電は含まれません。名称も範囲も会社ごとに違うので、自分の保険証券で確かめるのが確実です。

公的機関が挙げている予防策だけ

ここに書くのは、製品評価技術基盤機構(ナイト)と東京消防庁が実際に挙げているものだけです。

  • 電源プラグ・テーブルタップ・コンセントの差込口にほこりがたまらないよう掃除する
  • 差込口に水分やアルコールが付着しないよう注意する
  • 変形した電源プラグを使わない
  • 電源コードを引っ張る、机や椅子の脚で踏むなど、無理な力を加えない
  • 接続できる最大消費電力を確認し、それを超える使い方をしない
  • プラグを抜くときは本体を持つ。コードを引っ張らない
  • 外出時や就寝時は、不要なプラグを抜く

そして広島市消防局の予防策は1行です。「プラグはコンセントに長期間差し込んだまませず、定期的に差し込み口を点検・清掃し、ほこりなどをためないようにしましょう。」

最後にもう一度。壁に付いているコンセント本体の交換は、自分でやらないでください。管理会社か大家さんに連絡して、業者に見てもらうのが正しい順番です。連絡した日付が残っていると、あとで費用の話になったときに効きます。

生活・仕事にどう効くか

  • 費用:賃貸で自分の過失によって部屋を傷めた場合、失火責任法があっても貸主への賠償は免れない(最高裁 昭和30年3月25日判決)。隣家への賠償とは扱いが別になる。
  • 保険:火災保険の主契約では電気的・機械的な事故は対象外で、特約を付けている場合だけ補償される。対象も建物と直結した設備で、コンセントに挿すだけの家電は含まれない。契約内容は必ず自分の証券で確かめる。
  • 件数:令和6年の出火原因は電気機器が2,577件で4位。放火(2,377件)を初めて上回った。広島市でも令和7年は配線器具が23件で4位に入っている。

結局どうすればよいか

  • 焦げを見つけたらまずプラグを抜く。そのまま使い続けない
  • 壁のコンセント本体は自分で交換しない。管理会社か大家に連絡して業者に見てもらう
  • 連絡した記録(メール・チャット)を残す。いつ気づいて、いつ伝えたかが後の話し合いの材料になる
  • 自分の火災保険の証券で、電気的・機械的事故の特約が付いているかを確認する

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公式出典

更新履歴

  • 2026年9月20日 初版を公開

※本記事は2026年9月20日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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