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賃貸 申し込み キャンセル/契約成立前ならできる

🗨️「賃貸の入居申込書を出して、審査にも通りました。契約書にはまだ署名していませんが、別の部屋にしたくなりました。違約金は取られますか。払った申込金は戻りますか」

契約が成立する前なら、キャンセルできます。払った申込金(預り金)は、宅建業法で返還が求められています。違約金も請求されない、と東京都は説明しています。分かれ目は契約がいつ成立したかで、審査に通った後は行政の説明が分かれます。成立した後は、契約書の解約の条文しだいです。

[不動産] この記事の要点

発表日・更新日

2026年10月14日 発表

影響を受ける人
  • 入居申込書を出して、審査の結果を待っている人
  • 審査に通ったが、契約書の署名の前にやめたくなった人
  • 初期費用を振り込んだあとで、別の部屋にしたくなった人
目次

やめた時点ごとの扱い

申込書を出してから鍵を受け取るまでを、4つの時点に分けます。「戻る」「請求されない」と書いたのは、国交省・東京都・大阪府が公表している説明にある範囲だけです。

やめる時点払ったお金違約金・解約読む場所
申込書を出した後、審査の結果が出る前申込金(預り金)は戻る貸主の承諾の前で、契約は未成立。違約金や損害賠償は請求されない(東京都)預り証の文言
審査に通った後、署名の前成立前なら戻る。成立したとされると手付金に変わる扱いもある(大阪府)成立したかは具体的な事情で個別に判断される(国交省)。行政の説明も分かれる申込書の注意事項、重要事項説明書の「契約の解除」の欄
署名・押印の後、初期費用を払った後礼金は通常返金されず、仲介手数料も返金されない。敷金は返還される(東京都)一方的には解約できない。借主から解約できるかは契約書の条文しだい契約書の借主からの解約の条文、特約
鍵を受け取った後契約は成立済み。署名がなくても成立とみる説明がある(大阪府)解約は契約書の条文しだい。鍵を受け取った日から家賃が発生する(東京都)契約書の契約期間の始期

申込書そのものに、キャンセル料の条項があるとは限りません。公開されている入居申込書のひな形を2つ開きました。大阪府の標準様式(注意事項4項目)にも、日本賃貸住宅管理協会が公開している申込書(同6項目)にも、キャンセル料や違約金の条項はありません。会社ごとの申込書は別なので、手元の注意事項と預り証を先に読みます。

家の模型を背にして、手に下げた鍵の束
鍵を受け取る前でも、審査に通った時点で契約が成立したとみる自治体があります(写真: Pexels)

契約が成立する時点

民法522条は、契約は申込みに相手方が承諾したときに成立し、書面の作成は要らないと定めています。国交省の賃貸住宅標準契約書の解説も、賃貸借契約は申込みと承諾の合致で成立する、と書いています。

「契約書に判を押すまでは契約ではない」とは言い切れません。大阪府は、貸主が貸すと承諾した審査通過の時点で契約は成立すると考えられる、と説明しています。判を押していない、契約書がまだできていない、という理由では成立していないことにならないとも書いています。

東京都の消費生活の質問と答え(2018年更新)の説明は違います。実務的には、借主と貸主が契約書にサインした時点で成立する、としています。

国交省の相談対応事例集(令和4年3月)は、どちらとも決めていません。成立前ならキャンセルは問題ないとしたうえで、成立の時点は具体的な事情から個別に判断されると書いています。まず速やかに、キャンセルしたいと貸主に申し出て、話し合うことになります。

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読者

仮押さえだと言われて署名しました。あとからやめられますか。

おかあさん

その署名で契約が成立したかしだいです。大阪府のページには、「仮押さえだから」と言われて署名や拇印に応じ、キャンセルを申し出たところ、契約は成立したとして違約金を請求された事例がある、と書かれています。何の書類かは、署名の前に聞きます。

契約が成立しなかった場合でも、契約が結ばれるという期待を相手に与えていたときは、信義則上、その期待を裏切らないよう行動する義務があり、反して不成立にすると賠償責任を負うとされている、という注記が国交省の事例集にあります。どこから期待を与えたことになるかは、書かれていません。

私は、審査に通ったと連絡を受けた時点で、署名の前にやめるかどうかを決め、決めたらすぐ貸主側に伝えるのが安全だと考えています。成立の線引きが行政の説明でも分かれていて、あとから争う余地を残さないためです。

申込金・預り金の返還

国交省の事例集に、こんな質問があります。息子の大学入学に合わせて申込書を書き、申込金1万円を払ったあと、地元の大学に受かって部屋が要らなくなった。答えは、キャンセルできる、申込金は預り金として返還を請求できる、です。

宅建業法47条の2第3項と施行規則16条の11第2号は、申込みを撤回する人から受け取っていた預り金の返還を拒むことを禁じています。名目が申込金でも手付金でも内金でも、契約の前に不動産会社が受け取ったお金は預り金として扱う、と東京都は説明しています。

国交省の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)は、預り金は「いかなる理由があっても一旦返還すべき」という趣旨だと書いています。

大阪府の相談事例(2010年)では、家主が部屋を押さえているから契約は成立している、と話して申込金を返さなかった業者が、返還を拒んだとして文書勧告を受けました。別の事例でも、府の指導のあとに預り金は返っています。

署名の前に初期費用を払う場面もあります。国民生活センターが2026年2月に公表した資料には、仲介手数料や前家賃など初期費用10万円を払い、オンラインで重要事項の説明も受けたが、特約に納得できず署名しなかった人が、申込みを取り消して返金を求めた相談が載っています。返金されるかどうかは、書かれていません。

契約の前に受け取ったお金は預り金とみなす、という東京都の説明に沿えば、署名前の入金も、契約が成立していなければ返還を求める対象になります。私は、払う前に特約の欄を読み切るのが、いちばん手前でできる対策だと考えています。

手付金だと言われて返してもらえないときの条文と窓口は、次の記事に書きました。

署名後・入金後の解約

契約書に署名して、敷金・礼金・日割り家賃と翌月の家賃・手数料を払い、鍵も受け取った人が、もっと条件のいい部屋を見つけた。東京都の質問と答えに載っている相談です。答えは、契約成立後のキャンセルは一方的にはできず、払ったお金の全額は戻らない、でした。

借主から解約できるかは、契約書の条文しだいです。国交省の標準契約書(平成30年3月版)の第11条は、借主が30日前までに申し入れれば解約でき、30日分の賃料を払えば申入れの日から30日の間いつでも解約できる、としています。この定めが契約書になければ、貸主との合意が必要です。

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読者

入居する前にやめても、家賃は払うのですか。

おかあさん

契約が成立していて部屋に入れる状態なら、住んでいなくても契約日以降の家賃は払う義務があると考えられる、と国交省の事例集は答えています。始期について相談する余地はある、とも書かれています。

違約金の額が高すぎれば、消費者契約法9条1号で、同種の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分は無効になります。対象は消費者と事業者の契約で、当てはまるかや額が超えているかは個別に判断される、と国交省の事例集は書いています。

クーリング・オフは使えません。宅建業法37条の2が対象にしているのは、宅建業者が自ら売主になる売買契約で、賃貸借契約は入っていません。

初期費用の例で、動かせなくなるお金を計算します。数字は例示で、家賃8万円、敷金・礼金・前家賃は各1か月です。仲介手数料は契約が成立したときに請求権が生じる成功報酬で、居住用の借主負担は家賃の0.55か月分(税込)が上限と国交省は示しています。

項目金額契約成立後にやめたとき
敷金(1か月)80,000円返還される
礼金(1か月)80,000円通常は返金されない
前家賃(1か月)80,000円契約期間の始期から賃料が発生する
仲介手数料(0.55か月・税込)44,000円成功報酬で、返金されない
合計284,000円

戻らない前提で見るのは、礼金と仲介手数料の124,000円で、合計の約44%です。媒介の依頼を受けるときに借主が承諾していれば、仲介手数料は1.1か月分の88,000円まで受けられます。その場合、戻らない額は168,000円で、合計328,000円の約51%です。

標準契約書の第11条2項で30日分の賃料を払うなら、家賃8万円で8万円です。第4条2項が、日割りは1か月を30日として計算すると定めています。

保証会社の保証料、火災保険料、鍵交換代は、物件ごとに違うので表に入れていません。国交省の事例集は、保証会社と契約すると保証料を払うと書いていますが、やめたときの返金条件は書いていません。確認できていないので、払う前に、契約をやめたら戻るかを書面で聞いておきます。

初期費用の項目を見積書と照らす手順は、賃貸の初期費用はいくら?見積書で確認したい8項目と契約前チェックリストにまとめています。敷金が返ってこないときは、敷金 返ってこない/内容証明で時効は止まらないが参考になります。

相談先と伝え方

やめると決めたら、電話だけで済ませず、メールやメッセージで「申込みを撤回します」と日付が残る形で伝えます。申込金を払っているなら、預り証で返還の条件を確かめます。大阪府は、預り証に「契約の申込みが撤回された場合は、預り金の全額を返還する」と書くよう、仲介業者に呼びかけています。

返金を断られたり、違約金を請求されたりしたら、消費者ホットライン188に電話します。最寄りの消費生活センターなどを案内してくれる全国共通の番号です。預り金を返さないのは宅建業法で禁じられた行為なので、物件がある都道府県の宅建業免許の担当窓口にも相談できます。東京都なら、住宅政策本部の不動産業課です。契約書をふまえた法律の判断は、法テラスなどで弁護士に聞いて確かめます。

生活・仕事にどう効くか

  • 申込書を出した後・審査中:契約は未成立で、申込金(預り金)は戻る。違約金は請求されない(東京都の説明)
  • 審査に通った後・署名の前:成立とみるかは行政の説明も分かれる。国交省は個別の事情で判断されるとしている
  • 署名した後・初期費用を払った後:一方的には解約できない。礼金と仲介手数料は戻らない(東京都の説明)

結局どうすればよいか

  • 申込金を払ったら、預り証に返還の条件が書かれているかを確かめる
  • 審査の結果が出たら、契約書に署名する前に、やめるかどうかを決める
  • やめると決めたら、すぐに、日付が残る形で不動産会社に伝える
  • 署名した後なら、契約書の解約の条文と特約、重要事項説明書の「契約の解除」の欄を読む

公式出典

更新履歴

  • 2026年10月14日 初版を公開(条文はe-Gov、解釈・運用の考え方・事例集・標準契約書は国交省の原文、相談の説明は東京都・大阪府・国民生活センターの公表ページで確認)

※本記事は2026年10月14日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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