学区データ(通学区域)の入手方法|無料の公開データでできること・できないこと
学区(通学区域)のデータは、不動産の物件資料、塾やスクールのエリア設計、引越し関連のサービスなど、いろいろな場面で必要になります。検索すると国の「国土数値情報」がすぐ見つかりますが、ダウンロードしてから「欲しかったのはこれじゃなかった」となることが少なくありません。
ここでは学区データの入手先を4つに整理して、それぞれ何ができて何ができないかを書きます。
先に決めること:地図に描きたいのか、住所から引きたいのか
学区データには大きく2つの形があります。中身も入手先も別物なので、ここを分けないと選べません。
| 欲しい形 | データの正体 | 典型的な用途 |
|---|---|---|
| 境界(ポリゴン) | 学区の範囲を地図上の面で表したGISデータ | 地図に学区を色分けして描く/エリアの面積を出す |
| 対応表(テーブル) | 「◯◯市△△町1丁目 → ◯◯小学校」の行が並んだ表 | 住所から指定校を引く/物件資料に学校名を書く/Excelで突き合わせる |
無料で最も見つけやすいのは前者の境界データです。一方、事務仕事で必要になることが多いのは後者の対応表です。このずれが「ダウンロードしたのに使えなかった」の正体です。
入手先1:国土数値情報(無料)
国土交通省が公開している「国土数値情報」に、小学校区データ(A27)と中学校区データ(A32)があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用 | 無料 |
| 形式 | GML(JPGIS2.1準拠)/シェープファイル |
| 中身 | 学校の位置(点)と通学区域の範囲(面) |
| 単位 | 都道府県別のZIPファイル(47個) |
| データ作成年度 | 2021年度(令和3年度) |
| 利用条件 | 各市町村の定めによる(同梱のExcelで市町村ごとに確認) |
できること。 地図に学区の境界を描く。QGISなどのGISソフトで読み込んで、エリアの重なりや面積を扱う。この用途なら無料でここまで揃うものは他にありません。
ハードルになること。
- Excelでは開けません。 シェープファイルはGIS用の形式で、CSVではありません
- 住所から指定校を引くにはひと手間かかります。 住所を緯度経度に変換(ジオコーディング)し、その点がどのポリゴンに入るかを判定する処理が必要です
- 2021年度作成が最新です。 学校の統廃合や区域の見直しは毎年どこかで起きるため、直近の変更は入っていません
- 利用条件が全国一律ではありません。 「各市町村の定めによる」とされており、二次利用の可否は市町村ごとに確認することになります
無料で最も整備されたデータですが、位置づけとしては「地図に描くためのもの」です。
入手先2:自治体のサイト・オープンデータ(無料)
通学区域を決めているのは各市区町村の教育委員会です。つまり一次情報は自治体のサイトにあります。CSVでオープンデータとして公開している自治体もあります。
できること。 最新かつ正確です。指定校を決めている当事者が出している情報なので、これが正になります。
現実的な問題。 全国分を集めようとすると、市区町村は全国で1,741あります(2024年10月1日時点で市792・特別区23・町743・村183)。ここを1つずつ回ることになります。実際に集めてみると、次のような差が出ます。
- 公開形式がばらばら(CSV・Excel・HTMLの表・PDF・地図の画像だけ)
- 地図の画像やPDFでしか公開していない自治体は、機械的に取り込めません
- 住所の書き方が揃っていない(「丁目」「大字」「字」の有無、丁目が漢数字か算用数字か)
- 同じ学校でも表記が違う(旧字体、「ヶ」と「ケ」など)
- 学校名の欄が空、または「指定なし」の意味で記号だけが入っている
1つの自治体を確認するだけなら5分で終わります。全国分を1つの表に揃えるところが重い、というのがこのやり方の性質です。
入手先3:商用のGISデータ(有料)
地図データの会社が、全国の学区ポリゴンを商品として提供しています。たとえばマップルの「学校区データベース」は、全国の小学校区・中学校区のポリゴンと学校位置のポイントをシェープファイルで提供しており、全国・地方・都府県などから範囲を選べる形になっています。
価格はサイトに掲載されておらず、見積り依頼の形です。法人向けの提供体制です。
向いている場合。 自社の地図サービスに組み込む、更新を継続的に受け取りたい、契約と保守が必要、というケースです。
入手先4:対応表として整えられたCSV
「地図はいらない。住所と学校名の対応表がCSVで欲しい」という場合の選択肢です。
当サイトでは全国の学区検索を公開しており、そこで使っているデータを県別のCSVとしてもお渡ししています。2026年8月1日時点の収録は次のとおりです。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 都道府県 | 47 |
| 市区町村 | 1,619(全国1,741のうち約93%) |
| 学校 | 25,806校(小学校・中学校・義務教育学校) |
| 区域の行数 | 236,704行 |
どの自治体のどの資料に基づくかという出典を併記しているので、元をたどって確認できます。
正直に書いておきます。これは地図データ(ポリゴン)ではありません。 学区を地図に描きたいのであれば、入手先1か3が合います。また未収録の自治体があります(上の1,619という数字がそれです)。必要な自治体が入っているかどうかは、購入前に確認できます。
👉 全国の学区検索 — 都道府県から市区町村をたどって、指定校を無料で調べられます
用途別のまとめ
| やりたいこと | 合う入手先 |
|---|---|
| 学区を地図に色分けして描く | 国土数値情報(無料)/商用GISデータ |
| 1件の住所の指定校を確認したい | その自治体のサイト、または学区検索 |
| 物件資料や書類に学校名を入れる | 対応表のCSV、または学区検索 |
| チラシ配布・エリア分析でExcelに取り込む | 対応表のCSV |
| 自社サービスに学区検索を組み込む | 商用GISデータ(契約・保守が前提) |
| 特定の1自治体だけ、最新で正確に | その自治体の教育委員会のページ |
どの方法でも共通する注意点
- 学区は変わります。 統廃合、新設、区域の見直しは毎年どこかで起きています。データには必ず「いつ時点のものか」を持たせて扱います
- 最終的に正なのは教育委員会の指定です。 どのデータを使う場合でも、入学先の決定や契約に関わる説明では自治体への確認が要ります
- 住所だけでは決まらない例外があります。 指定校変更の制度、調整区域、学校選択制を採っている自治体などです
実務での注意をひとつ。物件資料に学校名を書くとき、地図上で一番近い学校を選ぶと実際の指定校と違うことがあります。学区の境界は直線距離では決まらないためです。
まとめ
- 学区データには境界(地図)と対応表(住所と学校名)の2種類があります。まずどちらが必要かを決めます
- 国土数値情報は無料で最も整備されていますが、GIS形式・2021年度作成・利用条件は市町村ごとです。Excelでは開けません
- 一次情報は各自治体にあります。正確ですが、全国1,741市区町村を1つずつ回る作業になります
- 商用のGISデータは法人向け・見積り制です
- どのデータを使っても、最終的に正なのは教育委員会の指定です。時点を持たせて扱います
学区の確認・データの入手について
- 全国学区検索 — 都道府県・市区町村から指定校を無料で調べられます
- 県別の学区データCSV(ココナラ) — 学校名・通学区域・出典つき。塾のチラシ配布エリアの設計や、不動産の物件資料づくりに
- ポータルサイト入稿代行 — 物件登録の周辺環境欄に入れる学校も、学区を確認したうえで登録します
本ページは学区(通学区域)データの入手方法を一般的に整理した参考情報です。各データの提供形式・作成年度・利用条件は提供元の改定により変わります。また通学区域は各市区町村の教育委員会が定めており、区域の変更や学校の統廃合が随時行われます。実際の指定校については、必ず対象の自治体の教育委員会にご確認ください。


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